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プロローグ ~佐倉麻美side~
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憧れてた高校、憧れてた制服。
でも、現実は憧れてた高校生活ではなかった。
教室に溢れている笑い声がすべて私をバカにしてるような気がする。
一瞬合った目線が私を蔑むような気がする。
私はいつものように下を向き、唇を噛み締めた。
中学生の頃は楽しかったなぁ…。
決して目立つタイプではなかったが、それなりに友達もいたし、
クラス全員が仲良しだった。
運動も出来ないわけではなかったし、
勉強はクラスで上位を争うレベルだった。
それなのに…。
高校初日、自分の席につき、暇を持て余していると後ろから背中をつつかれた。
「佐倉さん、一緒にトイレいかない?」
振り返ると胸辺りまであるカールした髪を耳にかけながら微笑んでいる綺麗な女の子がいた。
「うん。一緒にいこう!」
私は多分飛びきりの笑顔だったと思う。
高校生活への不安が一気になくなった気がした。
その日から私はその女の子、杉本舞子と行動を共にするようになった。
舞子は明るく溌剌とした子でテニス部のホープとして活躍していた。
うちのクラスにはテニス部の女子が多く、舞子といるうちにいつのまにか私も巻き込まれるかのようにテニス部の子たちと行動するようになっていた。
私はより偏差値の高い大学を目標にしていたから帰宅部で、テニス部の子たちといるときはどうしても話についていけない日が増えた。
自分でもグループで浮き始めていることに少しずつ気付き始めていた。
そんなある日、舞子からLINEが入った。
「麻美、最近話題についていけてないよね?
うちらが話してることあんま分かってない感じがするんだよね!
麻美が悪い訳じゃないけど、
みんな、麻美に気を遣うのに疲れちゃったみたい!
麻美も私たちに合わせるの疲れたよね?
こういう関係はお互いに良くないから
疲れてたらグループ抜けてもいいからね!
無理しないでね!」
私はこの言葉の意味に気付かないほど鈍感ではなかった。
みんなで私が邪魔だと話し合ったこと、
舞子が私を入れた責任をとってLINEしてきたこと、
「グループ抜けてもいいからね!」という言葉は
グループを自分から抜けて欲しいということだということ、
すべてを理解して笑った。声をあげて笑った。
…そして、声を押さえて泣いた。
舞子が言う通り、正直みんなに合わせることに疲れていた。
でも、一緒に居続ければ何か変わるかもしれない。
私に気付いて話題を変えてくれるかもしれない。
そんな期待を抱き続けていた。
「駄目だったかぁ」
やっと言葉になった一言が痛かった。
次の日、私はグループを離れる決断をした。
離れざるを得なかった。
いつもはみんなに着いていく移動教室も
私から着いていかなければ誰も待ってくれていなかった。
そこでまた気付かされた。
私はすでにグループからはずされていたと。
その日から私は一人になった。
舞子はクラスの中心で誰からも愛される存在だったから
誰も舞子を、グループを責める人はいなかった。
きっと私が悪者になっているはずだ。
そんな噂を耳にしたこともたくさんあったし、
みんなの目線を見れば嫌でも分かってしまった。
噂を訂正する手段も勇気もなく
ただひたすらに痛みだけを感じていた。
でも、現実は憧れてた高校生活ではなかった。
教室に溢れている笑い声がすべて私をバカにしてるような気がする。
一瞬合った目線が私を蔑むような気がする。
私はいつものように下を向き、唇を噛み締めた。
中学生の頃は楽しかったなぁ…。
決して目立つタイプではなかったが、それなりに友達もいたし、
クラス全員が仲良しだった。
運動も出来ないわけではなかったし、
勉強はクラスで上位を争うレベルだった。
それなのに…。
高校初日、自分の席につき、暇を持て余していると後ろから背中をつつかれた。
「佐倉さん、一緒にトイレいかない?」
振り返ると胸辺りまであるカールした髪を耳にかけながら微笑んでいる綺麗な女の子がいた。
「うん。一緒にいこう!」
私は多分飛びきりの笑顔だったと思う。
高校生活への不安が一気になくなった気がした。
その日から私はその女の子、杉本舞子と行動を共にするようになった。
舞子は明るく溌剌とした子でテニス部のホープとして活躍していた。
うちのクラスにはテニス部の女子が多く、舞子といるうちにいつのまにか私も巻き込まれるかのようにテニス部の子たちと行動するようになっていた。
私はより偏差値の高い大学を目標にしていたから帰宅部で、テニス部の子たちといるときはどうしても話についていけない日が増えた。
自分でもグループで浮き始めていることに少しずつ気付き始めていた。
そんなある日、舞子からLINEが入った。
「麻美、最近話題についていけてないよね?
うちらが話してることあんま分かってない感じがするんだよね!
麻美が悪い訳じゃないけど、
みんな、麻美に気を遣うのに疲れちゃったみたい!
麻美も私たちに合わせるの疲れたよね?
こういう関係はお互いに良くないから
疲れてたらグループ抜けてもいいからね!
無理しないでね!」
私はこの言葉の意味に気付かないほど鈍感ではなかった。
みんなで私が邪魔だと話し合ったこと、
舞子が私を入れた責任をとってLINEしてきたこと、
「グループ抜けてもいいからね!」という言葉は
グループを自分から抜けて欲しいということだということ、
すべてを理解して笑った。声をあげて笑った。
…そして、声を押さえて泣いた。
舞子が言う通り、正直みんなに合わせることに疲れていた。
でも、一緒に居続ければ何か変わるかもしれない。
私に気付いて話題を変えてくれるかもしれない。
そんな期待を抱き続けていた。
「駄目だったかぁ」
やっと言葉になった一言が痛かった。
次の日、私はグループを離れる決断をした。
離れざるを得なかった。
いつもはみんなに着いていく移動教室も
私から着いていかなければ誰も待ってくれていなかった。
そこでまた気付かされた。
私はすでにグループからはずされていたと。
その日から私は一人になった。
舞子はクラスの中心で誰からも愛される存在だったから
誰も舞子を、グループを責める人はいなかった。
きっと私が悪者になっているはずだ。
そんな噂を耳にしたこともたくさんあったし、
みんなの目線を見れば嫌でも分かってしまった。
噂を訂正する手段も勇気もなく
ただひたすらに痛みだけを感じていた。
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