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レオニダス獣王国編

ある日〜森の中〜再び!

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ある日~森の中~…って!どうしてこうなった!?
千尋くん絶賛迷子中!!

「ええと~ええと~うわ~ん!!どうしよう!!」



時は遡る事2時間前…。
千尋くん達一行は獣王王国手前の森まで来ておりました。

「この森を抜けると獣王王国です…こんなに早くここまで来られるとは驚きです…。」
「本当だな…元冒険者としては、ちょっと虚しくなるな…通常ここまでは馬車でひと月以上掛かるのだが…」
「はい…こんな楽な旅…初めてです…そして、旅の最中の食事がこんな豪華なのも初めてです!」
「美味しいです~幸せです~!付いて来て良かったです~!」

はい、現在ピクニック状態でお昼を食べています!
本日のお昼はロコモコ丼!そして、スープはコンソメスープ!食後のデザートはイチゴのパイでございます!
ご飯の上にシャキシャキしたレタスにハンバーグと目玉焼き、ソーセージも付けて上からデミグラスソースを掛けてます。

「やっぱハンバーグ最高~!!」
「卵の黄身がトロ~が最高アル!」
「外で食べるのも悪くないのじゃ!」
「本当にね~キャンプって良いよね!おかわりは?」
『欲しい!!』
「たーんと召し上がれ!!」

何気に全員でおかわりして、まったりホッコリとしておりました。

「はぁ~お腹いっぱいになった~」
「ちょっと食べ過ぎたアル…」
「幸せだ~!」
「まあ、今日はここで泊まるか…明日には獣王王国に到着してしまうであろうし…」
「そうだな…この先に村か街があったとしても宿があるとは限らないし…白雪殿達がいれば魔物も寄って来ないしな…」
「この結界石があれば心配はない…人は馬車を出して寝ればいい…我等は本体に戻って休むゆえ余計魔物は近寄らぬであろ。」
「じゃあ晩御飯はバーベキューにしようか…あの肉があるし…。」
「「「!!!…じゅる!」」」←タイガス達は条件反射です。
「チ~ちゃん、あの肉って何の肉?」
「アースドラゴンだよ!凄く美味しいんだよ、ママ!」
「「「「!!!ドラゴン!!!」」」」
「この旅に出る前に主神様が壮行会のために解体してくれたんだ~アース様も1体やってくれたから残しておいたんだ!あとオークキングとオークジェネラルのお肉もあるからバーベキューに丁度いいし…この前のタレも作り置きがあるから!オークキングはさっきのソーセージにも使っているけど、今度のはニンニク入りソーセージにしたのが上手に出来たか試してみたいし…」
「「「じゅる…」」」
「なんだか凄すぎて…何も言えないよ、チ~ちゃん。」
「せっかく森に来てるんだし、時間もあるから森でキノコとか薬草とか採取したいな…ポーションも実け…作りたいし…。」

思わずタイガス達はジト目で千尋を見た…。

「まあ…ここは大きな魔物もいない森のようじゃし…少しなら良いであろ…」
「やった!真白!白音!行こう!!」
「「はーい!」」
「では、我等はここで大人しく休んでいるとしよう…睡蓮殿には一応周りを警戒してもらい、私とローズは衣装の整理をしよう…獣王王国に着いたら超絶可愛い姫バージョンのチ~ちゃんを獣王王国の者達に見せ付けねばならぬからの!」
「「はい!お任せ下さい!!」」
「それはいい…妾もそちらに参加する!」
「ええと…じゃあ私はもう一個の馬車で休憩します…結構帝国で魔力を使ったので、ここで充電しますよ。」
「了解!じゃあ~行って来るね!!」
「千尋気を付けてな!真白、白音も頼んだぞ!」
「「「はーい!」」」

こうして森の探索に出た僕達は、キノコや野草、珍しい薬草や、いつもの薬草を順調に採取していたんだ。

「うわ~ここ結構な穴場だよ!こんなに薬草が取れるなんて…」
「本当だな!綺麗な水の小川があるから、気持ちいいし!」
「千尋~こっちにキノコがいっぱいアル!」
「おお~凄い!肉厚な椎茸みたい!!【鑑定】…大丈夫!食べられる!取るよ~!」
「「はーい!」」
「でも、半分は残すよ!採取の鉄則!」
「「了解~!」」

こうして僕達は夢中になって採取してたんだ…そしたら…あんなに晴れていたのに急に濃い霧が立ち込み始めたんだ。

「霧が出て来た…急だな?」
「んん…なんか変アル!さっきまで聞こえてた森の音が聞こえない!!」
「本当に変だね…でも、真っ白になって来た…真白、白音直ぐに戻ろう!はう!!」
「うん!転移しよう!」
「アイ!千尋掴まって!?あれ?千尋??」
「千尋??どこ行った??」
「真白!千尋の気配が無い!!」
「な!どうしたんだ!!さっきまで居たのに!!」
「匂いもしなくなった!マズいアル!」
「千尋!!千尋~~~~!!」

真白と白音は気が付かなかった…自分達の足元で光る魔法陣があった事を…。
そして、魔法陣は千尋を何処かに転移させて消えていった。

そして、冒頭に戻る訳です。

「どうしよう…ここは何処だろう?…こういう時は動かないのが鉄則だよね…でも、霧があるって事はあの森の中だと思うし…」

そう自分に言い聞かせる様に言っていた千尋は、微かに聞こえる声に思わず振り向いた。

「何かいる?…苦しそうな声が聞こえる…」

真っ白な霧の中で聞こえて来た声に惹かれて千尋は恐る恐る歩き出した。
聞こえる声を頼りに歩き出して数分…岩壁にある大きな洞穴が見えて来ると、そこから声が聞こえて来た。
千尋は頭の中では入っちゃダメだと思っているが苦しそうな声に我慢が出来ずコッソリ岩穴の中を覗いた。
真っ暗な穴の中から苦痛を訴える声が聞こえて来た…。

「何が居るんだろ?…苦しそうな声…病気?怪我?」

暗くて奥まで見えない洞窟に千尋は入ってみることにした。
苦痛の声を無視する事が出来なかったからだ。

「暗い…ええと~こういう時は~“ライト!”」

ホワっとした光の球が右手の掌の上に出ると、千尋は洞窟の中に入って行った。
洞窟の中は結構広く森の中を流れていた小さな小川と同じ様な綺麗な水の川が流れていて光に照らされた洞窟の中は鍾乳洞の様になっていて幻想的な光景が広がっていた。

「ふわ~~綺麗…」

そんな洞窟の中を聞こえては途切れ、途切れては聞こえる声に導かれ千尋は洞窟の中を進んで行った。
そして、ゴツゴツした岩を登り小さな川に沿って進む事数十分…ライト無しでも明るい広い場所に辿り着いた!
そこには大きな白銀色の狼が前足を黒い大きな梁で打ち付けられ、その首には黒い禍々しい首輪が嵌められ、その首輪からは黒い鎖が、その梁に繋がれていた!
両前足からは血が滲んでいて…そしてグッタリしていた。

「な!酷い…。」

その無惨な光景に千尋は思わず声が出てしまった!
その声に反応して大きな狼は金色に光る目を開けて唸り声を上げた!

『グルルルルルルル…何をしに来た!人間!!』
「!!話せるの?…じゃあ、君は魔物!?狼じゃないの?」
『我はフェンリル!狼と一緒にするな!』
「フェンリル…ええと、魔物辞典!」

フェンリル…巨大な灰色狼。最強の魔獣の一角で最強の土魔法、風魔法が使える。

「凄い…強い魔獣なんだ…その強い魔獣がなんでこんな所に繋がれているの?」
『それは…』
「それは?」
『そなたには関係無い!さっさと出て行け!!』
「でも…痛そう…何か悪い事したから捕まってるの?」
『悪い事などしていない!我はこの森で生きていただけだ!なのに…いきなり魔人族の者が、いきなり攻撃して来て…変な魔法陣を使って我をここに閉じ込めた!』
「魔人族…?」
『ああ…金色の目をしていたから…魔人族だろう…これからの計画に邪魔になるとか言っていた…この大きな杭は我の魔力を吸い上げる…そしてこの首輪のせいで動けない…』

千尋は鑑定をした。
フェンリルの両前足を磷付ている黒い杭は禍々しい呪いが付与してあり、そして首輪は隷属の首輪だった。

「隷属の首輪!!」
『隷属…そうか…ならば人間、我を殺してくれぬか?礼は我の毛皮などをギルドという所に持って行けば、それなりの金額になるはずだ…誇りあるフェンリルである我が身が魔人族に隷属されるなど我慢出来ぬ!…それくらいならば死んだ方がマシだ!』

そう言って悲しい顔をしたフェンリルに千尋は心を動かされた!

「どいつもこいつも死ぬ死ぬ言いやがって…許さん!!」
『へ?』
「簡単に死ぬとか言うな!!そんな簡単に命を蔑ろにするな!!命はたったひとつなんだよ!そのたったひとつの命を自分が大事にしなくてどうする!!許さないから!絶対ダメだから!」
『…でも、どちらにしても我の命はそう長くは無いであろう…こうして魔力が吸い上げられていけば、その内死んでしまうのだ…ずっと苦しむくらいなら…楽になりたいと思って何が悪いのだ…』
「うん…その気持ちは僕にはよく分かるよ…でもね、生きていなきゃ分からない事もあるよ!それに!こんな事した魔人族には天誅しなきゃ!悔しいでしょ!!」
『く…悔しい!!…だが、どうやってこれを外すのだ?…この手の物は光魔法でもなければ外す事など出来ぬのだぞ…光魔法しかも極大を使える者など、もうこの世界にはいない…』
「ふふふ…僕を舐めないでよね!今!その鎖を全て外してやる!!」
『!?』

千尋は自分の中にある大きな光を解放した!

【光魔法極大!エクストラライトフローラ!】

大いなる光の華が洞窟の中を金色の光で埋め尽くした!
フェンリルを繋いでいた全ての呪縛を消し去り、そして穴が空いていた両前足や身体中にあった全ての傷も綺麗に癒して光は収まっていった。

『おお!鎖が!傷が!!消えてしまった!!我は!自由だ!!』
「エヘヘ…良かった!!」




続く!



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