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第4話
そんなこんなで数日後。
「はーい二番テーブル様、ご注文の品をお届けに参りました!」
「はーい待たされました。お詫びにこの後のデートを注文致し、がっ!?」
「はーい当店ではそのようなサービスは行っておりませんので、とっとと食べて帰ってくださーい!」
やはり住み込みのバイトといったら客商売だろう。
飲食店なら、若い女の子もすぐに雇ってもらえる。
ここのマスターは女性という事もあって、快くオーケーが出た。
ここは王都の二番街にあるミルクホール。
学校が集まった地区という事もあってか、メイン層は学生だ。
だからか、偶にこんな猿の小僧も現れるわけで。
そういった場合は、マスターから好きにやり返していいと許可も貰っている。
どういうわけか、何度も来るんだよね。何か痛い目にあったら気が済むんだろうか?
でも、そんな生活にもすっかり慣れてしまった自分の順応性の高さにびっくり。私ってば意外とどこでもやっていけるんじゃないだろうか?さすがにそれは言い過ぎか。
でも確かなことは一つだけ、この生活結構悪くない。むしろいい。
お嬢様としての振る舞いも慣れていたというだけで自分でも気づかないうちに重荷になっていたのかもしれない。やっぱり街娘の娘だな私。
自分の場所を自分で開拓していく。これはやりがいだ。
「うん、今の私かっこいい!」
「独り言もほどほどにして、これ六番テーブルまでお願い」
「あ、はーい!」
そう、今の私はかっこいいウェイトレス。エレガントにウェイトするのだ。
思えば私も十九歳。
学園を卒業した後そのまま名門貴族に嫁入りするかと思ったら、まさかこういうことになるとは!
人生というのは、とんとわからないもので予定こそ狂いはしたが自分だけで一から人生設計を立て直すというのはなかなか新鮮な感覚だ。
趣味で磨き上げた魔法の腕で一旗あげようとも考えはしたが、今はこのウエイトレスという仕事もはっきり言って悪くない。
まぁ、これからどうするかはゆっくりと考えていけばいいさ。とりあえずの手に職は手に入れた訳なんだから。
どうせ焦ってあれこれやったって失敗するだけだって。こういうのは経験上のんびりとやるぐらいが丁度いいのさ。
「はーい。六番テーブル様ご注文のサンドイッチセットをお持ちしました!」
うーん、やっぱりかっこいいじゃないか私。
お昼休み言っても昼ちょっと過ぎ。
ピークが過ぎてお客もいなかった店内において、お腹のペコペコになった私に賄い料理がご褒美だ。
「わーい、チーズバーガー! 疲れた体にガツンと一撃」
かぶりつこうものなら、間違いなく顎が外れるような巨大なチーズバーガーがお皿の上に乗っかっている。当然、このままじゃ食べられない。
そこで活躍するのがこのナイフ捌き。見よ、お嬢様育ちの迷いのない一刀。
いやぁ、惚れ惚れしちゃうなぁ。我ながら芸は身を助くってね!
「いやあ意外に綺麗な食事マナーだ」
「嫌だなぁマスター、冗談ばっかり言って。見た目通りの間違いでしょ?」
「ははは!」
笑ってごまかしたな。
ここのマスターの女亭主はいい意味で容赦がなかった。
私が元貴族の箱入り娘だってのに、お構いなく雑用から料理の手伝いまでやらせるやらせる。
おかげでくよくよしている暇なんてないったらない、元々ないんだけれど。
しっかし、このマスターの気風というか、なんというか。とにかく私とマッチしていて働いていて気持ちがいい。
まずいなー、このままじゃ離れられなくなっちゃう。それでもいいかなぁ? いやいや足るを知るってね。今はチャレンジの時だ。
「あ~美味しい。駄目になるぅ」
街に飛び出し初めてハンバーガーを食べた時から、こういった類いの料理にすっかりハマりこんでしまった。
……やっぱり暫くはここで働きましょうそうしましょう。
「はーい二番テーブル様、ご注文の品をお届けに参りました!」
「はーい待たされました。お詫びにこの後のデートを注文致し、がっ!?」
「はーい当店ではそのようなサービスは行っておりませんので、とっとと食べて帰ってくださーい!」
やはり住み込みのバイトといったら客商売だろう。
飲食店なら、若い女の子もすぐに雇ってもらえる。
ここのマスターは女性という事もあって、快くオーケーが出た。
ここは王都の二番街にあるミルクホール。
学校が集まった地区という事もあってか、メイン層は学生だ。
だからか、偶にこんな猿の小僧も現れるわけで。
そういった場合は、マスターから好きにやり返していいと許可も貰っている。
どういうわけか、何度も来るんだよね。何か痛い目にあったら気が済むんだろうか?
でも、そんな生活にもすっかり慣れてしまった自分の順応性の高さにびっくり。私ってば意外とどこでもやっていけるんじゃないだろうか?さすがにそれは言い過ぎか。
でも確かなことは一つだけ、この生活結構悪くない。むしろいい。
お嬢様としての振る舞いも慣れていたというだけで自分でも気づかないうちに重荷になっていたのかもしれない。やっぱり街娘の娘だな私。
自分の場所を自分で開拓していく。これはやりがいだ。
「うん、今の私かっこいい!」
「独り言もほどほどにして、これ六番テーブルまでお願い」
「あ、はーい!」
そう、今の私はかっこいいウェイトレス。エレガントにウェイトするのだ。
思えば私も十九歳。
学園を卒業した後そのまま名門貴族に嫁入りするかと思ったら、まさかこういうことになるとは!
人生というのは、とんとわからないもので予定こそ狂いはしたが自分だけで一から人生設計を立て直すというのはなかなか新鮮な感覚だ。
趣味で磨き上げた魔法の腕で一旗あげようとも考えはしたが、今はこのウエイトレスという仕事もはっきり言って悪くない。
まぁ、これからどうするかはゆっくりと考えていけばいいさ。とりあえずの手に職は手に入れた訳なんだから。
どうせ焦ってあれこれやったって失敗するだけだって。こういうのは経験上のんびりとやるぐらいが丁度いいのさ。
「はーい。六番テーブル様ご注文のサンドイッチセットをお持ちしました!」
うーん、やっぱりかっこいいじゃないか私。
お昼休み言っても昼ちょっと過ぎ。
ピークが過ぎてお客もいなかった店内において、お腹のペコペコになった私に賄い料理がご褒美だ。
「わーい、チーズバーガー! 疲れた体にガツンと一撃」
かぶりつこうものなら、間違いなく顎が外れるような巨大なチーズバーガーがお皿の上に乗っかっている。当然、このままじゃ食べられない。
そこで活躍するのがこのナイフ捌き。見よ、お嬢様育ちの迷いのない一刀。
いやぁ、惚れ惚れしちゃうなぁ。我ながら芸は身を助くってね!
「いやあ意外に綺麗な食事マナーだ」
「嫌だなぁマスター、冗談ばっかり言って。見た目通りの間違いでしょ?」
「ははは!」
笑ってごまかしたな。
ここのマスターの女亭主はいい意味で容赦がなかった。
私が元貴族の箱入り娘だってのに、お構いなく雑用から料理の手伝いまでやらせるやらせる。
おかげでくよくよしている暇なんてないったらない、元々ないんだけれど。
しっかし、このマスターの気風というか、なんというか。とにかく私とマッチしていて働いていて気持ちがいい。
まずいなー、このままじゃ離れられなくなっちゃう。それでもいいかなぁ? いやいや足るを知るってね。今はチャレンジの時だ。
「あ~美味しい。駄目になるぅ」
街に飛び出し初めてハンバーガーを食べた時から、こういった類いの料理にすっかりハマりこんでしまった。
……やっぱり暫くはここで働きましょうそうしましょう。
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