出来損ないのポンコツ令嬢は、王子様に目を付けられても今まで通りに過ごしたいようです

こまの ととと

文字の大きさ
1 / 11

第1話

しおりを挟む
「ええ皆々様。紳士淑女の学友方。今宵は我が学園の伝統ある舞踏会に参加いただきありがとうございます。僭越ながらわたくし、ロモラッドが代表して音頭を取らせて頂きます。……今日はオールナイトだ! 朝までエンジョイしようぜ!!」

「「「イエーイ!!!」」」

「ヘイ、ノって行こうぜ!! 吹奏楽部、ミュージックスタート!!」

「「「「イェーーイ!!!!」」」」

 今日は年に数回の我が学園の舞踏会。教師連中の支配が及ばない学生の独壇場だ。
 飲めや騒げやのどんちゃん騒ぎ。まあ未成年だから全員アルコールは飲めないんだけどね。

 それはおいといて、今日の為に密かに練習していたマンドリンの腕を披露する絶好のチャンスだ。
 見よ、私のこの華麗なマンドリングテクニック!! 吹奏楽部と奏でるハーモニーを!!

「イエェェイ!! 私の演奏に一晩中酔わせてやるぜぇ!!」

「お待ちなさい!!」

 なぜかこの騒がしい会場に透き通るように響いた女の声。
 全員でそちらを見ると高そうなドレスをお嬢様が一人。と、後ろに従者。

 はてて? あれは誰だ?

 同じステージに立っていた隣の生徒会長に話しかけて、彼女の正体を尋ねた。

「あんな人いたっけ? 何かいかにもなお嬢様と言いますか、高飛車そうなご令嬢は?」

「あ、う~ん…………。そうだ思い出した! 彼女はコッテンパー家のご令嬢で、今度うちの学園に転入してくるんじゃなかったか」

 ああ、あの公爵家の! でも一つ疑問がある。

「はえ~、なんでまた今の時期に? もう夏休み入っちゃうよ」

「そのあたりの事情は知らないよ。真面目そうに見えて意外と前の学校でブイブイいわせてたとか?」

「ほえ~、確かに気の強そうな顔はしてるけど。裏じゃ公爵の御父上も手を焼くはねっ返りって訳だ。きっとお嬢様口調だって表向きで、裏じゃ五千人の舎弟に向かってオラオラ言ってるんだ!」

「そんな人に入って来られてもね、やっていけるかな? 親の権力と強面の部下をけしかけて生徒会を裏で操ろうとか考えてるんじゃないだろうか?」

「マジ? ということは、そのうちクーデターを起こして学園長を亡き者に……」

「ちょっとそこ、聞こえてますわよ!? 勝手なことをおっしゃらないでくださいまし!!」

 やっべ、聞こえてしまったみたいだ。声は通る上に耳まで良いなんて、これは厄介だぜ。

「ええっと、それで一体何の用件でございましょうかお嬢様? 見ての通り今夜はささやかながら舞踏会などをしておりまして」

「この騒ぎの何処が舞踏会ですか! 精錬された品性などまるで見当たりませんわ!! それに何ですのさっきまでの演奏は?! やたらと耳に刺さって、貴族の好む優雅さとは無縁極まりませんわ!!」

 と言われても、実質若者のダンスパーティーにクラシックなんか流せるわけないじゃん。

「そう……ですか。そこまで貴族的にまずいもんですかね?」

「当たり前ですわ。このような品性の無い催しなど、到底舞踏会などとは呼べません。祖先よりの貴き一族たる我々はこのようなものなど受け入れてなりませんの。お分かり?」

「ええ、はあ、うん……そうですね。お分かりですお分かり、あ~お分かりですのん」

「ふざけていらっしゃいますの? 思うところがあるのならハッキリと言いなさい!」

「いえ別に……伝統を重んじると言えば聞こえはいいけど、結局のところ新しいものを受け入れられない生きた化石みたいな価値観だなんてそんな……」

「なんですって!!?」

 あら? どうやら怒らせてしまったみたいだ。
 そんなつもり無かったんだけどなぁ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

処理中です...