出来損ないのポンコツ令嬢は、王子様に目を付けられても今まで通りに過ごしたいようです

こまの ととと

文字の大きさ
2 / 11

第2話

しおりを挟む
 大体、今ここにいる人間は堅苦しい貴族生活から一時でも開放されたいと思ってるような、子息の出来損ないの集まりなんだけれど。もちろん私を含めて。

 そう、ここは貴族の通う学園と言っても、貴族の三男坊だか四男坊だかが半ば厄介払いで押し込められるような落ちこぼれの学校だ。
 そんな学校だから教師の目は厳しいし、学園の畑からスイカの一玉でもちょこっとチョロまかそうとしたら厳しいお叱りを受けるような、そんな場所なのだ。
 しかし、私は諦めない。ここで引き下がってはマンドリン奏者(初めて一週間)の名折れだ。

「へへへ、冗談ですよお嬢様。まあそうかっかなさらず……いやしかしほんと真っ赤っかなお顔ですな。何をそこまで怒っているのか知りませんが、どうです? 吹奏楽部の演奏に合わせて一晩中貴族としての説法など解いてみては?」

「あ、貴女は……!! 貴族としてのあり方とはこのような場で易々と語るものではありません! もう我慢出来ませんわ!! その性根を叩き直してご覧に入れます。お互いの従者同士で決闘と行きましょう。……プランセート」

 誰? と一瞬思ったがその声に反応して後ろにいた従者が前に出た。
 あ、こちらのイケメンさんがプラさんね。

「お初にお目にかかりますお嬢さん。私、こちらのルーゼルスお嬢様の付き人をさせていただいておりますプランセートという者。以後お見知りおきを」

 そのイケメンさんは私に挨拶をすると綺麗に腰を曲げて頭を下げた。
 これはこちらもきちんと答えないと、私も令嬢の端くれとして名折れだ。

「あ、どうも。私はロモラッド・ド・レモレッドです。そちらのお嬢様にはいつもいつもお世話になっておりまして」

「我々は初対面のはずですが?」

「もはや初対面とは思えない程、仲良くなる見込みがあるということでここは一つ。どうです? 当学園が誇る料理研究会の作った食事など頂きながら今後の学園生活についての話でも」

「結構ですわ。こちらのプランセートと貴女の従者で、貴族の伝統に乗っ取った決闘を行っていただきます。貴女も一流の貴族足らんとするならば、この決闘を断るなどできないはずですわ」

 一流って言われても、家は三流貴族の家系なんだけど。
 それとも、午前様で酔っ払って帰ってきた父ちゃんを引っ叩く母ちゃんみたいのを一流と言うんだろうか? あの人、一応隣国の王家のいとこだから。
 ……いや無いな。それに従者って言われてもね……。

「すいません、私の従者は今郷里に帰ってまして。呼び寄せるとなると数日掛かりますが?」

「……ぅ。うんん!! であれば仕方がありません、この場はわたくしの勝利として貴女を手始めとしてこの学校の人間に正しい貴族意識というものを植え付けて差し上げますわ」

 うえ~やめてくれよぉ。チラッと周りを見渡すと私と同じことをみんな考えていたのか全員嫌な顔してる。
 ……仕方がない、ここは一丁ひと肌脱ぐとしよう。

「まあ従者はいませんけどね、ここは私自身が決闘に応じるということで。それでよございませんかね?」

 私がそう言うと、二人は顔を突き合わせて話し合いを始めた。

「お嬢様、この場合はどうでしょうか? 流石に貴族の子息と決闘をする事など……」

「いえ、いっそここは引き受けるべきですわ」

「お嬢様!? しかしそれは……」

「この貴族の何たるかを軽んじる者どもに、真の在り方を示す為には、いっその事分かりやすい力を見せる必要があるのやもしれません。あなたがやりすぎないように手加減をすれば問題無いでしょう」

「……分かりました、お嬢様の仰せのままに。……ではロモラッド嬢、申し訳ありませんがわたくしと剣を交えていただきます」

「はいわかりました。……ヘイ! というわけで今宵のプログラムに決闘が組み込まれたぜ! みんなも是非楽しんでいってくれよな?!」

「「「イエイイエーイ!!!」」」

「だから一体何なんですのこのふざけたノリは!!?」

「お嬢様落ち着いてください!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

悪役令嬢を断罪したくせに、今さら溺愛とか都合が良すぎますわ!

nacat
恋愛
侯爵令嬢リディアは、無実の罪で婚約者の王太子に断罪された。 冷笑を浮かべ、すべてを捨てて国外へ去った彼女が、数年後、驚くべき姿で帰ってくる。 誰もが羨む天才魔導師として──。 今さら後悔する王太子、ざまぁを噛みしめる貴族令嬢たち。 そして、リディアをひそかに守ってきた公爵の青年が、ようやく想いを告げる時が来た。 これは、不当な断罪を受けた少女が、自分の誇りと愛を取り戻す溺愛系ロマンス。 すべての「裏切られた少女」たちに捧ぐ、痛快で甘く切ない逆転劇。

処理中です...