異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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*ジャイロ目線になります。


今までに俺は、独り身で充分だと思っていた。
周りの女性達は俺が好きでは無く、騎士団長・爵位を目当てに近づいているのが丸わかりだったんだ。
こんな女性ばかりだから、俺は結婚を諦めていた。結婚するなら本当に好きな人としたい。
友人達も次々、相手が出来て幸せそうだ。
親も早く結婚しろとうるさい。

俺の休みを狙って、強引にお見合いを入れてきたが顔も何も知らない女性と結婚なんて・・・プルプル。絶対に嫌だ。
だから、俺は逃げるようにダンジョンの調査と偽り逃げてきた。
そうすれば相手の女性は怒って、女性から断りを入れると考えたからだ。
ふっふっふ、俺って天才だな。
ーーーっと折角ダンジョンに来たから入って見るか。




うん。異常無いな、このぐらい時間を潰せば充分だろ。
よし!帰るかーーーっ?!
なんだ!!?この雄叫びは!!あっちからだ!!

妬ましく響き渡る雄叫びに、一気に血の気が下がる。この辺で魔物の情報は無い。もし、危険な魔物なら直ぐに調べなくては。走りながら、最悪の事を考えて行くと雄叫びの正体が見えてきた。

近くまで行くと、その圧倒的な圧力に足がプルプル震えてしまう。気合いで踏ん張り、状況を観察すると魔物はフェンリル だと気づく。

ーーーっっフェンリル か!?どうする!俺では太刀打ち出来る相手では無い。様子を見て、上に報告するか。

茂みに隠れながら様子を見ていると、人影がチラリと見えた。
誰か襲われていると、身を乗り出すとフェンリル の前に人が居るのが分かった。慌てたジャイロは、助ける為に手に持っていた矢をフェンリル に向けて放つ。

倒せるとは思っていないが、こちらに気を取られている間に逃げられるようにと考えたのだ。
だが、作戦は失敗。フェンリル はジャイロに気付いていた様で放った矢を歯で受け止めてバリバリと噛み砕いた。

凄いな、などと感心していたがまだ人がいる。
続いて矢を放つと急にフェンリル の前に飛び出して来たのだ!危ない!と思ったが既に矢は放たれた後。やってしまったと後悔していたら、俺の心配を他所にフェンリル がバリボリと砕いていた。

ホッと胸を撫で下ろす。「大丈夫かーーー」俺の問いを言う前にその人は俺を睨みつけてきた。慌てて、「襲われていると思った」などと説明したら納得してくれた。
どうやら、フェンリル が獣魔になったと言うがーーーそんな話聞いたことも無い。

改めて、その人を見ると・・・美しい。
俺は一目で恋に落ちた。もう、フェンリル より女性しか目に入って来ない。まさに、女神降臨とはこの事だと思う。

この辺では見ない、肌の白さに黒い眼。長い茶色?所々に金色や黒い部分がある。初めて見た色合いだ、何より1番目立つ胸。
身長も私の胸ぐらいだから、160センチぐらいか?顔も小さいのに胸がでかっっって!タオル!タオルが落ちて丸見えになっている!!うん。立派だ。目の保養だなーーーージックリ見てしまう。
はっ!誰か通ったりしたら見られてしまう!また、タオルが落ちたら危ない!俺のマントを取り、急いで渡す。

マントを受け取ると顔を赤くして、誤魔化している。可愛い。
何て可愛い生き物なんだ!!!心の中で叫ぶが、にこやかにやり過ごす。

女性とあまり話した事が無いから、気の利いた事を言えない自分が憎い。とりあえず、街まで案内する事になった。まだ恥ずかしさが残り耳が赤くなってるのが良い。可愛い。

何度もチラチラと見てしまうのは、しょうがないだろ。だって、可愛いんだ。
あっ!名前と相手がいるのか聞かないと、自然に~自然に聞くんだ、そう考えていたら先に名乗られてしまった。
そうか、つばきと言うんだな。ん?相手がいるか、言わなかったぞ?はっはーん、恥ずかしいんだな!では、俺から言わないとな!

ーーーーーあれ?反応無いな?聞こえて無かったのかな?
よし、もう一度聞くぞ~~・・・・・あっれぇー?可笑しいな、スタスタ歩いて行ってしまった。
言い方が違ったかな?また、言えばいいか。絶対に俺が守る!俺の女にするぞ!!!よし!先ずは服だったな、案内に専念するジャイロ。


門を見てはしゃぐ椿に、異国から来たのかな?と感じたジャイロは後で聞こうと思い椿の生い立ちを聞かなかった。
ここからは、人が多くなる為はぐれない様にと手をさり気なく椿の前に差し出す。

ふっ、俺ってば自然に出来たぜ。自画自賛していると差し出された手を優しく握り返して来た。
意外に小さい手だなと思いながら見ると、驚愕した。


そこに居たのは、ヨボヨボのおばあちゃんだったからだ。慌てて椿を見るとサッサと前の方を歩いていた。
なんてこった!ジーザス!!

「あらあら、こんなおばあちゃんにプロポーズなんて、あたしもまだまだイケるわね~ぇ?」など、すっかりその気になっている。
一緒にいたご家族の方に必死に説明し、別れるならキスぐらいしなさい!と言われてしまう。別れるも何も、付き合ってないじゃないかと理不尽な事に対し必死に弁解する。


何とか難を逃れ、椿の後を追いかけると門番に絡まれていた。

!!俺のつばきに何してんだーー!!!っと意気込み走り出すも、野次馬達に行く手を阻まれ前に進めない。

くっそーー!俺が助けるまで待ってろーー・・・








はぁはぁはぁ
やっと、追いついた。
ーーん?つばきを触ってる奴がいる、誰だ?!俺のつばきに触りやがってーーーッヒィィ!!!何故ここに王子が居るんだ!

慌てて、姿勢を正すがジャイロに目もくれず椿を見ているシュバーツ王子に椿は自分の連れと説明するが、聞いてないようだ。

危険だ。
シュバーツ王子は、まだ相手がいない。つばきを気に入りでもしたらーーーーー。
王子に対し、危機感を感じながら後を追いかける。
そして王宮に入るのを見て、ガックリと項垂れる。だって、どの女性も王子に取り入ろうと必死だ。その王子から王宮に案内されたら、拒む理由が無いだろ?


ヤサグレながら、その場を離れる。




◇◇◇◇◇◇





仲間に誘われ、いつもの様に食事を食べに来たら驚いた!何とつばきが居たんだ!!
シュバーツ王子はどうした?とから聞きたい事があったが、ここにいるって事はまだ俺にもチャンスがある!
仲間には先に帰ってくれと話をして、つばきと相席するとエマがいた。

何故、一緒に?と疑惑の目を向けるが面白そうにしていたからスルーする事にする。


俺にもやっと!恋人が出来る!!


浮かれ気分でいるジャイロは、警戒する椿に気付いていなかった。
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