異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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はい、またまたやって来ましたよ~掃除にやって来ましたよ~

レオの屋敷の前で仁王立ちする椿。
朝は、ウルが魔法で刈った草達を1箇所にまとめる事を先にやろうとせっせと集め始めた。ボコボコとまだ残っている草も抜き、エマに借りた竹箒で綺麗にしていく。

以前は芝生だったのだろうか、見事に土が丸出しになっている庭を見て、苦笑いする。
「まぁ通れないよりはましよね」
でも、流石にこの屋敷にただ草花が無くなったただのグランドを見ると味気ない気がするがしょうがない。

ため息混じりに庭を見渡すと、ふと山積みになった草が目に入る。

「ん?キラキラしてる?」
不思議に思い近づくとキラキラしているのが妖精の羽だと分かるとまた会えた喜びに歓喜する。
「キャー!!妖精ちゃん!!」
〔わぁーびっくりー〕
〔僕たちが見えてるー?〕
〔この子といると気持ちいいーー〕
「はぁ~ん、やっぱり可愛い~」うっとり、妖精を見つめていた。すると妖精たちが椿にお礼を言い始めた。
不思議に思い。聞いて見ると庭を綺麗にしてくれたからだと言う。

〔この庭~怖くて入れなかったー〕
〔そうそうー庭が死んでたからねー〕
〔何も出来なくて困ってたー〕

妖精たちの断片的な話を纏めると、レオが怖くて近づけなく少しづつ死んでいく植物達を助ける事が出来ず困っていたと言う。
そこで、椿が庭を綺麗にしてくれてお礼が言いたいて来たと言う。

「そうだったんだね。確かにあの庭は酷かったからね、綺麗になって良かったね!」
〔お礼ーー〕
〔お礼するー〕
〔何がいいー?〕

「お礼?別にいいよ~」そう断るも妖精たちのキュルンとした目で言われたら断るに断れない。うーんと考えるとグランドになった庭を見ながら思いついた。

「それなら、この庭に新しい草花をお願い出来るかな?何も無いと寂しいからね」

〔任されたー〕
〔うん~新しい花植えるー〕
〔よーしやるぞーー〕
やる気に満ちた妖精たちに庭を任せて屋敷の中へと入る。
二階にいる雇い主、レオに挨拶するが返事がない。
まだ寝てるのかと思い、静かに一階に降り昨日の続きを始める。

床を掃き掃除して、雑巾をかける。
ゴミもまとめておきビニール袋が無い代わりに麻袋に入れていく。




◇◇◇◇◇◇



「はぁー、お腹空いた。勝手に台所使うのは気がひけるから、聞いてみよう」
お弁当を作って持っていこうとしたら、朝やって来たエマに上げてしまった(正確には奪われたんだよね)から無いんだよね。
お昼になり、レオに確認しようとノックするがまた返事がない。

トントントン「レオさん?居ますか?」

失礼します。と言いながらドアを開けると中はとても、整頓されておりとても綺麗な部屋で驚いた。
「掃除出来るんじゃない!何でやらないんだろ?レオさーん?」
部屋の中を見渡してもレオの姿が見えない。
奥にいるのかな?と一歩足を踏み入れると床が光り、椿はその光に包まれた。

「わっ!わっ!!」
ギュウッと目を瞑る。光が収まり、チラッと片目を開けると景色が変わっており、別の部屋にいた。

「ーーーーえ?どこ?」唖然と立ち尽くす。

「つばき!!つばきではないか?!」
背後から名前を呼ばれ、振り返ると 椿は怪訝な顔をする。だって、そこにいたのはあのシュバーツ王子だったのだ。
二度と会わないと思っていたのに、会ってしまった。あからさまに嫌な顔をしているが、シュバーツ王子は御構い無しに近付いてきて、片膝をつき椿の手にキスをする。
「また、会えて嬉しいよ。どうしてここにいるんだい?」
「私も分からないんですが、レオさんの屋敷にいたんですけど…」
「レオ?屋敷ーーーそれはどういう」
「お前!!何故ここにいるんだ!!!」

2人の会話に怒鳴り込んで来たのは、怒りを露わにしたレオだった。スッとシュバーツ王子が椿の前に立ち「怒鳴らないで下さい。レオ、彼女は私の知り合いです。それが何か問題でも?」
紳士らしく椿を守るシュバーツ王子にレオは苛立ちを抑えるつもりもなく、椿を罵る。

「その女は、掃除婦として俺が雇ったんだが。はっ、俺が居ない間に屋敷に忍び込んで俺の魔法陣でここに来たんだろ?はいはい、俺の依頼を受けたのは王宮に来る足掛かりにしたわけだ。シュバーツ王子、その女はズル賢いからやめておけ」
ズバズバと言うレオに、椿はイラっとする。有る事無い事言われたら気分が良くないに決まってる。

「ちょっと!黙って聞いていれば、有る事無い事言わないでくれる?!私は仕事だから屋敷にいったのよ!朝も挨拶しようと部屋を何度もノックして返事がなかったじゃない!お昼も部屋をノックしたら返事が無いから、開けたらここに勝手に来ただけよ!
シュバーツ王子も知り合いってだけで、何とも思ってないわよ!!失礼な事言わないで!まだ、仕事が残ってるしお腹も空いてるから早く元の場所に戻してくれますか!?」
早口言葉になりながらも一気に捲し立て、息が上がる。あまりの椿の迫力に2人は口をパクパクさせ押し黙ってしまった。

「ほら?!帰るから、早くしてくれる?1日は早いのよ!」
レオに戻るように急かすと、「ぁあ、」と魔方陣を展開する。
「では、シュバーツ王子。失礼します」
「あっ!待って!まだ話はーーーー終わってないのに、また逃げられてしまった。つばき、私は諦めないからね」
あっと言う間に帰ってしまった椿に、密かに恋心を抱くシュバーツ王子だった。




屋敷に戻ると、先程取り乱した事を後悔する椿。
(どうしよ~やっちゃった、もー!私の馬鹿!馬鹿!クビになったら、また仕事探さないと)心配になりレオを見ると先程までとは違い、黙っている。

「あの、先程は失礼な事を言いまして申し訳ございません。ーーーーやはり、私はクビでしょうか?」
不安になり聞いて見ると意外にもまだ居ていいと言われた。
パァーッと顔が笑顔になる。

「ありがとうございます!期日まで頑張ります!!」
部屋を出る時にお腹がなり、台所を使ってもいいか聞きに来た事を思い出す。

「お昼を作るのに、台所を使ってもいいでしょうか?」
オズオズと聞くと「構わない」と許可を貰いルンルン気分で台所に向かう。
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