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「ーーー如何なさいましたか?」
「いや」
「ーーーどのようなご用向きでしょうか?」
「別に」
「何か御用ですか?」
「気にするな」
ずっと、この質問をしていて返事も同じ。つい、威圧的な対応になってしまう。
ーー何故こうなった?雑巾で床を拭きながら考える。
確か、屋敷に戻ってきて。台所の許可を得たから、お腹の空いた私が簡単に野菜炒めを作ったのよね。
テーブルに並べて いざ、食べようとしたら無言でレオが目の前の椅子に座ったから「一緒に食べますか?」「いらない」「では、いただきます」って、一人で食べたけど。あれがいけなかったのかな?いらないって言っても少しはあげた方が良かったのかな?
その後も片付けた時や別の部屋を掃除している時も、邪魔なくらいずっと居るのよね。
えっ?何?監視?監視されてるの??
ーーー私が手を抜いてないか、見ているって事ね。そっちがその気なら、やってやろうじゃない。ピッカピカにしてあげるわ!!
って、レオをいないものとして掃除してたけど・・・さすがにここまでくると無言の重圧が怖くなってきたゎ。
「あの、如何なさいましたか?」
「いや」
ーーーーーえっ?用事が無いの?何もないのかーい!!じゃぁ、何でいるんだ!邪魔!
って言いたいけど、フルフル。余計な事は、口にしないのが1番。
あと少し、夕刻の合図で鐘が鳴るからそれまで我慢。
無言で見ているレオに対し、黙々と掃除をする椿。
沈黙が過ぎていく中、ゴーーンっと鐘の音が響き渡った。
「(よし、これで帰れる)では、今日はここまでにします。お先に失礼します」
手に持った雑巾を、台所に戻してからレオに挨拶すると「あぁ」と素っ気ない返事が返ってきた。
罵られていたから、静かでなんだか気味が悪いわね。
そんな事を考えながら玄関を開けるとフワリと花の香りが漂ってきた。
「う~ん、お花の香りがするーーーっていつの間に!」
椿は驚愕した。朝はグランドそのものだった庭が何処ぞの庭園ですか?ってビックリするぐらい生まれ変わっていたのだ。
これには、後ろにいたレオも驚いて身を乗り出した。
「ーーーこれは、お前がやったのか?」
「私が出来るわけないでしょ?」
「なら、誰が?」
「それはーーー多分」妖精です。って言うより先に、妖精たちがやってきた。
〔見てみて~〕
〔頑張ったーー〕
〔僕たちじゃないけどねー〕
「あなた達!ありがとう!素敵な庭になったよ、ん?あなた達じゃないの?誰がやったの?」
妖精たちが一斉に指を向けた先には、銀髪の長髪で眉間に皺を寄せた男性が立っていた。
「誰?」思わず聞いた椿に、妖精たちは口々に話し出す。
〔王様だよー〕
〔僕たちの王様ー〕
〔いまだに相手がいないー〕
ーーー最後の言葉は聞かなかった事にしよう。
って、王様?僕たちの王様?
「妖精の王ーーーっ」
「妖精王か!!?何故ここに妖精王がいるんだ!」ハハッと歓喜の声でレオが妖精王に近づく。どうやら、レオも妖精たちが見えて・聞こえていたようだ。
「お初にお目にかかります。私は王宮魔導師のレオ・ダビッツと申します。本日は我が屋敷に足を運んで頂き光栄に思います。」
コロッと態度を変えるレオにドン引きする。
ん?魔導師?レオが?へぇ~っと意外な職業に驚く。
礼儀正しく挨拶するが、妖精王はレオに興味が無いのか顔も合わせず スタスタと椿の方に歩き出す。
〔其方か?神の癒し子は、子供達が騒ぐわけだ。確かに其方からは心地良いのが伝わる。〕
椿の髪を長い指先で触れ、匂いを嗅ぎ その温かい空気・気持ちがトロけるような甘さに妖精王は顔を歪める。
さすが、妖精王と言われるだけあってイケメン。その整った顔立ちに空が写り込んだような青い瞳で見られてると思うと恥ずかしくなる。
押し黙っていると、甘く耳元で囁かれた。
〔気に入った。我の伴侶になってくれるか?〕
急な申し出に椿はえっ?と聞き返してしまった。妖精王はクックと笑いながら椿を包み込むともう一度囁く。
〔我の伴侶になってくれ。其方の様な人をずっと探し求めていたのだ〕
ギュウッと抱き締められ、椿は急いで逃れようとするが身動きが取れない。初対面で求婚されても、はい。と返事が出来る訳が無い。
「ちょっ、ちょっと待ってください!とりあえず、落ち着いて!離してください!」
〔これはすまなかった。〕
抱きしめていた腕を緩め、椿は離れたが名残惜しそうにピッタリとくっついている。
(近い!近いわ!!急に抱きしめるとか怖!えっと、何て断ろう)
最近、イケメンを見過ぎだせいかキラキラ男子に見慣れてしまいあまり心が揺らがなくなった。
妖精王と結婚など恐れ多く無理。っと言うよりも考えられない。
確かに妖精は可愛い、見ているだけで癒されるが無理な物は無理。
「有り難い申し出で嬉しく思いますが、私には荷が重すぎます。ごめんなさい。」
断る椿だが、そんな事は関係ないとばかりにまた抱き締めようとする妖精王に椿はサッと離れた。
キョトンと訳が分からず妖精王は驚いた顔をしていたら、
〔ロイ様!こんな所で遊んでないで帰りますよ!やる事は沢山ありますから!〕
緑の髪の高校生?ぐらいかな?妖精王をグイグイ引っ張って連れて行ってしまった。
〔我の伴侶も一緒にーーー〕
〔ダメです!伴侶よりも先にやる事をやって下さい。ーー見ていましたよ?断られてたじゃないですか、脈無しです。帰りますよ〕
スーーッと空に飛ぶと姿が消えていった。安堵の息をもらし、椿は帰ろうとするとガシッとレオに腕を掴まれた。
「お前は一体何者なんだ?」
「いや」
「ーーーどのようなご用向きでしょうか?」
「別に」
「何か御用ですか?」
「気にするな」
ずっと、この質問をしていて返事も同じ。つい、威圧的な対応になってしまう。
ーー何故こうなった?雑巾で床を拭きながら考える。
確か、屋敷に戻ってきて。台所の許可を得たから、お腹の空いた私が簡単に野菜炒めを作ったのよね。
テーブルに並べて いざ、食べようとしたら無言でレオが目の前の椅子に座ったから「一緒に食べますか?」「いらない」「では、いただきます」って、一人で食べたけど。あれがいけなかったのかな?いらないって言っても少しはあげた方が良かったのかな?
その後も片付けた時や別の部屋を掃除している時も、邪魔なくらいずっと居るのよね。
えっ?何?監視?監視されてるの??
ーーー私が手を抜いてないか、見ているって事ね。そっちがその気なら、やってやろうじゃない。ピッカピカにしてあげるわ!!
って、レオをいないものとして掃除してたけど・・・さすがにここまでくると無言の重圧が怖くなってきたゎ。
「あの、如何なさいましたか?」
「いや」
ーーーーーえっ?用事が無いの?何もないのかーい!!じゃぁ、何でいるんだ!邪魔!
って言いたいけど、フルフル。余計な事は、口にしないのが1番。
あと少し、夕刻の合図で鐘が鳴るからそれまで我慢。
無言で見ているレオに対し、黙々と掃除をする椿。
沈黙が過ぎていく中、ゴーーンっと鐘の音が響き渡った。
「(よし、これで帰れる)では、今日はここまでにします。お先に失礼します」
手に持った雑巾を、台所に戻してからレオに挨拶すると「あぁ」と素っ気ない返事が返ってきた。
罵られていたから、静かでなんだか気味が悪いわね。
そんな事を考えながら玄関を開けるとフワリと花の香りが漂ってきた。
「う~ん、お花の香りがするーーーっていつの間に!」
椿は驚愕した。朝はグランドそのものだった庭が何処ぞの庭園ですか?ってビックリするぐらい生まれ変わっていたのだ。
これには、後ろにいたレオも驚いて身を乗り出した。
「ーーーこれは、お前がやったのか?」
「私が出来るわけないでしょ?」
「なら、誰が?」
「それはーーー多分」妖精です。って言うより先に、妖精たちがやってきた。
〔見てみて~〕
〔頑張ったーー〕
〔僕たちじゃないけどねー〕
「あなた達!ありがとう!素敵な庭になったよ、ん?あなた達じゃないの?誰がやったの?」
妖精たちが一斉に指を向けた先には、銀髪の長髪で眉間に皺を寄せた男性が立っていた。
「誰?」思わず聞いた椿に、妖精たちは口々に話し出す。
〔王様だよー〕
〔僕たちの王様ー〕
〔いまだに相手がいないー〕
ーーー最後の言葉は聞かなかった事にしよう。
って、王様?僕たちの王様?
「妖精の王ーーーっ」
「妖精王か!!?何故ここに妖精王がいるんだ!」ハハッと歓喜の声でレオが妖精王に近づく。どうやら、レオも妖精たちが見えて・聞こえていたようだ。
「お初にお目にかかります。私は王宮魔導師のレオ・ダビッツと申します。本日は我が屋敷に足を運んで頂き光栄に思います。」
コロッと態度を変えるレオにドン引きする。
ん?魔導師?レオが?へぇ~っと意外な職業に驚く。
礼儀正しく挨拶するが、妖精王はレオに興味が無いのか顔も合わせず スタスタと椿の方に歩き出す。
〔其方か?神の癒し子は、子供達が騒ぐわけだ。確かに其方からは心地良いのが伝わる。〕
椿の髪を長い指先で触れ、匂いを嗅ぎ その温かい空気・気持ちがトロけるような甘さに妖精王は顔を歪める。
さすが、妖精王と言われるだけあってイケメン。その整った顔立ちに空が写り込んだような青い瞳で見られてると思うと恥ずかしくなる。
押し黙っていると、甘く耳元で囁かれた。
〔気に入った。我の伴侶になってくれるか?〕
急な申し出に椿はえっ?と聞き返してしまった。妖精王はクックと笑いながら椿を包み込むともう一度囁く。
〔我の伴侶になってくれ。其方の様な人をずっと探し求めていたのだ〕
ギュウッと抱き締められ、椿は急いで逃れようとするが身動きが取れない。初対面で求婚されても、はい。と返事が出来る訳が無い。
「ちょっ、ちょっと待ってください!とりあえず、落ち着いて!離してください!」
〔これはすまなかった。〕
抱きしめていた腕を緩め、椿は離れたが名残惜しそうにピッタリとくっついている。
(近い!近いわ!!急に抱きしめるとか怖!えっと、何て断ろう)
最近、イケメンを見過ぎだせいかキラキラ男子に見慣れてしまいあまり心が揺らがなくなった。
妖精王と結婚など恐れ多く無理。っと言うよりも考えられない。
確かに妖精は可愛い、見ているだけで癒されるが無理な物は無理。
「有り難い申し出で嬉しく思いますが、私には荷が重すぎます。ごめんなさい。」
断る椿だが、そんな事は関係ないとばかりにまた抱き締めようとする妖精王に椿はサッと離れた。
キョトンと訳が分からず妖精王は驚いた顔をしていたら、
〔ロイ様!こんな所で遊んでないで帰りますよ!やる事は沢山ありますから!〕
緑の髪の高校生?ぐらいかな?妖精王をグイグイ引っ張って連れて行ってしまった。
〔我の伴侶も一緒にーーー〕
〔ダメです!伴侶よりも先にやる事をやって下さい。ーー見ていましたよ?断られてたじゃないですか、脈無しです。帰りますよ〕
スーーッと空に飛ぶと姿が消えていった。安堵の息をもらし、椿は帰ろうとするとガシッとレオに腕を掴まれた。
「お前は一体何者なんだ?」
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