異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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なんやかんやありまして。
無事に北の森へやって来ました。
目の前には遺跡跡があり、その入り口が地下へと続いていると言われた。これが、発見されたダンジョン。


入り口付近で野営の準備をする。私のハウスも無限空間から取り出して設置する。
いつ見ても不思議、だって。他の人のテントより一回り大きい白いテントが椿の目の前にあるのだ。これは、あの家だ。なぜ見た目が変わったのかと言うと、ハウスがレベルアップして外見を変えられる様になったと、鑑定で見た。はい、また勝手に発動しましたよ。

【鑑定 : 椿の家。恥じらう椿の気持ちに応え、自力でレベルアップした。その為、外見を変える事が出来る様になった。密かに椿の相手が出来るのではと考え、いつでも使える様に空き部屋を良い雰囲気に作り変えた】

はーい、見なかった。私は何も見ていない。
外見が変わったのは嬉しいが最後のは意味が分からない。
この男の人達を見て言ってるの?やだやだ。
呆れながら椿はハウスを後にし、皆が集まっている方へ行く。

「これから、隊を3班に分ける。1班が先にダンジョンに潜り、交代で2班。3班は野営を守る。これをローテンションで行う!気を引き締めてやるぞ!!」
騎士団長が説明しているのを聞き、「はい!」と威勢よく返事をしている。

椿とエマは、担当の場所に行くと数名の騎士が食事の準備をしている。時刻はもうすぐお昼、椿も準備に加わると仲良くなった騎士のロバートが「下拵えはしておいたよ」と話しかけられた。

初日に作った騎士のご飯は、一言で言うとうっっっすい味付けだった。それも質素な料理。
話を聞くと、これが普通だと言う。野営でする料理は限られており、どうしても同じ食材に同じ味付けになってしまうとか。
そこで、ロバートと話し合い。献立表を作ることにした。

まず、食材の確認と人数。
食材は豊富だったので心配なさそうだ 、人数は椿とエマを合わせて28人。
1班・2班・3班が各8人。
炊事係が1人(各班から1人交代で行う)。
シュバーツ王子・エマ・椿。
の振り分けになっている。ダンジョンに潜り、早く調査をするには丁度良いのだと言うがよく分からない。

はじめの担当になったロバートは、まだ若くダンジョンの経験があまり無い事から最初の炊事係になったと言う。

今日のメニューは、ポトフ・チヂミ・サラダ・バナッペのパウンドケーキ。ダンジョンに入る人達には先に作って置いたお弁当を渡す。保温機能が付いた三段のお弁当だ。これは、元々あったお弁当箱にエマが付与してくれたのだ。
意外な能力に驚きつつ、後でどうやったのか聞こうと考えている。

パウンドケーキは夜の内に作って置いたので切るだけ。
野営に慣れているだけあり、ロバートは次々に食材を切り鍋に入れていく。
椿もチヂミ様に切ってくれたのをフライパンで焼いて行く。本当は台所でやりたいが、ハウスの中を見られたく無いので我慢して、カマドを使い薄めに焼いていく。
エマはテーブルの準備をしたり、食器を用意したりしてくれていた。

黙々と作業をする3人の所にシュバーツがやってきた。
「つばき、ここには慣れたかい?疲れていない?」
「大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」

そう言うと、何かあれば言ってね?と話し騎士達の方へ行ってしまった。
シュバーツは一人一人に声をかけているようで、毎日顔を出しにやってくる。
北の森に着くまで、椿の事を気に掛けてくれて優しい一面に騎士達が慕うのも頷けると納得した。



食事の時間になる頃には、ポトフとチヂミの匂いが漂い出し 自然と皆集まってくる。
出来上がった料理から並べて行くと、席に座った人達から食べ始め、あっという間に完食してしまう。
大量に作った料理も次々に平らげてしまい、慌ただしく食事の時間が過ぎていく。
大鍋が空っぽになる頃には、全員に行き渡り終わった合図だ。
先に取り分けてあった料理を出し、椿達も食事にする。

片付けをして、一息つき夕飯の準備に取り掛かる。夜は、明日のお弁当の準備をするので多めに作る必要がある。
無限空間に入れておけば、朝渡しても大丈夫。保温機能が付いていても、なるべくなら作りたてがいいしね。


夕飯も終わり、ハウスに戻る頃には9時を回っていた。
さて、お風呂に入ってゆっくり寝ようかな~なんて思っていたらハウスの外からエマが呼んでいるのが聞こえた。
「どうかしましたか?」
「ちょっと、中に入るわよ。」
真剣な表情で、ズカズカ入るエマに椿は首を傾げる。

「何かありました?」
「あんたね!約束忘れたの!?」
「へっ?約束ーーーあっ!!」
思い出した。ビール飲み放題って言っていたんだっけ、エマも言ってこないからすっかり忘れていたよ。

「ごめーん!すっかり忘れてた」
「あーのーねーー、私がここにいるのはそれがあるからよ!忘れないで頂戴!」
「ごめんってば!あっ!エマ~お風呂に入りなよ~ずっと体を拭くだけだったでしょ?サッパリしたらビールがもっと美味しいよ~」
プンプン怒るエマを風呂場に連れて行くと目をまん丸しながら絶句した。
猫足のバスタブに見惚れているエマに、石鹸の説明をしてタオルはここだよと話して椿はドアを閉める。

パタン
(これで、機嫌が直るかな?よし、おつまみも簡単に作ろう)
急いで台所に戻り、簡単にキノコをバター醤油で味付けをして枝豆擬きのエダッキーを茹でる。
バターと醤油は見つからなかったので創り出した。

盛り付けて、テーブルに並べると湯上りのエマがやって来た。
上機嫌でニコニしながら、タオルで髪を拭いている。換えの洋服は椿が貸したナイトドレスを着ていた。

「あーー!サッパリ!!こんな良いお風呂に入ったの初めてよ~石鹸も贅沢なの使ってるなんて思ったけど、これはハマるわね」
サラサラになった髪を触りながらクンクン匂いを嗅いでいる。
先程までの怒った顔は無くなり、ご機嫌だ。

テーブルに置いてある、ビールとおつまみで更にご機嫌になったのは言うまでも無い。
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