異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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「本当にありがとう!!!」
王子から、何度も何度もお礼を言われた。
周りの騎士達にも、言われなんだか照れる。

その日は、傷の手当てをして終わった。
途中、戻って来た騎士がウルを見つけて叫んでいたが説明すると すんごい顔で見られたよ。
こんなに可愛いウルなのに、失礼しちゃう。


夜はゆっくり休んで、明日 今後の予定を立てるみたいだけど。私は関係ないな~ふぁ~~疲れた。
何だか、体がダルいし眠い……ウルのふわふわが暖かいーー・・・
椿はハウスに戻ると、ウルにもたれながら寝息を立てている。
外はまだ、警戒している騎士達でざわついていた。


ーーーーチリ~ン・・・
どこかで、鈴の音が聞こえる。
だが、既に眠っている椿には聞こえるはずがなかった。










◇◇◇







《つばき様、つばき様》
ウルに起こされ、目を覚ますと椿は驚いた。
確か、ハウスで寝ていたはず・・・だが、ここは違う。
辺り一面白い空間。テーブルと椅子があるだけで、何も無い。

一瞬、夢を見ているのかと思ったがーーーこの場所を知っている。椿は顔を険しくする。


「あれ~?おねいさん、また来たの?」
聞き覚えのある声の方を振り向くと、思ったとおり。少年が不思議そうに首をコテンッとしながら考え込んでいる。

「ーーー私は、また死んだの?」
「へっ?死んで無いよ~っていうより、前回も言ったけど死んで無いからね?それよりも、何でまたいるの~?僕、招いてないけど?」
おかしいな~?と話しかけてくる少年に自分が何故ここにいるのか分からない椿は、冷静に話しかける。


「私だって、分からないよ。さっきまで、ハウスで寝てて起きたらここにいたんだから。」
「ふ~ん?まぁ、いいや。ーーーあれ?おねいさん、魔力が枯渇してるけど・・・ぁあ、なるほど。そういう事か」
ははっと笑い出す少年に意味が分からないと椿は首をかしげる。

「フェン!状況を説明してくれる?」
《はい、アルテミス様。》
椿の背後に控えていたウルが少年に呼びかけられ、前へ出てきた。

頭を下げるウルの鼻に少年は手を触れる。
「うんうん。なるほどね~、そっかそっかーーーうん。分かった、下がっていいよ」
《はい。》


「おねいさん。大変な事をしちゃったね~無くなった腕を創り出すって事は自然の法則を覆しちゃったんだよ?しかも、相手が王子とか、マズイでしょ。そのせいで、おねいさんの魔力が枯渇してーーー死ぬところだったね。」

「ーーーーえっ?」
死ぬ?どうして?魔力が枯渇って、魔力が無くなると死ぬの?

突然言われ頭が真っ白になる。


「普通は、休めば魔力は回復するんだけど。おねいさんは、元々魔力を持っていなかったんだよ?だから、おねいさんのエネルギーを魔力として使えるようにしたんだけど・・・急に大量の魔力を使い切ったから、体に負担がかかってーーーだから、ここに寄越したんだな。ーーーまったく、自分の所にすればいいのに」ボソってつぶやくが、今の状況に頭が追いついていない椿はうんうんと考えこんでいた。


「まぁ、少し休んで行きなよ。そうすれば、元に戻るよ~」
「ーーもしかして、体が怠くて眠かったのはそのせい?」
「そうだよ~体に負担がかかっている証拠。危なかったんだからね?次からは気をつけないと。ーーって言うよりもやっちゃダメだからね?」
「もうやらないよ!人を助けて、自分が危険になるなんて…知らなかったからーーーーー」
でも、助けられるなら助けたい…

押し黙る椿に少年は、ニヤニヤしながら「それよりも、おねいさん~僕の星はどう?凄いでしょ~!」
ドヤ顔で褒めて!っと言わんばかりにふんぞり返る姿に呆れながら「どこがよ、変な風習を作ったから!私は大変なんだからね!!」
「へっ?変な風習?」
キョトンとする少年に椿は今までの事を話した。
「ーーーーーで、なんで独身とか言わないとダメなの!?必要ないでしょ!」
話しているうちに、沸々と怒りが込み上げてしまい つい、声が大きくなってしまう。

あーそれかぁ~と納得した少年は、あっけらかんとしており。
逆になぜ、それで怒っているのか分からないと言ったようである。
「だって、僕はアルテミスだよ?僕の事知ってる?」
「アルテミス?って、確かーー月の女神?」
「そうだよ~」
「えっ!?女神だったの??少年じゃん!男の子じゃん!!」

「へっ?そこ?ははっ!おねいさんって面白いね!っよっと、」
ケラケラ笑う少年がクルッと1回転すると、可愛らしい美少女が立っていた。
ぽかーんと開いた口が塞がらず、パクパクさせていると
「こっちが本当の姿だよ!でもこの姿だと、他の神に言い寄られて大変なんだよ~だって、未婚の神だから。特定の男神・配偶者になれないんだよね~だから、自分の作った星ぐらい好きな相手と暮らせるようにしたいでしょ?」
はぁ~っと、ため息交じりで話され。少年…じゃなかった、女神様も色々大変なんだな、と思う椿であった。

「僕の話はこれくらいで。よっと、やっぱりこの姿の方が落ちつくな。おねいさんはどうするの?また、あの場所に戻る?」
「そのつもりだけど、なんで?」

「うーん、治療師って怪我を直す人を呼ぶんだけど。今ね~腕を創り出したっていう事が広まってるよ。戻ったら凄い事になるね。」
「えっ、それは勘弁して欲しいけど。あっ!女神様がみんなの記憶を消したり出来ないの?」
「それはダメだよ!神が干渉したら、マズイに決まってるんだからね!僕は何もしないの!」
チッダメだったか、舌打ちするも自分の後始末だから。きちんとけじめを付けないといけないと思い、椿は戻る事にした。

女神に挨拶すると、元の場所に戻してもらった。

外はすっかり、日が昇りガヤガヤしている声が聞こえる。
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