異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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この世界に来て、何で私がって思っていたけど。
今回の事で私のやるべき事が分かった。

私にしか治せない病気がまだあるなら、私が治す。
エマに言ったら絶対反対すると思うから言わない。それに、私はエマの事が・・・好きになってる?

窓から入る風がエマの髪をなびかせる。素敵な人。
女でも男でも、私の事を考えてくれてるーーーサラの時は、何で他の女にベタベタ触らしてるの?って苛立ったけど。エマに関心が無いのが分かった。

女性に対して、関心が無いなら私も・・・?
そう、思ったけど違った。
あの時の言葉。
「私がつばきちゃん以外を気にするわけない」そう言ったけど、それは私を好きって事?それにあのキスーーー

エマ、私の事が好きならはっきり気持ちを伝えて。じゃないと、私ーーーまた、辛い思いをしたくないよ・・・




移動する馬車の中で、1人モヤモヤと考えていた。自分から言う事が出来ず、顔が自然と強張ってしまう。
足元にはウルがウトウトしていた。

向かい側に座るエマは、窓の外を見ておりつばきの顔が強張っているのに気付くと先程のサラの事かと思い、椿に安心させるように優しく話しかけた。
「大丈夫よ。何も心配要らないわよ~こんなに離れたし、もう会う事はないでしょ?」
「ーーーうん」
「まったく、心配性なんだから。ほら」
そういうと椿の隣に座り、ギュッと自分の胸の音を椿にきかせる。

「ドキドキしてるのが分かる?私だって驚いたわよ、まさか声で食い付いてくるなんて思わなかったからね。あそこまでいくと異常よね。つばきちゃんに何かあったらって、内心ドキドキしてたのよ?」
「エマが?」
「当たり前でしょ?あなたを心配するに決まってるじょない」
その言葉に椿はバッとエマの顔を見る。
優しくニッコリ微笑まれ、1人モヤモヤしてたのが嘘のように晴れやかになる。エマが私の心配をしてくれてる。それは、私が好きって事でいいよね?

「エマは、私の事をーーーっ」
そう言いかけた時、馬車が物凄いスピードで止まった。その拍子に椅子から落ちてしまったが、ウルがクッションになり怪我はしなかった。
「何!?どうしたの?」
「ーーーつばきは、そのまま姿勢を低くしてて。」
急に男言葉になりドキンとするが、何かあったのかはエマの険しい顔で分かる。

「何かあった?」小声で話すと「しっ!」と静かにする様に言われてしまった。
〔武器を持った人間に囲まれた様です。盗賊かもしれません〕
ウルが耳元で教えてくれた。
(盗賊?うそ!何でこんな所に?怖い怖い!!)

盗賊と聞き、微かに震える手でウルにギュッと掴んでしまう。
冷静なエマは、「大丈夫。私が守るわ」椿の頭を撫でながら、馬車の窓から顔を出すと10人程だろうか?馬に乗りながら馬車の周りをグルグルとしていた。

「ヒュ~イケてる女が乗ってるぜ~」
「金目の物と一緒に俺たちと楽しい事をしようぜ~」
「この黒い馬も珍しいから高く売れそうだ」

盗賊たちは、物色しながら何やら話をしている。
下品に笑う男たちに、エマは冷静に人数を数えている。
「1、2・・・9.10。全部で10人ね。あなた達と遊んでいる時間は無いわ。束縛せよ、パライス!」
エマが人差し指を盗賊達に向けると、ドタバタッと馬から落ちて動かなくなった。

「こんな物かしら。さっ、出発するわよ」
エマの合図で馬車が動き出すと、椿は何が起きたのか窓の外を見る。盗賊達は馬から落ちて、痺れて動けなくなっていた。

「エマのーー魔法?」
「あら?初めてみたの?あれぐらい基本よ基本。あんなお馬鹿達には丁度いいでしょ」
「あのままで大丈夫なの?」
「半刻もすれば解けるわよ。気にしなくて大丈夫」

そう言うエマは、椿が作ったサンドイッチを食べ始めた。
「もうすぐ、街に着くわよ~本当、速い馬がいると移動が楽ね~」と呑気に話している。
(もし、エマが居なかったら私は今頃ーーー)考えただけで、体が震える。


「あっ!見えてきたわよ~マホラバ!この国は良いわよ~何たって、暖かいしシーグルがあるのよ?是非行きましょう~」
嬉しそうに話すエマ。シーグルって何だろ?そう思いながらもニコニコするエマの顔を見ると楽しそうにしているので、言いづらかった。

門に入るまでの審査に時間がかかってしまった。
並んでいる人が多く、中々列が進まなかったのだ。

辺りが暗くなった頃にやっと、中に入る事が出来た。
「ぅわあー!常夏の国みたい~凄い」
程よく暖かく、街も活気に溢れていた。街並みは煉瓦造りで目移りしてしまう。
「ほら、ハウスを出す場所を決めましょ?」
「えっ?宿に泊まるんじゃないの?」
「この国は、別名・商人の国とも呼ばれているのよ~しばらく滞在して稼がないとね!だから、宿じゃなくてハウスを持っていればみんな土地を借りて過ごすのよ。その方が安上がりだしね」

エマに説明されて、土地を探すと色々なハウスが並ぶ一角に空いてる場所があった。
その場所に行くと、木の札が立っておりエマがギルドカードをかざすと空いている場所が緑色に光り出した。

「これで、私が借りた事になるわ。帰るときに、またギルドカードを触れたら料金がギルドに請求されるから。その時に支払いをするのよ」
「いくらぐらいなの?」
「ここに、書いてあるわよ~さっ、ハウスを出して今日は休みましょ~」

エマに催促され、鞄からハウスを出すと前とは少し違ったハウスが出てきた。入口の隣に馬屋が付いていたのだ。

「また、新しくなってる。どんな仕組みになってるんだろ…」
椿が不思議に思いながらもエマが自分の家の様に中に入っていくので、1人苦笑しながらも家の中に入る。




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