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このお話は何年も前の話だと話すユナに、椿は真剣に聞いていた。
その姿にニコリと優しく微笑み、続きを話してくれた。
「ザイル王が子供の時に、王権争いがあったんです。その時にザイル王の父君・前王が暗殺されてしまい、悲しんだ王妃様も…後を追って亡くなりました。小さいながらに王となったザイル王は、この時から笑顔が無くなりました。幼いのに表情を出さない様に仕事をこなす姿は見ていて辛かったです。」
目をウルっとさせたが、ハンカチで拭いながら話を続けるユナにもらい泣きしてしまう。
「まだ子供なのに、遊びたい。甘えたい。子供らしい感情は1つも出さないでザイル王は国の為にと職務をこなしていました。そんなある日、夢の中で運命の相手を見つけた。そう私に教えてくれたんですよ?不思議でしょ?」
「運命の相手?」
ユナが不意に放った言葉を聞き返してしまう。
「そうです。運命の相手がザイル王に会いにきてくれた。そう教えてくれました。なんでも、自分と同じぐらいの女の子が夢に出てきて一緒に遊んだり話をしたそうです。」
とても嬉しそうに話しているユナを見ていると、こちらまで嬉しくなってしまう。だけど、いくら夢であったからと言ってもそれが運命の相手なのか分からない。聞いてみると、訳を教えてくれた。
「ザイル王は、小さい頃から魔力が強くて…その力を認められて王に選ばれたんです。とても、苦しんでいたんでしょう。その苦しみから解放されたくて、無意識に自分を助けてくれる存在を探していたんだと思います。それが、奥様。あなたをみつけたんですよ。あなたは、ザイル王に無くてはならない存在なんです。」
「・・・え?」
「夢の中で見つけた奥様に会う為に約束をしたと言っていましたが、その後に夢で会えなくなったようで…」
そう言ったユナは真っ直ぐ椿を見つめる。
その目は何かを伝えたいようだったが、黙ってしまった。
「何があったの?私、夢であった覚えが無いんだけど。」
話を聞いてもピンと来なく、椿は間違えでは無いか?と疑ってしまった。
「奥様、覚えていないんですね。無理もありません、奥様は1度亡くなっているんです。」
「・・・・は?亡くなってるって、えっ?意味が分からないんだけど。」
「ザイル王が夢であった方は、病気でお亡くなりになっていたんです。悲しんだザイル王は魂が生まれ変わるのを待ち、奥様を探していました。やっと見つけた時には、別の星に生まれており呼び寄せる為にと魔法陣を作りましたが時空の歪みでこちらまで連れて来られなかった様で…何度か様子を見に行っていた様ですが、空間移動は流石のザイル王でも魔力の消費が多く日にちを開けなくてはいけなかったようです。」
急に生まれ変わりと言われても頭の整理がつかないでいた。
(生まれる前の話をされても覚えていないのは仕方ない。だって、生まれた時の事だって分からないのに、あなたの前世はこうでしたって言われて・はいそうです。って素直に言えないよね?)
1人悶々と考えていたら、トントンっとノックの音が聞こえてきた。
「はい、どうぞ。」
ユナが扉を開けると、ザイルが立っていた。
ドア越しに話が聞こえていた様で、何も覚えていない椿に悲しい目を向けた。
ユナがそのまま部屋を出てしまい、ザイルが中に入ってくると座っている椿の隣に腰掛ける。
「ユナから聞いたんだね。・・・何も覚えてない?」
確認するように優しく話しかけるが、椿は首を横に振りながら「はい」と答えると静かに「そうか…」と話す。
沈黙が続く中、ふと気になる事があったのでザイルに聞く事にした。
「あの…私が生まれ変わりって言う保証は何ですか?もしかしたら、間違いかもーー」
「それはない。間違いなくつばきだよ。」
きっぱり話すザイルは、熱い眼差しを椿に向ける。
「僕は、長い事君を待ったんだ。君に会いにいった時は既に亡くなっていて…魂を探したら、つばきを見つけた。呼び寄せるまでに時間がかかってごめんよ。アルが僕と離れた場所に置いてしまったから、すまなかった」
謝罪しながらもギュッと抱きしめられ、椿は話を聞いた後なので複雑な気持ちになる。
ザイルが見ているのは私ではなく、前世の私。
そんなの、なんか嫌だ。
チリーン
また、鈴の音が聞こえてきた。
「これーーーこの鈴の音、聞いた事があるような…?」
「鈴?あぁ、これか。これは前の君の形見なんだ。」
腰に付けていた白い色の丸い鈴を見せてくれた。
少し色あせていたが、チリーンと音色は透き通っており耳に心地よい。
「綺麗な音ですね。」
素直に感想を言うと「うん。これを付けていると安心するんだよ」大切にしている。と話すザイルは優しい目をしていた。
不思議な空気が流れていた。
ザイルは椿の事を前世の思い出として見ている気がして、視線を逸らしてしまう。
(私が必要って、そう言う事だったの…)
一言で表すなら複雑な気持ち。この世界に無理やり連れて来られたのは、私だけど私ではない。そう思ってしまう。
黙っている椿にザイルは、散歩に行こう。と誘ってくれた。
とても、優しく。熱い眼差しを向けられても…それは、私に対してではない?私と前世の私を重ねて見てるの?
昔のお話や生い立ちを聞き、椿は帰りたい気持ちよりザイルの心が知りたいと揺れ動いていた。
この揺れ動いた気持ちは、話を聞いて椿の魂がそうさせているのか分からないでいた。
「ところで、長い間待ったってーー今何歳なんですか?」
話の途中気になった事を質問する。ザイルはどう見ても同じ年にしか見えないからだ。
「僕達、天上人は長命なんだ。その中でも僕は魔力が他より多いと聞いたね?」
コクリと頷く椿に、「僕はこの姿で成長を止めているんだ」衝撃的な言葉を聞き、椿は目を見開いた。
「つばきに会う為にこの姿で待っていたんだ」
その姿にニコリと優しく微笑み、続きを話してくれた。
「ザイル王が子供の時に、王権争いがあったんです。その時にザイル王の父君・前王が暗殺されてしまい、悲しんだ王妃様も…後を追って亡くなりました。小さいながらに王となったザイル王は、この時から笑顔が無くなりました。幼いのに表情を出さない様に仕事をこなす姿は見ていて辛かったです。」
目をウルっとさせたが、ハンカチで拭いながら話を続けるユナにもらい泣きしてしまう。
「まだ子供なのに、遊びたい。甘えたい。子供らしい感情は1つも出さないでザイル王は国の為にと職務をこなしていました。そんなある日、夢の中で運命の相手を見つけた。そう私に教えてくれたんですよ?不思議でしょ?」
「運命の相手?」
ユナが不意に放った言葉を聞き返してしまう。
「そうです。運命の相手がザイル王に会いにきてくれた。そう教えてくれました。なんでも、自分と同じぐらいの女の子が夢に出てきて一緒に遊んだり話をしたそうです。」
とても嬉しそうに話しているユナを見ていると、こちらまで嬉しくなってしまう。だけど、いくら夢であったからと言ってもそれが運命の相手なのか分からない。聞いてみると、訳を教えてくれた。
「ザイル王は、小さい頃から魔力が強くて…その力を認められて王に選ばれたんです。とても、苦しんでいたんでしょう。その苦しみから解放されたくて、無意識に自分を助けてくれる存在を探していたんだと思います。それが、奥様。あなたをみつけたんですよ。あなたは、ザイル王に無くてはならない存在なんです。」
「・・・え?」
「夢の中で見つけた奥様に会う為に約束をしたと言っていましたが、その後に夢で会えなくなったようで…」
そう言ったユナは真っ直ぐ椿を見つめる。
その目は何かを伝えたいようだったが、黙ってしまった。
「何があったの?私、夢であった覚えが無いんだけど。」
話を聞いてもピンと来なく、椿は間違えでは無いか?と疑ってしまった。
「奥様、覚えていないんですね。無理もありません、奥様は1度亡くなっているんです。」
「・・・・は?亡くなってるって、えっ?意味が分からないんだけど。」
「ザイル王が夢であった方は、病気でお亡くなりになっていたんです。悲しんだザイル王は魂が生まれ変わるのを待ち、奥様を探していました。やっと見つけた時には、別の星に生まれており呼び寄せる為にと魔法陣を作りましたが時空の歪みでこちらまで連れて来られなかった様で…何度か様子を見に行っていた様ですが、空間移動は流石のザイル王でも魔力の消費が多く日にちを開けなくてはいけなかったようです。」
急に生まれ変わりと言われても頭の整理がつかないでいた。
(生まれる前の話をされても覚えていないのは仕方ない。だって、生まれた時の事だって分からないのに、あなたの前世はこうでしたって言われて・はいそうです。って素直に言えないよね?)
1人悶々と考えていたら、トントンっとノックの音が聞こえてきた。
「はい、どうぞ。」
ユナが扉を開けると、ザイルが立っていた。
ドア越しに話が聞こえていた様で、何も覚えていない椿に悲しい目を向けた。
ユナがそのまま部屋を出てしまい、ザイルが中に入ってくると座っている椿の隣に腰掛ける。
「ユナから聞いたんだね。・・・何も覚えてない?」
確認するように優しく話しかけるが、椿は首を横に振りながら「はい」と答えると静かに「そうか…」と話す。
沈黙が続く中、ふと気になる事があったのでザイルに聞く事にした。
「あの…私が生まれ変わりって言う保証は何ですか?もしかしたら、間違いかもーー」
「それはない。間違いなくつばきだよ。」
きっぱり話すザイルは、熱い眼差しを椿に向ける。
「僕は、長い事君を待ったんだ。君に会いにいった時は既に亡くなっていて…魂を探したら、つばきを見つけた。呼び寄せるまでに時間がかかってごめんよ。アルが僕と離れた場所に置いてしまったから、すまなかった」
謝罪しながらもギュッと抱きしめられ、椿は話を聞いた後なので複雑な気持ちになる。
ザイルが見ているのは私ではなく、前世の私。
そんなの、なんか嫌だ。
チリーン
また、鈴の音が聞こえてきた。
「これーーーこの鈴の音、聞いた事があるような…?」
「鈴?あぁ、これか。これは前の君の形見なんだ。」
腰に付けていた白い色の丸い鈴を見せてくれた。
少し色あせていたが、チリーンと音色は透き通っており耳に心地よい。
「綺麗な音ですね。」
素直に感想を言うと「うん。これを付けていると安心するんだよ」大切にしている。と話すザイルは優しい目をしていた。
不思議な空気が流れていた。
ザイルは椿の事を前世の思い出として見ている気がして、視線を逸らしてしまう。
(私が必要って、そう言う事だったの…)
一言で表すなら複雑な気持ち。この世界に無理やり連れて来られたのは、私だけど私ではない。そう思ってしまう。
黙っている椿にザイルは、散歩に行こう。と誘ってくれた。
とても、優しく。熱い眼差しを向けられても…それは、私に対してではない?私と前世の私を重ねて見てるの?
昔のお話や生い立ちを聞き、椿は帰りたい気持ちよりザイルの心が知りたいと揺れ動いていた。
この揺れ動いた気持ちは、話を聞いて椿の魂がそうさせているのか分からないでいた。
「ところで、長い間待ったってーー今何歳なんですか?」
話の途中気になった事を質問する。ザイルはどう見ても同じ年にしか見えないからだ。
「僕達、天上人は長命なんだ。その中でも僕は魔力が他より多いと聞いたね?」
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「つばきに会う為にこの姿で待っていたんだ」
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