異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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窓辺から差し込む朝日が眩しく目が覚める。隣には愛おしい人が寝ている。
「おはよぅ」

髪に触れながら挨拶をしても「ん~」と眠そうにモゾモゾ動く姿は可愛くてギュッとしてしまいたくなる。
昨日のつばきは可愛くて堪らなかった。布団から見える柔らかい肌にまたかぶりつきたくなる。
「…ぉはょぅ」
まだ眠そうな瞼をコシコシしながら目覚める姿に思わず抱きしめてしまった。
「んもぅ!可愛い!!」
「うわ!エマっっ苦しっ」
「あら、ごめんなさい~あまりにも可愛くてついね♡」
エマがチュッとキスをしながらウインクする。
朝から甘く囁きかけるエマにドキッとしながらも、出掛ける準備を始める。ふと鏡に写る自分の姿が目に入った。
所々に赤くキスマークがあり、昨日の事を思い出してしまった。
鏡の前で1人悶絶しているとエマが「どうかしたの?」と声をかけてきたが「なっなんでもない!!」と誤魔化してしまった。


そんな椿にエマは微笑ましく見つめていた。どうやらお見通しの様だ。






馬車から入る海の匂いが日本の海を感じさせる。
なんだからひどく懐かしく思い、自然と涙が出てきてしまう。
エマに気付かれない様に涙を拭い窓枠に顔を近づけながら思いっきり息を吸い込む。ガラガラと馬車の揺れを感じていた時、それは突然やってきた。

バシュンッ

椿目掛けて、矢が飛んで来たのだ。
頬をかすめた矢はビーーンっと馬車内の壁に突き刺さり揺れていた。
一瞬何が起きたのか分からず固まる椿を素早く守ったのはウル。
グァウルルと威嚇をしながら外を警戒する。

乗り合わせの馬車内は緊張が走った。
4人乗りの小さい馬車は、椿とエマに商人夫婦。
突然の襲撃と突如現れたウルに震えていた。

「つばき!血がっっ大丈夫?!」
「エマーー何が起きたの?」
「分からない。それよりもこっちへ!」

椿の頬から流れる血を止血しながら、壁側へ座らせる。
馬車の周りには怪しい人影があったが主人に怪我をさせられ、キレたウルが既に辺りを血の海にしていた。
1人を除いて。

〔つばき様。この者はどうしますか?見知った顔なので、事情を聞きますか?それとも噛み殺してよろしいでしょうか?〕

ウルの冷ややかな声に椿は、振り向いた。
それは、嫌な記憶を蘇らせる人物だったのだ。



「……」
無言で立ち尽くす椿を睨む人物。

「…サラ」

そこに立っていたのは、ボロボロの身なりで目を血走らせながらギョロリと凄まじい殺気を放つサラがいたのだ。

変わり果てた姿だったが、あの顔は忘れもしない。

「どうして…ここに?」

戸惑う椿を他所にサラは手に持った剣を椿目掛けて飛びかかってきたのだ。


「やっと見ヅケタァぁああ!!!」
怒鳴り散らし、不気味に笑いながらーーー
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