78 / 83
78
しおりを挟む
窓辺から差し込む朝日が眩しく目が覚める。隣には愛おしい人が寝ている。
「おはよぅ」
髪に触れながら挨拶をしても「ん~」と眠そうにモゾモゾ動く姿は可愛くてギュッとしてしまいたくなる。
昨日のつばきは可愛くて堪らなかった。布団から見える柔らかい肌にまたかぶりつきたくなる。
「…ぉはょぅ」
まだ眠そうな瞼をコシコシしながら目覚める姿に思わず抱きしめてしまった。
「んもぅ!可愛い!!」
「うわ!エマっっ苦しっ」
「あら、ごめんなさい~あまりにも可愛くてついね♡」
エマがチュッとキスをしながらウインクする。
朝から甘く囁きかけるエマにドキッとしながらも、出掛ける準備を始める。ふと鏡に写る自分の姿が目に入った。
所々に赤くキスマークがあり、昨日の事を思い出してしまった。
鏡の前で1人悶絶しているとエマが「どうかしたの?」と声をかけてきたが「なっなんでもない!!」と誤魔化してしまった。
そんな椿にエマは微笑ましく見つめていた。どうやらお見通しの様だ。
◇
馬車から入る海の匂いが日本の海を感じさせる。
なんだからひどく懐かしく思い、自然と涙が出てきてしまう。
エマに気付かれない様に涙を拭い窓枠に顔を近づけながら思いっきり息を吸い込む。ガラガラと馬車の揺れを感じていた時、それは突然やってきた。
バシュンッ
椿目掛けて、矢が飛んで来たのだ。
頬をかすめた矢はビーーンっと馬車内の壁に突き刺さり揺れていた。
一瞬何が起きたのか分からず固まる椿を素早く守ったのはウル。
グァウルルと威嚇をしながら外を警戒する。
乗り合わせの馬車内は緊張が走った。
4人乗りの小さい馬車は、椿とエマに商人夫婦。
突然の襲撃と突如現れたウルに震えていた。
「つばき!血がっっ大丈夫?!」
「エマーー何が起きたの?」
「分からない。それよりもこっちへ!」
椿の頬から流れる血を止血しながら、壁側へ座らせる。
馬車の周りには怪しい人影があったが主人に怪我をさせられ、キレたウルが既に辺りを血の海にしていた。
1人を除いて。
〔つばき様。この者はどうしますか?見知った顔なので、事情を聞きますか?それとも噛み殺してよろしいでしょうか?〕
ウルの冷ややかな声に椿は、振り向いた。
それは、嫌な記憶を蘇らせる人物だったのだ。
「……」
無言で立ち尽くす椿を睨む人物。
「…サラ」
そこに立っていたのは、ボロボロの身なりで目を血走らせながらギョロリと凄まじい殺気を放つサラがいたのだ。
変わり果てた姿だったが、あの顔は忘れもしない。
「どうして…ここに?」
戸惑う椿を他所にサラは手に持った剣を椿目掛けて飛びかかってきたのだ。
「やっと見ヅケタァぁああ!!!」
怒鳴り散らし、不気味に笑いながらーーー
「おはよぅ」
髪に触れながら挨拶をしても「ん~」と眠そうにモゾモゾ動く姿は可愛くてギュッとしてしまいたくなる。
昨日のつばきは可愛くて堪らなかった。布団から見える柔らかい肌にまたかぶりつきたくなる。
「…ぉはょぅ」
まだ眠そうな瞼をコシコシしながら目覚める姿に思わず抱きしめてしまった。
「んもぅ!可愛い!!」
「うわ!エマっっ苦しっ」
「あら、ごめんなさい~あまりにも可愛くてついね♡」
エマがチュッとキスをしながらウインクする。
朝から甘く囁きかけるエマにドキッとしながらも、出掛ける準備を始める。ふと鏡に写る自分の姿が目に入った。
所々に赤くキスマークがあり、昨日の事を思い出してしまった。
鏡の前で1人悶絶しているとエマが「どうかしたの?」と声をかけてきたが「なっなんでもない!!」と誤魔化してしまった。
そんな椿にエマは微笑ましく見つめていた。どうやらお見通しの様だ。
◇
馬車から入る海の匂いが日本の海を感じさせる。
なんだからひどく懐かしく思い、自然と涙が出てきてしまう。
エマに気付かれない様に涙を拭い窓枠に顔を近づけながら思いっきり息を吸い込む。ガラガラと馬車の揺れを感じていた時、それは突然やってきた。
バシュンッ
椿目掛けて、矢が飛んで来たのだ。
頬をかすめた矢はビーーンっと馬車内の壁に突き刺さり揺れていた。
一瞬何が起きたのか分からず固まる椿を素早く守ったのはウル。
グァウルルと威嚇をしながら外を警戒する。
乗り合わせの馬車内は緊張が走った。
4人乗りの小さい馬車は、椿とエマに商人夫婦。
突然の襲撃と突如現れたウルに震えていた。
「つばき!血がっっ大丈夫?!」
「エマーー何が起きたの?」
「分からない。それよりもこっちへ!」
椿の頬から流れる血を止血しながら、壁側へ座らせる。
馬車の周りには怪しい人影があったが主人に怪我をさせられ、キレたウルが既に辺りを血の海にしていた。
1人を除いて。
〔つばき様。この者はどうしますか?見知った顔なので、事情を聞きますか?それとも噛み殺してよろしいでしょうか?〕
ウルの冷ややかな声に椿は、振り向いた。
それは、嫌な記憶を蘇らせる人物だったのだ。
「……」
無言で立ち尽くす椿を睨む人物。
「…サラ」
そこに立っていたのは、ボロボロの身なりで目を血走らせながらギョロリと凄まじい殺気を放つサラがいたのだ。
変わり果てた姿だったが、あの顔は忘れもしない。
「どうして…ここに?」
戸惑う椿を他所にサラは手に持った剣を椿目掛けて飛びかかってきたのだ。
「やっと見ヅケタァぁああ!!!」
怒鳴り散らし、不気味に笑いながらーーー
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる