牢獄の天使は愛を知らない

momo6

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第一章

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「あの。先ほどは、助けていただきありがとうございます。」

「ん?あぁ、気にするな。たまたま目に入っただけだ。」
部屋までの道中、話をするが物静かな人なのか、会話が続かない。

少し気まずいと感じつつもお礼を言った。

「お名前を聞いてもいいですか?私は142番です。」
「142番?そうか、俺はAランクのランガだ。」
「えっ?Aランク、ですか。ランガさんは闘技場は長いんですか?」

「ん?そうだな。何十年になるな、」

「凄いですね。私はまだ経験が無いので少し怖いですけど。」

やっぱり長い道のりだな、と話をしていて実感した。
怖がらせたと思ったのかランガは「最初は剣では無く木刀だから、怪我も対した事ない。」など、励ましてくれた。

「ふふ、ありがとうございます。」
お礼を言うと部屋に着いた。

「あっ、ここです。ありがとうございました。では、おやすみなさい。」
ドアを開けて中に入ると、「また明日も食事の時、困ったら俺に言えすぐに駆けつけるぞ。」
少し照れた顔でランガが話してきた。

「はい。その時はお願いします。」
「ああ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」

バタンと閉めた。
ドアの外で、顔を赤くしたランガがしばらく立っていたと教えて貰うのはもう少し先の話し。

美味しいご飯を食べて、桶に水を入れて体を拭きベットに入る。
朝6時に朝食が始まるので。
今日みたいに混む前に行こう。

そう心に誓い眠りに入る。
優しい人達がいて良かった。








まだ薄暗い中、パチっと目を覚ます。
時計を見るとまだ5時だ。
ふぁ~っと欠伸をしながら、顔を洗う。

サリーお母さんから貰った荷物を開けると中には、柔らかい生地の洋服が入っていた。クリーム色のノースリーブにゆったりしたズボン。赤い薔薇の刺繍が脇腹あたりにしてある。
服を買うのも高いのに、優しさが溢れる。
動きやすく、可愛い。サリーお母さんありがとう。


着替えて、長い髪も編み込みで縛り邪魔にならないようにする。
今日から闘技場のメンバーになったんだ。
まだまだ下っ端だけどね。
あっ!もう5:30になってしまう。
今から出れば朝食の鐘が鳴る前に食堂に着くはず!
ドアを開けるとまばらに人が歩いていた。

(こんな早くても起きてる人がいるんだ)

鍵を閉めて、食堂に向かうと「朝早いんだな」後ろから声をかけられた。
振り返ると、ランガが汗まみれで立っていた。
「おはようございます。鍛錬ですか?」
「あぁ、毎朝やっているんだ。食事の前に鍛錬して、シャワーを浴びてから食事にするのがーー」
「えっ!?シャワーって自由に使えるんですか??」
食い気味でランガの話を遮ってしまう。
「あっ、あぁ、そうだが」
「今からシャワーって私も入れます?」
「大丈夫だが、」
「あっ!一緒に行くので、ちょって待ってて下さい!」

ランガが何か言いたげだったが、念願のシャワーに心浮かれ、タオルを取りに部屋に入る。
「こんなに早くシャワー浴びれるなんて!しかもいつでもいいなんて!天国!!」

シャワー浴びたら食堂なので、タオルだけ持ちランガに「お待たせしました!」とウキウキが顔に出てしまう。
耳が赤くなったランガは「シャワーは、こっちだ」と案内してくれた。

食堂の近くにある建物がお風呂だった。
大浴場もあるが、朝は清掃中で入れない。
シャワーの方を教えて貰うが・・・えっ?ここ?

案内された中はまさかの共同シャワーだった。かろうじて個室にカーテンがついている。
えっ?使用中に開けられる…よね。

呆然と立ち尽くしていたら、朝でも何人か利用している。ニヤニヤした男達の視線が気持ち悪い。

これじゃぁ、入れない。
裸の時にカーテンなんか、開けられたら地獄だよ。

「女性はどうするんですか?」
分かりきった答えでは無い事を祈ったが虚しく「男女一緒だな。そもそも、女性は本当いないから、分ける必要が無いんだ。大浴場も共同だしーー」
「えっ!!!そうなんですか!」

そうなの!?
お風呂に入れないじゃん!!
目の前にあるのに、入れないなんて…地獄だよ。

がっくりしてると、ランガが「俺がカーテンの前にいるから中に籠もあるし、入ればいい。」
と言ってくれた。
昨日あったばかりの人を信じるのは不安だけど、シャワーにはーーー負ける。

「絶対覗きません?」
「!!覗くわけないだろ!!」
「ふふ、じゃぁお願いしてもいいですか?」
「!?あぁ、任せろ。」
「はい。急いで入りますね。ランガさんもシャワー浴びたいですよね、先に失礼します!」

汗だくのランガには申し訳ない。と思いながら意を決してシャワー室に入る。
カーテンを閉めて籠の中に服を脱いでいく。
ありがたい事に石鹸が付いている。

急いで体を洗い、頭をゴシゴシ洗う。
(うーん!これよこれ!!はぁ~気持ち)
身体中の汚れを落とすと、石鹸の匂いがして気分もリフレッシュした。

カーテンの外では、服の脱ぐ音やシャワーの音に顔を赤くしながら立っているランガを恨めしそうに見つめる男たち。
近寄る男にギロリと睨みつけ、ランガは耐えていた。
そうとも知らないで、急いで着替えるとまだ濡れた髪をひとつにして。石鹸の匂いを漂わせながらカーテンを開けた。

「お待たせしました、綺麗にしときましたので、ランガさんもどうぞ。」
ポタリと髪から雫を垂らしながら少し火照った顔で話すとランガは一気に赤くなり
「俺が出るまでカーテンの所で待ってろ」と照れ隠ししながら、中に入っていく。

先程まで、使っていた石鹸の匂いにドキドキしながらもランガはがむしゃらに洗い出した。
カーテンの外では、タオルで髪をトントンしながら待っている姿に男達が囲んで来た。
「やっぱり女がいると違うよな」
「はぁ~いつもの石鹸の匂いが違う匂いになっている。」
「可愛い」「連れ込みたい」
ジリジリと詰め寄る男達に気持ち悪さを覚えた。

「ん?朝から何集まってんだ?」
男達の輪から1人の赤髪の男性が入ってきた。
「おわ!!女じゃん!しかも、めちゃくちゃ可愛い!!えっ?もう、シャワー浴びたの?濡れた髪がエロいじゃん。お前ら邪魔。終わった奴は、食堂に行けば?」
赤髪の男性が言うとサササーとみんな出ていった。

「んで、君は?そこで何してんの?こんな男達の中でシャワー浴びるとか。ふーん、顔に似合わずエロいんだね。」

どこか冷めた目で見てくる男。

「そんなに、男に飢えてるなら、俺が相手してやろうか?可愛いし、タイプだし。」
ジリジリと詰め寄り顔が近い。ギュッと目を瞑ると「あれ?君ーーもしかして、初めて?」頭に手を触られると思った時。カーテンがシャッと開き、ぽたぽたとまだ拭ききれていない姿のランガが出てきた。
ランガの顔を見てほっと安堵してしまう。

「あれー?ランガじゃん。どうしたの?」
「彼女は、俺を待ってたんだ。」
「へっ?ランガの?えっえっ?あのランガの??お前、女が嫌いじゃ無かったの?」

「今はそんな話ししていない。行こう。食堂が、開く時間だ。」
「あっはい。」

「えーー?気になるじゃん!俺もシャワー浴びるから待っててよ~」
「待たん」

スタスタ歩くランガに腕を引かれながら歩いていく。
ちょっと歩くスピードが早い!あっ!

転びそうになって、ランガに受け止めて貰った。
「すみません」
「いや、俺も歩くのが早かったな。すまん。」
「大丈夫です。」

受け止められ、ランガを見ると濡れた髪が色っぽい。
タオルで顔と髪を拭くと、キョトンとされた。
「あっ、すみません。私が使ったタオルなんで嫌でしたね。」
「いや、構わない。ありがとう」
ふわりと微笑むランガにイケメンの笑顔ヤバい!と視線を逸らしてしまった。

「先程は、知り合いがすまなかった。悪い奴では無いんだが、」
「大丈夫ですよ。よくある事ですから。」
「・・・よくあるのか?」
「えっ?あ、はい。昔から知らない人に絡まれたりはしたので。」
「ーーーやはり、一緒にいないと危ないな」
「え?何ですか?」
「いや。何でもない。」

最後の方が聞き取れなかったが、そのあとも他愛ない話しをしながら食堂に着いた。
すでに人集りが出来ており、Eランクセットに並ぼうとしたら「Aランクを取りにいくから、ここで待ってて。すぐ戻る」と言い、ランガが行ってしまった。

ランガは、世話好きなんだなー
よし。今日の朝ごはんは何かな~っとウキウキしながら列に並ぶ。
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