愛し子は鈍感で、愛に気付きません。

momo6

文字の大きさ
11 / 31

11 楽しい料理

しおりを挟む
「大丈夫かな?」
リュカの様子が変だったな。急にニヤニヤして気持ち悪いから一緒に食べるのやめたけど。なんだったんだろ?
ペガが『いつもの事だから』って言ってたけど。情緒不安定?今度、安定剤みたいなの作ってあげようかな。

「あっ!あそこかな?」
宿を出るとき、厨房を貸してくれる場所を聞いたけど。まさか、こんなオンボロとは…衛生面…大丈夫かな?

「すみません!誰かいますか?」
聞こえないかな?
「すみませーーん」
「はいよ~」

ボロボロのドアから、お婆さんが出てきた。
「あの、厨房を借りれると聞いたんですが。」
「厨房?あぁ、はいはい。使っていいですよ~今はもうお店はやってないですからね~」
「はい。ありがとうございます!では、失礼します。」

ここは、昔は食堂だったんだけど。引退したお婆さんが管理している。掃除が行き届いていないからか、古びた感じになっているが、さすが食堂。立派な厨房だった。でも、長年使用してないから埃が被っている。
「掃除がここまで出来なくてね~大丈夫かい~?」
「大丈夫です!使わせて頂きますね!」
よし、まずは掃除だね。
一応妖精さんに頼んだ方がいいよね。

「風の妖精さん、水の妖精さん。お手伝いお願いします」
両手を合わせてお祈りすると、ふわふわと妖精さん達がやってきた。
「来てくれてありがとう。風さんは、埃や小さなゴミを捨ててね。水さんは、汚れを落とすから水をかけてください。」
それぞれにお願いして、だいぶ綺麗になった。
でも、まだ汚れているのは「洗浄・消毒」と魔法を使った。少しなら大丈夫よね?
「うん!これなら大丈夫。みんな、ありがとう」
お手伝いしてくれた妖精さん達に焼き菓子を手渡していく。
キャッキャと楽しそうに話し合っている妖精さんが可愛い。

綺麗になった厨房で、まずは材料を取り出していく。
次にバーの所で作った包丁を取り出す。この世界の包丁は、切れ味悪い上に出刃庖丁みたいに重い。
元の包丁を熱して、ひたすら打ち付けて薄く伸ばしていく。仕上げに石を使い尖らせていく。テレビで見た見様見真だけど、上手くできたんだ。感動の余り、食材を細かく切り過ぎてバーに怒られたな~
今回は気をつけようと野菜を取り出す。

「材料を切って、あっ!火!」
焼く為、火の妖精にお願いする。

作れるだけ作り、異空間にしまっておく。そうすれば、出来たてを食べられるのだ。中に入れると時間が止まるみたいで、食べ物が腐らないんだって。原理はよく分からないけどね。

食材は日本と変わらないのが多く、名前が違うだけだった。
なので、味付けを変えなくても再現出来る。嬉しい事だね。
しかも!!さっき、露店をのぞいたらお米が売ってたんだよ?!しかも格安!!鑑定しながら歩いて正解だったよ。
玄米だったから、魔法で精米したら懐かしい白米が出てきた出てきた!もちろん。精米した時に出たのも捨てずに取っておくよ?ぬか漬けが出来るからね!
・・・元々家畜の餌にしてたみたいだけど、もったいない。

よし、米を研いだら鍋に移して…うん、水はこのくらいかな?
「火さん、お願いします。」
妖精にお願いして、次はオカズ!やっぱりお肉かな~野菜は切って茹でてるから。うん。とりあえず焼こう!
タレは色々作っとけばいいしね。

「料理って楽しい!!」

料理に夢中になり、すっかり暗くなってしまった。
お婆さんに、お礼と作っておいたお弁当を渡して宿に帰る。
入り口を綺麗に直して帰ったのは秘密だ。

宿に着くとリュカが「遅い!何時だと思ってるんだ?!どこに行ってたんだ!」とお父さんみたいになってた。
懐かしいな…このやり取り。

しんみりしていたら、「チズル?大丈夫か?」と心配されてしまった。
「だっ大丈夫だよ!お父さん!っっあ、もう寝るね!おやすみ!」
「おっお父さん?」
放心状態になった、リュカの隣をすり抜け部屋に入る。

やっちゃった、リュカにお父さんって言っちゃったよ。恥ずかしい!!
1人悶えていた。

「でも、リュカってお父さんみたい・・・」
自分を心配してくれる人がいる。それだけで、こんなに嬉しいなんて。ウルっと涙が溢れそうになるのを我慢して、寝る準備をする。
「洗浄」自分に魔法をかけると、体についた汚れや臭いが浮かび上がり、お風呂上がりのようになる。
「ふぅ。やっぱりお風呂に入りたいな」
街中を探したが、風呂屋は無かった。残念に思いながらも次の街にある事を期待して寝ることにする。

明日は、頼まれた依頼をやらなくては。



廊下にはまだ放心状態のリュカがいた。


『過保護もここまでくると、父親になるんだね。頑張れリュカ』
ペガに励まされ、ガックリ項垂れながら部屋に戻るリュカだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

処理中です...