愛し子は鈍感で、愛に気付きません。

momo6

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14 穏やかな朝

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ツンツン
「んー」
ツンツン
「んー?」
ツンツンツンツン
「んもぅ!なに?!」

ガバリと起きた千鶴の前に可愛らしいピンク色の髪をした妖精がいた。手のひらサイズの妖精は目をウルウルさせていた。

「可愛い~!どこから来たの?」
『イスン、待ってる。愛し子、早く起きてほしいの』
「へ?イスン?」
『うん。日が昇る前からいるの、でもまだ早いってずっと待ってるの』

どうやら、この妖精はイスンと契約しているみたいで。ずっと待っているイスンが心配で千鶴を起こしに来たみたいだ。
「優しいね、今準備したら行くね。そう伝えてくれる?」
『分かった!愛し子と一緒にいれるからうれしいの』
「ふふ、あっ。起こしてくれたお礼。食べてね」
『!!ありがとうなの~』
焼き菓子を手渡すと喜んでイスンの所に戻っていった。
可愛いな、と微笑ましくなる。
精霊は優しい人と契約する事が多いみたいで、リュカもイスンも優しいんだな。と感じる。


準備をしながら、外を見ると日の出でうっすらと明るくなっていた。「綺麗」街の人達も動いているのが分かり、早起きもいいもんだ。と嬉しくなる。

階段を降りると、手前のテーブルの上に先程の妖精が焼き菓子を食べていた。イスンも座っている。
「おはようございます。待たせたみたいで、すみません」
特に約束は、していなかったが実際待っていたみたいで謝罪する。
「謝る事は無い。俺が勝手に待ってただけだからな。それより、コイツが起こしに行ってしまい迷惑をかけた。すまない。」
「大丈夫ですよ。お陰で綺麗な日の出が見れましたから。」

ニコニコしてると、安心したのかイスンの強張っていた表情が柔らかくなる。
「そうだ!依頼まで時間があるから散歩しません?」
「俺は構わないが、リュカはいいのか?」
「リュカ?常に一緒にいるわけがないので、行きましょ?」
実を言うと、朝の街も気になってたんだ!
だって新鮮な野菜がたくさんあるんだもん。リュカが一緒だとあーだこーだ口を出されそうで遠慮してたんだよね。
それに関して、イスンは物静かだから一緒にいて気が楽。これは、エレンの気持ちなのかな?一緒にいるのを喜んでるのかな?

ポカポカ暖かい気持ちになり、自然とニコニコしてしまう。
「嬉しそうだな。」
「え?わたし?うふふ、そうかも知れませんね」
「何が嬉しいんだ?」
「なんだろー、んー天気が良くて美味しそうな食材を見れるからかな?」
(エレンと同じ事を言う。本当に違うのか?)

「あっ!イスン!あそこに珍しい果物があるよ!!」
「あっおい、ったく。可愛いな、エレンも果物が好きだったな」
千鶴の行動1つ一つがエレンと重なってしまい、イスンはまるでエレンがいるような気になって嬉しくなる。

「これ下さい!えっ?すぐ食べれるの?じゃあ2つ下さい!」
「まいどー」
アップルマンゴーのような果物を手に持ち、イスンの所にやってきた千鶴は「はい!お兄ちゃんの分!」と言ってしまった。
「エレン?」
イスンは戸惑った。確かに“お兄ちゃん”って言ったよな?
「今、お兄ちゃんってーーやっぱりっ」

やっば!エレンの気持ちに引っ張られちゃったよ!!誤魔化さないと!!

「あはは、間違えちゃった~イスンってお兄ちゃんみたいな感じで、ごめんなさい」
「いや、いいんだ…」
「これ!美味しいって言うから食べてみよう?」
「あぁ」

だっ、大丈夫だよね?誤魔化せたよね?
千鶴は、内心ドキドキしながら果物にかぶりつく。
「っっっすっぱ!!!」
「甘いな」
「「えっ?」」
どうやら、千鶴のは酸味があり、イスンのは甘みがあるようだ。
「えーなんで、こっちは酸っぱいのよ!」
「ふ、交換するか?」
「えっ!!いいの!?でも、本当に酸っぱいよ?」
「構わない」
「じゃぁーーー交換します!うん~甘い~美味しい~」
果物は、甘く無いとね~満足しながら宿に戻る。酸っぱいのを物とも言わぬ表情でイスンは食べていた。
宿に戻ると、リュカを迎えに行くと言うので千鶴は、そのまま依頼主の所に行こうとしたら「俺も行くから待ってなさい」と2人目のお父さん。いや、心配性のお兄さんに引き止められてしまいました。
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