愛し子は鈍感で、愛に気付きません。

momo6

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25 新しい住居1

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購入した家に着く頃には、辺りはすっかり真っ暗になっていた。
ガチャリと鍵を開けて灯をつけようと手探りでスイッチを探しカチっと付けたが反応が無い。
長年使われていなかったようで魔石の効果が切れている様だ。
ここ、竜涎国は各家庭に基本的な水・光・火の魔石が普及している。定期的に交換になるが精霊にお願いするよりも効率が良いと国で補助が出ており、住民にとっては生活しやすいみたい。
でも、あくまでも補助金。元々魔石自体が高いから1つ1万ぐらいで買えるが一般人からしたらまだ高く感じてしまう。


「やっぱり、切れてる…今日は精霊さんにお願いするか」
ポツリと呟くと『メルがお手伝いするの!!』と千鶴の頭の上にいたピンク頭の妖精メルが張り切って部屋を明るくしてくれた…メルって何の妖精なんだろ?
ピンクの頭って、初めてみたから属性がわからないや。
「ありがとう。助かったよ」

お礼と一緒に作り置きしてあったクッキーを手渡すと『ありがとうなの!愛し子!まだ他にもお手伝いするの!!』とクッキーを食べながらガッツポーズをしていた。

(こんなに懐いてるけど、イスンと契約してるんだよね?)

チロリとイスンを見るとニコニコしていた。
まぁ、2人が気にしないならいいか。と口にはしなかった。

「とりあえず、もう遅いので夕飯にしましょうか?」
「そうだな。片付けは明日やればいいだろう」
「腹へったな~~」

離れにある住居に入った3人は、リビングを軽く掃除して千鶴の作り置きしてあった食事を食べる事にした。

「今日の夕飯は、ボア肉の煮込みシチュー風とフォカッチャで~す!」
「初めて聞く名前だが、美味しそうな匂いがするね」
「ほー!ボア!!俺が倒したジャイアントボアか?あれは、美味いが肉が硬いんだよな…んま!!随分柔らかくなっているじゃないか!!」

えっへん!
そうなんです!!ジャイアントボアの肉を調理したら、以外に筋が固くて、焼いても硬さが取れないから煮込み料理にしてみました!
調味料は、バーの所や市場で買って試行錯誤しながら作ったんだよね…レトルト商品って無いから一から作るのは楽しいけど大変だった。

「おかわりあるか?」
「へっ?リュカってば、もう食べたの?」
「美味しな!ペロリと食べたからもう無い!」
「はいはい、量はまだあるけど…食べ過ぎないようにね?」
「このパンも美味いな~~表面は硬いが中がふわって柔らかい…これなら後50個は食べれるな」
「リュカ、そんなに食べたら俺の分が無くなるだろ?チズ、おかわりを貰えるか?」


2人のやり取りに苦笑しながらも、大量に作っておいた料理が完食されたのは言うまでもない。


食事が終わると、片付けをして寝室に向かうが諦めた。
部屋に、前の住民の荷物が残っていたのを忘れていた。
案内された時に使ってもいいと言われていたのだ。

ベットやタンスなどが部屋に詰め込まれており、今から片付けるのは時間がかかると判断した。
しょうがないので、リビングのテーブルを片付けてここで寝る事にしたんだけど…2人の寝具はどうしよう。

「私は、テントに布団があるけど…さすがに予備は持ってないから2人は宿に泊まる?」
「何を言っているんだ!?チズの側を離れる訳ないだろ?」
「そうだぜ?チズルを残して宿なんかに泊まるなんて出来ないさ」
「えっ、でもーー寝る場所がないよ?」
「それは大丈夫だ。床があるからな」
「そうだ。草原に比べたら床があるだけマシさ!屋根もあるしな!」
「あぁ、野営に比べたら平気だ。」
「チズも、もう寝なさい。俺たちは大丈夫だから」


「・・・じゃあ、何かかける物があったんでーーこれだ。はい、ではお言葉に甘えて先に寝るね。おやすみなさい」

2人に気にするな。と言われたので、大きめのタオルを2人に渡してテントに入る。気温は肌寒くないから大丈夫だろう。

「うーん、やっとこの世界での第一歩って感じだな。明日から掃除したり…がんばろ…ふぁ~寝よう」
洗浄魔法をしてから、パジャマに着替え布団に入ると疲れていたからかスースーとすぐ寝入ってしまった。

イスンは、壁を背もたれにして眠りにつく。
リュカは床に寝っ転がり目を閉じる。


静まり返った室内に2人の寝息が聞こえていた。








「ふぁ~まだ眠い…」
目が覚めた千鶴は、欠伸をしながら着替える。今日からお店を開く為に準備をするのだ。
眠たい目を擦りながら、テントを出ると2人はまだ眠っていた。どうやら、千鶴の方が早起きだったみたいだ。

テントを片付けて、朝ごはんの支度をするがメルは相変わらず眠そうに千鶴の頭の上で寛いでいた。
リビングと隣接している台所で2人を起こさないように準備をする。
といっても、軽く焼いた食パンに目玉焼きとベーコンを乗せたもの。マヨネーズを売っているところが無かったので、手作りだ。簡単にしてしまったが、朝からあまり食べない千鶴にとっては充分。

料理が出来上がるとテーブルに並べて2人を起こす。
「朝ごはんが出来たよ~~起きて!」
声をかけると、「あぁ、おはよう。チズは早起きだな。」「んー、はよー」イスンは寝起きが良いみたいで背伸びしながらテーブルにつく。
リュカは、まだ眠そうに欠伸が止まらない。どうやら、朝が苦手みたい。

「リュカ!眠気覚ましだよー飲んでみて」
アップルマンゴーを絞ったジュースを渡すとリュカはグイッと飲み干した。
「っっすっぱ!!目がさめる!」
「あはは!でしょ?はい、朝ごはん。」
「ぁぁ、ありがとう…悪意はないんだよな?」
「ん?何か言った?」
「いやいや、うん。このパンも美味いが上にあるのがなんとも…美味い」

アップルマンゴーは、酸っぱいのと甘いのがあるんから
酸っぱいのはどうしようか、考えてたけど…うん。解決したね!

「お兄ちゃんもどーぞ!」
「…ありがとう」
リュカのを見ていて、これも酸っぱいのか?と引きつった表情のイスンだが、飲んだら甘く驚いていた。
リュカは、「ずりぃーー!!」と訴えていたが、ちゃんと甘いのも用意していたから喜んで飲んでいた。私だって鬼じゃないからね?


「さて、ご飯も食べたから。荷物を片付けながら掃除しようと思って。2人は出掛けたりする?」
「俺はギルドに顔出ししながら、依頼を見てくるかな。イスンはどうするんだ?」
リュカは、ギルドに行くようだがイスンは何やら考えていた。

「俺は、近くを見てくる。周りに何があるか把握しとかないとだな。様子見に戻るから、チズは気にせず掃除していて大丈夫だそ?」
「分かった!お昼には戻る?その時に食材買いに行きたいな」
「「戻る」」
「ふふ、1人いれば大丈夫だよ~」

2人の過保護振りに苦笑いしてしまう。
予定が決まればすぐ行動に移る。

2人を見送り、庭を見ると通路以外は草がボッサリと生えていた。
(寝室が終わったら、庭をやらないとね)

「よし!頑張るぞ!!」

意気込みしながら腕まくりをしていると、頭の上にいたメルも『愛し子の為にがんばるの!』とガッツポーズをしていた。
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