愛し子は鈍感で、愛に気付きません。

momo6

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27 新しい住居3

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アイテムボックスから出した料理をテーブルに並べると、イスンが「今日も美味しそうだ」
と食べ始めた。
食事の挨拶は、無いみたいですぐ食べ始めるのは未だにちょっと、慣れない。
「はい、召し上がれ。」
苦笑してしまうのは許してほしい。

妖精達のお礼を作る為台所に立つと、腕組みしながら考える。

「うーん。何にしようかな。作るならお店に出せるようなのがいいよね…焼き菓子やパン系は、作ってあるから。甘い物?ケーキでもいいけどすぐ作れるのは・・・蒸す?あっ!いいのがあったじゃ~~ん!!」


1人ぼやきながら何か決まったのか、ウキウキしながらアイテムボックスから材料を取り出している。
イスンは微笑ましくその様子を見ながら食事をしていた。


「卵に牛乳・砂糖…うーん、生クリームも少し入れて、バニラビーンズ擬きを牛乳と一緒に煮詰め、いい匂い。卵と砂糖を加えたら混ぜる!混ぜる!…こんぐらいかな?裏ごししたら滑らかになるんだよね。よし。後は器に入れて、蒸すだけ!次はカラメルを作らないと…お水に入れて焦がさないようにっと」

ぶつぶつ独り言を言いながら料理をする千鶴は真剣だった。
イスンは、食べ終わったが甘い匂いが気になり静かに料理ができるのを待っていた。


「もういいかなー?うん、串に付かないから完成だね!カラメルをかけたら後は冷ますだけ!冷やすのに冷蔵庫に入れて」

作業が終わり振り向くとニコニコしたイスンと目があった。
「あれ?まだいたのー?もう、行ったかと思ってびっくりしたよー」
「あまりにいい匂いだったからな。もう出来上がったのか?」
「冷ましたら出来上がりだよ?」
「なら、問題ない。1つ味見してもいいかい?」
「うん!でもまだ熱いよ?」
「大丈夫だ。」

千鶴から受け取ったプリンは、確かにまだ熱く食べれそうにない。どうするのか見ていたらそのままスプーンですくって口に入れたのだ。
「アツっだが、甘くてっあついな、」
「ふふ、だから言ったじゃない。貸してみて」

我慢できずに食べたイスンに笑いながら、千鶴は魔法でプリンを冷たくした。

「これで冷めたよ?」
イスン?と首をコテンとさせると目を見開いて千鶴を見ていた。
ん?と何だろ?と思っていたら、ガタンと立ち上がり千鶴の肩を揺らした。

「今!魔法を使ったのか!?妖精は見えなかった!!どういう事だ!!?」

しまった。忘れていた、エレンの事を話したからてっきり魔法の事は知ってると思っていたら、知らなかったようだ。
光の一族の秘密は誰も知らないのだと改めて認識した。

「えっと、これは・・・」
言葉に詰まるがイスンの威圧に負け、話すことにした。
「昔、妖精と恋に落ちた人が光の一族になったの。妖精の血が流れているから魔法が使えるみたいで…その血を私も受け継いだから、使えるんだけど。この事は秘密ね!」

「そんな、事が…だから、光の一族は狙われていたのか、」
単純に見目麗しいからでは無かったのかと自分の勘違いに落胆する。
いや、それも理由にあるが魔法が使える人間などいたら、各国で奪い合い戦争になるだろう。
…だから、バファイ師は竜涎国にチズを寄越したのだな。最強の国に。

今までの事に合点がいったイスンは、静かに千鶴を見つめる。
(俺が守る。この秘密は誰にも知られてはいけない、リュカにも)


「ごめんね?黙っていたのは、エレンの事を話したら知ってると思って・・・」
申し訳なさそうに千鶴が口を開く。

「いや、話してくれてありがとう。取り乱してすまなかった」

重い空気が漂う中、イスンは冷たくなったプリンを手にとり口に入れる。
「冷たい、うん。これは冷たい方が上手いな。」

にっこり笑うと千鶴は安堵の表情を浮かべる。
「うん!残りは冷やしておくから、夕方またたべよう?」
「あぁ。」

「あっ、妖精達も起きるかな?何個か冷やしておこう。」

いつもの千鶴に戻り、イスンも安堵する。
キュンっと心が鳴ったのは安堵からだと思い気にしなかった。


千鶴は、妖精用に小さめのカップに作ったプリンを10個程冷やしてから外に出ると欠伸をしながら目をコシコシしている妖精が目にはいる。


「お疲れ様。はい、お礼よ?こんなに綺麗にしてくれてありがとう!」
お礼を言いながらプリンを渡していくと、甘い匂いに目を輝かせた妖精達が『ありがとうー!』と口々に言いながら小さい口でプリンを頬張っていく。
メルも褒めてー!って言わんばかりに胸を張っていた。

「メル、ありがとう。疲れたでしょ?ゆっくりしてね?」
他より大きめのプリンを渡すとふにゃっと顔を緩めながらプリンを食べていた。

あっという間にプリンを平らげると、『またねー』とそれぞれ飛んでいってしまった。『またなの~』とメルも手を振っている。

そこにイスンがやってきて、「出かけてくる」と行ってしまった。妖精達が食べ終わるまで待っていたようだ。
お買い物に行こうとしていたが、忙しいようなので明日でもいいかな?とお店の掃除を始める。


仕上げに洗浄魔法と除菌をしたら、見違えるほど綺麗になった。
窓が汚れていたのがクリアになり陽の光が室内に入って明るくなっていた。

綺麗になった店内の真ん中にある椅子に座り、ノートとペンを出す。
街中で買った物なので、紙といっても分厚く和紙のように硬い。
ペンもインクに付けて書くので、字がイビツになってしまう。
ガランとした店内を見ながら何を商品にするか、候補を書き出していく。

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