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ツンツン
ツンツン
「ーーーん?」
『起きるの!愛し子、メルこれ食べたいの!』
ツンツンと千鶴のほっぺを突つきながら、手には昨日出したままにしていたクッキーを持っている。
『愛し子!起きるの!』
「うーん、まだ眠い~」
『メル食べたいの!』
しつこくツンツンされ、根負けした千鶴は気だるそうに欠伸をしながら背伸びをする。
「ん~どうしたの?ふぁ~」
目をコシコシしながらメルを見るとナッツが入っているクッキーを手に持ち『食べたいのー!』と満面の笑みで千鶴に迫ってくるけど、可愛いい顔に怒る気にならないな。
ん?よく見るとメルの口に、クッキー?食べかすが付いてるけど、、、
「メル?他にあったクッキーは?」
訪ねるとアワアワしながら『気付いたら無くなってたの~!これが最後なの~驚きなの~!』
いやいや、こっちがおんどろきですよ。
言い訳を聞いて怒る気が失せたよね。
「そんなに美味しかった?食べていいよ~また作るか~」
『!!やったなの!メルこれが好きなの~!』
可愛いからいっか。とテーブルでポリポリとクッキーを食べるメルを見ながら洋服に着替える。
外は太陽が昇ってくる時間でまだうっすらと暗い。
「はっ!はっ!ふっ!」
ん?
息切れする声が聞こえ、窓から下を見るとまだリュカが剣を振っていた。
「はぇ!?まだやってるの!?ちょっと!リュカ!!いい加減終わりにしなよー!!」
思わず、身を乗り出して叫んでしまった。
隣の建物と離れているとはいえ、朝から迷惑だ。
緊急事態なんで、すみません。と心の中でまだ見た事が無い隣人に謝る。
「聞こえないのかな?まったく、エナジーハッスルは販売中止だな。リュカみたいなバカが増えたらいい迷惑だよ。」
急いで階段を降りて外に行くと。
汗をダラダラかきながら一心不乱に剣を振るリュカがいた。
「リュカ?もう終わりにして寝ないと!…リュカ?」
「ふっ!ふっ!」
「どうしたの?聞こえないの?」
千鶴が見えていないのか、見向きもしない。
あちゃー、これは本当に販売出来ないな。危なすぎる。
「まだやってるのか?」
千鶴の声に起きてきたイスンは、一瞬で状況を把握した。
「このバカが。おい、いい加減寝ろ。」
イスンが言うとガクンと倒れてしまった。
「はぇ!?倒れちゃったよ??大丈夫なの?」
「大丈夫だ、手加減はしたからしばらくは起きないだろう。」
・・・手加減?何かした?全然見えなかったよ。
今日は平和な一日になりそうだな~
「お茶でも飲もう~朝ご飯はまだ早いしね。」
「そうだな、リュカを部屋に連れて行ったらすぐ行くよ。」
ひょいとリュカと剣を持ちながら、イスンは涼しい顔で二階に上がっていく。重く無いのかな?不思議。
『私も飲みたいわ~リュカったら、全然寝ないから困ってたのよ~』
ペガがふわふわ揺れながら後ろからついてくる。
ふぁ~と欠伸をしながら眠そうだ。
「アールグレイにしようかな?あっ、砂糖とミルクもいれて、ミルクティーにしよ。」
バーの所で見つけた茶葉を色々集めたら、アールグレイもどきがあったんだー。
考えたら、本当に何でもあったな。落ち着いたらバーの所に遊びに行こ~。
お湯を沸かし、コップを用意する。
錬金術を使って色々作ったのが役に立つ。
現代の知識を使うと生活で困る事はない。
陶器のコップもあっという間に出来る。
材料は、採取したのや妖精さんが集めてくれるから助かっている。
「ん~いい匂い。煮出した茶葉は、水気を切って。後で粉末にしないと、パウンドケーキやクッキーに使えるようにしとかないと。」
ぶつぶつ言いながら、手際よく準備をしていると。トントンと階段からイスンが降りてきた。
「あ!お兄ちゃん、お茶の用意が出来たよ~」
「いい匂いだな。」
「いい匂いでしょ~ミルクティーにしたんだよ~!パウンドケーキも少し食べる?」
「パウンド?聞いた事無いな。じゃあ、いただこうかな。」
ナイフで一切れずつ切り、陶器のお皿によそっていく。
「はい、どーぞ。」
「あぁありがとう。」
美味しいな。と言いお茶を飲むイスン。
まったりしていると、ペガとメルが床でコックリとうたた寝を始めた。
「今日は、市場を見たいんだけどお兄ちゃんは何するの?」
昨日行けなかったから、市場調査をしながら買い物をしようと考えていた。
「特に予定は無いな。ーーチズルは、他に何を隠してるか問い詰めようと思ってはいるがな。」
ブフーー!!!
飲んだミルクティーを吹き出してしまったよ。
何て?何ていったの?お兄様??
「昨日の事だ。他にもあるなら、今のうちに聞こうと思ってな。さぁ話してごらん?」
にっこり優しい口調で話しているけど。圧が!圧が怖いです!!
「・・・えっとー何と言われても?」
とぼけてみるが、うん。目が笑ってないよ。怖すぎだよ。
「とりあえず、分かることから聞こうか?リュカも朝まで訓練、いや、鍛錬させたから。お昼までは起きないだろう。妖精達も、ほら。寝てしまった。もう邪魔は入らないぞ?」
・・・させた?今、鍛錬させた?って言った??お兄様??
困惑しながらも「訓練してたのは、薬のせいじゃないの?」
「んー頑張る姿を見せると惚れそうだな。って話してたら、勝手にやる気になっただけだ。脳筋だからな。」
恐ろしい!!!
腹黒いです!お兄様!!もう、お兄ちゃんじゃない!お兄様と言わせていただきます!!逆らったら怖すぎ!
「あ、えと、まず。私はこの世界の人間じゃないんです。」
「・・・は?」
「気付いたら、森にいてーエレンとばったりあったら、もう殺されかけてた?瀕死だったのね。洞窟に逃げ込んだけど。エレンはその時に私に自分の全てを渡してくれて、、、あっ!この姿は元々の私だからね!そっくりで驚いたの!そしたら、森が燃えててびっくりして、逃げたら崖から落ちてね。川があったから助かったよ~気を失なってた所をバーに助けて貰ったの。イスン?」
ざっくりと事の成り行きを説明したら、イスンは頭を抱えながらテーブルにもたれてた。
(チズルは、迷い人だったのか。迷い人も貴重でここ何千年はいなかったと聞くがーーエレンに出会い、光の一族を受け継いでしまったのか。参ったな、思った以上に話がデカい。)
「では、チズルは迷い人。で間違いないんだな?別世界からの来訪者を迷い人と呼んでいるんだ。」
「そうなのね、じゃぁ私は迷い人で間違いないよ。だから、エレンとは数分しか会った事が無いんだ…何も分からなくてごめんなさい。」
しょんぼりする千鶴に、同情しながらイスンは頭を撫でる。
「大丈夫だ。何も分からないのに、よく頑張ったな。もう安心していいぞ?俺が、俺たちが守るからな?」
優しい言葉に涙が出そうになる。
バー以外に初めて打ち明けたからだ。
バーと離れて不安だったけど、イスンには全て話して協力して貰おうと思った。
「よく分からないから、色々教えてくれる?」
「ああ。もちろんさ。何かあるのか?」
「バーに色々と隠蔽して貰ったんだけど、何が常識かよく分からないんだよね。ステータスを見てくれる?その方が説明がしやすいし。」
「そうだな、では見せてくれ。」
「解除」と言いながら隠蔽を解くとステータス画面に文字が浮き出てきた。髪や瞳の色も一緒に解除されてしまった。まだ、操作が難しいようである。
「この髪はエレンのなんだな、、、エレンっっ」
腰まである髪を優しく掴みながら軽く口づけをする。悲痛な顔を直視出来ず。ステータス画面を見ていた。
「あれ?何か増えてる?」
ステータス画面を見るのは、バーから離れて初めてだ。そんな機会が無かったのが理由だ。
「何か増えたのか?スキルとかか?増えやすいからな。」
イスンが顔を上げて画面を見るとその数々に驚愕した。
「なんっっだ、このスキルはっっしかもレベルが無限だとーーそんなレベルは聞いた事がない。全ての魔法…全属性かそれに聖女・・・はぁ。何から突っ込んでいいのやら、」
深いため息を何度もするイスンに何故か申し訳なく思う。
「錬金術が使えるのか?凄いな、今は殆ど使えないぞ?それに、メチャット販売?何だそれは?」
聞き慣れたフレーズ。このメチャット販売は、よくネット通販で使用していた会社名。
まさかの通販が出てくるとは夢にも思わなかったよね。
「これは、私がよく使っていたお店の名前で、これで注文すると届くんです。」
「?」
理解出来ないと顔に書いてある。えぇえぇ、分かってますよ!私だって半信半疑なんだから。
意を決して「メチャット販売」を押してみた。
ツンツン
「ーーーん?」
『起きるの!愛し子、メルこれ食べたいの!』
ツンツンと千鶴のほっぺを突つきながら、手には昨日出したままにしていたクッキーを持っている。
『愛し子!起きるの!』
「うーん、まだ眠い~」
『メル食べたいの!』
しつこくツンツンされ、根負けした千鶴は気だるそうに欠伸をしながら背伸びをする。
「ん~どうしたの?ふぁ~」
目をコシコシしながらメルを見るとナッツが入っているクッキーを手に持ち『食べたいのー!』と満面の笑みで千鶴に迫ってくるけど、可愛いい顔に怒る気にならないな。
ん?よく見るとメルの口に、クッキー?食べかすが付いてるけど、、、
「メル?他にあったクッキーは?」
訪ねるとアワアワしながら『気付いたら無くなってたの~!これが最後なの~驚きなの~!』
いやいや、こっちがおんどろきですよ。
言い訳を聞いて怒る気が失せたよね。
「そんなに美味しかった?食べていいよ~また作るか~」
『!!やったなの!メルこれが好きなの~!』
可愛いからいっか。とテーブルでポリポリとクッキーを食べるメルを見ながら洋服に着替える。
外は太陽が昇ってくる時間でまだうっすらと暗い。
「はっ!はっ!ふっ!」
ん?
息切れする声が聞こえ、窓から下を見るとまだリュカが剣を振っていた。
「はぇ!?まだやってるの!?ちょっと!リュカ!!いい加減終わりにしなよー!!」
思わず、身を乗り出して叫んでしまった。
隣の建物と離れているとはいえ、朝から迷惑だ。
緊急事態なんで、すみません。と心の中でまだ見た事が無い隣人に謝る。
「聞こえないのかな?まったく、エナジーハッスルは販売中止だな。リュカみたいなバカが増えたらいい迷惑だよ。」
急いで階段を降りて外に行くと。
汗をダラダラかきながら一心不乱に剣を振るリュカがいた。
「リュカ?もう終わりにして寝ないと!…リュカ?」
「ふっ!ふっ!」
「どうしたの?聞こえないの?」
千鶴が見えていないのか、見向きもしない。
あちゃー、これは本当に販売出来ないな。危なすぎる。
「まだやってるのか?」
千鶴の声に起きてきたイスンは、一瞬で状況を把握した。
「このバカが。おい、いい加減寝ろ。」
イスンが言うとガクンと倒れてしまった。
「はぇ!?倒れちゃったよ??大丈夫なの?」
「大丈夫だ、手加減はしたからしばらくは起きないだろう。」
・・・手加減?何かした?全然見えなかったよ。
今日は平和な一日になりそうだな~
「お茶でも飲もう~朝ご飯はまだ早いしね。」
「そうだな、リュカを部屋に連れて行ったらすぐ行くよ。」
ひょいとリュカと剣を持ちながら、イスンは涼しい顔で二階に上がっていく。重く無いのかな?不思議。
『私も飲みたいわ~リュカったら、全然寝ないから困ってたのよ~』
ペガがふわふわ揺れながら後ろからついてくる。
ふぁ~と欠伸をしながら眠そうだ。
「アールグレイにしようかな?あっ、砂糖とミルクもいれて、ミルクティーにしよ。」
バーの所で見つけた茶葉を色々集めたら、アールグレイもどきがあったんだー。
考えたら、本当に何でもあったな。落ち着いたらバーの所に遊びに行こ~。
お湯を沸かし、コップを用意する。
錬金術を使って色々作ったのが役に立つ。
現代の知識を使うと生活で困る事はない。
陶器のコップもあっという間に出来る。
材料は、採取したのや妖精さんが集めてくれるから助かっている。
「ん~いい匂い。煮出した茶葉は、水気を切って。後で粉末にしないと、パウンドケーキやクッキーに使えるようにしとかないと。」
ぶつぶつ言いながら、手際よく準備をしていると。トントンと階段からイスンが降りてきた。
「あ!お兄ちゃん、お茶の用意が出来たよ~」
「いい匂いだな。」
「いい匂いでしょ~ミルクティーにしたんだよ~!パウンドケーキも少し食べる?」
「パウンド?聞いた事無いな。じゃあ、いただこうかな。」
ナイフで一切れずつ切り、陶器のお皿によそっていく。
「はい、どーぞ。」
「あぁありがとう。」
美味しいな。と言いお茶を飲むイスン。
まったりしていると、ペガとメルが床でコックリとうたた寝を始めた。
「今日は、市場を見たいんだけどお兄ちゃんは何するの?」
昨日行けなかったから、市場調査をしながら買い物をしようと考えていた。
「特に予定は無いな。ーーチズルは、他に何を隠してるか問い詰めようと思ってはいるがな。」
ブフーー!!!
飲んだミルクティーを吹き出してしまったよ。
何て?何ていったの?お兄様??
「昨日の事だ。他にもあるなら、今のうちに聞こうと思ってな。さぁ話してごらん?」
にっこり優しい口調で話しているけど。圧が!圧が怖いです!!
「・・・えっとー何と言われても?」
とぼけてみるが、うん。目が笑ってないよ。怖すぎだよ。
「とりあえず、分かることから聞こうか?リュカも朝まで訓練、いや、鍛錬させたから。お昼までは起きないだろう。妖精達も、ほら。寝てしまった。もう邪魔は入らないぞ?」
・・・させた?今、鍛錬させた?って言った??お兄様??
困惑しながらも「訓練してたのは、薬のせいじゃないの?」
「んー頑張る姿を見せると惚れそうだな。って話してたら、勝手にやる気になっただけだ。脳筋だからな。」
恐ろしい!!!
腹黒いです!お兄様!!もう、お兄ちゃんじゃない!お兄様と言わせていただきます!!逆らったら怖すぎ!
「あ、えと、まず。私はこの世界の人間じゃないんです。」
「・・・は?」
「気付いたら、森にいてーエレンとばったりあったら、もう殺されかけてた?瀕死だったのね。洞窟に逃げ込んだけど。エレンはその時に私に自分の全てを渡してくれて、、、あっ!この姿は元々の私だからね!そっくりで驚いたの!そしたら、森が燃えててびっくりして、逃げたら崖から落ちてね。川があったから助かったよ~気を失なってた所をバーに助けて貰ったの。イスン?」
ざっくりと事の成り行きを説明したら、イスンは頭を抱えながらテーブルにもたれてた。
(チズルは、迷い人だったのか。迷い人も貴重でここ何千年はいなかったと聞くがーーエレンに出会い、光の一族を受け継いでしまったのか。参ったな、思った以上に話がデカい。)
「では、チズルは迷い人。で間違いないんだな?別世界からの来訪者を迷い人と呼んでいるんだ。」
「そうなのね、じゃぁ私は迷い人で間違いないよ。だから、エレンとは数分しか会った事が無いんだ…何も分からなくてごめんなさい。」
しょんぼりする千鶴に、同情しながらイスンは頭を撫でる。
「大丈夫だ。何も分からないのに、よく頑張ったな。もう安心していいぞ?俺が、俺たちが守るからな?」
優しい言葉に涙が出そうになる。
バー以外に初めて打ち明けたからだ。
バーと離れて不安だったけど、イスンには全て話して協力して貰おうと思った。
「よく分からないから、色々教えてくれる?」
「ああ。もちろんさ。何かあるのか?」
「バーに色々と隠蔽して貰ったんだけど、何が常識かよく分からないんだよね。ステータスを見てくれる?その方が説明がしやすいし。」
「そうだな、では見せてくれ。」
「解除」と言いながら隠蔽を解くとステータス画面に文字が浮き出てきた。髪や瞳の色も一緒に解除されてしまった。まだ、操作が難しいようである。
「この髪はエレンのなんだな、、、エレンっっ」
腰まである髪を優しく掴みながら軽く口づけをする。悲痛な顔を直視出来ず。ステータス画面を見ていた。
「あれ?何か増えてる?」
ステータス画面を見るのは、バーから離れて初めてだ。そんな機会が無かったのが理由だ。
「何か増えたのか?スキルとかか?増えやすいからな。」
イスンが顔を上げて画面を見るとその数々に驚愕した。
「なんっっだ、このスキルはっっしかもレベルが無限だとーーそんなレベルは聞いた事がない。全ての魔法…全属性かそれに聖女・・・はぁ。何から突っ込んでいいのやら、」
深いため息を何度もするイスンに何故か申し訳なく思う。
「錬金術が使えるのか?凄いな、今は殆ど使えないぞ?それに、メチャット販売?何だそれは?」
聞き慣れたフレーズ。このメチャット販売は、よくネット通販で使用していた会社名。
まさかの通販が出てくるとは夢にも思わなかったよね。
「これは、私がよく使っていたお店の名前で、これで注文すると届くんです。」
「?」
理解出来ないと顔に書いてある。えぇえぇ、分かってますよ!私だって半信半疑なんだから。
意を決して「メチャット販売」を押してみた。
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