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おばあちゃんの贈り物

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 エロ漫画が大好きだ。

 世の中の色んな漫画があるがエロが入っていれば何でも楽しく見てしまう。初めて見たのは祖母の家だった。あれは、エロ漫画ではなくハメ撮り写真だったのだが、そこに映された男性と女性が繋がっている姿はまるで幸福の象徴だった。

 若い女性と金髪の彫りの深い男性が互いの性器を舐めたり、濃厚なキスをしている写真。隠れて見ていたのにいつの間にかなくなってしまった。
 私はエロ漫画を隠しておくようになり祖母にはバレていなかった。

 脳内は常にエロいことを考えていて、毎日が楽しかった。

 道を歩けば交尾を見て笑顔になり
 授業中も聞きながら交尾について考えて
 乳繰り合っているところを見たら心で喜んだ

 田舎でドラノモンがないため初めて行った秋の原で生エロ本を見て興奮した。レジで女性店員が男性店員に怒っていた。通販でエロを嗜むようになり、実家にエロ同人誌が届いた。

 勝手に姉に開封されて皆の前で見せびらかされるまで幸せだった。

「あんたなんて性癖なのよ頭おかしいんじゃないの?」
「タコみたいなのに犯されているじゃない」
「うるせーそれは触手って言ってエッチな事に使うエッチなモンスターなんだよ!」

 あの日から私は家族の中から孤立してしまい、祖母の家に強制的に住むようになった。実家にいる頃の荷物検査がなくなって大好きなエロ漫画に囲まれて幸せな日々。認知症になる前は活発な祖母だったが、認知症になってからおかしなことを言うようになった。

 意味の分からない饒舌な言葉だった。

 何故かお金があった祖母が高級老人ホームに行き、見舞いに行くと持っていたエロ漫画を見られて久しぶりに会話が通じた。

「ここね、おばあちゃんは異世界に行ったことがあるのよ。素晴らしい筋肉質な男に人と中出しセックスを沢山したの」

 一瞬気が狂ったのかと思われる言葉で、反応に困ってしまった。

「おばあちゃんと騎士団長のセックス写真を見ていたでしょう。ああいう人が異世界には沢山いるのよ。もう地球人と寝られないわね。」
「もしかして、私も異世界人の血が流れているの?」
「お父さんのモノを見たことがないのね。一滴も流れてないわ。20歳の時に夫が死んで息子を育ててきたけれど、こっちの世界の男の子供だったわ。ここね、あんたにもおばあちゃんと同じドスケベの血が流れているわ。異世界に来なさい」

 肩を叩かれて幸せそうな笑顔で言われるとこの日の面会時間は終わった。

 祖母カツオは異世界に行ったことがあるらしい。言葉にしてみると面白いものだ。

 カツオ、異世界に行く
 カツオ、異世界で騎士団長とハメ撮りセックスをする
 カツオ、孫がハメ撮り写真を見たことを知っていた

 本当にろくでもない孫でごめん。

 祖母がなくなると一軒家と現金を少しだけ残された。誰も遺産に興味がないみたいで葬式が終わるとすぐに家に帰っていった。私は一軒家で住むことを決めて仏壇に拝んでいるときだった。
 お線香を入れている箱が気になり開けて見るとそこには見たことのないお金と紙、指輪が入っていた。

 紙に触れると経年劣化のためかすぐに消えてしまい、お金は一円玉くらいの大きさのものが沢山あった。指輪はシンプルなシルバーリングで飾りが何もついてない。

「おばあちゃん、異世界でおちんちんに触れるって言っていたけれど嘘じゃん。あー、久しぶりに家族に会ったら挨拶しかしないし。本当に私の存在が邪魔なんだなあ」

 久しぶりに会った両親は姉の家族と一緒に暮らしていて私の部屋がないことを告げられた。
 家には荷物がないからいいものの、正直……ドン引きしてしまった。つい先日高校を卒業して祖母を亡くした私に言う台詞じゃないなあと。

 気が滅入ったので仰向けになってエロ漫画を読むことにした。
 今日は寝取られもののエロ漫画でも見てみよう。

 指輪をつけてエロ漫画を見るとエロ漫画が光り出す。
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