ベッドの下に誰かいる。

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1.ベッドの下に誰かいる

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いつものように帰宅して夕飯食べてネットサーフィンをしてお風呂に入って…そうこうしている内に日付は変わっていた。

こんな毎日はダメだ。
私、変わらないと!

といつも思っているが面倒で行動に移せてないし、多分今後も移さないと思う。


「考えても仕方ない。今日はもう寝よう。」

ベッドに腰をかけ、スマホを手に取ってイヤホンを刺す。

そしてスマホでYouTubeの適当な動画を再生しながら、イヤホンの着脱を繰り返して音漏れしていないか確認する。

この作業は実家暮らしの私にとって生きるために必要なことだった。

十分な確認が済み、やっと本命の動画を再生する。

タイトルは
【ヤンデレ】久しぶりに再開した幼馴染に監禁されて【女性向けASMR】。

このようなシチュエーションボイズを聴きながら眠ることが私のルーティーンなのだ。

結果としてシチュエーションボイズに夢中になり睡眠時間が少なくなってしまう事も多いが仕方ないと思う。

「あーしあわせー。」

イヤホン越しに聴こえる声に身を任せ、ゆっくりと瞼を閉じた。

……………………

やはりシチュエーションボイズ(ASMR)は眠たくて頭がぼんやりしている時に聴くのが一番良い。

何といってもこのリアルな臨場感。

特にさっき押し倒された時のベッド揺れはすごかった。
本当に揺れたように感じた。


ドンッ


ほら今もまた……ん?
今はそんなシーンじゃなかった気もするけど…


ドンッ


「……………。」


ドッ…


目を開けてイヤホンを取る。

実際にベッドがガタガタと揺れ、まるで下から突き上げられるような音が鳴っていた。

地震だろうか。
しかし周りの家具は揺れていない。
このベッドだけが揺れている。

一気に現実に引き戻され、心臓の鼓動が速くなる。

ハッと床を見下ろすと、ベッドの下から這い出る男の後頭部と骨張った手が見えた。

119?101?
警察ってどうやって呼ぶんだっけ??

気づくと男はほとんどベッドの下から体を出しており、片手にバールのようなものを持っていた。

助けを呼ぼうと口を必死にハクハクさせるが、肝心の声が出ない。

男は立ち上がってベッドの上にいる私を見下ろす。


そして


私に抱きついてきた。
「?????。」
状況が理解できていない私をよそに男は私の耳元で小さな声で囁いた。

「会いたかったよアヤちゃん。俺、アヤちゃんと同じ空間にいれて同じ空気吸えてしあわせ。」

そして私の存在を確認するように何度も何度も抱きしめてくる。

私も彼と背中に腕を回してみる。
すると相当嬉しかったらしく何かが当たっているような感触がした。

気味が悪いが死ななければまだマシだと思った。

「あの…もしかしたら私が忘れているかもで申し訳ないんですが…貴方は誰ですか?」

彼を刺激しないようにゆっくりと声を掛けた。

「俺?俺はね、ルイ。」
「ルイ…さん…?」

男の名前はルイと言うらしい。

「そうルイだよ。でも呼び捨てしていいからね。遠慮は無しだよ。これから同棲するんだし。」
「…え?同棲…ですか?」

「これからよろしくね。アヤちゃん。」

ルイは爽やかに笑った。



















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