ベッドの下に誰かいる。

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2.豹変

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【前回のあらすじ】

いつものようにヤンデレシチュエーションボイズを聴きながら眠っていたアヤ。

いきなりベッドの下から男が登場!

死を覚悟して身構えていると
男に抱きしめられる。
そして男はアヤと同棲すると言い出して…
_________________________________

アヤは反射的に尋ねた。

「同棲って…あの同棲ですか?」
「あの同棲だよ」

「リア充が結婚する前にする同棲?」
「恋人が結婚する前に行う同棲だよ」

「……私たち付き合ってませんよね?」
「大丈夫、俺そういうの気にしないから」

自分の頬をつねってみる。

ちゃんと痛かったし、何故かそれを見たルイに両手で頬をモチモチされる。

これが現実なら私はどうするべきなのだろうか。

私は床に転がったバールに目を落とす。

彼がバールを持っていたのは、私に危害を加えるためではなく、私の部屋に侵入するのに必要だったからなのだろうか。


そんなことを考えて彼の顔に目を移す。

よく見ると端麗な顔をしている。
肌は白く、サラサラした黒髪が少し目にかかっている。

ただ、どこか虚で怖い。


ルイは黙りこんだ私を見て口を開いた。

「本当は監禁したりしたかったんだけど慣れない環境だとアヤの健康に良くないかなって思って、アヤの家で同棲することにしたんだよ」

「あとアヤ実家暮らしだから、親御さんにバレないようにベッドの下に隠れてたの。俺、気がきくでしょ?」

ルイはそう言ってアヤの髪を指で梳かした。

「そ…う…かも?」

ヤンデレイケメンは大好物だ。
現実世界でも出逢いたいと思っていた。

だが実際出逢ってみると
どんなにイケメンであっても、ドキドキより怖いという感情が優ってしまう。

やっぱり私は…

「ごめんなさい…。私は貴方と同棲できません」








気がつくと天井を見ていた。
私の頭がベッドに押さえつけられていた。

「なんで?なんでできないの?」

上の方から声が聞こえる。

「えっ…それは…ァっ」

手に力が入り、私の頭がベッドに減り込んでいく。

「好きじゃないの?俺のこと好きじゃないってこと???」

「ッ……違い…ます!そ…私は…」

痛い苦しい。
どうにかこの場を乗り切れるようなことを言わなれば…。

「私恥…ずかしくって!!!」




力が緩まった。おそるおそる頭に乗せられた手をどかして彼の顔を見上げるが、
表情が読めない。

しばらくすると彼はふにゃふにゃと顔を崩して笑った。

「そっか、恥ずかしかったんだね。
そうだよね!君ってウブだから、恥ずかしくてそういうことしちゃうよね。
大丈夫?起き上がれる?」

彼は割れ物に触るように私に触れると
ゆっくりと起き上がらせてくれた。

さっきの出来事が嘘みたい彼は優しくなった。

「…わざわざありがとうございます」

「当たり前のことでしょ。
あと俺、今夜はベッドの下で眠るから。
安心してベッドで寝て良いよ」

そう言って彼は床に寝転がると
自分の体をベッドの下に強引に押し込み始めた。

「じゃあアヤちゃん、おやすみなさい」

「おやすみなさい…。」

考えても仕方ない。今日はもう寝よう。
私は心底そう思った。























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