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第11章「異世界編、始まる」

第66話「声の主」

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 ---気がつくと、洞穴の中はゴブリン達の死体でいっぱいだった。これはもう地獄絵図だ。

 出てきた瞬間に無慈悲に殺されるゴブリン達の死体を見て、わずかながらに同情心が芽生え始めている俺。ほんと女って理不尽だよな。

 「イヤァァァァァ!!??」

 「!?」

 そんなことを思っていると、奥から女性の悲鳴が木霊(こだま)した。やっぱり他の人がいたのか。

 「あっ」

 女性の悲鳴が聞こえた瞬間、有紗とみのりは真っ先に声のする方に走って行った。俺は慌てて2人の後を追いかけた。

 ---奥に少し進むと、かなり広めの場所に出た俺達。

 「ッ!?」

 その場所でまず先に目に入ったのはまた裸にされている女性だった。さっきの女性より土まみれになっていた。必死になって逃げてきたのだろうか?

 「あの、大丈ぶっ!?」

 「だから見んな、変態!」

 俺は女性の元に駆け寄ろうとしたが、再び有紗の裏拳で止められた。純粋な親切心で行動したのになぜ殴られたのだろう?

 「大丈夫ですか?」

 俺が裏拳を喰らっている間にみのりが先に女性の元に駆け寄り、装備用のマントを掛けてあげていた。

 「うっ、うっ、助けて…」

 女性はすすり泣きながらみのりにすがりつき、消え入りそうな声で助けを求めた。よっぽど怖い思いをしたに違いない。

 この人が依頼された女性かは知らないが、放っては置けない。

 「みのり、その人を連れて…」

 「ウゥゥゥゥム」

 「!?」

 とりあえず女性を外に出そうとみのりに促さそうとしたそのとき、前から野太い声が聞こえてきた。なにかがこっちに近づいて来ている。

 今の声は人間の声というより獣の唸り声に近い。直感的に人間ではないと思った。

 「イ、イヤ…」

 声が聞こえた途端、女性は絶望するような表情を浮かべ、そのまま蹲り出した。

 みのりが「大丈夫ですか?」と何度も問いかけるが、恐怖心に飲み込まれまったく聞いておらず、ずっと蹲っている。

 「サッキカラ妙ニウルサイ音ガシテイタノハオマエ達ノ仕業カ?」

 「…えっ?!」

 女性が蹲っているなか、さっき声がした方から薄気味悪い声で俺達に問いかけてきた。妙にカタコトっぽい喋り方だが、人間の言葉を発している。モンスターじゃなかったのか?

 「ホホオォォウ。孕ミ袋が2ツモ増エテルジャナイカ」

 「なっ!? こ、こいつ…」

 声の主は徐々に近づいて来ると共に足音と地面の振動が大きくなっていく。

 このデカい足音と足音がするたびに起きる地面の振動から察するに間違いなく声の主はモンスターだ。喋るタイプのモンスターっていうことか。

 そして、背丈5メートルぐらいする巨体が姿を現した。
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