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もう離れない その7
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黒スーツの男性曰く、今回の件を引き起こした開発者・高畑氏の共同研究者だった人物が、およそ一年を掛けて、高畑氏の手によってガチガチにプロテクトされていたゲームサーバへの侵入を果たし、ゲーム内へと侵入り込み、ラスボスだった高畑氏の討伐に成功したらしい。
その話を聞いて、その人物が熊吉さん達が話していたチーターだったのかなぁとちらりと思った。
けど、会ったこともない相手に何も思うことはなかった。
そして無事に解放されたテストプレイヤー達は、保護されていた病院で次々と目を覚ましたらしい。
因みに、悪趣味なデスゲームが始まった段階で、テストプレイヤーの身体は指定された各病院に搬送され、ありとあらゆる生命維持の手段を取られ、手厚く保護されていたらしい。高畑氏の指示で。
そこまで手を回すなら、そもそもデスゲームなぞするんじゃない! と声を大にして言いたい。
更には、寝たきりとなっていたテストプレイヤーに対してそこそこの慰謝料も支払われるそうだ。高畑氏の私財から。
どうやら開発者の高畑氏は非常に天才的な人物らしく、数々の特許を持っていて大変な資産家なのだそうだ。なので、入院費やら慰謝料やらを支払っても全然余裕らしい。
そんな才能があるなら、そもそもデスゲームなぞ以下略。
因みにだが、面倒ごとに巻き込まれた私を血の繋がった家族達は早々に捨てたそうだ。
縁を切った後に慰謝料が支払われると聞きつけて、大金が手に入ると押しかけてきたらしいが、高畑氏が手配していた管財人にすげなく追い払われたとか。
はっ! ざまぁ!
高畑氏の手厚い保護はまだあって、寝たきりになった事による社会的な補償も適切に行われていたらしい。
例えば会社員だったら、就業できない間の補償金が企業に対して支払われたり、目覚めた後の復職が可能なように手配されているとか。
今回の事件で一体どれだけの金銭が動いたのかと……。
そんな財産があるなら、そもそもデスゲ……以下略。
因みにだが、面倒ごとに巻き込まれた私を就職先のブラック企業は早々にクビにしたそうだ。
クビにした後に補償金が支払われると聞きつけて、大金が手に入るとクビを撤回しようとしたらしいが、これまた管財人にすげなく追い払われたそうだ。更にはこの管財人が違法な勤務形態とクビ切りを労基にチクったらしく、最早会社自体がなくなったとか。くどいかもしれないが敢えて言おう。
はっ! ざまぁ!
という話を徒然と聞いていると、あっという間に十五分は過ぎ去り、黒スーツの人は明日また来ますと去って行った。
怒涛の展開に未だ動きの鈍い思考は回らず、ぽかんとするばかりだった。
そんなこんなで、黒スーツの人との話し合いを重ね、リハビリを行い、何とか人並の生活が送れるようになったと太鼓判を押され退院する頃には、更に一年近い月日が流れていた。
退院してからも、最早寄るべき家族も職場も無くなった私は、支払われた慰謝料にはなるべく手を付けないようにしながら、早急に生活基盤を整える事にした。
そうして見つけたのが、あのカフェでの仕事だった。
『ユエ』としてだったが、培った接客業のスキルは、カフェの仕事とも相性が良かった。
何故か目の敵にしてくる同僚もいたが、そんな事は些末な事で。
当たり障りのない人間関係を築いて、穏やかに緩やかに日常を営もうと、平穏で退屈な日々がずっと続くようにと、必死に足掻いていた。
胸の奥で燻る、あの人への想いを忘れられないままに。
でもそれでもいいと思っていた。どうせリン以上に好きになれる人なんてこの世界にいないのだから。
あの、いつ死ぬかもわからない、いつ世界が終わるかもわからない極限の状況だったから、私は私の恋心に素直になれた。
現実の私とは違う、そこそこ高レべの元回復職でそこそこ有能なポーションを作る魔女の『ユエ』として在ったから、キラキラ眩しいばかりの彼に素直に想いを告げられた。
それが今はどうだろう。穏やかで緩やかで平穏で……つまらない現実の中で、私はあれほどまでに素直に気持ちを表せるのだろうか。
……それは否としか言えなかった。だってこの世界の私には誇れるものもスキルも何もない。だから私は……。
結べる方が楽だからと何となく伸ばしたカラーもした事ない黒髪を、これまたありきたりな黒い髪ゴムで纏めて、そこまで悪いわけでは無い視力を矯正するありきたりな眼鏡で顔を隠して、もう二度と恋なんてできないと諦めながら現実を生きていく。
はずだったのに……
その話を聞いて、その人物が熊吉さん達が話していたチーターだったのかなぁとちらりと思った。
けど、会ったこともない相手に何も思うことはなかった。
そして無事に解放されたテストプレイヤー達は、保護されていた病院で次々と目を覚ましたらしい。
因みに、悪趣味なデスゲームが始まった段階で、テストプレイヤーの身体は指定された各病院に搬送され、ありとあらゆる生命維持の手段を取られ、手厚く保護されていたらしい。高畑氏の指示で。
そこまで手を回すなら、そもそもデスゲームなぞするんじゃない! と声を大にして言いたい。
更には、寝たきりとなっていたテストプレイヤーに対してそこそこの慰謝料も支払われるそうだ。高畑氏の私財から。
どうやら開発者の高畑氏は非常に天才的な人物らしく、数々の特許を持っていて大変な資産家なのだそうだ。なので、入院費やら慰謝料やらを支払っても全然余裕らしい。
そんな才能があるなら、そもそもデスゲームなぞ以下略。
因みにだが、面倒ごとに巻き込まれた私を血の繋がった家族達は早々に捨てたそうだ。
縁を切った後に慰謝料が支払われると聞きつけて、大金が手に入ると押しかけてきたらしいが、高畑氏が手配していた管財人にすげなく追い払われたとか。
はっ! ざまぁ!
高畑氏の手厚い保護はまだあって、寝たきりになった事による社会的な補償も適切に行われていたらしい。
例えば会社員だったら、就業できない間の補償金が企業に対して支払われたり、目覚めた後の復職が可能なように手配されているとか。
今回の事件で一体どれだけの金銭が動いたのかと……。
そんな財産があるなら、そもそもデスゲ……以下略。
因みにだが、面倒ごとに巻き込まれた私を就職先のブラック企業は早々にクビにしたそうだ。
クビにした後に補償金が支払われると聞きつけて、大金が手に入るとクビを撤回しようとしたらしいが、これまた管財人にすげなく追い払われたそうだ。更にはこの管財人が違法な勤務形態とクビ切りを労基にチクったらしく、最早会社自体がなくなったとか。くどいかもしれないが敢えて言おう。
はっ! ざまぁ!
という話を徒然と聞いていると、あっという間に十五分は過ぎ去り、黒スーツの人は明日また来ますと去って行った。
怒涛の展開に未だ動きの鈍い思考は回らず、ぽかんとするばかりだった。
そんなこんなで、黒スーツの人との話し合いを重ね、リハビリを行い、何とか人並の生活が送れるようになったと太鼓判を押され退院する頃には、更に一年近い月日が流れていた。
退院してからも、最早寄るべき家族も職場も無くなった私は、支払われた慰謝料にはなるべく手を付けないようにしながら、早急に生活基盤を整える事にした。
そうして見つけたのが、あのカフェでの仕事だった。
『ユエ』としてだったが、培った接客業のスキルは、カフェの仕事とも相性が良かった。
何故か目の敵にしてくる同僚もいたが、そんな事は些末な事で。
当たり障りのない人間関係を築いて、穏やかに緩やかに日常を営もうと、平穏で退屈な日々がずっと続くようにと、必死に足掻いていた。
胸の奥で燻る、あの人への想いを忘れられないままに。
でもそれでもいいと思っていた。どうせリン以上に好きになれる人なんてこの世界にいないのだから。
あの、いつ死ぬかもわからない、いつ世界が終わるかもわからない極限の状況だったから、私は私の恋心に素直になれた。
現実の私とは違う、そこそこ高レべの元回復職でそこそこ有能なポーションを作る魔女の『ユエ』として在ったから、キラキラ眩しいばかりの彼に素直に想いを告げられた。
それが今はどうだろう。穏やかで緩やかで平穏で……つまらない現実の中で、私はあれほどまでに素直に気持ちを表せるのだろうか。
……それは否としか言えなかった。だってこの世界の私には誇れるものもスキルも何もない。だから私は……。
結べる方が楽だからと何となく伸ばしたカラーもした事ない黒髪を、これまたありきたりな黒い髪ゴムで纏めて、そこまで悪いわけでは無い視力を矯正するありきたりな眼鏡で顔を隠して、もう二度と恋なんてできないと諦めながら現実を生きていく。
はずだったのに……
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