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第53話 天使と聖女
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アンドロスは完全に消滅した。私とエレノーラ様は磔にされた天使達のもとへと駆け寄る。
「あら、また捕まっておられるのですか。もう何度目ですか……」
エレノーラ様は呆れた様子で磔にされた五人の天使達に相対している。
『うぅ……私達は平和の使節。彼らもきっとわかってくれるはず……』
身長三メートルほどもあり、白く輝く身体はあざだらけで傷つき腫れている。立派な羽根も至るところに傷があり威厳が損なわれている。
「無駄ですわ。アビスで善側から交渉など、愚の骨頂です。私が彼らの立場でも同じことを致しますわ」
『聖女エレノーラ、では貴女はここで何をしているのだ?』
「弟子に稽古をつけているのです」
エレノーラ様はそう言うと、魔法で枷を外して五人の天使すべてを開放する。
『おお、助かった。感謝する』
エレノーラ様は更にエリアハイヒールで傷ついた天使達を全快させる。五人の天使達は苦痛から解放され、笑顔になる。
「交渉は大天使か神様からの命令なのですか?」
『それもあるが、この地の開放は我らの悲願なのだ。諦めるわけには……』
「残念ですが貴方がたの力では話になりませんわ」
『お主の目からそう見えるか、いかがしたものか……』
「師匠、でしたら彼らの上司に出てもらってはどうですか? 私も前の世界で自分の力で無理なら上司に報告して対応してもらいましたよ」
思わず横槍を入れてしまった。私の発言にエレノーラ様は目を丸くする。
「まあ! タクトでも不可能なことってあるのですか?」
「不可能なことだらけでしたよ、ハハハ……」
「まあご謙遜を。ですがそうですね。天使の皆さま、戻り次第きちんと今回の事、報告してください」
『わかった。すべてを報告する。聖女エレノーラ、改めて我らを助けてくれたこと、感謝する』
「お役に立てて何よりでございます」
エレノーラ様はひざまずいて頭を下げた。しかしこうして見ていると両者の力の差は明白だ。この世界では聖女とは天使すら凌駕する存在なのだろうか?
天使達は翼を広げ上空へと舞い上がる。私達をずっと見つつ、やがて天界への扉を開き、元の場所へ帰っていった。
天使達を見送りつつ、私はふとした疑問を口にする。
「師匠、天使とは信仰の対象ではないのですか?」
私の質問にエレノーラ様は少しきょとんとして答える。
「そうですね。信仰している人々もいますが、あくまで彼らは神の使者。直接の信仰対象ではありません」
「なるほど。私はてっきりそういうものだと思っていたので、師匠の振る舞いが凄まじいなと感心してました」
神とはいかなくても、天使は人間からすれば超越者だ。だがエレノーラ様からはそういった姿勢を感じなかった。
「まあ、彼らは天使でも最下位に属する方々ですし。もっと高位の天使でないと駄目でしょうね」
エレノーラ様の話はもっともだと思う。私はそれでも口をついて出してしまった。
「聖女と天使は対等な存在なのでしょうか?」
「いいえ。聖女といえど人間ですから。天使の寿命は長いですし、特別な力を持っていますわ」
エレノーラ様は淡々と話してくださるが、私は率直な思いを語る。
「師匠を見ていて、聖女についてもっと知りたいと思っています」
「私達聖女をですか?」
「はい。聖女がすべて師匠のような存在なのか、聖女の役割や本質を知りたいのです」
私の言葉にエレノーラ様は少し考え込んでから答える。
「わかりました。それについては手配して機会を設けましょう。私で教えられることは教えます」
「ありがとうございます! 私ももっと具体的に知りたいことをまとめておきます」
エレノーラ様に失礼だったか危惧したが、理解を示してくださってよかった。天使の事はまた文献を探してみよう。
その時突然瘴気が立ち込め、新たな悪魔が私達の前に出現するのだった。
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「あら、また捕まっておられるのですか。もう何度目ですか……」
エレノーラ様は呆れた様子で磔にされた五人の天使達に相対している。
『うぅ……私達は平和の使節。彼らもきっとわかってくれるはず……』
身長三メートルほどもあり、白く輝く身体はあざだらけで傷つき腫れている。立派な羽根も至るところに傷があり威厳が損なわれている。
「無駄ですわ。アビスで善側から交渉など、愚の骨頂です。私が彼らの立場でも同じことを致しますわ」
『聖女エレノーラ、では貴女はここで何をしているのだ?』
「弟子に稽古をつけているのです」
エレノーラ様はそう言うと、魔法で枷を外して五人の天使すべてを開放する。
『おお、助かった。感謝する』
エレノーラ様は更にエリアハイヒールで傷ついた天使達を全快させる。五人の天使達は苦痛から解放され、笑顔になる。
「交渉は大天使か神様からの命令なのですか?」
『それもあるが、この地の開放は我らの悲願なのだ。諦めるわけには……』
「残念ですが貴方がたの力では話になりませんわ」
『お主の目からそう見えるか、いかがしたものか……』
「師匠、でしたら彼らの上司に出てもらってはどうですか? 私も前の世界で自分の力で無理なら上司に報告して対応してもらいましたよ」
思わず横槍を入れてしまった。私の発言にエレノーラ様は目を丸くする。
「まあ! タクトでも不可能なことってあるのですか?」
「不可能なことだらけでしたよ、ハハハ……」
「まあご謙遜を。ですがそうですね。天使の皆さま、戻り次第きちんと今回の事、報告してください」
『わかった。すべてを報告する。聖女エレノーラ、改めて我らを助けてくれたこと、感謝する』
「お役に立てて何よりでございます」
エレノーラ様はひざまずいて頭を下げた。しかしこうして見ていると両者の力の差は明白だ。この世界では聖女とは天使すら凌駕する存在なのだろうか?
天使達は翼を広げ上空へと舞い上がる。私達をずっと見つつ、やがて天界への扉を開き、元の場所へ帰っていった。
天使達を見送りつつ、私はふとした疑問を口にする。
「師匠、天使とは信仰の対象ではないのですか?」
私の質問にエレノーラ様は少しきょとんとして答える。
「そうですね。信仰している人々もいますが、あくまで彼らは神の使者。直接の信仰対象ではありません」
「なるほど。私はてっきりそういうものだと思っていたので、師匠の振る舞いが凄まじいなと感心してました」
神とはいかなくても、天使は人間からすれば超越者だ。だがエレノーラ様からはそういった姿勢を感じなかった。
「まあ、彼らは天使でも最下位に属する方々ですし。もっと高位の天使でないと駄目でしょうね」
エレノーラ様の話はもっともだと思う。私はそれでも口をついて出してしまった。
「聖女と天使は対等な存在なのでしょうか?」
「いいえ。聖女といえど人間ですから。天使の寿命は長いですし、特別な力を持っていますわ」
エレノーラ様は淡々と話してくださるが、私は率直な思いを語る。
「師匠を見ていて、聖女についてもっと知りたいと思っています」
「私達聖女をですか?」
「はい。聖女がすべて師匠のような存在なのか、聖女の役割や本質を知りたいのです」
私の言葉にエレノーラ様は少し考え込んでから答える。
「わかりました。それについては手配して機会を設けましょう。私で教えられることは教えます」
「ありがとうございます! 私ももっと具体的に知りたいことをまとめておきます」
エレノーラ様に失礼だったか危惧したが、理解を示してくださってよかった。天使の事はまた文献を探してみよう。
その時突然瘴気が立ち込め、新たな悪魔が私達の前に出現するのだった。
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