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第15話 手紙は焼却炉へ。今の私には彼がいます
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「……どうかしら、マーサ。少し派手すぎない?」
鏡の前で、私は身体をひねってドレスの具合を確認した。
今夜の晩餐会のために用意したのは、真紅のベルベットのドレスだ。
首元はスクエアカットでデコルテを綺麗に見せつつ、袖は長いレースで上品に覆われている。
深い赤色は、私の黒髪と白い肌をより一層引き立て、まるで雪の中に咲く薔薇のような印象を与えていた。
「いいえ、とんでもございません! エルナ様、息を呑むほどお美しいですわ。これなら、あのピンク色の珍獣様も霞んで見えますでしょう」
マーサさんが力強く太鼓判を押してくれた。
「珍獣」という表現に、私は思わず吹き出してしまった。
確かに、あの派手なピンク色のコートと、常識の通じない言動は、珍獣と呼ぶにふさわしいかもしれない。
「エルナ、準備はできたか?」
ノックと共に現れたレオン様もまた、私の姿を見て動きを止めた。
「……赤か。君には青が一番似合うと思っていたが、赤も素晴らしいな。情熱的で……私の理性を揺さぶる」
彼は私の手を取り、甲に熱い口付けを落とした。
その瞳の奥には、今すぐにでも私を連れ去ってしまいたいという欲望が見え隠れしている。
「ありがとうございます、レオン様。……今夜は、負けられない戦いですから」
「ああ。君のその美しさだけで、勝負はついていると思うがね」
彼は私の腰を抱き寄せ、エスコートの体勢をとった。
「行こうか。……珍客が待ちくたびれている頃だ」
***
ダイニングルームの扉が開かれると、そこにはすでにミューアが座っていた。
ただし、席は上座ではなく、長いテーブルの最も下座――つまり、入り口に一番近い末席だ。
「遅いですわよ、お姉様! それに公爵様も! お客様を待たせるなんて、マナーがなっていませんわ!」
ミューアは立ち上がって抗議した。
彼女が着ているのは、胸元が大きく開いた、薄手のピンク色のドレスだった。
王都の最新流行なのかもしれないが、ここは北の果てだ。
城内は魔法で暖房が効いているとはいえ、見た目からして寒々しい。
案の定、彼女の肌には鳥肌が立っているのが見えた。
「これは失礼。……準備に手間取ってしまってな。愛する婚約者が美しすぎて、部屋から出るのが惜しかったもので」
レオン様は悪びれもせず、私を伴って最上座へと進んだ。
そして、当然のように自分の隣――すぐ右手の席に私を座らせた。
「ちょ、ちょっと待ってください! どうして私がこんな端っこなんですの!? 聖女である私の席は、公爵様のお隣であるべきですわ!」
ミューアが金切り声を上げた。
彼女の席から私たちまでは、長いテーブルを挟んで十メートル近く離れている。
会話をするにも大声を出さなければならない距離だ。
「君は『招かれざる客』だ。席があるだけ感謝してもらいたい」
レオン様は冷たく言い放ち、セバスチャンに目配せをした。
「それに、そこは風通しが良くて気持ちいいだろう? 頭を冷やすには丁度いい」
実際、彼女の席のすぐ後ろは配膳用の扉があり、人の出入りがあるたびに冷たい廊下の風が吹き込む特等席(悪い意味で)だった。
「ひどい……! 私をいじめて楽しいんですの!?」
「被害妄想も大概にしろ。……さあ、食事を始めよう」
レオン様の合図で、給仕たちが料理を運び込んできた。
最初の一皿は、温かいポタージュスープだった。
私とレオン様の前には、湯気を立てる濃厚なカボチャのポタージュが置かれた。
これは農場で採れた「エルナ様野菜」の一つ、甘みの強い雪カボチャを使ったものだ。
「いい香りだ……」
レオン様がスプーンで一口運び、満足げに頷く。
一方、ミューアの前にもスープが置かれたが、彼女は不満そうに皿をスプーンでつついた。
「なによこれ……ただのカボチャスープ? 王都ではもっと高級なコンソメとか、珍しい魚介のスープが出ますわよ。田舎料理丸出しじゃない」
彼女は一口すすると、すぐに顔をしかめた。
「それに、ぬるい! こんな冷めたスープ、飲めませんわ!」
「おや、そうですか」
セバスチャンが恭しく、しかし冷ややかに答えた。
「厨房を出た時は熱々でしたが……お客様のお席までは距離がございますので、運んでいる間に冷めてしまったのかもしれませんな。何分、ここは寒い北国ですので」
「ならもっと近くに座らせなさいよ!」
「あいにく、上座付近は『公爵家関係者専用』となっております。部外者様はこちらで我慢していただくしか」
「部外者……っ!?」
ミューアは屈辱に顔を歪めたが、空腹には勝てないのか、文句を言いながらもスープを飲み干した。
その間、私とレオン様は優雅に食事を楽しんだ。
「エルナ、このカボチャは格別だ。君の魔力を受けて育ったからか、蜂蜜のように甘い」
「ふふっ、ありがとうございます。レオン様の畑の土が良かったんですよ」
「いや、君の愛のおかげだ。……あーん」
「もう、人が見ている前で……」
私は恥ずかしがりつつも、口を開けてレオン様からスープをもらう。
その甘い光景を、十メートル先からミューアが鬼のような形相で睨みつけていた。
次々と料理が運ばれてくる。
メインディッシュは、北の森で狩猟されたボアのローストと、付け合わせの根菜グリルだ。
肉は柔らかく、噛めば肉汁が溢れ出す。野菜は素材の味が濃く、ソースなどいらないほどだ。
しかし、ミューアにとっては不満の種でしかないようだった。
「お肉とお芋ばっかり! もっとフォアグラとかキャビアとかないの!? 貧乏くさいわね!」
彼女はナイフとフォークを乱暴に動かし、皿にカチカチと音を立てた。
「貧乏くさい、か」
レオン様がナプキンで口元を拭い、静かに言った。
「君は知らないようだが、このボアの肉は、王都の市場なら金貨十枚はする希少部位だ。そしてこの野菜は、エルナの聖なる力によって育てられた、世界最高級の品質を誇るものだ」
「はぁ? お姉様が育てた野菜? 泥いじりなんてさせたの? やっぱりメイド扱いじゃない!」
「聖女の本来の役割は、大地を豊かにすることだ。君のように着飾ってふんぞり返っているだけの飾り人形とは違う」
レオン様の言葉に棘が含まれる。
しかし、ミューアはそれを理解しようともせず、鼻で笑った。
「ふん、負け惜しみね。……ねえ、公爵様。そんな地味な野菜の話より、もっと素敵な話をしましょうよ」
ミューアは立ち上がり、ハンドバッグから一通の封筒を取り出した。
またピンク色だ。懲りないのだろうか。
「私、公爵様のために『愛の詩』を書いてきましたの。これを読めば、私の魅力に気づいていただけるはずですわ」
彼女はその手紙を持って、こちらへ歩み寄ろうとした。
しかし、セバスチャンが立ちはだかり、進路を阻む。
「無礼講だ、通してあげなさい」
レオン様が意外なことを言った。
セバスチャンが一礼して道を空ける。
ミューアは勝ち誇った顔で、カツカツとヒールを鳴らして近づいてきた。
「やっぱり公爵様も、私のことが気になっていたんですね? さあ、受け取ってくださいな。中には、私の部屋の鍵も入っていますのよ?」
彼女は媚びを含んだ上目遣いで、手紙を差し出した。
大胆すぎる誘惑だ。姉の前で堂々と、夜の誘いをかけている。
レオン様は、無表情のままその手紙を受け取った。
「……部屋の鍵、か」
「ええ。今夜、こっそりいらしてくださいな。お姉様には内緒で……きゃっ!」
ミューアの言葉は、悲鳴にかき消された。
ボウッ!!
レオン様が手紙を受け取った瞬間、その手紙が青白い炎に包まれ、一瞬にして燃え上がったのだ。
ミューアは慌てて手を引っ込めた。
「な、なにするんですの!?」
「汚らわしい」
レオン様は燃えカスとなった灰を、手も触れずに魔法の風で吹き飛ばした。
灰はミューアの顔に降り注ぎ、彼女は「ゲホッ、ゲホッ!」と咳き込んだ。
「私の神聖な食卓に、ゴミを持ち込むなと言ったはずだ」
「ゴ、ゴミですって!? 私の愛の手紙を!」
「愛? 笑わせるな」
レオン様が立ち上がった。
その威圧感に、ミューアがたじろぐ。
「君のそれは愛ではない。ただの欲望と、自己顕示欲の塊だ。……エルナへの手紙で懲りたかと思ったが、学習能力がないようだな」
「ど、どうして……。私の方が可愛いですわ! 若いですわ! 聖女ですわ! なのになんで、あんなお姉様ばかり……!」
ミューアは地団駄を踏んだ。
彼女の理屈では、自分が選ばれないことはあり得ないのだ。
「理由なら、いくらでも教えてやる」
レオン様は私の肩を抱き、ミューアに見せつけるように引き寄せた。
「エルナは、私の呪いを解いてくれた。私の凍りついた心に、温もりをくれた。私の領民を救い、笑顔をくれた。……そして何より、彼女の魂は君より遥かに美しい」
「魂なんて見えませんわ!」
「私には見える。君の魂は、欲にまみれてドス黒く濁っているが……エルナの魂は、雪原の星空のように澄んでいる」
レオン様は私の目を見つめ、優しく微笑んだ。
「エルナ。……今の私には、君がいればいい。他には何もいらない」
「レオン様……」
私は胸が熱くなった。
前回の手紙のタイトル、『手紙は焼却炉へ』。
まさにその通りになった。
そして続く、『今の私には彼がいます』。
その言葉が、現実のものとして胸に刻まれる。
「……帰りたまえ、偽聖女」
レオン様がミューアに向き直り、冷酷に宣告した。
「君がいると空気が澱む。せっかくの食事が不味くなる」
「くっ……くぅぅぅ……!」
ミューアは顔を真っ赤にして震えていた。
屈辱、怒り、そして理解不能な現実への混乱。
彼女はテーブルの上のグラスを掴むと、私に向かって投げつけようとした。
「お姉様のせいよ! お姉様がいなければ、全部私のものだったのに!」
「させない」
私が動くよりも早く、レオン様が指を弾いた。
パリンッ!
ミューアの手の中で、グラスが凍りつき、粉々に砕け散った。
水は氷の粒となり、キラキラと床に落ちる。
「ひっ……!」
「私の妻に手を出せばどうなるか、教えたはずだが?」
レオン様の瞳が、蒼く発光していた。
部屋の温度が急激に下がる。
ミューアの薄いドレスでは、数秒耐えるのも限界だろう。
「さむっ……痛い、寒い……!」
「セバスチャン、客人を部屋へ戻せ。……明日の朝一番で、王都へ送り返す」
「かしこまりました」
セバスチャンが冷ややかな笑顔で近づくと、ミューアは「覚えてらっしゃい!」と捨て台詞を吐き、ガタガタと震えながら逃げ出して行った。
去り際、彼女のピンク色のドレスが霜で白くなっているのが見えた。
「……やれやれ。嵐が去ったか」
レオン様はふぅ、と息を吐き、部屋の温度を元に戻した。
そして、私に向かって困ったように眉を下げた。
「すまない、エルナ。楽しいはずの食事が台無しだ」
「いいえ。……とてもスカッとしましたわ」
私は正直に言った。
性格が悪いと言われるかもしれないけれど、今まで彼女にされてきたことを思えば、これくらいのお返しは許されるだろう。
「それに、レオン様の言葉、とても嬉しかったです」
「本心しか言っていない。……さて、デザートを食べ損ねてしまったな」
彼はテーブルの上を見たが、冷え切った空気のせいでデザートのアイスクリームはカチカチになってしまっていた。
「部屋で飲み直そうか。……二人きりで」
「はい」
私たちは腕を組み、ダイニングルームを後にした。
***
自室に戻った私たちは、暖炉の前でホットワインを傾けていた。
揺れる炎を眺めながら、レオン様が静かに口を開いた。
「ミューアの様子を見る限り、王都の状況は深刻そうだな」
「ええ。あそこまで必死にレオン様に取り入ろうとするなんて……彼女自身、自分の立場が危ういことを感じ取っているのかもしれません」
彼女の焦りは異常だった。
単なるワガママや色欲だけでなく、切迫した何かを感じた。
おそらく、王都では「聖女」としての彼女への不満が限界に達しつつあるのだろう。
雨が降らず、作物が枯れ、物価が高騰する中、贅沢ばかりしている彼女を民衆が許すはずがない。
「彼女は、ここを新たな寄生先として選んだのだろうが……当てが外れたな」
レオン様はワインを一口飲み、皮肉っぽく笑った。
「彼女が去る時、王都の現状についていくつか情報を吐かせようと思う。……カイル王子が、次にどう動くか」
「カイル様は、プライドが高い方です。ミューアが失敗して戻れば、今度こそ軍を率いて来るかもしれません」
「だろうな。……だが、返り討ちにする準備はできている」
レオン様は私の肩に頭を乗せ、甘えるようにすり寄せた。
「戦の話はこれくらいにしよう。……今は、君のぬくもりを感じていたい」
「レオン様……」
彼の体温が心地よい。
ミューアのキンキンとした声を聞いた後だと、この静寂がより一層愛おしく感じられる。
「エルナ。……昨夜の疲れは、もう取れたか?」
不意に、彼の手が私の腰を撫でた。
その指先の動きに、心臓がトクリと跳ねる。
「え、えっと……まだ少し、足が……」
「そうか。なら、マッサージしてあげよう」
彼はニヤリと笑い、私を膝の上に抱き上げた。
それは絶対にただのマッサージでは終わらないやつだ。
「レオン様、明日はミューアを見送らなければいけませんし……」
「彼女の顔を見るのはセバスチャンに任せればいい。私たちは、ゆっくりと朝寝坊を楽しめばいいんだ」
彼は私の首筋にキスをした。
「『今の私には彼がいます』……そう言ってくれた君への、ご褒美だ」
「あ、聞いていらしたんですか……?」
「当然だ。あの言葉を聞いて、理性を保てた私を褒めてほしいくらいだ」
彼は私の耳を甘噛みした。
「愛している、エルナ。……今夜も、私を狂わせてくれ」
抗う術などなかった。
私はグラスをテーブルに置き、彼の首に腕を回した。
外は極寒の吹雪。
けれど、この部屋の中は、世界で一番熱い夜が始まろうとしていた。
***
翌朝。
ミューアは文字通り、叩き出されるようにして王都へと帰っていった。
セバスチャンの報告によると、彼女は馬車に乗り込む際、「絶対に後悔させてやるわ!」「お父様に言いつけてやる!」と泣き叫んでいたらしい。
お父様――つまり私の父であるフォレスティ公爵も、今は王都の混乱で手一杯のはずだ。
それに、父は「役に立つ道具」しか愛さない人だ。
偽聖女であることが露呈しつつあるミューアを、いつまで庇護するかは怪しいものだ。
「せいぜい、長い冬の旅を楽しんでほしいものだな」
レオン様はバルコニーから、小さくなっていくピンク色の馬車を見送った。
「さて、エルナ。邪魔者も消えたことだし、今日は何をしようか」
「そうですね。……また、図書室で勉強会でもしましょうか」
「勉強会か。ふむ、教材は『氷の騎士と薔薇の姫』の続きでいいか?」
「もう、真面目にやってください」
平和な日常が戻ってきた。
しかし、ミューアが持ち込んだのは、単なる騒動だけではなかった。
彼女が去った数日後。
私たちは、彼女が「置いていった」あるものを見つけることになる。
それは、彼女の部屋のゴミ箱に捨てられていた、王都からの書きかけの手紙。
そこには、王国の恐るべき計画の断片が記されていたのだ。
『聖女の強制連行』
『古代兵器の起動』
『北の焦土化作戦』
平穏な日々は、嵐の前の静けさに過ぎなかった。
物語はここから、一気に戦乱の気配を帯びていく。
けれど、今の私には怖れはなかった。
隣には最強の彼がいて、守るべき民がいて、そして私自身もまた、覚醒した聖女なのだから。
私たちは手を繋ぎ、城の中へと戻っていった。
来るべき戦いに備え、愛と絆をさらに深めるために。
(第15話 完)
鏡の前で、私は身体をひねってドレスの具合を確認した。
今夜の晩餐会のために用意したのは、真紅のベルベットのドレスだ。
首元はスクエアカットでデコルテを綺麗に見せつつ、袖は長いレースで上品に覆われている。
深い赤色は、私の黒髪と白い肌をより一層引き立て、まるで雪の中に咲く薔薇のような印象を与えていた。
「いいえ、とんでもございません! エルナ様、息を呑むほどお美しいですわ。これなら、あのピンク色の珍獣様も霞んで見えますでしょう」
マーサさんが力強く太鼓判を押してくれた。
「珍獣」という表現に、私は思わず吹き出してしまった。
確かに、あの派手なピンク色のコートと、常識の通じない言動は、珍獣と呼ぶにふさわしいかもしれない。
「エルナ、準備はできたか?」
ノックと共に現れたレオン様もまた、私の姿を見て動きを止めた。
「……赤か。君には青が一番似合うと思っていたが、赤も素晴らしいな。情熱的で……私の理性を揺さぶる」
彼は私の手を取り、甲に熱い口付けを落とした。
その瞳の奥には、今すぐにでも私を連れ去ってしまいたいという欲望が見え隠れしている。
「ありがとうございます、レオン様。……今夜は、負けられない戦いですから」
「ああ。君のその美しさだけで、勝負はついていると思うがね」
彼は私の腰を抱き寄せ、エスコートの体勢をとった。
「行こうか。……珍客が待ちくたびれている頃だ」
***
ダイニングルームの扉が開かれると、そこにはすでにミューアが座っていた。
ただし、席は上座ではなく、長いテーブルの最も下座――つまり、入り口に一番近い末席だ。
「遅いですわよ、お姉様! それに公爵様も! お客様を待たせるなんて、マナーがなっていませんわ!」
ミューアは立ち上がって抗議した。
彼女が着ているのは、胸元が大きく開いた、薄手のピンク色のドレスだった。
王都の最新流行なのかもしれないが、ここは北の果てだ。
城内は魔法で暖房が効いているとはいえ、見た目からして寒々しい。
案の定、彼女の肌には鳥肌が立っているのが見えた。
「これは失礼。……準備に手間取ってしまってな。愛する婚約者が美しすぎて、部屋から出るのが惜しかったもので」
レオン様は悪びれもせず、私を伴って最上座へと進んだ。
そして、当然のように自分の隣――すぐ右手の席に私を座らせた。
「ちょ、ちょっと待ってください! どうして私がこんな端っこなんですの!? 聖女である私の席は、公爵様のお隣であるべきですわ!」
ミューアが金切り声を上げた。
彼女の席から私たちまでは、長いテーブルを挟んで十メートル近く離れている。
会話をするにも大声を出さなければならない距離だ。
「君は『招かれざる客』だ。席があるだけ感謝してもらいたい」
レオン様は冷たく言い放ち、セバスチャンに目配せをした。
「それに、そこは風通しが良くて気持ちいいだろう? 頭を冷やすには丁度いい」
実際、彼女の席のすぐ後ろは配膳用の扉があり、人の出入りがあるたびに冷たい廊下の風が吹き込む特等席(悪い意味で)だった。
「ひどい……! 私をいじめて楽しいんですの!?」
「被害妄想も大概にしろ。……さあ、食事を始めよう」
レオン様の合図で、給仕たちが料理を運び込んできた。
最初の一皿は、温かいポタージュスープだった。
私とレオン様の前には、湯気を立てる濃厚なカボチャのポタージュが置かれた。
これは農場で採れた「エルナ様野菜」の一つ、甘みの強い雪カボチャを使ったものだ。
「いい香りだ……」
レオン様がスプーンで一口運び、満足げに頷く。
一方、ミューアの前にもスープが置かれたが、彼女は不満そうに皿をスプーンでつついた。
「なによこれ……ただのカボチャスープ? 王都ではもっと高級なコンソメとか、珍しい魚介のスープが出ますわよ。田舎料理丸出しじゃない」
彼女は一口すすると、すぐに顔をしかめた。
「それに、ぬるい! こんな冷めたスープ、飲めませんわ!」
「おや、そうですか」
セバスチャンが恭しく、しかし冷ややかに答えた。
「厨房を出た時は熱々でしたが……お客様のお席までは距離がございますので、運んでいる間に冷めてしまったのかもしれませんな。何分、ここは寒い北国ですので」
「ならもっと近くに座らせなさいよ!」
「あいにく、上座付近は『公爵家関係者専用』となっております。部外者様はこちらで我慢していただくしか」
「部外者……っ!?」
ミューアは屈辱に顔を歪めたが、空腹には勝てないのか、文句を言いながらもスープを飲み干した。
その間、私とレオン様は優雅に食事を楽しんだ。
「エルナ、このカボチャは格別だ。君の魔力を受けて育ったからか、蜂蜜のように甘い」
「ふふっ、ありがとうございます。レオン様の畑の土が良かったんですよ」
「いや、君の愛のおかげだ。……あーん」
「もう、人が見ている前で……」
私は恥ずかしがりつつも、口を開けてレオン様からスープをもらう。
その甘い光景を、十メートル先からミューアが鬼のような形相で睨みつけていた。
次々と料理が運ばれてくる。
メインディッシュは、北の森で狩猟されたボアのローストと、付け合わせの根菜グリルだ。
肉は柔らかく、噛めば肉汁が溢れ出す。野菜は素材の味が濃く、ソースなどいらないほどだ。
しかし、ミューアにとっては不満の種でしかないようだった。
「お肉とお芋ばっかり! もっとフォアグラとかキャビアとかないの!? 貧乏くさいわね!」
彼女はナイフとフォークを乱暴に動かし、皿にカチカチと音を立てた。
「貧乏くさい、か」
レオン様がナプキンで口元を拭い、静かに言った。
「君は知らないようだが、このボアの肉は、王都の市場なら金貨十枚はする希少部位だ。そしてこの野菜は、エルナの聖なる力によって育てられた、世界最高級の品質を誇るものだ」
「はぁ? お姉様が育てた野菜? 泥いじりなんてさせたの? やっぱりメイド扱いじゃない!」
「聖女の本来の役割は、大地を豊かにすることだ。君のように着飾ってふんぞり返っているだけの飾り人形とは違う」
レオン様の言葉に棘が含まれる。
しかし、ミューアはそれを理解しようともせず、鼻で笑った。
「ふん、負け惜しみね。……ねえ、公爵様。そんな地味な野菜の話より、もっと素敵な話をしましょうよ」
ミューアは立ち上がり、ハンドバッグから一通の封筒を取り出した。
またピンク色だ。懲りないのだろうか。
「私、公爵様のために『愛の詩』を書いてきましたの。これを読めば、私の魅力に気づいていただけるはずですわ」
彼女はその手紙を持って、こちらへ歩み寄ろうとした。
しかし、セバスチャンが立ちはだかり、進路を阻む。
「無礼講だ、通してあげなさい」
レオン様が意外なことを言った。
セバスチャンが一礼して道を空ける。
ミューアは勝ち誇った顔で、カツカツとヒールを鳴らして近づいてきた。
「やっぱり公爵様も、私のことが気になっていたんですね? さあ、受け取ってくださいな。中には、私の部屋の鍵も入っていますのよ?」
彼女は媚びを含んだ上目遣いで、手紙を差し出した。
大胆すぎる誘惑だ。姉の前で堂々と、夜の誘いをかけている。
レオン様は、無表情のままその手紙を受け取った。
「……部屋の鍵、か」
「ええ。今夜、こっそりいらしてくださいな。お姉様には内緒で……きゃっ!」
ミューアの言葉は、悲鳴にかき消された。
ボウッ!!
レオン様が手紙を受け取った瞬間、その手紙が青白い炎に包まれ、一瞬にして燃え上がったのだ。
ミューアは慌てて手を引っ込めた。
「な、なにするんですの!?」
「汚らわしい」
レオン様は燃えカスとなった灰を、手も触れずに魔法の風で吹き飛ばした。
灰はミューアの顔に降り注ぎ、彼女は「ゲホッ、ゲホッ!」と咳き込んだ。
「私の神聖な食卓に、ゴミを持ち込むなと言ったはずだ」
「ゴ、ゴミですって!? 私の愛の手紙を!」
「愛? 笑わせるな」
レオン様が立ち上がった。
その威圧感に、ミューアがたじろぐ。
「君のそれは愛ではない。ただの欲望と、自己顕示欲の塊だ。……エルナへの手紙で懲りたかと思ったが、学習能力がないようだな」
「ど、どうして……。私の方が可愛いですわ! 若いですわ! 聖女ですわ! なのになんで、あんなお姉様ばかり……!」
ミューアは地団駄を踏んだ。
彼女の理屈では、自分が選ばれないことはあり得ないのだ。
「理由なら、いくらでも教えてやる」
レオン様は私の肩を抱き、ミューアに見せつけるように引き寄せた。
「エルナは、私の呪いを解いてくれた。私の凍りついた心に、温もりをくれた。私の領民を救い、笑顔をくれた。……そして何より、彼女の魂は君より遥かに美しい」
「魂なんて見えませんわ!」
「私には見える。君の魂は、欲にまみれてドス黒く濁っているが……エルナの魂は、雪原の星空のように澄んでいる」
レオン様は私の目を見つめ、優しく微笑んだ。
「エルナ。……今の私には、君がいればいい。他には何もいらない」
「レオン様……」
私は胸が熱くなった。
前回の手紙のタイトル、『手紙は焼却炉へ』。
まさにその通りになった。
そして続く、『今の私には彼がいます』。
その言葉が、現実のものとして胸に刻まれる。
「……帰りたまえ、偽聖女」
レオン様がミューアに向き直り、冷酷に宣告した。
「君がいると空気が澱む。せっかくの食事が不味くなる」
「くっ……くぅぅぅ……!」
ミューアは顔を真っ赤にして震えていた。
屈辱、怒り、そして理解不能な現実への混乱。
彼女はテーブルの上のグラスを掴むと、私に向かって投げつけようとした。
「お姉様のせいよ! お姉様がいなければ、全部私のものだったのに!」
「させない」
私が動くよりも早く、レオン様が指を弾いた。
パリンッ!
ミューアの手の中で、グラスが凍りつき、粉々に砕け散った。
水は氷の粒となり、キラキラと床に落ちる。
「ひっ……!」
「私の妻に手を出せばどうなるか、教えたはずだが?」
レオン様の瞳が、蒼く発光していた。
部屋の温度が急激に下がる。
ミューアの薄いドレスでは、数秒耐えるのも限界だろう。
「さむっ……痛い、寒い……!」
「セバスチャン、客人を部屋へ戻せ。……明日の朝一番で、王都へ送り返す」
「かしこまりました」
セバスチャンが冷ややかな笑顔で近づくと、ミューアは「覚えてらっしゃい!」と捨て台詞を吐き、ガタガタと震えながら逃げ出して行った。
去り際、彼女のピンク色のドレスが霜で白くなっているのが見えた。
「……やれやれ。嵐が去ったか」
レオン様はふぅ、と息を吐き、部屋の温度を元に戻した。
そして、私に向かって困ったように眉を下げた。
「すまない、エルナ。楽しいはずの食事が台無しだ」
「いいえ。……とてもスカッとしましたわ」
私は正直に言った。
性格が悪いと言われるかもしれないけれど、今まで彼女にされてきたことを思えば、これくらいのお返しは許されるだろう。
「それに、レオン様の言葉、とても嬉しかったです」
「本心しか言っていない。……さて、デザートを食べ損ねてしまったな」
彼はテーブルの上を見たが、冷え切った空気のせいでデザートのアイスクリームはカチカチになってしまっていた。
「部屋で飲み直そうか。……二人きりで」
「はい」
私たちは腕を組み、ダイニングルームを後にした。
***
自室に戻った私たちは、暖炉の前でホットワインを傾けていた。
揺れる炎を眺めながら、レオン様が静かに口を開いた。
「ミューアの様子を見る限り、王都の状況は深刻そうだな」
「ええ。あそこまで必死にレオン様に取り入ろうとするなんて……彼女自身、自分の立場が危ういことを感じ取っているのかもしれません」
彼女の焦りは異常だった。
単なるワガママや色欲だけでなく、切迫した何かを感じた。
おそらく、王都では「聖女」としての彼女への不満が限界に達しつつあるのだろう。
雨が降らず、作物が枯れ、物価が高騰する中、贅沢ばかりしている彼女を民衆が許すはずがない。
「彼女は、ここを新たな寄生先として選んだのだろうが……当てが外れたな」
レオン様はワインを一口飲み、皮肉っぽく笑った。
「彼女が去る時、王都の現状についていくつか情報を吐かせようと思う。……カイル王子が、次にどう動くか」
「カイル様は、プライドが高い方です。ミューアが失敗して戻れば、今度こそ軍を率いて来るかもしれません」
「だろうな。……だが、返り討ちにする準備はできている」
レオン様は私の肩に頭を乗せ、甘えるようにすり寄せた。
「戦の話はこれくらいにしよう。……今は、君のぬくもりを感じていたい」
「レオン様……」
彼の体温が心地よい。
ミューアのキンキンとした声を聞いた後だと、この静寂がより一層愛おしく感じられる。
「エルナ。……昨夜の疲れは、もう取れたか?」
不意に、彼の手が私の腰を撫でた。
その指先の動きに、心臓がトクリと跳ねる。
「え、えっと……まだ少し、足が……」
「そうか。なら、マッサージしてあげよう」
彼はニヤリと笑い、私を膝の上に抱き上げた。
それは絶対にただのマッサージでは終わらないやつだ。
「レオン様、明日はミューアを見送らなければいけませんし……」
「彼女の顔を見るのはセバスチャンに任せればいい。私たちは、ゆっくりと朝寝坊を楽しめばいいんだ」
彼は私の首筋にキスをした。
「『今の私には彼がいます』……そう言ってくれた君への、ご褒美だ」
「あ、聞いていらしたんですか……?」
「当然だ。あの言葉を聞いて、理性を保てた私を褒めてほしいくらいだ」
彼は私の耳を甘噛みした。
「愛している、エルナ。……今夜も、私を狂わせてくれ」
抗う術などなかった。
私はグラスをテーブルに置き、彼の首に腕を回した。
外は極寒の吹雪。
けれど、この部屋の中は、世界で一番熱い夜が始まろうとしていた。
***
翌朝。
ミューアは文字通り、叩き出されるようにして王都へと帰っていった。
セバスチャンの報告によると、彼女は馬車に乗り込む際、「絶対に後悔させてやるわ!」「お父様に言いつけてやる!」と泣き叫んでいたらしい。
お父様――つまり私の父であるフォレスティ公爵も、今は王都の混乱で手一杯のはずだ。
それに、父は「役に立つ道具」しか愛さない人だ。
偽聖女であることが露呈しつつあるミューアを、いつまで庇護するかは怪しいものだ。
「せいぜい、長い冬の旅を楽しんでほしいものだな」
レオン様はバルコニーから、小さくなっていくピンク色の馬車を見送った。
「さて、エルナ。邪魔者も消えたことだし、今日は何をしようか」
「そうですね。……また、図書室で勉強会でもしましょうか」
「勉強会か。ふむ、教材は『氷の騎士と薔薇の姫』の続きでいいか?」
「もう、真面目にやってください」
平和な日常が戻ってきた。
しかし、ミューアが持ち込んだのは、単なる騒動だけではなかった。
彼女が去った数日後。
私たちは、彼女が「置いていった」あるものを見つけることになる。
それは、彼女の部屋のゴミ箱に捨てられていた、王都からの書きかけの手紙。
そこには、王国の恐るべき計画の断片が記されていたのだ。
『聖女の強制連行』
『古代兵器の起動』
『北の焦土化作戦』
平穏な日々は、嵐の前の静けさに過ぎなかった。
物語はここから、一気に戦乱の気配を帯びていく。
けれど、今の私には怖れはなかった。
隣には最強の彼がいて、守るべき民がいて、そして私自身もまた、覚醒した聖女なのだから。
私たちは手を繋ぎ、城の中へと戻っていった。
来るべき戦いに備え、愛と絆をさらに深めるために。
(第15話 完)
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