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第18話 誰もが振り返る美女、それが今の私
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「準備はいいか、エルナ」
「はい、レオン様。いつでも発てます」
アイスバーン城の正門前。
早朝の冷たく澄んだ空気の中、私たちは王都へ向かうための陣形を整えていた。
私が身につけているのは、マダム・ロゼが徹夜で調整してくれた旅装だ。
旅装といっても、地味なものではない。
深い藍色の生地に銀糸の刺繍が施された乗馬服風のドレスで、動きやすさと気品を兼ね備えている。
上には純白の毛皮のマントを羽織り、足元は頑丈かつ美しい編み上げブーツ。
腰には護身用の短剣(レオン様が『私が守るから使う機会はないだろうが、お守りだ』と言って持たせた、国宝級の魔剣)を帯びている。
「うむ、完璧だ。雪の女王の凱旋パレードのようだな」
隣で馬上の人となっているレオン様が、満足げに頷いた。
彼もまた、漆黒の軍服に身を包み、その美貌と威圧感は普段の五割増しだ。
私たちの後ろには、セバスチャン率いる少数精鋭の騎士たちと、そして――。
「ぬん! 準備運動は完了だぜ! いつでも王都まで走っていけるぞ!」
やたらと湯気を立てている集団、ロベルト・バーンスタイン辺境伯とその私兵団(通称・マッスル部隊)が控えている。
彼らは今回の「王都視察(という名の制圧)」に、頼もしい助っ人として同行してくれることになったのだ。
「走らなくていい。馬に乗れ、馬に」
レオン様が呆れたように言った。
ロベルト様は「チッ、文明の利器に頼ると筋肉が泣くぜ」と文句を言いながらも、巨大な軍馬に跨った。
馬が少し可哀想なくらい沈み込んでいる気がする。
「では、出発する!」
レオン様の号令と共に、私たちは動き出した。
目指すは南、かつての私の故郷であり、今は腐敗した王国の中枢――王都ルミナス。
***
道中の光景は、予想以上に酷いものだった。
北の領地を出て、王国の直轄領に入った途端、空の色が変わったのだ。
澄み渡っていた青空は消え、鉛色の雲が垂れ込め、空気はジメジメとして重苦しい。
森の木々は立ち枯れ、街道脇の畑は干からびてひび割れている。
「……これが、聖女の結界を失った国の姿か」
レオン様が痛ましげに眉を寄せた。
通り過ぎる村々も、活気がなかった。
家々は雨戸を閉ざし、道端には痩せこけた犬が徘徊している。
私たちの隊列を見ると、村人たちは怯えたように隠れるか、あるいは縋るような目でこちらを見てくる。
「水……水をくれぇ……」
老婆が一人、枯れた井戸の前で倒れ込んでいた。
私は即座に馬を止め、降りようとした。
「エルナ、待て。危険だ」
「いいえ、レオン様。放っておけません」
私は彼の手を制し、馬から降りた。
レオン様もすぐに下馬し、私を護るように付き従ってくれる。
私が老婆に駆け寄ると、彼女は虚ろな目で私を見上げた。
「お水……喉が焼けるようで……」
「大丈夫ですよ。今、綺麗なお水を出しますから」
私は井戸に手をかざした。
指輪とチョーカーが共鳴し、魔力が溢れ出す。
『――水脈浄化(アクア・クリアランス)』
聖なる光が井戸の底へと吸い込まれていく。
ゴゴゴ……と地底から音が響き、次の瞬間、透明な水が勢いよく湧き出した。
それは瞬く間に井戸を満たし、溢れ出して乾いた大地を潤していく。
「あ、ああっ! 水だ! 綺麗な水だ!」
老婆が震える手で水を掬い、口に運ぶ。
周囲の家々からも、村人たちがわらわらと出てきた。
「魔法使い様だ!」
「女神様が来てくださった!」
彼らは涙を流して水を飲み、私に向かって手を合わせた。
その中の一人が、私の顔を見てハッとしたように声を上げた。
「……あれ? あの方、もしかして……」
「前の聖女様……エルナ様じゃねぇか?」
「嘘だろ? あんなに綺麗なあの方が? 昔はもっとこう、暗い感じだったぞ」
ざわめきが広がる。
私はフードを少し上げ、彼らに向かって微笑んだ。
「お久しぶりです。……通りすがりの元聖女ですが、お水は足りましたか?」
「え、エルナ様ぁぁぁ!」
村人たちが一斉に平伏した。
「申し訳ございませんでした! 俺たち、貴女様が偽物だなんて噂を信じて……!」
「こんなにお美しくなられて……それに、この奇跡の力! やっぱり貴女様こそが本物だったんだ!」
彼らの掌返しは見事なものだったが、責める気にはなれなかった。
彼らもまた、王家のプロパガンダに踊らされた被害者なのだから。
「謝罪はいりません。……ただ、覚えておいてください。本当の救いがどこにあるのかを」
私は短く告げ、再び馬上の人となった。
レオン様が私の手を取り、甲にキスをする。
「優しいな、エルナは。……私なら、石の一つでも投げ返していたところだ」
「彼らを救うことは、結果的に王家への打撃になりますから。……『追い出した聖女の方が凄かった』という噂は、武器になりますわ」
「ふっ……したたかになったものだ。そういうところも好きだがな」
私たちは村人たちの感謝の言葉を背に、先を急いだ。
その後も、いくつかの村で浄化を行いながら進んだため、私たちが王都に到着する頃には、「美しき真の聖女が、氷の公爵と共に帰還した」という噂は、風よりも早く広がっていたようだった。
***
王都の城門が見えてきた。
かつて私が罪人のように護送車に乗せられ、追放された場所。
そこには今、厳重な警備が敷かれていた。
衛兵たちが槍を構え、検問を行っている。
「止まれ! 何者だ!」
私たちの隊列が近づくと、隊長らしき男が怒鳴った。
しかし、先頭を行くレオン様が顔を上げ、蒼い瞳で一瞥しただけで、男の声は凍りついたように途切れた。
「……私を知らないとは言わせんぞ」
レオン様が静かに告げる。
その圧倒的なオーラに、衛兵たちはガタガタと震え出した。
「ア、アイスバーン公爵……!?」
「それに、後ろにいるのは……筋肉の悪魔、バーンスタイン辺境伯!?」
「おう! 誰が悪魔だ! 俺は愛の伝道師だ!」
ロベルト様が無駄にいい笑顔でポーズを決める。
それだけで衛兵の一人が気絶した。
「と、通すわけにはいかない! カイル殿下より、北の者は一歩たりとも入れるなと……」
「退け」
レオン様が指を弾いた。
ヒュンッ!
衛兵たちの足元が瞬時に凍りつき、彼らのブーツを地面に固定した。
「うわぁっ! 動けない!」
「私は通行許可を求めているのではない。通ると言っているのだ」
レオン様は馬を進める。
凍りついた衛兵たちの間を、私たちは悠然と通り抜けた。
門は閉ざされていたが、ロベルト様が「開けゴマならぬ、開け筋肉!」と叫んで門扉に体当たりすると、巨大な鉄の扉が飴細工のようにひしゃげて吹き飛んだ。
……やはり、この人たちは規格外だ。
城門を突破し、私たちは王都のメインストリートへと入った。
そこは、かつてパレードが行われた華やかな通りだったはずだ。
しかし今は、ゴミが散乱し、店のシャッターは閉まり、人々の姿もまばらだった。
だが、私たちが通ると、様子が変わった。
私たちの周りだけ、清浄な空気が流れ、花の香りが漂う。
レオン様の氷の結界と、私の浄化の力が混ざり合い、周囲の瘴気を払っているのだ。
「なんだ? 空気が……美味い?」
「あそこを見ろ! すげぇ行列だぞ!」
家々から、路地裏から、人々が顔を出し始めた。
そして、私たちの姿を見て、誰もが息を呑んだ。
先頭を行くのは、この世のものとは思えない美貌の公爵。
そしてその隣に、純白のマントを翻し、凛と背筋を伸ばして馬を駆る、黒髪の美女。
「あれは……まさか、エルナ様?」
誰かの呟きが、波紋のように広がっていく。
「嘘だろ……あんなに綺麗だったか?」
「地味で陰気だって聞いてたけど……まるで女神様みたいじゃねぇか」
「隣の公爵様も、噂の『呪われ公爵』には見えないぞ。お似合いのカップルだ」
人々は、私の変化に驚愕していた。
かつては俯いて歩き、誰とも目を合わせようとしなかった私。
聖女のローブに着られ、自信なさげに縮こまっていた私。
でも、今の私は違う。
レオン様に愛され、自分の価値を知り、そして守るべきものを持った私は、誰よりも胸を張っていられる。
視線が集まることへの恐怖はない。
むしろ、「よく見ておきなさい」という気持ちさえある。
「エルナ、笑って」
レオン様が小声で言った。
「君の笑顔一つで、この国はひっくり返る」
私は彼に頷き、沿道の人々に向かって、花が咲くような笑顔を向けた。
手を振り、優しく微笑みかける。
その瞬間。
「うおおおおおおおお!」
「エルナ様ぁぁぁ!」
「お帰りなさいませぇぇ!」
歓声が爆発した。
人々が駆け寄り、沿道を埋め尽くす。
かつて、私が追放される時に石を投げた者たちも、今は涙を流して手を振っている。
「雨を! 雨を降らせてください!」
「俺たちが悪かった! ミューアなんて偽物はいらない!」
「どうか、この国をお救いください!」
勝手な言い分だ。
でも、その必死な叫びは、彼らがどれほど追い詰められていたかを物語っている。
「……現金なものだな」
レオン様が冷笑する。
「だが、これで舞台は整った。民衆は君を支持している。王城にいる連中は、完全に孤立無援だ」
私たちは歓声を浴びながら、王城へと続く長い坂道を登っていった。
その光景は、まさに凱旋パレードだった。
ただし、王へ忠誠を誓うものではなく、王を裁くための行進だ。
王城の門前まで来ると、そこには近衛騎士団が待ち構えていた。
その数、およそ三百。
彼らは抜剣し、殺気を放って道を塞いでいる。
その中央に、見覚えのある男がいた。
ガストンだ。
かつて北で氷漬けにされ、這う這うの体で逃げ帰った彼が、憎悪に満ちた目でこちらを睨んでいる。
「よくもノコノコと戻ってきたな、エルナ! それに化け物公爵!」
ガストンが唾を飛ばして叫んだ。
「ここは神聖なる王城だ! 貴様らのような反逆者が入っていい場所ではない!」
「反逆者? 人聞きが悪いな」
レオン様が馬上で腕を組む。
「私たちは、王太子殿下の招待に応じただけだぞ? 『エルナを連れ戻せ』と、熱心に調査団や暗殺者まで寄越してくれたではないか。だからこうして、本人が出向いてやったのだ」
「減らず口を! 殿下は、貴様を殺してエルナ様を奪い返せと仰せだ!」
ガストンが剣を振り上げた。
「総員、かかれ! 男は殺せ! 女は生け捕りにしろ!」
三百の騎士たちが、雄叫びを上げて突撃してくる。
普通なら、絶望的な状況だ。
しかし、私たちは誰一人として動じなかった。
「……ロベルト、出番だ」
レオン様が短く告げる。
「おうよ! 待ちくたびれたぜ!」
ロベルト様が馬から飛び降りた。
彼は上着を脱ぎ捨て(なぜ脱ぐのか)、筋肉を見せつけながら最前線に立った。
「いくぞ野郎ども! マッスル・チャージ!」
「「「イエッサー! マッスル!」」」
ロベルト様の私兵団五十名が、武器も持たずに突っ込んだ。
彼らは鍛え上げられた肉体そのものを武器とし、鎧を着た騎士たちを次々と弾き飛ばしていく。
「な、なんだこいつら!? 剣が通らない!?」
「筋肉が……硬すぎる!」
「甘い! 俺の大胸筋は鋼鉄より硬い!」
ロベルト様がラリアットで三人をまとめて吹き飛ばす。
戦場は一瞬にして混沌とし、そして一方的な蹂躙劇となった。
「雑魚は任せた。私たちは本丸へ行くぞ」
レオン様は馬を進める。
ガストンが慌てて立ち塞がる。
「ま、待て! 俺を無視するな!」
彼は魔力を込めた剣で、レオン様に斬りかかった。
「邪魔だ」
レオン様は剣を抜くことさえしなかった。
ただ、左手を軽く振っただけ。
パキィィィン!
ガストンの剣が、根元から凍りついて砕け散った。
さらに、衝撃波のような冷気が彼を襲い、城門の柱ごと彼を氷漬けにして壁に張り付けた。
「が、がはっ……!」
「二度目はないと言ったはずだが。……そこで指をくわえて見ていろ。主人が破滅する様をな」
レオン様は氷像になったガストンを一瞥もせず、城門を通過した。
城内に入ると、そこは静まり返っていた。
使用人たちは逃げ出したのか、あるいは隠れているのか、人の気配がない。
豪華だった調度品は埃をかぶり、花瓶の花は枯れている。
「……荒れているな」
私が呟くと、レオン様が頷いた。
「王の威光が地に落ちた証拠だ。……さあ、玉座の間へ」
私たちは馬を降り、自分たちの足で歩き出した。
カツ、カツ、と大理石の床に足音が響く。
私がこの城を出てから、数ヶ月。
あの時は、絶望と諦めの中にいた。
でも今は、隣に愛する人がいる。
彼の手の温もりが、私に無限の勇気をくれる。
長い廊下を抜け、巨大な扉の前へ。
中からは、カイル殿下の怒鳴り声が聞こえてくる。
「なぜだ! なぜ止められない! 近衛騎士団は何をしている!」
「で、殿下! もう防ぎきれません! あいつら、強すぎます!」
「くそっ、くそっ! ミューア! お前がなんとかしろ! 聖女だろうが!」
「無理ですわ! 私、戦うなんて聞いてません!」
見苦しい言い争い。
レオン様と顔を見合わせ、私たちは小さく頷いた。
「開けろ」
レオン様が魔法を放つ。
ドォォォォン!!
扉が爆発するように吹き飛び、玉座の間へと煙が流れ込む。
「な、なんだ!?」
玉座に座るカイル殿下と、その傍らに立つミューアが、驚愕の表情でこちらを見た。
煙の中から、私たちはゆっくりと姿を現した。
「ごきげんよう、カイル殿下。そしてミューア」
私はドレスの裾をつまみ、優雅に微笑んだ。
「お久しぶりですわね。……少し、お話をしに来ましたの」
「エ、エルナ……!?」
カイル殿下が目を見開いた。
その瞳には、かつての私を見るような侮蔑の色はない。
あるのは、信じられないものを見るような驚愕と、そして隠しきれない欲望だった。
「……美しい」
彼が思わず漏らした言葉。
かつて「地味だ」と切り捨てた私を見て、彼は呆けていた。
今の私は、彼の知るエルナではない。
誰もが振り返る美女。
そして、彼の手の届かない場所にいる、高嶺の花だ。
「……私の妻に、色目を使わないでもらおうか」
レオン様が私の前に立ち、殺気を放つ。
その背中は、どんな城壁よりも頼もしく、そして恐ろしい。
「さあ、清算の時だ。……この国のために、そして私の愛する人のために、貴様らには消えてもらう」
役者は揃った。
断罪の劇が、今、幕を開ける。
(第18話 完)
「はい、レオン様。いつでも発てます」
アイスバーン城の正門前。
早朝の冷たく澄んだ空気の中、私たちは王都へ向かうための陣形を整えていた。
私が身につけているのは、マダム・ロゼが徹夜で調整してくれた旅装だ。
旅装といっても、地味なものではない。
深い藍色の生地に銀糸の刺繍が施された乗馬服風のドレスで、動きやすさと気品を兼ね備えている。
上には純白の毛皮のマントを羽織り、足元は頑丈かつ美しい編み上げブーツ。
腰には護身用の短剣(レオン様が『私が守るから使う機会はないだろうが、お守りだ』と言って持たせた、国宝級の魔剣)を帯びている。
「うむ、完璧だ。雪の女王の凱旋パレードのようだな」
隣で馬上の人となっているレオン様が、満足げに頷いた。
彼もまた、漆黒の軍服に身を包み、その美貌と威圧感は普段の五割増しだ。
私たちの後ろには、セバスチャン率いる少数精鋭の騎士たちと、そして――。
「ぬん! 準備運動は完了だぜ! いつでも王都まで走っていけるぞ!」
やたらと湯気を立てている集団、ロベルト・バーンスタイン辺境伯とその私兵団(通称・マッスル部隊)が控えている。
彼らは今回の「王都視察(という名の制圧)」に、頼もしい助っ人として同行してくれることになったのだ。
「走らなくていい。馬に乗れ、馬に」
レオン様が呆れたように言った。
ロベルト様は「チッ、文明の利器に頼ると筋肉が泣くぜ」と文句を言いながらも、巨大な軍馬に跨った。
馬が少し可哀想なくらい沈み込んでいる気がする。
「では、出発する!」
レオン様の号令と共に、私たちは動き出した。
目指すは南、かつての私の故郷であり、今は腐敗した王国の中枢――王都ルミナス。
***
道中の光景は、予想以上に酷いものだった。
北の領地を出て、王国の直轄領に入った途端、空の色が変わったのだ。
澄み渡っていた青空は消え、鉛色の雲が垂れ込め、空気はジメジメとして重苦しい。
森の木々は立ち枯れ、街道脇の畑は干からびてひび割れている。
「……これが、聖女の結界を失った国の姿か」
レオン様が痛ましげに眉を寄せた。
通り過ぎる村々も、活気がなかった。
家々は雨戸を閉ざし、道端には痩せこけた犬が徘徊している。
私たちの隊列を見ると、村人たちは怯えたように隠れるか、あるいは縋るような目でこちらを見てくる。
「水……水をくれぇ……」
老婆が一人、枯れた井戸の前で倒れ込んでいた。
私は即座に馬を止め、降りようとした。
「エルナ、待て。危険だ」
「いいえ、レオン様。放っておけません」
私は彼の手を制し、馬から降りた。
レオン様もすぐに下馬し、私を護るように付き従ってくれる。
私が老婆に駆け寄ると、彼女は虚ろな目で私を見上げた。
「お水……喉が焼けるようで……」
「大丈夫ですよ。今、綺麗なお水を出しますから」
私は井戸に手をかざした。
指輪とチョーカーが共鳴し、魔力が溢れ出す。
『――水脈浄化(アクア・クリアランス)』
聖なる光が井戸の底へと吸い込まれていく。
ゴゴゴ……と地底から音が響き、次の瞬間、透明な水が勢いよく湧き出した。
それは瞬く間に井戸を満たし、溢れ出して乾いた大地を潤していく。
「あ、ああっ! 水だ! 綺麗な水だ!」
老婆が震える手で水を掬い、口に運ぶ。
周囲の家々からも、村人たちがわらわらと出てきた。
「魔法使い様だ!」
「女神様が来てくださった!」
彼らは涙を流して水を飲み、私に向かって手を合わせた。
その中の一人が、私の顔を見てハッとしたように声を上げた。
「……あれ? あの方、もしかして……」
「前の聖女様……エルナ様じゃねぇか?」
「嘘だろ? あんなに綺麗なあの方が? 昔はもっとこう、暗い感じだったぞ」
ざわめきが広がる。
私はフードを少し上げ、彼らに向かって微笑んだ。
「お久しぶりです。……通りすがりの元聖女ですが、お水は足りましたか?」
「え、エルナ様ぁぁぁ!」
村人たちが一斉に平伏した。
「申し訳ございませんでした! 俺たち、貴女様が偽物だなんて噂を信じて……!」
「こんなにお美しくなられて……それに、この奇跡の力! やっぱり貴女様こそが本物だったんだ!」
彼らの掌返しは見事なものだったが、責める気にはなれなかった。
彼らもまた、王家のプロパガンダに踊らされた被害者なのだから。
「謝罪はいりません。……ただ、覚えておいてください。本当の救いがどこにあるのかを」
私は短く告げ、再び馬上の人となった。
レオン様が私の手を取り、甲にキスをする。
「優しいな、エルナは。……私なら、石の一つでも投げ返していたところだ」
「彼らを救うことは、結果的に王家への打撃になりますから。……『追い出した聖女の方が凄かった』という噂は、武器になりますわ」
「ふっ……したたかになったものだ。そういうところも好きだがな」
私たちは村人たちの感謝の言葉を背に、先を急いだ。
その後も、いくつかの村で浄化を行いながら進んだため、私たちが王都に到着する頃には、「美しき真の聖女が、氷の公爵と共に帰還した」という噂は、風よりも早く広がっていたようだった。
***
王都の城門が見えてきた。
かつて私が罪人のように護送車に乗せられ、追放された場所。
そこには今、厳重な警備が敷かれていた。
衛兵たちが槍を構え、検問を行っている。
「止まれ! 何者だ!」
私たちの隊列が近づくと、隊長らしき男が怒鳴った。
しかし、先頭を行くレオン様が顔を上げ、蒼い瞳で一瞥しただけで、男の声は凍りついたように途切れた。
「……私を知らないとは言わせんぞ」
レオン様が静かに告げる。
その圧倒的なオーラに、衛兵たちはガタガタと震え出した。
「ア、アイスバーン公爵……!?」
「それに、後ろにいるのは……筋肉の悪魔、バーンスタイン辺境伯!?」
「おう! 誰が悪魔だ! 俺は愛の伝道師だ!」
ロベルト様が無駄にいい笑顔でポーズを決める。
それだけで衛兵の一人が気絶した。
「と、通すわけにはいかない! カイル殿下より、北の者は一歩たりとも入れるなと……」
「退け」
レオン様が指を弾いた。
ヒュンッ!
衛兵たちの足元が瞬時に凍りつき、彼らのブーツを地面に固定した。
「うわぁっ! 動けない!」
「私は通行許可を求めているのではない。通ると言っているのだ」
レオン様は馬を進める。
凍りついた衛兵たちの間を、私たちは悠然と通り抜けた。
門は閉ざされていたが、ロベルト様が「開けゴマならぬ、開け筋肉!」と叫んで門扉に体当たりすると、巨大な鉄の扉が飴細工のようにひしゃげて吹き飛んだ。
……やはり、この人たちは規格外だ。
城門を突破し、私たちは王都のメインストリートへと入った。
そこは、かつてパレードが行われた華やかな通りだったはずだ。
しかし今は、ゴミが散乱し、店のシャッターは閉まり、人々の姿もまばらだった。
だが、私たちが通ると、様子が変わった。
私たちの周りだけ、清浄な空気が流れ、花の香りが漂う。
レオン様の氷の結界と、私の浄化の力が混ざり合い、周囲の瘴気を払っているのだ。
「なんだ? 空気が……美味い?」
「あそこを見ろ! すげぇ行列だぞ!」
家々から、路地裏から、人々が顔を出し始めた。
そして、私たちの姿を見て、誰もが息を呑んだ。
先頭を行くのは、この世のものとは思えない美貌の公爵。
そしてその隣に、純白のマントを翻し、凛と背筋を伸ばして馬を駆る、黒髪の美女。
「あれは……まさか、エルナ様?」
誰かの呟きが、波紋のように広がっていく。
「嘘だろ……あんなに綺麗だったか?」
「地味で陰気だって聞いてたけど……まるで女神様みたいじゃねぇか」
「隣の公爵様も、噂の『呪われ公爵』には見えないぞ。お似合いのカップルだ」
人々は、私の変化に驚愕していた。
かつては俯いて歩き、誰とも目を合わせようとしなかった私。
聖女のローブに着られ、自信なさげに縮こまっていた私。
でも、今の私は違う。
レオン様に愛され、自分の価値を知り、そして守るべきものを持った私は、誰よりも胸を張っていられる。
視線が集まることへの恐怖はない。
むしろ、「よく見ておきなさい」という気持ちさえある。
「エルナ、笑って」
レオン様が小声で言った。
「君の笑顔一つで、この国はひっくり返る」
私は彼に頷き、沿道の人々に向かって、花が咲くような笑顔を向けた。
手を振り、優しく微笑みかける。
その瞬間。
「うおおおおおおおお!」
「エルナ様ぁぁぁ!」
「お帰りなさいませぇぇ!」
歓声が爆発した。
人々が駆け寄り、沿道を埋め尽くす。
かつて、私が追放される時に石を投げた者たちも、今は涙を流して手を振っている。
「雨を! 雨を降らせてください!」
「俺たちが悪かった! ミューアなんて偽物はいらない!」
「どうか、この国をお救いください!」
勝手な言い分だ。
でも、その必死な叫びは、彼らがどれほど追い詰められていたかを物語っている。
「……現金なものだな」
レオン様が冷笑する。
「だが、これで舞台は整った。民衆は君を支持している。王城にいる連中は、完全に孤立無援だ」
私たちは歓声を浴びながら、王城へと続く長い坂道を登っていった。
その光景は、まさに凱旋パレードだった。
ただし、王へ忠誠を誓うものではなく、王を裁くための行進だ。
王城の門前まで来ると、そこには近衛騎士団が待ち構えていた。
その数、およそ三百。
彼らは抜剣し、殺気を放って道を塞いでいる。
その中央に、見覚えのある男がいた。
ガストンだ。
かつて北で氷漬けにされ、這う這うの体で逃げ帰った彼が、憎悪に満ちた目でこちらを睨んでいる。
「よくもノコノコと戻ってきたな、エルナ! それに化け物公爵!」
ガストンが唾を飛ばして叫んだ。
「ここは神聖なる王城だ! 貴様らのような反逆者が入っていい場所ではない!」
「反逆者? 人聞きが悪いな」
レオン様が馬上で腕を組む。
「私たちは、王太子殿下の招待に応じただけだぞ? 『エルナを連れ戻せ』と、熱心に調査団や暗殺者まで寄越してくれたではないか。だからこうして、本人が出向いてやったのだ」
「減らず口を! 殿下は、貴様を殺してエルナ様を奪い返せと仰せだ!」
ガストンが剣を振り上げた。
「総員、かかれ! 男は殺せ! 女は生け捕りにしろ!」
三百の騎士たちが、雄叫びを上げて突撃してくる。
普通なら、絶望的な状況だ。
しかし、私たちは誰一人として動じなかった。
「……ロベルト、出番だ」
レオン様が短く告げる。
「おうよ! 待ちくたびれたぜ!」
ロベルト様が馬から飛び降りた。
彼は上着を脱ぎ捨て(なぜ脱ぐのか)、筋肉を見せつけながら最前線に立った。
「いくぞ野郎ども! マッスル・チャージ!」
「「「イエッサー! マッスル!」」」
ロベルト様の私兵団五十名が、武器も持たずに突っ込んだ。
彼らは鍛え上げられた肉体そのものを武器とし、鎧を着た騎士たちを次々と弾き飛ばしていく。
「な、なんだこいつら!? 剣が通らない!?」
「筋肉が……硬すぎる!」
「甘い! 俺の大胸筋は鋼鉄より硬い!」
ロベルト様がラリアットで三人をまとめて吹き飛ばす。
戦場は一瞬にして混沌とし、そして一方的な蹂躙劇となった。
「雑魚は任せた。私たちは本丸へ行くぞ」
レオン様は馬を進める。
ガストンが慌てて立ち塞がる。
「ま、待て! 俺を無視するな!」
彼は魔力を込めた剣で、レオン様に斬りかかった。
「邪魔だ」
レオン様は剣を抜くことさえしなかった。
ただ、左手を軽く振っただけ。
パキィィィン!
ガストンの剣が、根元から凍りついて砕け散った。
さらに、衝撃波のような冷気が彼を襲い、城門の柱ごと彼を氷漬けにして壁に張り付けた。
「が、がはっ……!」
「二度目はないと言ったはずだが。……そこで指をくわえて見ていろ。主人が破滅する様をな」
レオン様は氷像になったガストンを一瞥もせず、城門を通過した。
城内に入ると、そこは静まり返っていた。
使用人たちは逃げ出したのか、あるいは隠れているのか、人の気配がない。
豪華だった調度品は埃をかぶり、花瓶の花は枯れている。
「……荒れているな」
私が呟くと、レオン様が頷いた。
「王の威光が地に落ちた証拠だ。……さあ、玉座の間へ」
私たちは馬を降り、自分たちの足で歩き出した。
カツ、カツ、と大理石の床に足音が響く。
私がこの城を出てから、数ヶ月。
あの時は、絶望と諦めの中にいた。
でも今は、隣に愛する人がいる。
彼の手の温もりが、私に無限の勇気をくれる。
長い廊下を抜け、巨大な扉の前へ。
中からは、カイル殿下の怒鳴り声が聞こえてくる。
「なぜだ! なぜ止められない! 近衛騎士団は何をしている!」
「で、殿下! もう防ぎきれません! あいつら、強すぎます!」
「くそっ、くそっ! ミューア! お前がなんとかしろ! 聖女だろうが!」
「無理ですわ! 私、戦うなんて聞いてません!」
見苦しい言い争い。
レオン様と顔を見合わせ、私たちは小さく頷いた。
「開けろ」
レオン様が魔法を放つ。
ドォォォォン!!
扉が爆発するように吹き飛び、玉座の間へと煙が流れ込む。
「な、なんだ!?」
玉座に座るカイル殿下と、その傍らに立つミューアが、驚愕の表情でこちらを見た。
煙の中から、私たちはゆっくりと姿を現した。
「ごきげんよう、カイル殿下。そしてミューア」
私はドレスの裾をつまみ、優雅に微笑んだ。
「お久しぶりですわね。……少し、お話をしに来ましたの」
「エ、エルナ……!?」
カイル殿下が目を見開いた。
その瞳には、かつての私を見るような侮蔑の色はない。
あるのは、信じられないものを見るような驚愕と、そして隠しきれない欲望だった。
「……美しい」
彼が思わず漏らした言葉。
かつて「地味だ」と切り捨てた私を見て、彼は呆けていた。
今の私は、彼の知るエルナではない。
誰もが振り返る美女。
そして、彼の手の届かない場所にいる、高嶺の花だ。
「……私の妻に、色目を使わないでもらおうか」
レオン様が私の前に立ち、殺気を放つ。
その背中は、どんな城壁よりも頼もしく、そして恐ろしい。
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役者は揃った。
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(第18話 完)
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