【改訂版】元保育士の異世界物語〜子どものためなら魔王もワンパン!?天職保育士!?創造魔法と神獣召喚で世界の子どもたちを救います〜

イル

文字の大きさ
77 / 96
第五章〜悲しき戦い〜

第77話 〜冒険者養成校〜

しおりを挟む
 SSランク冒険者 《雷帝グラン》は、人族としてはかなりの高齢に入る。それでも彼は冒険者として、いまだ第一線で活躍し、魔王討伐でも貢献している。
 
 だが、全ての魔王を討伐した後は、現役を退き、冒険者引退を表明。今はヒイロの要望により、イバール国の首都、ミトのギルド本部の近くに出来た冒険者学校という新しくできた、冒険者見習いの為の3年制の養成校の学長に就任する予定となっていた。

 まだその養成校も出来たばかりで、半信半疑の冒険者見習いの者が多かったが、15歳以上ならば誰でも入学することが自由であり、授業料なども無料のため、ギルドから勧められ、見習い期間が過ぎても、実力に自信がないもの、パーティーが組めず困っている者がそれなりに集まってきていた。

 講師はと言うと、今のところグランのように高齢などを理由に引退したBランク以上の元冒険者達が担っており、またヒイロの強制イベントとして、ここでもアルト達が臨時講師として名前だけは連ねている。ただ一応、年に数回ある集団実戦への参加はしてくれることになっており、その時はパーティーの見本となってもらう予定であった。もちろん、特別顧問のヒイロもその時は参加することになっているが、グラン曰く、

 「ヒイロは見本にすべき冒険者ではない。あれは特別じゃ。ヒイロに憧れて冒険者になってしまったら、夢を見たまますぐに死んでしまう」

 だ、そうだ。グランは今回、視察と学長就任の説明を兼ねて、ミトのギルドマスター、ナットとともに養成校へと訪問に来ていた。

「ヒイロのやつはやっぱり変わっているのう、こんな物を作って何がしたいんだか」

 本当だったら今頃、グランとしては、ナガーサ国に移住し、海が見える別荘で、魚釣りをしながら余生を楽しむつもりでいた。それを世界の為だと、ヒイロに言われてここに来ていた。グランのため息混じりの愚痴にナットが苦笑いしながら説明する。

「まぁ本当なら俺の仕事でもあったんですがね。我々ギルドが長年、悩んでいた問題の一つに見習い冒険者の事故率と死亡率の高さがありました。冒険者は皆、自由がモットーですから弟子入りなども少なく、同郷の者や、親戚、よほど気が合わない限り、見習いのうちからパーティーを組むことが少ないため、この世代はソロでのクエストでのケガや死亡が多いんです」

「まぁ自己責任が冒険者の心構えだからのう。それにそれでこそ、強い者は残り、弱い者は去っていく世界でもある」

「我々もそう思い、今までは見習い冒険者に対し、クエストの調整ぐらいはしますが、それぐらいで後は何もしてこなかったのです」

「まぁ当然じゃな。自分の実力をきちんと把握できない者は生きていけない世界だからな」

「そしたらヒイロが、福祉ギルドの話しをしていた時に、冒険者学校も必要だ!と言いだしたんです」

「理由は?」

「一番、命に関わる職業なのになんで見習いの面倒を見ない!ギルドの怠慢だと怒るんです。俺が大事に育ててきた子ども達をむやみに殺すな!と」

「ハッハッハ、なるほどな。ヒイロの子ども関係に引っかかったのだな。わかったわかった。それでわしにもほぼ強制的に代表をやれと迫ってきたのだな!」

「そうみたいです。あいつは冒険者に福祉ギルド立ち上げに色々な施設の開設に……どこに向かって突っ走っているのやら」

「まぁそれがヒイロの強さなのだろう。子どものことに関しては一切ブレがないからな。」

「そう言うわけで講師の指導や指導内容などは冒険者ギルドが責任を持ってやっていくので、グランさんには時々で良いのでSSランク冒険者の実力や経験話でもしてくれるとありがたいです」

「まぁ引退後のジジイには丁度いい仕事じゃな」

 施設内を見学して回っていると、たまたま戸外の訓練場の一つに、生徒らしい若い冒険者が10人ぐらいと講師のベテラン冒険者が魔法の練習を行っていた。ナットの説明では、内容はパーティーとしては後衛にいることが多い魔法使いが標的に対し、遠くから正確に魔法を当てられるかを行なっているとのことだった。距離はだいたい30メートルぐらいである。

「ほう、中々実践向きの練習じゃのう。ただずっと止まってる魔物など、おりゃせんがの」

 見習い冒険者達はそれぞれ適性のある属性の初級魔法で練習していた。途中、ベテラン冒険者が見本で中級の《エアロストーム》で金属で出来た的に的確に当てていた。

「おーっ!」

 若い見習い冒険者の中には、初めて中級魔法を見た者もいるのか、その威力に歓声をあげ、驚いていた。

「お、グランさん、いらしておられたんですね。おい、お前たち、今度この養成校の学長になられる、あの魔王討伐でもご活躍なされたSSランクの冒険者の《雷帝グラン》さんだ!!」

「なぁ、その恥ずかしい紹介は今後はやめてくれ……」

「ぜひ、若者たちトップランクの実力を見せてください!!」

「仕方ないのう。少し離れておれ。」

 グランは見習い冒険者達よりさらに30メートル離れた、的から50メートル離れた所からの魔法を見せた。これは意外と実践でも、なくはない。空中にいる鳥系やドラゴンなどにはありえる距離でもある。

「瞬きするんじゃないぞい……極雷魔法 《迅雷》」

 グランが的に向けて人差し指と中指の2本で指差すとそこから超級魔法の雷魔法が一瞬で打ち出される。一瞬、雷鳴がなった瞬間、激しい爆発音とともに、金属で出来た魔法耐性のあるはず的が粉々に壊れてしまった。

「……さ、さすが《雷帝グラン》……。よ、よく見たか!?これがトップランクの実力だ!!お前たちも目標を高く持ち、命を大切にしながら努力するんだぞ!」

 見習い冒険者達はまだ度肝を抜かれて呆然としていた。そんな様子を見ながらグランとナットは笑いながらその場所を後にした。

「わしの魔法はユニークスキルだからあまり見本にならんな。ほら、いつかの魔王討伐時にヒイロに連れてこられた若いSランク冒険者パーティーがおったじゃろ?あれなんかバランスも良いし、それぞれ役割がきちんとしておるから良い見本になるぞ。」

「Sランクの《森の家》パーティーですか?それならすでにヒイロから強制的に、臨時講師にさせられているみたいですよ。まぁ年に数回の実戦練習の時のみらしいですが。」

「それなら、ついでに月に一回でもわしのように見本を見せに来いとヒイロの伝えておいてくれ。」

「わかりました。じゃぁ今後はよろしく頼みますよ。何かあったらギルドにお伝えください。出来るだけ協力いたしますのでね。」

「あぁ、了解じゃ」

 こうして、イバール国では他国に先駆け、見習い期間の専門学校が建てられた。それから各国では同じように冒険者専門だけでなく、職人ギルドや商業ギルドもそれに準じるように、様々な養成校が建てられるのであった。

 それは、この世界の歴史を変える一つの出来事であり、今までは家系や、弟子入りによる技術の伝達であったが、《神の祝福》によって定められた天職が未経験や本人の興味がないだった場合、それでも生きるために、弟子入りする事で、教える側の職人にも相当な負荷であったが、養成校が出来た事で、一から丁寧に基本を教わる事ができ、職人も自分の仕事に集中できるようになるなど、お互いにメリットが出来、数年後には見習い期間は養成校で学ぶ事が一般的となったのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

処理中です...