日々の欠片

小海音かなた

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7/6『華麗なる香辛料』

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「オカワリ、タベル?」
「大丈夫です」
「ダイジョブ、ドッチ? イル? イラナイ?」
「あっ、いらない。もうお腹いっぱいです。ごちそうさま、ありがとう」
「ドイタシマシテ。ニホンジン、ミンナちょとしかたべないね」
「ナン美味しいんだけど、でかいんですよね」
「アー、ネ。ニホンノなん、デッカイヨネ」
「え、そうなんですか」
「ボクノクニデハ、コンナニオオキクナイ」
「へぇー」
「ニホンジン、ミンナなんスキヨネ」
「美味しいですからね」
「モイチマイタベル?」
「ううん? だいじょ……タベナイ。次来る時はもっとお腹ペコペコで来ます」
「ツギモキテクレルノー。アリガトネー」
 お会計して、じゃあねーって言い合って店を出た。
 本場のナンだと思って食べてたのに、まさか日本特有だったとは面白い。
 気になって調べてみたら、本場のナンは高級品で、一般家庭ではあまり食べることがないらしい。ナンよりもチャパティという、薄いパンのようなものが主流だとか。
 本格カレー店でよく見る【タンドール窯】も一般家庭にはないんだって。
 そりゃそうか。日本だって、料理店で使うような本格的な調理器具なんて置いてないもんな。
 今度あのお店に行ったら、チャパティでカレー食べてみよう。
 さっきお腹パンパンになるまで食べたのに、カレーのことを考えたらちょっと食欲湧いてきちゃった。
 カレーの魔力、おそるべし。
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