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どんな時でも妄想は爆発する。
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(……見られた!見られた!絶対完璧見られた!!)
18禁エロ小説の中身を。
しかも自分と上司のエロシーン満載の代物を!
(ど、どうしよう!?)
見なかったことにしてくれないだろうか?
(いやいや流石にそれは)
ないだろう。
(はうぅ……いったいどうなるの?)
副団長さんが茫然自失している間に逃げ出してはきたけれど。
もしかして、もしかしてだけど。
(名誉毀損とか言われたらどうしようっ(>_<)ヽ)
相手は貴族だし(一応はリヴ自身もだけれど)騎士団の副団長さんだし、そのカップリングにしたのは騎士団の団長さんで国の英雄だし。
下手したら家にも、出版社にも多大な迷惑がかかるかもしれない?
はわわ!とリヴは道の真ん中でうずくまって頭を抱えた。握りしめた出版社のロゴ入り封筒がクシャリと手の中で音を立てる。
「リヴ!」
聞き慣れた声に顔を上げると追いかけてきたらしいロイが息を切らしながら手を差し伸べてくる。
「何してるの!こんなところでうずくまってたら危ないよ!馬車に轢かれるよっ!」
そう言ってリヴの腕を両手で掴んで立ち上がらせようとするのを、リヴは目をパチパチさせて見上げた。
「……ロイ?」
そういえばロイは何故あそこにいたのだろう。
(副団長さんと何やら話してたっぽいよね?)
副団長さん追いかけてきてたみたいだし。
もしや!
リヴははっ!と目を見開いてロイの少々男らしさのかける少年らしい顔を凝視する。
(三角関係!!!)
いつの間に!
とリヴは妄想を爆発させた。
副団長さんは英雄さんとお付き合いをしつつも下町の少年ーーロイともいい感じになっていたりしたのでは?と。
そんなわけがないが、リヴは結構本気であった。
普段素敵筋肉の集団的に囲まれてるからロイみたいなタイプが新鮮でちょっと遊んじゃったとか?
(ってことはさっきのは修羅場?)
団長さんとの関係に気づいたロイが押し掛けていた最中だったのではないか。
それか飽きた副団長さんに捨てられて縋りに行った?
(なんで邪魔しちゃったの私!!)
ああ、遠くからこっそり観察したかった。
と、リヴはへこたえた。
へにゃりと地面に突っ伏したリヴにロイが訝しげに声をかけるが聞いちゃいない。
ガサガサと突っ伏した頭の下で手に掴んだ封筒が音を立てる。その音に目を上げてその目に入ったぐしゃぐしゃになって歪んだ出版社のロゴに、今はそれどころじゃなかった!とようやく危機を思い出した。
(……そ、そうだ。出版社にっ)
相談を。
相談をするべきでないか。
リヴはガバリと起き上がると、走り出した。
背後で慌てたロイの声が聞こえてきた気がしたが、知ったこっちゃないと無視して。
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