7 / 22
スローライフ始めます?
その5
しおりを挟む
「……な、なっ」
少年の顔がみるみる真っ赤になるのに、私は首を傾げた。
何故に赤くなる。
「あら、マイロード。稚児にするのですか?」
「…………」
ちご?
稚児?
今度は私は顔を赤くする番だった。
「ち、ちっがーう!そんなんじゃなくって!!」
んなわけないっつーの!
私、自慢じゃないけどキスもまだだよ?
男女関係ったら魔力の受け渡しで手を握ったくらいだっつーのっっ!?
焦った私は少年の顔を挟んだままブンブンと両手を振り回した。
一緒に少年の顔もぐにゃぐにゃと揺れる。
「はあ、はあ、そういうんじゃなくてっ。その、行くとこないならうち来る?みたいな?メイド……じゃない。使用人にでもしてあげてもいいかなー?くらいのノリで」
ヤバい。
心臓バックンバックンいってるし。
私は息を切らしながら必死に弁解した。
だって恥ずかし過ぎる!!
「ふざけるなっ!」
怒気に満ちた声とともに、手首を強い力で握られた。
「……っ」
魔族といっても、身体能力そのものは人間とろくに変わらない。
私にしても純粋な腕力そのものは18才の女のものだ。
12、3の少年とはいえ男。
18にしては小柄な女子の私。
本気を出されたら力では負けるらしいというのを知った。
「マイロード!」
「『ルーシア』やめなさい」
今にも射殺さんとばかりの目で少年を見る『ルーシア』をとりあえず止めた。
うちの子にするかどうかはともかく、情報をまだ何も聞き出していないのだ。
それに、せっかく助けたしね。
「少年。命の恩人に対して暴力はよろしくないと思うよ?」
「嘘をつくなっ!魔族がっ!?そんなわけ」
「だったらなんで少年は生きてるの?」
私がそう言うと、少年は呆けたような顔をした。腕の力も少し緩んだので、そのうちに手を抜け出させる。
ちょっとヒリヒリするな。
「私が見つけた時、少年は怪我をしてた。あのままだったら確実に血を失い過ぎて死んでたよ」
「……それは」
少年は目にうろたえて、視線を彷徨わせた。
その目が自身の胸から腹へと這う。
傷は消えているけど切れて破れた騎士服はそのままで、そこには大量の血の痕もばっちりついたまま。
「……本当に、おまえが助けてくれたのか?」
「逆に聞くけど他に誰がいるの?」
この場にいるのは少年と私と『ルーシア』だけ。
少年を襲っていた傭兵たちがわざわざ少年を治してから姿を消した、なんてのは不自然すぎる。
「それと私はユナって言うの。おまえじゃないわ」
「だったら俺だって……」
「ん?」
「--クルドだ。俺の名前」
「そう。クルド」
私はクルドとまっすぐに視線を合わせた。
「私は見ての通り魔族だけど、別に人間や人間の国をどうこうしようとは思っていないのよ。ちょっと訳ありでね。国から逃げてきたの」
逃げてきた、という私の言葉に大きく紫陽花色の瞳を見張るクルド。
やっぱりキレイ。
澄んだ瞳の色に何故か胸がドキドキした。
おかしいな、私は決して年下趣味なわけではないはずなのだけど。
あんまりキレイな色だから。
うん、きっとだからだ。
「あなたを助けたのはこれから人間の中で生きていくために情報がほしかったから。私、ほとんど魔族領から出たことがないのよ」
「逃げたってなんで」
「まあ色々あるのよ。色々とね。……って言うか聞いてくれる?」
ついでだ。
ちょっとばかりグチらせてもらってもいいかしら?
少年の顔がみるみる真っ赤になるのに、私は首を傾げた。
何故に赤くなる。
「あら、マイロード。稚児にするのですか?」
「…………」
ちご?
稚児?
今度は私は顔を赤くする番だった。
「ち、ちっがーう!そんなんじゃなくって!!」
んなわけないっつーの!
私、自慢じゃないけどキスもまだだよ?
男女関係ったら魔力の受け渡しで手を握ったくらいだっつーのっっ!?
焦った私は少年の顔を挟んだままブンブンと両手を振り回した。
一緒に少年の顔もぐにゃぐにゃと揺れる。
「はあ、はあ、そういうんじゃなくてっ。その、行くとこないならうち来る?みたいな?メイド……じゃない。使用人にでもしてあげてもいいかなー?くらいのノリで」
ヤバい。
心臓バックンバックンいってるし。
私は息を切らしながら必死に弁解した。
だって恥ずかし過ぎる!!
「ふざけるなっ!」
怒気に満ちた声とともに、手首を強い力で握られた。
「……っ」
魔族といっても、身体能力そのものは人間とろくに変わらない。
私にしても純粋な腕力そのものは18才の女のものだ。
12、3の少年とはいえ男。
18にしては小柄な女子の私。
本気を出されたら力では負けるらしいというのを知った。
「マイロード!」
「『ルーシア』やめなさい」
今にも射殺さんとばかりの目で少年を見る『ルーシア』をとりあえず止めた。
うちの子にするかどうかはともかく、情報をまだ何も聞き出していないのだ。
それに、せっかく助けたしね。
「少年。命の恩人に対して暴力はよろしくないと思うよ?」
「嘘をつくなっ!魔族がっ!?そんなわけ」
「だったらなんで少年は生きてるの?」
私がそう言うと、少年は呆けたような顔をした。腕の力も少し緩んだので、そのうちに手を抜け出させる。
ちょっとヒリヒリするな。
「私が見つけた時、少年は怪我をしてた。あのままだったら確実に血を失い過ぎて死んでたよ」
「……それは」
少年は目にうろたえて、視線を彷徨わせた。
その目が自身の胸から腹へと這う。
傷は消えているけど切れて破れた騎士服はそのままで、そこには大量の血の痕もばっちりついたまま。
「……本当に、おまえが助けてくれたのか?」
「逆に聞くけど他に誰がいるの?」
この場にいるのは少年と私と『ルーシア』だけ。
少年を襲っていた傭兵たちがわざわざ少年を治してから姿を消した、なんてのは不自然すぎる。
「それと私はユナって言うの。おまえじゃないわ」
「だったら俺だって……」
「ん?」
「--クルドだ。俺の名前」
「そう。クルド」
私はクルドとまっすぐに視線を合わせた。
「私は見ての通り魔族だけど、別に人間や人間の国をどうこうしようとは思っていないのよ。ちょっと訳ありでね。国から逃げてきたの」
逃げてきた、という私の言葉に大きく紫陽花色の瞳を見張るクルド。
やっぱりキレイ。
澄んだ瞳の色に何故か胸がドキドキした。
おかしいな、私は決して年下趣味なわけではないはずなのだけど。
あんまりキレイな色だから。
うん、きっとだからだ。
「あなたを助けたのはこれから人間の中で生きていくために情報がほしかったから。私、ほとんど魔族領から出たことがないのよ」
「逃げたってなんで」
「まあ色々あるのよ。色々とね。……って言うか聞いてくれる?」
ついでだ。
ちょっとばかりグチらせてもらってもいいかしら?
0
あなたにおすすめの小説
いざ離婚!と思ったらそもそも結婚していなかったですって!
ゆるぽ
恋愛
3年間夫婦としての実態が無ければ離婚できる国でようやく離婚できることになったフランシア。離婚手続きのために教会を訪れたところ、婚姻届けが提出されていなかったことを知る。そもそも結婚していなかったことで最低だった夫に復讐できることがわかって…/短めでさくっと読めるざまぁ物を目指してみました。
醜さを理由に毒を盛られたけど、何だか綺麗になってない?
京月
恋愛
エリーナは生まれつき体に無数の痣があった。
顔にまで広がった痣のせいで周囲から醜いと蔑まれる日々。
貴族令嬢のため婚約をしたが、婚約者から笑顔を向けられたことなど一度もなかった。
「君はあまりにも醜い。僕の幸せのために死んでくれ」
毒を盛られ、体中に走る激痛。
痛みが引いた後起きてみると…。
「あれ?私綺麗になってない?」
※前編、中編、後編の3話完結
作成済み。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?
チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。
そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。
約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。
しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。
もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。
リディアは知らなかった。
自分の立場が自国でどうなっているのかを。
「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載しております。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる