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第148話 顔で笑って心で疑心暗鬼
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十八時になった。
相変わらずの居心地の悪さである。十五時の休憩時間も、誰一人として話しかけてこなかった。
ああ、疲れた。空腹も相まって、ユキの顔が無性に見たくなる。
「佐野さん。今日のところはもう帰っていいぞ」
現場責任者がそばに来て言う。
今日のところは――? 佐野は心の中で首をかしげる。
「明日は朝九時から入ってくれ。田上には私から伝えておくから、現場事務所には寄らなくていいぞ」
では明日も針のむしろの中での作業か。佐野は無表情で激しく落胆する。
これでは適当な言いがかりをつけられて追い出されたほうがましだ。さては工事完了日まで労力を限界まで絞りきる魂胆か。
「承知いたしました。では明日もよろしくお願いします」
どろどろとした疑心暗鬼とは裏腹に、佐野は笑顔で頭を下げる。そして他の技術者達へも丁寧に挨拶し、現場をあとにした。
相変わらずの居心地の悪さである。十五時の休憩時間も、誰一人として話しかけてこなかった。
ああ、疲れた。空腹も相まって、ユキの顔が無性に見たくなる。
「佐野さん。今日のところはもう帰っていいぞ」
現場責任者がそばに来て言う。
今日のところは――? 佐野は心の中で首をかしげる。
「明日は朝九時から入ってくれ。田上には私から伝えておくから、現場事務所には寄らなくていいぞ」
では明日も針のむしろの中での作業か。佐野は無表情で激しく落胆する。
これでは適当な言いがかりをつけられて追い出されたほうがましだ。さては工事完了日まで労力を限界まで絞りきる魂胆か。
「承知いたしました。では明日もよろしくお願いします」
どろどろとした疑心暗鬼とは裏腹に、佐野は笑顔で頭を下げる。そして他の技術者達へも丁寧に挨拶し、現場をあとにした。
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