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第157話 突然の工期短縮
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スマホの着信音は現場責任者のものだった。通話内容は聞き取れないが、口調からして会社関係らしい。
佐野は特に聞き耳を立てず、技術者達に背を向けたままでいる。
先ほどまで切れ切れだった雲は、あっという間に連結し、雪を降らせ始めた。少し風も出てきたようで、ビルの谷間を斜めにうっすらと白く曇らせている。
これは帰る頃には吹雪だな――佐野は口をへの字にする。日没後の吹雪は視界がいっそう悪くなる。だから車の運転をするのが嫌なのだ。
「はあ? 五日から使いたいだと?」
突然、現場責任者が大きな声を張り上げた。
「工事完成引き渡しは、七日だって言ってたじゃないか!」
これには佐野も驚き、思わず振り向く。すると他の技術者達も同様に仰天していた。
「じゃあ最悪、遅くても四日の早朝には全部仕上げて撤収しなければならないのかよ!」
目が完全に怒っている。そりゃそうだ。今日は一月三日。時間は十五時を回ったところ。突貫工事だとユキからあらかじめ聞いてはいたが、それに加えて工期の縮小を急にかけられてはたまったものではない。責任者が激怒するのも当然だ。
佐野は特に聞き耳を立てず、技術者達に背を向けたままでいる。
先ほどまで切れ切れだった雲は、あっという間に連結し、雪を降らせ始めた。少し風も出てきたようで、ビルの谷間を斜めにうっすらと白く曇らせている。
これは帰る頃には吹雪だな――佐野は口をへの字にする。日没後の吹雪は視界がいっそう悪くなる。だから車の運転をするのが嫌なのだ。
「はあ? 五日から使いたいだと?」
突然、現場責任者が大きな声を張り上げた。
「工事完成引き渡しは、七日だって言ってたじゃないか!」
これには佐野も驚き、思わず振り向く。すると他の技術者達も同様に仰天していた。
「じゃあ最悪、遅くても四日の早朝には全部仕上げて撤収しなければならないのかよ!」
目が完全に怒っている。そりゃそうだ。今日は一月三日。時間は十五時を回ったところ。突貫工事だとユキからあらかじめ聞いてはいたが、それに加えて工期の縮小を急にかけられてはたまったものではない。責任者が激怒するのも当然だ。
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