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幼少期
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しおりを挟むそこからの俺の集中力は我ながら凄まじかった。そして出雲櫂について簡単にまとめてみた。出雲櫂はイケメンであり、性格はとても優しくて雰囲気はほんわかしていて音楽にたけている。まさに紳士の塊みたいな人間。
そしてその親友かつ幼なじみである俺、伊澄悠生は先も言ったが当て馬であり、自分でいうのもあれだがかなりの男前だ。
幼なじみの出雲櫂は感情を表に出すことが苦手であり、ヒロインに好きだという想いをなかなか伝えられないため、ここで伊澄悠生がヒロインにちょっかいを出して、それを見ていた出雲櫂が助けてヒロインと一気に距離を縮めるシーンがある。もうそこは漫画読んでキュンキュンしました。
『ミカが傷つけられるのは黙ってみていられなかった。早く助けてあげれなくてごめんね?』という台詞を吐いて抱きしめるシーンは今でも忘れない。
ヒロインの『乙葉ミカ』はものすごく可愛くてモテモテだ。そのせいで妬まれることも多い。そんな彼女を優しく包み込んでくれるのが出雲櫂なのだ。ここまで話せば出雲櫂とヒロインの乙葉ミカが結ばれるように聞こえる。だけど、そうはいかないんだよな、この漫画は。
最終的に選ばれるのは、『碓氷陽月』という男。碓氷陽月は、勉強もでき、スポーツも万能だ。性格は俺様なところがあり、たまに出る優しさに女の子は心をぎゅっと鷲掴みにされたのだろう。
出雲櫂に足りないのはきっとこれだ。少し乱暴で、勉強も運動も文武両道なこと。
俺たちは今まだ6歳。この漫画が始まるのは高校に入学したときからだ。今なら鍛えることができる。ちなみに俺はスポーツしかできないが、勉強もできるように出雲櫂と一緒に勉強がんばりたいと思う。しかもこんな近くで『サキコ』が見られるなんて俺得でしかない。こんな贅沢、絶対お金払わないダメだろ。あとファンに刺されたりしないよな?そういうオチはだめだって。
ねぇ、本当に無料で見ていいの?俺、贅沢者過ぎる。こんな幸運なことがあるからきっと前世では人救って良いことしまくったんだろうな、まぁ知らないけど多分違う。
そしてノートの最初のページに、『目指せ!無双、出雲櫂!』と大きく目標を書き閉じた。
成長を見ていろよ!碓氷陽月が決して嫌いなわけではないが、この世界では出雲櫂とヒロインの乙葉ミカが結ばれる世界線を見てみたい。お願いだ、共感して同意してほしい。推しに花を持たせたいんだ。みんなにもあるだろ、その心。
推ししか勝たん。
『~しか勝たん』というこの言葉使う人まじ苦手だったけど、気持ちが分かった気がする。
「ゆうせい…っあそぼ」
まだあどけない出雲櫂が俺の家を訪ねてきた。
うん。推ししか勝たん。
「櫂!うん、遊ぼう!ちょっと待って今すぐ支度してくる!」
家が隣同士であるため、よくこうやって櫂が遊びにくる。うん、推しの幼少期は想像以上に最高です。
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