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幼少期
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しおりを挟む「ねねっ、ゆうせい、きょうはなにしてあそぶ?」
「そうだな、今日はかけっこで勝負だ!」
今日はかけっこ。まずは走る特訓だ。小さい頃からこうやって運動をするのは大切だ。ほら頑張れ櫂。お互いの家の前の通路でかけっこをしている。ここは車の通りも少ないから安全だ。
「うわぁ~ん!!ゆうせい、おいていかないでぇ~っ」
泣きべそをかき、頑張って息を切らしながら俺のあとを必死に追ってくる櫂。
「遅いぞ!これじゃあ、碓氷陽月には勝てないぞ!」
「だれぇそれ…もう走れないよぉ」
限界を超えた櫂は道端で倒れ込むように腰を地面につけていた。まぁ、誰でも最初は上手くいくわけがない。
「ごめんね、櫂。楽しくて、はしゃいでしまった。休憩にしよう」
すぐに櫂に駆け寄り謝った。
「ううん!ぼくもゆうせいとはしるのたのしい!」
走って疲れているはずなのに、俺ににっこりと眩しい笑顔を向ける櫂。良心が傷む。だけど、だめなんだ。いくら推しでも心を鬼にしなくては。
「休憩は5分だけだぞ!そしたらまた走ろう!」
俺の言葉に『えぇ、もっとやすみたいよ』と駄々をこねられたが甘くできない。この甘さが将来、高校生になった時に差がつくのだ。悪いけどわかってくれ。今の一瞬一瞬を大切にしないとだめなのだ。こうして、俺たちの特訓の日々が幕を開けたのだった。
そして俺たちは小学校にあがった。運良く櫂とは同じクラスになれた。まず小学生になったら勉強も本業だ。勉強も運動も両立して、碓氷陽月より櫂が選ばれるようにしてあげたい。
あとちなみになのだが小学1年生の勉強なのだが、なぜか解ける。習っていないはずなのに。まぁ、これが前世のチートってやつですね。前世の記憶なんかないのにそう言った知識だけはあったので簡単に解けた。
ちょっと、そこ。ずるいとか言わない。
「むずかしいもんだいとけるなんて、ゆうせいすごーい!かっこいい!ぼくべんきょう、にがてだからおしえて~」
キラキラした目でこっちを見ている櫂。
「別にこんなの普通だよ。これを足すだけだし」
「しかも、もじかくのじょうず!」
「へへ、普通だって。褒めても何も出ないぞ」
ちょ、推しから褒めらるなんてなんのご褒美ですか。気分が良すぎる。
櫂が俺を褒めまくるため鼻が高くなり、調子にのってしまう。
「じゃあさ、今日俺の家で一緒に勉強しよう!」
「うん!やったぁ!ほうかごもゆうせいといっしょ」
両手を広げ喜ぶ櫂。まったく可愛いやつめ。
「ちょっと、あんた、かいくんとなにはなしているのよ!まさか、かいくんをいじめていないわよね?」
突然、間にわって入ってきたこの女の子は『白雪ひめか』。この子もメインキャラの一人だ。少し目が吊り上がっているが可愛い女の子。
だけど、俺と同じで当て馬。
白雪は、将来この漫画が始まる高校生になってからヒロインをいじめる設定だ。所謂、ヒロインの恋敵相手(ライバル)みたいな存在。
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