ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆ストーカーと優しい先輩

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可哀想な受け
葉月洸

攻め
九条椿



◇◇◇



俺、葉月洸。結構前からあることに悩まされている。それは…



「まただ。“愛しい僕の天使、いつも見ているよ”とか気持ち悪い…」


俺は、今日もポストの中に入っていた手紙を読んでそれをぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。これは今回が初めてではない。


こんな気持ち悪い手紙は山ほどもらった。男のストーカーから。


もう、怖いよね。なんて他人事みたいに考えてしまう。もはや他人事であれ。




この気持ち悪い手紙はもちろんのこと、隠し撮りの写真や花束、俺が出したゴミを漁ったり、使用済みの精液がついたゴムが箱に送られてきたりという被害に遭っている。



警察沙汰になると、大ごとになるから嫌だ。あまり目立ちたくない。空気のように何事もなく消えて欲しい。


実際に悪化してるような気がするけど。





「椿さん俺どうしたらいいですか?」



仲の良いバイト先の先輩、九条椿さん。


唯一、俺の悩みを聞いてもらっている人。

かっこよくて頼りなる先輩。


何かと俺を気にかけてくれる。








クソ。なんで俺なんだろうか。まずなぜ自分が男に惚れられているのか謎。どこに惹かれるのか全くわからない。




「じゃあさ、しばらく俺が洸の家に泊まりに行ってもいいか?」



「泊まりですか?」



「うん、手紙とか毎日入っているんだろう?いつ、洸の前に現れてもおかしくないし、一人だと不利だ」



「そうですよね」


考えてみれば、直接の被害はない。



「もし、俺が泊まれば、ストーカー本人が現れるかも。そして、俺が懲らしめるから」




「でも椿さんに何かあったら」



「俺、こう見て結構力強いだよ。それに洸は警察沙汰にはなりたくないだろう?」




「それはそうですけど、俺のせいで怪我とかしたら…」



「心配してくれてありがとう。俺も可愛い後輩のためなら本気出すからさ」


「椿さん…っ!ありがとうございます!大好きです!」




「そう言われたら、守りたくなるなー」



優しく俺の頭を撫でてくれた。




そして、しばらく俺の家に泊まることになった。




「狭くて汚くてごめんなさい」



「そんなことないよ。そういえば初めて洸の家に来るの」


「そうですね。なんか不思議です」



「俺も不思議な感じ。そういやストーカーからもらった手紙とかは?」



「手紙は置いておくのも気味悪いんで毎回捨ててます」



「…そっか。捨ててるのか」



「はい。それより椿さんにこんなこと頼んで迷惑とかじゃないですか?」



「迷惑じゃないよ。むしろ、俺が泊まるとかの案出したし、気にしないで」



「椿さんは優しいですね。俺涙出てきそうです」



こんな良い先輩を持つ俺はまだ恵まれていると思う。



それから椿さんが泊まり始めて一週間経過した。





「凄い…。椿さんが泊まってストーカー被害がおさまった」



平穏な暮らしができるって幸せなことだ。

椿さんがいることによって、もしかして警戒して近づけなかったのかな。




「それは何より。さ、早く一緒にお風呂入ろ」



椿さんは、良かったと呟きながら俺の背中を押す。


一緒にお風呂に入ることは、椿さんが泊まった初日から続いている。水がもったいないとのことで椿さんはそうしてくれている。別に気にしなくていいのにと思うけど、そこが椿さんの優しいところだ。






「ねぇ、今日は一緒に湯船に浸かろうよ」


「いや、俺は大丈夫ですよ」



身体を洗ってもうそろそろ出ようとした時だった。すでに湯船に浸かっている椿さんは、おいでと手招きする。



「それじゃあ、温まらないでしょ」


「でも二人では狭いじゃないですか。俺は気にしなくていいので大丈夫です」


椿さんの優しさに感謝だけど、二人入るには狭すぎる。




「大丈夫だって。俺にいい考えがあるから」


と、頑なにそう言った。


俺は椿さんの考えがよくわからないが言う通りに湯船に足を入れる。




「あ、こっちね」


「っ、うわ!」


急に俺の腕を引き、上に乗る形になり、椿さんに背中きら抱きしめられた。


「やっぱり、あったかいね~」


「ちょ、ちょっと!椿さん!いきなりびっくりしますよ」




椿さんには悪いが男同士肌と肌が触れ合うのは正直いい気がしない。


しかもなんかお尻に椿さんの当たってるし。

気のせいかアレがかたいというか…。


まあ、きっと椿さんも疲れているだろうし、仕方ないことだ。




それから、のぼせたと言って椿さんを置いて湯船から出た。




椿さんが泊まりに来てからはストーカー被害もなくなり、ストーカーにあっていたことを忘れていた。



「洸、もうストーカーは大丈夫みたいだね」



「はい。椿さんのおかげです」



「じゃあ、俺は明日からしばらく合宿があるから当分ここにはこれないかも」



「大丈夫です!気にしないでください。本当にありがとうございます」



感謝しても仕切れない。



「また何かあったらいつでも俺を頼って」


「ありがとうございます!」



そして、椿さんは荷物をまとめて出て行った。




それから、すぐにまたストーカー被害にあった。






「うわ…、まじかよ。もうやめてくれよ」



手紙の数を見て、ため息を何回ついたかわからない。

やめてくれたと思ったら間違いだった。





『早く俺を恋しがって』

『昨日、指輪を買ったよ』


『泊まっていた男だれ?いくら友達でもそれは許さないから』


『警察に通報とかそう考えたりしたら、君と一緒にいたあの男に怪我をさせるから』



もう、俺のメンタルダメだ…。

きっと、泊まっていた男やあの男は、椿さんのことだろう。


俺のせいで怪我させるわけにはいかない。やっぱり俺と関わっちゃいけなかったんだと後悔しても遅い。誰にも言えない。





夜にはコンコンとドアのノック。

無理やりこじ開けようとしたであろう鍵穴のキズ。


バイト帰りに誰かに後をつけられている気配。



もう休める時間がなく、日々疲れる毎日。




疲れていて気が抜けていたのかドアの鍵を閉めるのを忘れてしまっていた。



ガチャ


ベッドの上で横になっていたら、玄関のドアが開く音がした。




え?



嘘だろ。



怖い。逃げ場がない。





布団にこもるしかできなかった。





近くづいてくる足音。そして、俺がいるベッドの近くで止まった。




ガバッ!

勢いよく、布団をとられた。



「ご、ごめ…っな、さい」



自分の体を守るように身を固める。




「…洸?何してるの」


聞こえてきた声は、聞き覚えのある声。




恐る恐る顔を上げると、そこには



「つ、椿…さんっ!」


椿さんの姿があった。その瞬間、涙がぽろぽろ流れていく。



「ちょ、洸?どうしたの?どこか痛い?」




「こわ、怖かった…っ」



体が震えている。



椿さんは、そのあと何も言わずに俺を抱きしめて落ち着かせてくれた。






「合宿が終わったから、洸を驚かせようと会いに来たけど、勝手に入って怖がらせてしまってごめんね」


でも、鍵はしめないと、と優しく言われた。





「椿さんだったから大丈夫です」





このまま、こうやって一人暮らしができるか不安だ。

なぜ、俺なんだ。


俺なんて、どうでもいいだろ。





「椿さん。…俺ダメかもしれないです」



「じゃあさ、一緒に住む?」



「え…」



「洸の家はもうストーカーにバレているから、俺の家で住もうよ」


「でも…」



それはなんでも図々しい。


「この前、泊まらせてくれたし。俺も一人暮らしだし、増えたって全然構わない」



そう言って、不安な俺の頭を撫でてくれた。




「椿さん…っ、あり、ありがとうございます」



少しの間だけでいい。

俺のわがままに付き合わせて申し訳ない。






あれから、椿さんの家に引っ越した。


椿さんの家は一人暮らしと言う割にはとても広い部屋だった。




ストーカー被害はおさまり、快適な生活ができた。


そして椿さんと過ごしていくうちに、俺は惹かれていった。



とても優しくて、頼りになって俺が不安な時にはいつもそばにいてくれる。


男同士だからと諦めていたけど、椿さんから、告白された時はびっくりした。





「…んぁ、っふ」


「洸っ、気持ちいい?」


「ん、っ、ぁ、」



椿さんと身体を重ねる回数はほぼ毎日。



「洸、もっと腰あげて」


ぐいっと腰を引き寄せられ、椿さんのが中をついていく。



気持ちいい。

俺幸せだ。




「やっと、やっとやっと洸が俺の」


セックスの時、椿さんは俺を逃がさないように毎回押さえつけて何やら変なことをいう。





「洸、俺をちゃんと見てね」


椿さんの腰振りが強くなり俺たちはお互い果てた。



イッても椿さんは、俺の中から、それを抜くことはない。


朝まで繋がって寝てしまうことなんて普通だ。





「洸、愛してる」


「俺も」



そして、ゆっくりとキスをした。



椿さんがコンビニに買い物に行っている間、俺は掃除をしていた。



椿さんの部屋から指輪と、見覚えのある紙が出てきた。



「え…」



だめだ、これ以上なにか思い出してしまったら壊れる気がする。



すぐにしまい俺は、見なかったことにした。







「洸?ただいまー」


「あ、お帰り」



「何かあった?」



「いや、なにも」







「そっか。…おいで続きしよ」



そして、また俺たちは愛し合った。






【完】



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