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26 密かな決意
しおりを挟む陽葵が宿へ戻ってきた。
「ねえ蓮くん。何か変なの。凄い音がして、見える景色がひび割れているの。」
「うん。僕にもそう見える。。陽葵、話がある。」
そうして、僕はたった今思いついた仮説を陽葵に話した。このままでは、こっちの世界が壊れるかもしれないと。
「世界が千切れる音……。」
陽葵は真っ青になって呟いた。
「私が、こっちに戻ったから、治りかけていた亀裂が、もう一度壊れはじめたってことね?」
「陽葵のせいじゃない。僕もついて来たから亀裂は大きくなったのかもしれないし、そもそも、亀裂自体は、陽葵が移動する前からできていたんだ。」
「でも、治ろうとしていたんでしょう?」
「全ては仮説だよ。何が正解で、本当はどうなのかわからない。」
「どうしたら、良いの?」
「わからない。」
沈黙が2人の間に横たわっている。
LIN……
「きゃっ」
突然のLINの通知に陽葵は驚いてしまった。
「ああ、瑠奏からだ。お通夜で気を失っちゃったの。気付いたのね。良かった。」
返信を打ち込んでいると、蓮くんが言う。
「瑠奏……ちゃん。に、力を借りられないかな。」
「え?」
「知ってると思うけど、瑠奏はすごく頭が良いんだ。」
「うん。でも……。」
「どっちにしろ、僕は瑠奏ちゃんとは話したいと思ってたし。」
「そうなの?」
「うん。」
「僕達のことを話したいと思ってた。」
「それは……。」
「あっちの瑠奏も話してくれて良かったって言ってただろ?こっちの僕は告白されたのかな?それともまだ?」
「告白されたって蓮は言ってたけど。」
「じゃあ、中途半端に返事をしただけかな。」
「こっちの僕はどう思っていたかな。僕と同じなら陽葵を好きなはずだ。それなら……。僕は、こっちの僕も、瑠奏にきちんと陽葵が好きだって伝えておきたかったと思う。そうしないと、瑠奏ちゃんもこっちの僕の死を引きずっちゃうんじゃないかな。」
「そう……かもしれない。それに私も、数時間前まで、瑠奏に話そうと思っていたんだった。瑠奏も話があると言っていたの。それが瑠奏の失神で、なくなっちゃったんだったわ。」
「あっちの瑠奏も通夜で失神したよ。僕と陽葵、どっちの死も、瑠奏にとっては心の負担が大きいってことだね。それほど大きい存在として見てくれているなら、やっぱり瑠奏ちゃんにも話すべきだと思う。」
「じゃあ、明日、会えるか聞いてみる。」
「今からって言ってみて。」
「夜中だよ!?」
「女の子に夜中はまずいか……。でも、急いだ方が良いと思うんだ。」
「ああ、そうだね……。」
空間のひび割れを見て、陽葵は同意した。
「うん。わかった。今から会えないかLINで聞いてみる。けど、ダメなら明日。良い?」
「うん。それで良い。」
僕はそう言って、陽葵をじっと見つめた。目に焼き付けておくように。
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