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何かと不穏です

第59話 忍び寄る影

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噂の犯人が分かってから数日、私はいつものように仕事を終え、寮の部屋まで戻った。

すると、窓から灰色の伝書バトが入ってきた。白いハトじゃないからカトリーヌでは無いと思うけど、誰からだろう?

手紙にはこう書いてあった。

"シェリーちゃんへ

 この前のお詫びがしたいから、明日の夕方に教会の前まで来てね

 セレナ"

なんと、手紙の送り主はセレナさんだ。住所は教えて無かったんだけど…研究所の警備員か何かが教えてしまったのかもしれない。全く、この国の人間の情報リテラシーの低さには頭を悩まされる。

…それは置いといて、どうしようかな、これ…

"お詫び"とは書いてあるけど、どうにも怪しい。何か企んでいる可能性は十分にある。でもかと言って、これ以上放置したら周りの人にも迷惑がかかりかねないし、行くだけ行ってみるか…

――――――

「あ、シェリーちゃん!!」

翌日の夕方。教会前まで着くと、セレナさんが既に待っていた。

「じゃあ、行こっか!」
「え?」

行くってどこへ?手紙には特に何も書かれていなかったはずだけど…

やっぱり怪しいんだよな…

「ほら、早く!」
「あ、ちょっと!」

私が中々ついてこないことに焦れたのか、セレナさんは私の手を掴み半ば強引に引っ張った。

――――

「さて、この辺かな!」

そのまま引っ張られていくと、町はずれの森の入口付近までやってきた。

「ここは…」
「じゃあ、耳塞いで!」
「えっ」

セレナさんはそう言うと、私の両耳を手で覆った。

ガバッ!!

「!?!?」

すると、後ろから何者かが近づいてきて、私の口に布を当ててきた。

しまった、即効性の睡眠薬…

バタ…

私は、そのまま意識を失った。

――――――

「…ん……」

ふと目を覚ますと、私は見覚えのない場所にいた。

というのも、私は牢屋の中に入れられていたのだ。

その上手足には手錠と足枷をつけられ、手錠についている鎖でちょうど床に座れる位の高さで天井から吊るされている。

例によって手錠には魔封石が使われ、牢屋内には魔封じの魔法が施されている。

どうやら私は何者か、恐らくセレナさんの協力者によって魔法薬で眠らされた上で、ここに入れられたみたいだ。

なんともデジャヴ感がすごい。一体何をしたらこんな短期間に2回も牢屋に閉じ込められることになるんだろうか。

それにしても、この状況非常にまずい。

前はここまで厳重じゃなかったしエリオット様もいたから何とかなったけど、今回は身動き1つ取れそうにない。

カツ…カツ…

色々と考えを巡らせていると、牢屋の外にある階段から足音がした。足音の主はこちらまでやってくると、やがて私のいる牢屋の前で足を止めた。


―――――― 続く
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