『桜の護王』

segakiyui

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4.幻燈夜(1)

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 小さな微かなオルゴールが鳴っている。ぽつぽつと途切れるように響く音色に、手をつないでいたあやこが立ち止まる。
「あやこ?」
「おねぃちゃん」
 幼稚園からずっとそうだ、舌足らずな呼び方はなおらない。細い今にも折れそうな白い首に、おかっぱに切った髪がさらさらと、十二月の冷えた風に揺れている。
「オルゴール」
「うん」
 あやこの振り返った先には金色の光を内側にたたえたショーウィンドウがある。足を急がせて行き交う人々、夕暮れの沈んだ街の中に、光は鮮やかに胸に沁みる。
 オルゴールが鳴っているのはショーウィンドウの中だ。店員がネジをまき終えて、窓から離れていく。古風なアンティークショップ、甘いチョコレート色の壁に囲まれた透き通ったガラスの向こう。だからオルゴールの音が聞こえるはずはない。
 だが、確かに洋子もその音色を聞いた。
「帰らないとさ」
「うん…少しだけ」
「怒られるよ?」
「うん、わかってる」
 振り返ったあやこの真っ黒な瞳には潤むような懇願がある。
 帰りたくない。
(うん、わかってる)
 痛いほどに。
 街はどんどん暮れていき、人はどんどん温かな灯の中に吸い込まれていき、そうしてあやこと洋子は居場所を見る見る失って、それでも。
「帰らなくちゃ…ならないよ」
「…うん…」
 自分が中学生であること、中学生でしかないということが、身を焦がすほどつらい。必死に自分の手を握りしめる妹を、あの家に連れ帰らなくてはならないのがつらい。
「…ちょっと…見ていこう」
「うん」
 あやこはうれしそうに微笑んだ。首に自分のマフラーを外し巻き付けてやる。それから、今度は洋子が手を引いてショーウィンドゥに近寄った。
 きっとクリスマス用のセットなのだろう。どこかの家の居間といったしつらえだ。暖色の壁紙、配置された柔らかな茶色の揺り椅子には赤と緑の膝掛け、緑の可愛いクリスマスツリーの下に幾つもの金銀のプレゼントの箱、そのいくつかは中央に置かれた低いテーブルに載せられていて、ほどきかけたリボンと鮮やかな包み紙の間に切り分けた作りもののケーキとオルゴールが置かれていた。
 オルゴールは木目のニス塗り、箱を開かれた中に真っ赤なビロードが張られていて、そこを舞台にウェディング姿の男女がくるくると踊っている。
 こうして張りついていても、やはりそこからもう音は聞こえてこない。ただきらきらとした視界の中で、くるくるくるくると人形が踊るだけだ。
「聞こえないね?」
「…さっきは…聞こえた」
 あやこが消え入りそうな声でつぶやいて、洋子は妹を見下ろしことばを呑んだ。
 あやこは目を大きく見開いている。その目にいつこぼれ落ちてもおかしくないほどの涙が、いつのまにかいっぱいに溜まっていた。
「……さっきは……聞こえたのに……」
 洋子は唇を噛んで、もう一度オルゴールを見つめた。
 ガラス窓は洋子の願いも祈りも弾き返す。
「…聞こえた…よ」
 あやこは繰り返した。
 一瞬だけ聞こえて、二度と聞こえないその曲を、洋子は知っている。ずっと昔、ずっとずっと昔、たった一度だけ家族四人で囲んだクリスマスの食卓に、テレビから流れていた曲だ。
「…あの歌だったもん…」
 くるくると動いていた人形の動きがだんだん緩くなり、やがて唐突に止まる。
 止まって、二度と動かなくなる。
「あやこ」
 たまらなくなって洋子はあやこの手を引いた。はっとした顔で振仰いだ妹に、できるだけ大袈裟に笑いかける。
「あのさ、ケーキ買いに行くんだけど?」
「ケーキ?」
 あやこが目を見開く。
「そ、あそこのケーキ屋さんで」
 指差したのは角にある小さな洋菓子店だ。十二月に入ってからときどき安売りをしていて、洋子の鞄の中にはノート代として粘ってもらったお金がショートケーキ一個分は残っている。
「何がいいかなー?」
「いいの?」
「いいの、けど、公園で食べるんだよ?」
「うん、ないしょだね!」
「そ、内緒」
 あやこはぱあっと笑った。その拍子に瞳にたまっていた涙がぽろぽろと零れ落ちる。濡れた柔らかな頬を両の掌で包んで拭き取ってやりながら、洋子は思う。
(あやこが笑うのなら)
 どんな嘘だってついてやる。神様だって騙してもいい。どんな罪でも被ってやる。
「で、何がいいの?」
「へへへー、決まってるもん、白いので、いちごがのってるのー!」
「おっけー」
 洋菓子店で目当てのケーキは、閉店間近のせいか、いつもの半額になっていた。思わぬ収穫にほくほくして、小さな包みを抱えて近くの公園に入り込む。
 さすがに煙ったように薄青い闇に人影はほとんどない。
「う…わあ…」
 ベンチに座り、二人の間に置いた箱を開くと、あやこが歓声を上げた。店員の粋なはからい、いちごショートの上には造花の赤い実のついたひいらぎが置かれている。
「きれーい」
「魔よけだなあ…」
「え?」
「ひいらぎはね、魔よけになるんだ」
 洋子はつぶやいた。そっと取り上げてひいらぎの造花からクリームを拭き取る。
「食べていい?」
「いいよ」
 両手でケーキを取り上げてかぶりつくあやこの横で、ひいらぎの鮮やかな緑を眺める。
「おいしー」
「あやこ」
「ん?」
「もう一個、ケーキ食べていいよ」
「おねぃちゃんは?」
「いらない。かわりに、これ、ほしいな」
「ふうん…食べられないよ?」
「いいの、これがほしい」
 ひいらぎを公園の電灯にかざす。白いものがいつの間にかはらはらと舞い始めている。
 雪は天からの贈り物、天上で見ているダレカからの。
(どうか)
 どうか、お守り下さい。
 どうか、あやこを。
 願いを込めてふと見ると、あやこは口の回りをクリームだらけにして最後のいちごを口に押し込んでいるところだった。始めによけて、楽しみにとっておいたらしい。
「こら…なんて顔…」
 いいかけて凍りつく。
 あやこの白い顔に食いちぎりかけた赤いいちご。
「おねぃちゃん?」
 そのきょとんとした顔に重なる、あやこのもう一つの白い顔。口元が真っ赤な血に濡れて。
「おねぃちゃん……」
 白い便器には水に混じって薄まった、朱い血が広がっていく。
「あやこ…!」
「おねぃちゃ…ん…」
 手を伸ばす、僅か数mm先で小さな体が倒れていく。支え損ねたのが悔しくて、虚空を掴んだ手を握る。力の限り握り締める。
(どうして……届かない…どうして……もっと…早くに…何とかしなかった…!)
 崩れた小さな体に駆け寄っているのに、距離が縮まらない。こぶしを握れば握るほど、あやこの姿が遠ざかる。
「……あや…こ…!!!」
 右手に鋭い痛みが走る。その痛みと同時に目の前のあやこの姿が、首元に巻きつけてやった洋子の白いマフラーが、見る見る紅に染まっていく。
 白くなり出した公園に、耐え切れない傷みと一緒に滲み広がる朱色の闇。

「う、わあ、ああ!」
「つっ…!」
 声を絞り出し、必死に右手を握りしめると小さな悲鳴が上がって、洋子は瞬きした。右側から誰かが覗き込んでいる。黒い髪、黒い瞳、黒いシャツの男。朱いものはない、どこにもない。
(体が…熱い…)
 小刻みに呼吸する洋子に、眉をしかめ辛そうに、けれど言い聞かせるように慣れた口調でつぶやいた。
「あかん」
「…?…」
「あかんのやで」
 男の目は濡れているように見える。しっとりとした輝きをじっと洋子に据えている。
 呼吸が乱れて心臓が苦しい。視界が熱を帯びてぼやけている。
 男は低い声でもう一度、繰り返した。
「怪我してるんや……あかん、それ以上、握んな」
(握る…?)
 のろのろと視線を移すと必死に握りしめている右手の中に相手の左手があった。真っ白な包帯をまかれている右手は掴んでいる左手に比べると悲しいほどにか細く見える。その頼りなげな自分の手が、相手の手に爪を立てるほどに握っている。
 男の手の甲に薄赤いにじみが広がっているのに気づいて、洋子は我に返った。
「あ…あ」
「大丈夫や」
 怯えて引こうとする洋子の手を、今度は相手がしっかり握り直した。すっぽりと、薄い朱を帯びた包帯ごと洋子の手を包み、それでも爪を洋子自身に立てさせるまいとするように親指は洋子の掌の中に滑り込ませた。
「俺が握ってたる」
 笑った目が揺らめくようにあやふやに深い惑いに融けていく。何かを問いかけるように、探るように洋子を見つめながら、
「目が覚めへんのかと心配したで」
 伸びた相手のもう片方の手がそっと洋子の汗に塗れた額に触れ、くっついた髪を取り除き、汗を指先で拭っていく。髪が取り除かれた部分に相手の吐息があたる。
「無茶ばっかりして……こんな姫さん…おらへんかったぞ」
 相手は掠れた声でつぶやきながら、なおも洋子の額を拭った。その指先が何度も額に触れていくうちに、洋子は再び眠りに落ちた。

「えー、なんなのよぉ、これ」
 夜勤に来た綾子が素頓狂な声を上げた。
 ごく珍しいことでシフトの急な変更があり、洋子と二人で夜勤に入ることになったのだ。
 先輩がいなくて、二年目二人の夜勤、不安はあるにはあるが、幸いにも連休の絡んだクリスマスシーズン、半数近くが外泊していることで気は楽だった。
 夜中の申し送り直後の巡回を終え、仮眠を含んだ休憩に入る時間、洋子はそっと隠し持ってきたピンクの箱を取り出した。夕べも夜勤だった洋子は昼間の時間を利用して、ついこの間雑誌でみつけた可愛いケーキ屋に寄ってきた。
「むっちゃ、かわいいー!」
 ピンクの箱の中は六つに仕切られてミニケーキが六個入っている。ティラミス、レアチーズ、シュークリーム、チョコケーキ、フルーツタルト、抹茶ムース。
「あれ? いちごショート、ないんだ?」
「あ…う、うん」
 洋子は一瞬強ばりかけた顔で必死に笑い返した。本当はバイキング形式だったので、ミニサイズのいちごショートもあったのだが、どうにもそれを選べなかった。
「そっかー、あたし、あれ好きなんだけどなあ」
「ごめんよー」
「ううん……っていうか」
 へへっと綾子は舌を出した。
「じゃーん! そういうこともあろうかと!」
「え?」
「作ってきちゃいました!」
 綾子が背後の鞄から緑の箱を取り出した。丁寧に机の上に置き、そろそろと開ける。と、そこにはホワイトクリームといちごをあしらったチョコレートスポンジのミニホールケーキが出現した。
「う…」
 ぞく、と背中が竦むのをこらえて相手を見ると、綾子は屈託なく六つのケーキの品定めにかかっている。茶色のふわふわ猫っけを無理に押し込めたナースキャップが楽しげに踊るように揺れている。
「うれしいなー、だから洋子、好きなんだよー、どれがいいかなー、どれもおいしそーだなー」
「いいよ」
 そんなつもりなどさらさらなく、そしてあやこの髪の毛は真っ黒なおかっぱだったのだけど、洋子はついそう言ってしまった。
「好きなの、食べて、いい」
「え?」
 くるんと綾子が洋子を見上げた。まっすぐな大きな瞳が洋子を見据えて、一瞬胸が詰まってしまった。
 幻だとは知っている、けれど、あまりにも幸福なその錯覚。
「いいの?」
「うん、いい」
 綾子はいそいそとケーキを口に運ぶ。こぼれるような微笑に見愡れる。
「おいしー」
「綾子」
「ん?」
「全部、ケーキ食べていいよ」
「え?……洋子、食べないの?」
 綾子はいぶかしげに眉を寄せたが、ふいにぷくんと頬を膨らませた。
「あー、そうやって自分だけ痩せとこうって魂胆だな!」
「違うよ。そっちはいらない。かわりに、これ、ほしいな」
 洋子は綾子の作ったホールケーキを指差した。
「えー、おいしいかどうかわからないよ?」
「いいの、これがほしい」
「ふーん」
 綾子はにこっと笑った。
「得しちゃったぞー」
「よかったね」
(よかったね)
 胸の中の傷みに囁く。
(おいしい、あやこ? ほら、あんたの好きなケーキだよ? それも、ホールだ、いっぱい、食べられる)
 そっとスプーンをケーキに差し入れ掬いとる。見事に焼かれたスポンジは弾力でふわりとすぐに戻った。やや甘過ぎるクリームは綾子の好みだ。いちごがかなりすっぱくて、舌にぴりっとする。けれど、そのどれもが、いや、この瞬間が、どれほど洋子にとって嬉しいか、きっと綾子にはわかるまい。
「おいし……」
 いよ、綾子、の声は、顔を上げたとたんに洋子の喉に詰まった。
「えー?」
 目の前の綾子が同時に上げた顔、その白衣の襟元に真っ赤なマフラーが巻きついている。しかも、その紅はどんどん深く濃くねっとりとした色に変わっていく。
「あ…やこ…?」
「なあに?」
「その…」
 ごく、と洋子は喉を鳴らした。呑み込んだケーキのクリームが粘るように食道を落ちていくのがわかる。白いクリームに一緒に噛み砕いたいちごの紅を織り混ぜながら……。
「まふ…ら…」
「ああ、これえ?」
 綾子は何でもないように金色のスプーンをテーブルに置いた。両手を持ち上げ、やめて、と頼む間もなくマフラーを握る。その白い手に弾けるように朱色が散り、つるつると指先から掌を伝って手首へ流れ落ちていく。白衣の袖にしみ込まれ呑み込まれていく、紅の鮮血。
「何だか、切られちゃって」
 ほうら、と綾子がマフラーを、いや、マフラーに見えていたタオルを外すと、細く折れそうな首を引き裂いて真紅の傷が口を開ける。
「どうしてなんだろ、洋子知ってる…?」
 きょとんとした困ったような顔、それは紛れもなく、病院に運び込まれたあやこの最後の顔とそっくりで。
 どうして?
 どうしてなんだろう?
 どうして、死んでしまうのか、わからないよ。
「洋子」
「おねぃちゃん」

「…っ!」
「う…」
「姫さんっ!」
 耳もとで叫ばれて我に返る。反り返るほどに硬直した体を、抱きかかえられて呼ばれている。
「姫さんっ! しっかりせえ! それは夢や! 幻や!」
「まぼ…ろし…?」
(違う…)
 洋子は首を振った。
(違う…あやこは死んだ……綾子も死んだ…)
「私の…せいだ…」
「違う!」
「違わ…ない…」
 もう少し早く動いていれば。
 もう少し早く気づいていれば。
 もう少し洋子に何がしかの力があれば。
「違う!」
 両頬を熱い掌で挟まれて、僅かに意識が現実に戻ってくる。視界いっぱいに白く色を失った顔が、必死に呼び掛けているのがわかる。
「姫さん、あかん、そんなこと考えんな! そんなことしたら、あんたまで..!」
「だって…」
 だって。
 どうして考えずにいられる? 洋子は一番近くにいたのだ。一番最後まで一緒にいたのだ。誰よりも大切に護り切ろうと思っていた、それを。
 ふいに視界に開いたドアが飛び込んだ。駆け寄ってくる白衣達。岡村主任、倉敷婦長、病棟の医師達、看護師達、わらわらと、まるであの日綾子に群がったもののように。
「ぃやああああああああっっ!」
 喉を突いた悲鳴が止められない。ぎょっとしたように洋子を抱えていた相手が、
「あほう! 何さらしとんねん! 怖がってんのがわからへんのか、出てかんかい!!」
 凄まじい怒号一喝、うろたえたように白衣達が引く気配があった。その群れから洋子を庇うようにして、一層強く抱き締めながら、今度は打ってかわって柔らかな声で、
「大丈夫や、大丈夫やし、大丈夫や、もう、終わったんや」
「あっああ……」
「大丈夫や、俺がここにおる、姫さんの護王がここにおる」
「護王…?」
 悲鳴で掠れた声が弱々しく空中に呑まれるのを、洋子はぼんやりと感じ取った。
 その名前には覚えがある。
 この温もりにも覚えがある。
(生きている…体)
 平静を装いながら、それでもそれを裏切るように激しく早く打っているリズム、それが薄いTシャツを通して洋子の肌に伝えてくる鼓動を、確かに洋子は覚えている。
「…生きて…るんだ…」
「そやで……っ!」
 洋子は微笑みながら両手を上げた。抱き締めると消えるかもしれない、けれども、その命を確認したくて、そっと相手の体を抱く。
 ぴく、と微かに相手の体が震えて強ばった。だが、それも一瞬のこと、内側から表皮を破る勢いで広がってくる波に流されたように、洋子の体をより深く抱き締め、左の肩に顔を埋めてつぶやく。
「俺は護王や……桜の姫を護るもん……永久に……どこまでも…どこででも……護るもん」
 吐息が首筋に触れる。応じるように洋子の肩の一部が熱を持ち、微かな震えが体を走った。
 いつの間に泣き出してしまっていたのか、なおとめどなく洋子の頬を涙が流れ落ちる。それに気づいたのだろう、揺らめく視界の中で、体を起こした護王の黒の中の黒の瞳が熱を込めて洋子を見返した。
「俺は……」
 ためらいがあった。言うべきことばを口に出せない、それよりもっと別のことばを、そう必死に探し求めるような切ない表情が男の顔に過る。
「俺は……」
 より低くなった声が、甘く、掠れた。
「……あんたの……護王や…」
 惑うような響きを残して、声は重なった口の奥に消えた。
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