2 / 48
『Brechen』
しおりを挟む
「……どうしましょう」
山杉が困った顔で寄ってきて村野に囁いた。
「お帰りになりません」
「……私が行きます」
ゆっくり厨房を出て、とっくに人気がなくなって静まり返った店内を歩く。奥まった席の客は足音に気付いて顔を上げ、うっとうしそうに高価そうな時計をはめた腕を振った。
「ワインを注文する」
「ずいぶん召し上がられたようですね」
「ワインを、注文、する」
酔った眼で男は繰り返す。
既に十数万円を越えるワインを湯水のように消費して、半分崩れかけたような姿勢で座っている男は、大石圭吾と言った。きちんとしていたスーツ姿はみるかげもなく乱れて、面倒そうにはだけた上着の下から、美しい織のシャツが中途半端に引き出されてくしゃくしゃになっている。ネクタイを緩めた喉は真っ赤だ。それほど酒に強いわけではないのだろう。
「申し訳ありませんが」
村野は静かに大石の側に立った。
「店は間もなく閉店いたします」
「だから、どうした」
ふう、と大石は息をついて、椅子にもたれ、
「ワインを、注文、する」
一番高いのをもってこい。
大声を出した相手が、ここまでぐたぐたになったわけはわかっている。必死に求めた相手にあっさり去られてしまったのだ、しかも他の男を選ばれて。
「ございません」
「はぁ?」
大石はじろりと村野を見上げた。
「なんだ、それは」
「一番高いの、と呼ばれるようなワインはございません」
「……」
不愉快そうに眉を寄せた相手に静かに続ける。
「さきほどのように、リストからお選び下さい」
丁寧に料理と合わせて頂きました。
微かに会釈すると、大石が薄く赤くなって顔を背けた。
「……さっき」
「はい」
「美並に、何を渡したんだ」
ぼそりと尋ねてくる声に、微笑みながら応える。
「当店オリジナルのカフェプリンです」
「あいつが買ったのか」
「御予約を頂いていました」
「……誰に」
肩越しに睨み上げてくる顔に平然と続ける。
「真崎京介さまに」
「……ふん」
不愉快なやつだな。
つぶやいた大石が、じっと見つめる村野に戸惑った顔になる。
「まだ……あるか」
「ございます」
「……二つ、よこせ」
「お召し上がりですか」
「……一緒に食え」
「は?」
「一緒に食ったら帰ってやる」
「チーフ…」
心配して近付いてきた山杉が不安そうに声をかけてくるのに、少し手を上げて心配ない、と止めた。
「御持ちいたします」
厨房には最後の確認のために残しておいたカフェプリンが一つ残っている。営業が終わった後でも味がひどく落ちないかを、時々調べているのだ。
「お待たせいたしました」
「一つじゃないか」
「それが最後ですので」
「……皿」
「はい」
意図はわからないが同じ空の器を出すと、大石は黙々とプリンを半分にした。片方を空の器に移し、村野を見上げる。
「分けたぞ。食え」
「……頂きます」
村野はさきほどまで伊吹が座っていた席に腰を降ろした。ぱくぱくと三口ほどで片付けてしまった大石の前で、味を確認しながら掬っていると、
「……何が悪かった」
「……」
「俺の、何が、悪かった」
酒臭い息を吐きながら、大石が見つめてきている。
「あいつの、何に、劣る」
村野が無言で見返すと、苦しそうに顔を歪めた。
「気持ちは、負けない、はずだ」
なぜ、美並を失った?
「答えろ」
「……私には」
「答えろっ」
悲痛な響きに溜め息をつく。
「………以前からカフェプリンがお好きでしたか?」
「……は?」
「………お相手の方は、昔からカフェプリンをお好みでしたか」
「そんなの知るわけ………っ」
大石が嘲笑しかけて、ふと顔を強ばらせる。
「………好き、なのか?」
「………どうでしょう」
どんな御様子でしたか。
「……嬉しそう、だった」
大石は唇を噛みながら唸る。
「俺と食事、しているときよりずっと」
「……では、お好きなのでしょう」
「……いつから…だろう」
「……存じ上げません」
私はそれほど親しくして頂いているわけではありませんので。
「けれど」
「けれど?」
「真崎さまは御存じのようです」
「…………」
大石は空になった器を見下ろした。
「………ここへは初めてじゃ、なかった?」
「いらっしゃったことがございます」
「……そんなこと、言わなかった」
大石は小さく掠れた声で呟いた。
「………俺は……美並のことを……知らないんだな?」
「昔は御存じだったのでしょう」
何を悲しく思い、何を嬉しく思われるかを、きっとよく御存じだったに違いありません。
「っ」
村野のことばに大石が震える。
最後の一さじを村野は食べ終えた。さすがにこの時間になると、少し触感が変化してしまう。
伊吹が持ち帰ったものは味が変わる前に食べてもらえるといいのだが、と思い、それは身勝手なことだと自分を戒める。
「………あいつは……知っているのか」
「……」
「……くそ…っ」
きり、と鋭い音が大石の口で響いた。
顔を上げる。背筋を伸ばし、シャツを直し、上着を合わせ、ネクタイを締め直しながら、
「……『Brechen』」
「決裂?」
村野がつい尋ね返すと、少し驚いた顔で、けれど苦い笑みを押し上げながら見返してきた。
「……破る、と聞いてくれよ」
「破る」
「……自分の過去を、破る、という意味だ」
指にはめていた指輪を動かして一つだけ外すのを見て、それがニ連になっていたと気付く。
「真崎京介は、切れ者だったよな」
低い声で呟きながら、それを差し出した。とりあえずは受け取った村野は、内側に彫り込まれた今日の日付けとイニシャルに眉を寄せる。
『M to K』
「これは……結婚指輪、では」
「真崎に渡せ」
「は?」
とんでもないことを言った大石がふいに携帯を取り出す。
「……なんだ? ……ああ、今戻る。いや……変更はしない」
ちらっと鋭い眼で村野を見遣る。
「桜木通販を落とす……準備をすすめろ、志賀」
ぱちりと携帯を閉じて、村野に指輪を渡したことなど忘れたように帰り仕度を始めた。
「支払いを」
「これは受け取れません」
「じゃあ、ドブにでも捨ててくれ」
山杉が差し出したコートを羽織りながら言い捨てて、大石は揺れかけた足下を踏みしめ、背中を向ける。
「もう、意味がない」
そう言いながら、自分の指からは指輪を抜かないまま、コートを翻して店を出て行く大石の背中を、村野は複雑な思いで見送った。
山杉が困った顔で寄ってきて村野に囁いた。
「お帰りになりません」
「……私が行きます」
ゆっくり厨房を出て、とっくに人気がなくなって静まり返った店内を歩く。奥まった席の客は足音に気付いて顔を上げ、うっとうしそうに高価そうな時計をはめた腕を振った。
「ワインを注文する」
「ずいぶん召し上がられたようですね」
「ワインを、注文、する」
酔った眼で男は繰り返す。
既に十数万円を越えるワインを湯水のように消費して、半分崩れかけたような姿勢で座っている男は、大石圭吾と言った。きちんとしていたスーツ姿はみるかげもなく乱れて、面倒そうにはだけた上着の下から、美しい織のシャツが中途半端に引き出されてくしゃくしゃになっている。ネクタイを緩めた喉は真っ赤だ。それほど酒に強いわけではないのだろう。
「申し訳ありませんが」
村野は静かに大石の側に立った。
「店は間もなく閉店いたします」
「だから、どうした」
ふう、と大石は息をついて、椅子にもたれ、
「ワインを、注文、する」
一番高いのをもってこい。
大声を出した相手が、ここまでぐたぐたになったわけはわかっている。必死に求めた相手にあっさり去られてしまったのだ、しかも他の男を選ばれて。
「ございません」
「はぁ?」
大石はじろりと村野を見上げた。
「なんだ、それは」
「一番高いの、と呼ばれるようなワインはございません」
「……」
不愉快そうに眉を寄せた相手に静かに続ける。
「さきほどのように、リストからお選び下さい」
丁寧に料理と合わせて頂きました。
微かに会釈すると、大石が薄く赤くなって顔を背けた。
「……さっき」
「はい」
「美並に、何を渡したんだ」
ぼそりと尋ねてくる声に、微笑みながら応える。
「当店オリジナルのカフェプリンです」
「あいつが買ったのか」
「御予約を頂いていました」
「……誰に」
肩越しに睨み上げてくる顔に平然と続ける。
「真崎京介さまに」
「……ふん」
不愉快なやつだな。
つぶやいた大石が、じっと見つめる村野に戸惑った顔になる。
「まだ……あるか」
「ございます」
「……二つ、よこせ」
「お召し上がりですか」
「……一緒に食え」
「は?」
「一緒に食ったら帰ってやる」
「チーフ…」
心配して近付いてきた山杉が不安そうに声をかけてくるのに、少し手を上げて心配ない、と止めた。
「御持ちいたします」
厨房には最後の確認のために残しておいたカフェプリンが一つ残っている。営業が終わった後でも味がひどく落ちないかを、時々調べているのだ。
「お待たせいたしました」
「一つじゃないか」
「それが最後ですので」
「……皿」
「はい」
意図はわからないが同じ空の器を出すと、大石は黙々とプリンを半分にした。片方を空の器に移し、村野を見上げる。
「分けたぞ。食え」
「……頂きます」
村野はさきほどまで伊吹が座っていた席に腰を降ろした。ぱくぱくと三口ほどで片付けてしまった大石の前で、味を確認しながら掬っていると、
「……何が悪かった」
「……」
「俺の、何が、悪かった」
酒臭い息を吐きながら、大石が見つめてきている。
「あいつの、何に、劣る」
村野が無言で見返すと、苦しそうに顔を歪めた。
「気持ちは、負けない、はずだ」
なぜ、美並を失った?
「答えろ」
「……私には」
「答えろっ」
悲痛な響きに溜め息をつく。
「………以前からカフェプリンがお好きでしたか?」
「……は?」
「………お相手の方は、昔からカフェプリンをお好みでしたか」
「そんなの知るわけ………っ」
大石が嘲笑しかけて、ふと顔を強ばらせる。
「………好き、なのか?」
「………どうでしょう」
どんな御様子でしたか。
「……嬉しそう、だった」
大石は唇を噛みながら唸る。
「俺と食事、しているときよりずっと」
「……では、お好きなのでしょう」
「……いつから…だろう」
「……存じ上げません」
私はそれほど親しくして頂いているわけではありませんので。
「けれど」
「けれど?」
「真崎さまは御存じのようです」
「…………」
大石は空になった器を見下ろした。
「………ここへは初めてじゃ、なかった?」
「いらっしゃったことがございます」
「……そんなこと、言わなかった」
大石は小さく掠れた声で呟いた。
「………俺は……美並のことを……知らないんだな?」
「昔は御存じだったのでしょう」
何を悲しく思い、何を嬉しく思われるかを、きっとよく御存じだったに違いありません。
「っ」
村野のことばに大石が震える。
最後の一さじを村野は食べ終えた。さすがにこの時間になると、少し触感が変化してしまう。
伊吹が持ち帰ったものは味が変わる前に食べてもらえるといいのだが、と思い、それは身勝手なことだと自分を戒める。
「………あいつは……知っているのか」
「……」
「……くそ…っ」
きり、と鋭い音が大石の口で響いた。
顔を上げる。背筋を伸ばし、シャツを直し、上着を合わせ、ネクタイを締め直しながら、
「……『Brechen』」
「決裂?」
村野がつい尋ね返すと、少し驚いた顔で、けれど苦い笑みを押し上げながら見返してきた。
「……破る、と聞いてくれよ」
「破る」
「……自分の過去を、破る、という意味だ」
指にはめていた指輪を動かして一つだけ外すのを見て、それがニ連になっていたと気付く。
「真崎京介は、切れ者だったよな」
低い声で呟きながら、それを差し出した。とりあえずは受け取った村野は、内側に彫り込まれた今日の日付けとイニシャルに眉を寄せる。
『M to K』
「これは……結婚指輪、では」
「真崎に渡せ」
「は?」
とんでもないことを言った大石がふいに携帯を取り出す。
「……なんだ? ……ああ、今戻る。いや……変更はしない」
ちらっと鋭い眼で村野を見遣る。
「桜木通販を落とす……準備をすすめろ、志賀」
ぱちりと携帯を閉じて、村野に指輪を渡したことなど忘れたように帰り仕度を始めた。
「支払いを」
「これは受け取れません」
「じゃあ、ドブにでも捨ててくれ」
山杉が差し出したコートを羽織りながら言い捨てて、大石は揺れかけた足下を踏みしめ、背中を向ける。
「もう、意味がない」
そう言いながら、自分の指からは指輪を抜かないまま、コートを翻して店を出て行く大石の背中を、村野は複雑な思いで見送った。
0
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる