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勘違い
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その日の夜、エイベルからの合図はやはりなかった。
クラリッサが出かけられる時間までドールハウスの中で仮眠を取っていたアイレと一緒にダークエルフの森に急いだ。
初めて屋敷を抜け出して森に向かった日を思い出す。暗闇の中、恐怖よりも好奇心が勝って恐る恐る入っていった森の中。先日も入ったというのに無性に懐かしく感じてしまう。
一緒に過ごせる時間は少なく、会える日も少なかったが、確かにこの森の中でクラリッサはエイベルと笑い合った。
もし飽きたのであればそれでもいい。そう言ってもらえればもうテラスには出ない。出なければ合図を見ることもなく、使用人が出ていってすぐベッドに潜れば済む話。だから答えが欲しかった。あの楽しい時間を手放すための覚悟をするために。
「平気か?」
「アイレのおかげでね」
日中にしか会わないためわからなかったが、夜になるとアイレは淡い光を身に纏う。ランプよりも頼りになるその灯りを追って奥へと進んでいく。
「ここは、私が知ってる道じゃないわ」
「こっちはオイラたち妖精が通る道なんだ」
「同じ森に住んでるのに別の道を通るの?」
「ダークエルフは性格クソだからオイラたちが通ると突っかかってくるんだ」
「それは辛いわね」
使用人と主人の関係ではないのに森を共有できない辛さにクラリッサが眉を下げる。エイベルに連れてきてもらった道よりも細く狭い。人が一人通る分には問題はないが、差別を感じる。
小さい妖精に大きな道は必要ないと言えばそのとおりだが、ダークエルフの道を通るだけで突っかかってこられるのは辛い。
一度エイベルに妖精を見下す理由を聞いてみたが、タイミングが悪く、明確な答えは得られなかった。
「水音……?」
森は木が集まっているだけだと思っていたクラリッサの耳に届くドドドドッという大きな水音。地鳴りのようにも聞こえる。
「奥には滝とか湖があるんだ。そこでダークエルフたちが水浴びしてる。クラリッサの家で言う広間みたいなもんかも。いーっつもそこでうざったい絡みしてるもんだからスゲー迷惑してんの」
きっとこの会話もエイベルたちに聞えていることを思えばアイレのその言葉はまずいのではないかと思うが、クソだなんだと言ってしまっているため今更気にしても遅い。
水があるせいか入口よりも涼しく感じてきた道の出口だろう境界が見えると安堵と同時に少し緊張してきた。エイベルは笑ってくれるだろうか、それとも飽きた顔でこちらを見るだけだろうか。
嬉しいのは前者だが、望むのは後者。後者であれば期待せずに済む。傷つかずに済む。常に最悪の未来を想像するクラリッサにとって現実の痛みほど恐ろしいものはない。
だから境界を越える前に一度深呼吸をしてから足を踏み出した。だが──
「止まれ、クラリッサ」
エイベルの声に反射的に足が止まる。声が近い。すぐ目の前にある人の背丈ほどある草を掻き分けて進めば姿が見えるのに、クラリッサの足は動かない。エイベルの声に怒気が含まれているような気がしたからだ。
「なぜ来た?」
責めるような問いかけにクラリッサが戸惑う。からかわれることはあっても怒りを向けられたことはない。触れる唇も指も優しくて、それしか知らなかったクラリッサにとって冷たい問いかけは予想外だった。
「ここ数日、あなたに会えてなかったから会いたくなって──」
「帰れ」
突き放すような言い方に心臓が抉られたような痛みが走る。
「迷惑、だった?」
「お前がここに来ていいのは俺が合図を送ったときだけだ。それ以外は来るな」
「あ……そう、よね……」
本当は違う言葉が頭に浮かんでいた。合図をくれないじゃないと言いたかった。いつ合図をくれるつもりだったの? 明日? 一週間後? 一ヶ月後?
だが聞けなかった。恋人でもないのに会いたいとねだれる立場にない。ここはダークエルフの森であって自分の屋敷ではない。我が物顔で入っていい場所ではなかったのだと思い知らされる。
「オイラが招待したんだ!」
「連れて行ってと言われていただろう」
「この森はオイラ達の森でもあるんだぞ! それに、クラリッサはお前に会いたがってたのに冷たくすんなよな!」
クラリッサの頭上で声を上げるアイレにはエイベルの姿が見えているのだろう。真正面を睨みつけながら怒っている。
「アイレ、アイレ……いいの、帰りましょう。エイベルの言うとおりよ。ここはダークエルフと妖精の住処。人間が簡単に足を踏み入れていい場所じゃなかったの。彼は間違ってないわ」
会えるのはエイベルが会ってもいいと思ったときだけで、自分が会いたいと思ったときには会えない。どれほど会いたいと伝えてもエイベルの気が乗らなければ会えはしないのだとわかった以上は子供のように駄々をこねて長居するつもりはない。
踵を返そうとしたクラリッサに影が落ち、頭上から聞こえるクスクスと鳴る笑い声に顔を上げると視界を覆った物体に目を見開いた。
「は、裸!」
エイベルと同じ肌の色を持つ大柄な女性が裸でクラリッサを見下ろしている。
クラリッサも女性の中では背が高いほうであり、家族の中でも一番背が高い。目の前に立つ女性はエヴァンと変わらないほど顔が上にある。
なぜ裸なのだろうかと混乱しているクラリッサを品定めするように上から下まで視線を這わす相手をクラリッサは直視できなかった。
「エイベル、意地悪しないで会うぐらい会ってあげたら? 世間知らずのお姫様がこんなところまでやってきたのよ、あなたに相手してほしくてわざわざね」
嫌な言い方にアイレが嫌悪丸出しの表情を見せるもクラリッサは事実だと受け止め、表情は変えなかった。
「余計な口出しをするな」
「あら怖い。いいじゃない、少しぐらい。ほら、こっちにいらっしゃい」
「あ、あのっ、私は……ッ!」
女性の身体がエイベルに向くと今度は胸ではなく尻が見える。視界の端に映っただけでも引き締まった美しいフォルムだとわかった。
自分の身体は毎日見ている。ドレスに着替える際、鏡の前に立って全身を見る。その度に使用人は美しいと褒める。それがお世辞か本音かはわからないが、自分の身体は彼女のように引き締まってはいないことはわかる。
思わず顔を向けて視界に映った身体はただ細いだけではなく全身が引き締まっている。これこそ本当に美しい身体だと思った。
手を引かれるがままに足が進み、境界線を超えたところで手を離された。女性はそのまま裸体を惜しげもなく披露するように腰を左右に揺らしながら歩いていくその先にエイベルがいた。
だが、自分が会いたかったエイベルではない。複数の女性を周りに置き、全員がエイベルの身体に触れている。
リズの部屋でぬいぐるみがこんな風に寄り添って座っていたと思い出すが、微笑ましい光景とは程遠いもの。
女性の長い腕が蛇のようにエイベルの首に回って頬を寄せる。それを払うこともせず、ただ真っ直ぐにクラリッサを見つめるだけ。
感情のない瞳が怖い。まるで知らない男のように感じた。
「エイベルに会いたかったんでしょう? どう? 自らの意思で足を運んで会えた感想は」
「お前ら黙れ。クラリッサはエイベルに会いに来たんだ。お前らに会いに来たわけじゃねぇ」
「アンタこそ黙りなさい。その生意気な口閉じないとその羽ちぎるわよ」
やってみろとは言えなかった。この羽がなくなれば飛べなくなってしまう。悔しげに唇を噛み締めて押し黙るアイレを隠すように前に立てば苦笑か何かわからない笑みを向ける。
「あ、あの……勝手に入ってごめんなさい。私が頼んだだけでアイレは悪くないんです。どうか怒らないであげてください」
王女が人に頭を下げることなどない。あってはならないことだと教えられたが、ここは人間の世界ではない。王女としての威厳など必要ない。アイレを睨むダークエルフたちに頭を下げて許しを請うクラリッサにエイベル以外が上機嫌そうに笑う。
「どうぞ、お姫様。遠慮しないでエイベルに甘えていいのよ?」
緊張していたはずの身体に痛みが走る。ビリつくような痛み。
クラリッサにとってダークエルフの森は癒しだった。こんなに奥には来たことがないし、エイベル以外のダークエルフに会ったのも今日が初めて。だから何も知らなかった。自分は歓迎されていたわけではなく、エイベルの暇つぶしになっていたということ。
歓迎するとは一度も言われたことはない。からかっていたのではなくからかっていたのではなく本心だっただけ。それを都合良く解釈していただけ。一人で勝手に勘違いして幸せに浸っていたのだと思うと苦笑すら消えた。
「どうしたの? 私たちのことは気にしないで。ここで鑑賞、してるから」
なぜ全員が裸なのか、そんなことはもう気にもならなかった。問いかける気にさえならなかった。
“鑑賞用”
慣れたはずの言葉が痛みを生むほど胸に突き刺さった。
「クラリッサ!?」
気が付けば来た道を引き返し、走っていた。ただ夢中で、がむしゃらに、走り続けた。
いつ屋敷に辿り着き、いつベッドに入ったのかも覚えていない。頭まで布団をかぶって眠れと何百回も自分に命じ続けたのに眠れなかった。エイベルのあの瞳がそれを許さず、理由のわからない涙が枯れ果てた頃、朝を迎えた。
クラリッサが出かけられる時間までドールハウスの中で仮眠を取っていたアイレと一緒にダークエルフの森に急いだ。
初めて屋敷を抜け出して森に向かった日を思い出す。暗闇の中、恐怖よりも好奇心が勝って恐る恐る入っていった森の中。先日も入ったというのに無性に懐かしく感じてしまう。
一緒に過ごせる時間は少なく、会える日も少なかったが、確かにこの森の中でクラリッサはエイベルと笑い合った。
もし飽きたのであればそれでもいい。そう言ってもらえればもうテラスには出ない。出なければ合図を見ることもなく、使用人が出ていってすぐベッドに潜れば済む話。だから答えが欲しかった。あの楽しい時間を手放すための覚悟をするために。
「平気か?」
「アイレのおかげでね」
日中にしか会わないためわからなかったが、夜になるとアイレは淡い光を身に纏う。ランプよりも頼りになるその灯りを追って奥へと進んでいく。
「ここは、私が知ってる道じゃないわ」
「こっちはオイラたち妖精が通る道なんだ」
「同じ森に住んでるのに別の道を通るの?」
「ダークエルフは性格クソだからオイラたちが通ると突っかかってくるんだ」
「それは辛いわね」
使用人と主人の関係ではないのに森を共有できない辛さにクラリッサが眉を下げる。エイベルに連れてきてもらった道よりも細く狭い。人が一人通る分には問題はないが、差別を感じる。
小さい妖精に大きな道は必要ないと言えばそのとおりだが、ダークエルフの道を通るだけで突っかかってこられるのは辛い。
一度エイベルに妖精を見下す理由を聞いてみたが、タイミングが悪く、明確な答えは得られなかった。
「水音……?」
森は木が集まっているだけだと思っていたクラリッサの耳に届くドドドドッという大きな水音。地鳴りのようにも聞こえる。
「奥には滝とか湖があるんだ。そこでダークエルフたちが水浴びしてる。クラリッサの家で言う広間みたいなもんかも。いーっつもそこでうざったい絡みしてるもんだからスゲー迷惑してんの」
きっとこの会話もエイベルたちに聞えていることを思えばアイレのその言葉はまずいのではないかと思うが、クソだなんだと言ってしまっているため今更気にしても遅い。
水があるせいか入口よりも涼しく感じてきた道の出口だろう境界が見えると安堵と同時に少し緊張してきた。エイベルは笑ってくれるだろうか、それとも飽きた顔でこちらを見るだけだろうか。
嬉しいのは前者だが、望むのは後者。後者であれば期待せずに済む。傷つかずに済む。常に最悪の未来を想像するクラリッサにとって現実の痛みほど恐ろしいものはない。
だから境界を越える前に一度深呼吸をしてから足を踏み出した。だが──
「止まれ、クラリッサ」
エイベルの声に反射的に足が止まる。声が近い。すぐ目の前にある人の背丈ほどある草を掻き分けて進めば姿が見えるのに、クラリッサの足は動かない。エイベルの声に怒気が含まれているような気がしたからだ。
「なぜ来た?」
責めるような問いかけにクラリッサが戸惑う。からかわれることはあっても怒りを向けられたことはない。触れる唇も指も優しくて、それしか知らなかったクラリッサにとって冷たい問いかけは予想外だった。
「ここ数日、あなたに会えてなかったから会いたくなって──」
「帰れ」
突き放すような言い方に心臓が抉られたような痛みが走る。
「迷惑、だった?」
「お前がここに来ていいのは俺が合図を送ったときだけだ。それ以外は来るな」
「あ……そう、よね……」
本当は違う言葉が頭に浮かんでいた。合図をくれないじゃないと言いたかった。いつ合図をくれるつもりだったの? 明日? 一週間後? 一ヶ月後?
だが聞けなかった。恋人でもないのに会いたいとねだれる立場にない。ここはダークエルフの森であって自分の屋敷ではない。我が物顔で入っていい場所ではなかったのだと思い知らされる。
「オイラが招待したんだ!」
「連れて行ってと言われていただろう」
「この森はオイラ達の森でもあるんだぞ! それに、クラリッサはお前に会いたがってたのに冷たくすんなよな!」
クラリッサの頭上で声を上げるアイレにはエイベルの姿が見えているのだろう。真正面を睨みつけながら怒っている。
「アイレ、アイレ……いいの、帰りましょう。エイベルの言うとおりよ。ここはダークエルフと妖精の住処。人間が簡単に足を踏み入れていい場所じゃなかったの。彼は間違ってないわ」
会えるのはエイベルが会ってもいいと思ったときだけで、自分が会いたいと思ったときには会えない。どれほど会いたいと伝えてもエイベルの気が乗らなければ会えはしないのだとわかった以上は子供のように駄々をこねて長居するつもりはない。
踵を返そうとしたクラリッサに影が落ち、頭上から聞こえるクスクスと鳴る笑い声に顔を上げると視界を覆った物体に目を見開いた。
「は、裸!」
エイベルと同じ肌の色を持つ大柄な女性が裸でクラリッサを見下ろしている。
クラリッサも女性の中では背が高いほうであり、家族の中でも一番背が高い。目の前に立つ女性はエヴァンと変わらないほど顔が上にある。
なぜ裸なのだろうかと混乱しているクラリッサを品定めするように上から下まで視線を這わす相手をクラリッサは直視できなかった。
「エイベル、意地悪しないで会うぐらい会ってあげたら? 世間知らずのお姫様がこんなところまでやってきたのよ、あなたに相手してほしくてわざわざね」
嫌な言い方にアイレが嫌悪丸出しの表情を見せるもクラリッサは事実だと受け止め、表情は変えなかった。
「余計な口出しをするな」
「あら怖い。いいじゃない、少しぐらい。ほら、こっちにいらっしゃい」
「あ、あのっ、私は……ッ!」
女性の身体がエイベルに向くと今度は胸ではなく尻が見える。視界の端に映っただけでも引き締まった美しいフォルムだとわかった。
自分の身体は毎日見ている。ドレスに着替える際、鏡の前に立って全身を見る。その度に使用人は美しいと褒める。それがお世辞か本音かはわからないが、自分の身体は彼女のように引き締まってはいないことはわかる。
思わず顔を向けて視界に映った身体はただ細いだけではなく全身が引き締まっている。これこそ本当に美しい身体だと思った。
手を引かれるがままに足が進み、境界線を超えたところで手を離された。女性はそのまま裸体を惜しげもなく披露するように腰を左右に揺らしながら歩いていくその先にエイベルがいた。
だが、自分が会いたかったエイベルではない。複数の女性を周りに置き、全員がエイベルの身体に触れている。
リズの部屋でぬいぐるみがこんな風に寄り添って座っていたと思い出すが、微笑ましい光景とは程遠いもの。
女性の長い腕が蛇のようにエイベルの首に回って頬を寄せる。それを払うこともせず、ただ真っ直ぐにクラリッサを見つめるだけ。
感情のない瞳が怖い。まるで知らない男のように感じた。
「エイベルに会いたかったんでしょう? どう? 自らの意思で足を運んで会えた感想は」
「お前ら黙れ。クラリッサはエイベルに会いに来たんだ。お前らに会いに来たわけじゃねぇ」
「アンタこそ黙りなさい。その生意気な口閉じないとその羽ちぎるわよ」
やってみろとは言えなかった。この羽がなくなれば飛べなくなってしまう。悔しげに唇を噛み締めて押し黙るアイレを隠すように前に立てば苦笑か何かわからない笑みを向ける。
「あ、あの……勝手に入ってごめんなさい。私が頼んだだけでアイレは悪くないんです。どうか怒らないであげてください」
王女が人に頭を下げることなどない。あってはならないことだと教えられたが、ここは人間の世界ではない。王女としての威厳など必要ない。アイレを睨むダークエルフたちに頭を下げて許しを請うクラリッサにエイベル以外が上機嫌そうに笑う。
「どうぞ、お姫様。遠慮しないでエイベルに甘えていいのよ?」
緊張していたはずの身体に痛みが走る。ビリつくような痛み。
クラリッサにとってダークエルフの森は癒しだった。こんなに奥には来たことがないし、エイベル以外のダークエルフに会ったのも今日が初めて。だから何も知らなかった。自分は歓迎されていたわけではなく、エイベルの暇つぶしになっていたということ。
歓迎するとは一度も言われたことはない。からかっていたのではなくからかっていたのではなく本心だっただけ。それを都合良く解釈していただけ。一人で勝手に勘違いして幸せに浸っていたのだと思うと苦笑すら消えた。
「どうしたの? 私たちのことは気にしないで。ここで鑑賞、してるから」
なぜ全員が裸なのか、そんなことはもう気にもならなかった。問いかける気にさえならなかった。
“鑑賞用”
慣れたはずの言葉が痛みを生むほど胸に突き刺さった。
「クラリッサ!?」
気が付けば来た道を引き返し、走っていた。ただ夢中で、がむしゃらに、走り続けた。
いつ屋敷に辿り着き、いつベッドに入ったのかも覚えていない。頭まで布団をかぶって眠れと何百回も自分に命じ続けたのに眠れなかった。エイベルのあの瞳がそれを許さず、理由のわからない涙が枯れ果てた頃、朝を迎えた。
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