ポンコツ天使が王女の代わりに結婚したら溺愛されてしまいました

永江寧々

文字の大きさ
46 / 61

悪意

しおりを挟む


「ダメだ」
「何故ダメなのですか?」
「そもそも狩猟大会には参加していないお前に異議を唱える資格はない」

 家族での食事会。ヴィンセントはフローリアに約束したように狩猟大会の廃止を訴えたが父親は聞く耳を持たず拒否した。

「ですが、人間の娯楽による殺生はなくすべきです」
「私達が生まれる何千年も前から狩りは行われている」
「それは生きるためであって、僕達がしている事は娯楽です」
「貴族は暇人が多いからな」
「別の娯楽を開催されてはいかがですか?」
「提案してみろ」

 父親の言葉にヴィンセントは黙り込む。中止を訴える事は考えていたが他の案を提示する事は考えていなかった。
 困った顔をするヴィンセントを見たフローリアは手を上げた。

「私が、言ったんです」
「君が?」
「はい。鳥は人が歩くのと同じでそこを飛んでいるだけです。なのに自分の腕を競うために撃つなんておかしいと思うんです」
「アストルム王国でもされている事だろう?」
「いいえ。アストルム王国はそのような事はしていません」
「戦争にしか興味がないか」

 ハッと鼻で笑い飛ばすエヴァンは感じの良い人ではなかった。
 結婚した時にも会ったが、あまり部屋から出てこないため会う事も少ない。こうして食事をするのも今日が初めてだった。

「人は撃ってはいけないのに何故鳥は撃ってもいいのですか?」
「弱肉強食だ」
「では強い人間が弱い人間を撃っても文句は言えないのですか?」
「人間は人間に決められたルールの中で生きている。人間は人間を殺してはいけない。ルールを破った者は捌かれる。だが鳥を撃ってはいけないというルールはない」

 あまりの勝手な言い分にフローリアは涙が出そうになった。
 人が作ったルールの中に猟の禁止がないから許される。人を殺す事は禁止されているから許されない。同じ命なのに。
 初めて目にする人間の汚さに涙がこぼれた。

「何故泣く?」
「鳥だって生きているんです。一日一日を一生懸命。それなのに人間の勝手で命を奪っていいはずがないんです。そんな身勝手が許されていいはずないのに」
「人間とはそういう生き物だ」
「やめてください」

 涙が何度も頬を伝い、膝上で握られたフローリアの手を濡らす。
 命を奪う事を何とも思っていないエヴァンの言葉に両手で顔を押さえて泣き出すフローリアを抱きしめるとヴィンセントが怒気を含ませた声で声を上げた。

「見なければいいだけだ。お前達が言う可哀相で伝統は変えられん」
「わかりました。もういいです」
「ヴィンセント座りなさい」
「結構です」

 見なければいい。確かにそうだ。関わらなければいい話だとフローリアの肩を抱いたまま立ち上がるヴィンセントを引き留めるがヴィンセントは聞かず部屋を去った。

「ごめんね、フローリア」

 ヴィンセントは悪くない。ヴィンセントは断られる事をわかっていながら言ってくれたとわかっている。だが、エヴァンの言葉があまりにも悲しかった。
 人間は慈悲深く優しい生き物だと思ってきたフローリアにとって身勝手に動物の命を奪うのはショックが大きく、涙が止まらなかった。









「へえ、そんな事がねぇ」
「人間ってそういう生き物だって知ってた?」
「知ってたよ」

 ウルマリアは人間がどういう生き物かを地上に落ちる前から知っていた。優しさも醜さも持っている天秤の上に乗っているような生き物だと思っていた。

「天使と悪魔が合体すれば人間が出来るだろうね」

 ウルマリアの言葉にフローリアはハッとして顔を上げる。

「ヴィンセント様が言ってた。人間の中には天使と悪魔が住んでるって」
「そうさ。だから人間が悪さをしない優しい生き物っていうのはアンタの思い込みなんだよ」
「でもヴィンセントはとても優しいわ。エミリア様だってそうよ」
「もちろん皆が皆そうってわけじゃない。優しさに溢れた人間だっている。でも多くはそうじゃない」

 ヘレナやエヴァンのように殺生さえも〝伝統〟と言いきってしまえる人間の方が多いのをフローリアは知らなかった。
 アストルム王国が戦争大国というのは知っていても実際にアストルム王国で戦争が起こっているわけではないため人間の残酷さは目にした事がないのだ。だから初めてヴィンセントから狩猟大会の話を聞いた時は驚いた。

「ま、アタシだって動物や魚の肉を食べるんだから批判は出来ないけど」
「食べるの?」
「ああ」
「……そう」

 ウルマリアはフローリアほど優しい心は持っていなかった。
自分はどちらかと言えば人間に近いのかもしれないとさえ思っていた。
 欲しい物を手に入れるためなら禁忌も犯そうとするのだから。
 肉や魚など食べなくとも人間は生きていける。だが食べてしまう。美味しそうに見えるから。そして美味しいと舌鼓を打つ。

 だが、フローリアは違う。

 欲しいと思った物が既に誰かの手に渡ってしまったのなら諦めるだろう。
 いくら肉や魚が美味しそうに見えたとしても絶対に食べようとはしない。
 当たり前に奪われる命を可哀相だと嘆き、涙を流す。
 天使に生まれるべくして生まれたような子だった。

「アンタは生きにくいだろうね。どうせ落ちるならレオと一緒に落ちれば良かったのに」
「仕事で来たのにレオを巻き込めない」
「アイツはアンタのお願いなら喜んで聞くだろうけどね」
「子供じゃないんだからついてきてなんてお願いしない」

 自分がクローディア・ベルの願いを叶えに行った後、レオがどこへ行ったのかわかっているだけにもし願ったとしてもヨナスが許さなかっただろうと容易に想像がつく。

「あら、お客様だったのね」
「デアさん」

 ノックもなしにドアが開いた事に驚いて顔を向けると着飾ったデアが姿を見せた。

「随分みすぼらしい格好ね」
「やめてください」
「お友達かしら?」
「私の話し相手になってくださっているウルマリア・バーンズさんです」

 言われた事など気にしていないかのように笑顔を見せて軽く頭を下げるもウルマリアは立ち上がらなかった。それが気に入らないのか見下すような視線を向けたまま暫く黙っていた。

「デアさん、ノックはしてください」
「あら、したつもりだったけどしてなかったかしら? 話が盛り上がりすぎて聞こえてなかっただけじゃない?」

 デアはヘレナと同じぐらい苦手で顔を合わせているだけで息が詰まりそうだった。

「そういえば入ってくる時に聞こえたんだけどレオって誰?」

 大袈裟なほどフローリアの肩がビクッと跳ね、目が泳ぎ出した。

「ねえ、レオって誰?」

 何か企んでいるような笑みを浮かべて詰め寄るデアの前にウルマリアが間に入って見下ろす。

「レオは私の友人です。よく話をするんですよ」
「でもフローリア様も知り合いみたいな話し方をしてなかった?」
「聞き間違いじゃないですか? 盛り上がりすぎてましたし」

 デアの睨みにウルマリアは笑顔を崩さなかった。
 ウルマリアはデアより人間歴は短いとしてもデアより厳しい環境で生きてきて、こういう人間は飽きるほど見てきた。今更デアが何を言おうとどういう態度で来ようと鼻で笑って一蹴出来るだけの余裕があった。

「生意気ね。私が誰かわかって言ってるわけ?」
「いえ、全く。貴族の方とは縁がないもので」
「でしょうね。あなたみたいな貧乏人じゃ繋がる事も無理よね」
「でも王族の方とはご縁があったようでこうして仲良くさせていただいてます」

 ワザとクスッと笑い声を漏らしてから発言するウルマリアにカッとなるデアが手を上げるもその手は簡単に掴まれて振り下ろす事も出来なくなる。

「離しなさいよ馬鹿力!」
「あなたこそフローリア様に対して馴れ馴れしいのではありませんか? あなたはたかだか貴族でしょう。王女様への礼儀は習わずですか?」
「ッ……あなたには関係ないでしょ!」

 腕を振り払ったデアはまだ傷みが残る手首を擦りながらウルマリアから一歩距離を取る。

「粗暴な人間ね」
「手を上げようとする方が粗暴だと思いますが」
「こんな女を選ぶなんてさすがね」
「ウルマリアは良い人です。乱暴な事はおやめください」

 庇う者は一人もいない状況に舌打ちをするとそのまま大きなヒール音を立てながら部屋から出ていった。
 ドアが軋むほど強く閉めたのは怒りを見せたつもりなのだろう。ウルマリアは肩を竦め、フローリアは困った顔になる。

「そりゃヴィンセント様が選ばないわけだ」

 明らかに悪意があるデアの態度は気に入らないが攻撃をし返すわけにはいかない。あれが普段の態度などしたら大問題だが、使用人が止めないのを見るとフローリアよりもこの家に馴染んでいるということ。
 ウルマリアは厄介な女だと腕を組む。

「いつから会話聞いてたんだろ」
「……わからない。レオのこと聞かれたみたい」
「チクるかもね」
「ちくる?」
「報告するかもってこと。アンタがレオって男の名前を口にしてたって」

 そんな事ないと言いたかったがデアの性格上それを避ける事は出来ない。ウルマリアが話を合わせてくれるため誤魔化す事は出来るが、ヴィンセントを不安にさせてしまうのは確かで心苦しかった。

「暫くは普通の話をしてた方がいいね。アタシも口調気をつけるよ」

 いつから盗み聞きしていたかわからないのでは二人にしかわからない話は危険になると判断したウルマリアの提案にフローリアも頷く。
 ウルマリアと二人で話をしたいからウィルにも席を外してもらったのにこれでは意味がないと下がった眉が寄っていく。
 デアが何を考えて盗み聞きをしたのか……。
 ヴィンセントを訪ねてもフローリアを訪ねる理由はない。それなのに何故?

 ヘレナはフローリアよりデアを気に入っている。
 デアが言った事を信じれば何か探りを入れてくるかもしれない。何かを聞かれたところで天使の力が消えたフローリアはボロが出るようなものは持っていない。
 デアが何を言おうとこの地上にレオは存在しないし誰にも見えない。デアの狂言として消えるはず。
 それなのにフローリアの中で不安が大きくなっていく。

「気分悪い……」
「大丈夫かい? もう休みな」

 口を押さえながら青い顔で今にも倒れそうなフローリアを椅子に座らせるとドアを開けて大声でウィルを呼んだ。
 慌てて駆け付けてきたウィルがフローリアを抱えて寝室へ向かう。

「何があったんですか?」
「デアって人が来たんです。それからすぐ顔色が悪くなって……」

 あえてデアのせいという言い方をするウルマリア。ウィルがデアを快く思っていないのは知っているためそういう言い方をした。
 狙い通り不愉快な顔を見せるウィルは怒りを抑えるように大きく息を吐き出す。

「やっぱり私が部屋にいた方がいいのではないでしょうか?」
「私としてはお願いしたいですね。今日も盗み聞きされてたので。ノックもありませんでしたし」
「明日からは私が部屋にいます」
「フローリア!」

 フローリアを寝室に運ぶ時に他の使用人に呼ぶように頼んだヴィンセントが部屋に飛び込んできた。

「どうしたんだい!? 顔が真っ青だ。何があった?」
「デア様が来られたそうなのですが、それからこうなられたようで」
「デアに何か言われた?」
「ヴィンセント様……」

 息をきらせながら駆け寄るヴィンセントがフローリアの頬に手を添えて心配そうに見つめるとフローリアが涙を浮かべてその手を握る。

「一緒にいてください」
「いるよ。ここにいるから」

 何も起こってはいないのに嫌な予感がして仕方なかった。まるでこれから何か起こるような、そんな暗示がされているようで不安でたまらなくなる。
 強く握られる手に力を込めて握り返しても不安は消えない。

 どうかこの温もりが永遠でありますように。

 不安を振り払うように願うフローリアは意識を手放すように眠りに落ちていった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!

香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。 ある日、父親から 「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」 と告げられる。 伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。 その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、 伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。 親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。 ライアンは、冷酷と噂されている。 さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。 決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!? そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

処理中です...