9 / 64
エリスローズは学修する
しおりを挟む
それからの一ヶ月はあっという間だった。
バーバラの代わりに配置された教育係のカーラはスラム街だからと差別的発言をする人ではなかったが、とても厳しい人だった。
「ちゃんと覚えましたか? 言いたいことが全く伝わってきません」
「ペンはこう持つ。字は力を入れて書くのではなく滑らせるようになめらかに」
「綴りが違う」
「それでは蝋を無駄にします。もっと適量で」
まず字を読むことから始め、紙に書かれた言葉を指して会話をする練習からだったのだが、何百回も注意を受けた。
それに合格したら次は表を見ながら字を書く練習。
ペンなど握ったことがないエリスローズにとってまずその握り方から練習しなければならなかった。
握れるようになったら次は紙の上に書いていくのだが、それがまた大変だった。
ちゃんと握れるようになったペンで紙に字を書こうとすると力が入ってしまい紙が破れることが何度もあった。
その度に注意を受けて持ち直しになる。
逃げ出したくなるほど何度も何度も注意を受けたが、嫌にならなかったのは教育係が「どうしてこんなこともできないのか」「これだからスラム街の人間は」「役目が終わったらどうせ役に立たなくなるんだから」というような言葉を一度も吐かなかったから。
呆れた顔も溜め息も吐かずに教え続けてくれた。
「いいですね。今日で字の練習は終わりにしましょう」
一ヶ月ほど経つ頃にはちゃんとした文章で手紙を書けるようになった。
マナーも覚えなければならないが、それよりも字が書けるようになることが優先だと言われて毎日何時間も続けた猛特訓のおかげで一ヶ月でマスターすることができた。
封蝋まで完璧にできるようになったエリスローズは満足げに笑う。
「よく頑張りましたね」
カーラの裏の顔は知らないが、この人は良い人だと思った。
褒めるときは褒める、叱るときは叱るがちゃんとできる人。
スラム街出身だという話をしても聞いているの一言で終わった。そこには嘲笑も差別発言もなく、だからどうしたとでも言うような態度だった。
だからエリスローズもこの人の教えを守ろうと決めた。
この一ヶ月、辛くなかったと言えば嘘になる。もう嫌だと声を上げようとしても声は出ない。か細い悲鳴すら出せないもどかしさに何度机を叩いたかわからない。
その度にカーラは『物に当たっても字が書けるようになるわけではありませんよ』と言った。声を荒げることなく冷静に。それが時折ひどくエリスローズの神経を逆撫ですることになったが、カーラが冷静なままなのを見るとすぐに落ち着きを取り戻した。
自分だけが怒っているのは情けないと。
こうしてちゃんとした手紙が完成すると達成感に満たされる。
『カーラのおかげです』
「あなたの努力の結果というだけです」
『私に教えるのは大変だったでしょう? スラム街じゃ字を書く必要も読む必要もないから──』
「生まれた場所のせいで学修環境に恵まれないという不運はあれど、あなたたちは貴族たちよりもずっと根性があると思っています。負けず嫌いは悪いことではありませんし、何かを学ぶのには最も重要なことでもあります。読めない書けないという赤ん坊のような状態から一ヶ月でここまで習得できたのは他でもないあなたの努力ですから、胸を張ってください」
厳しい人の言葉だからこそ嬉しくなる。
努力したのはカーラも同じ。呆れることなく何度も同じことを繰り返し続けてくれた結果が今なのだ。
こうして紙に書いて会話が成り立つことがこんなにも嬉しいことだとは思わなかった。
なんの道具も必要とせずに口を動かすだけで会話が成立することは当たり前のようで当たり前ではなく、耳が聞こえない人間はペンと紙が必要になる。
その道具も金がなければ用意できない。
「エリーナ、少しいいだろうか?」
ノックのあとに聞こえたリオンの声に反応したのはカーラ。
ドアを開けるとカーラがいることに驚いた顔をするリオンだが、すぐに『いたのか』と笑って中へと入ってくる。
リオンは時々こうしてエリスローズを訪ねていた。
「明日のパレードの確認をしようと思って」
『パレードでは手を振っていればいいんですよね?』
エリスローズが書いた字を見てリオンがまた驚いた顔を見せる。
「すっかり字が書けるようになったんだね。すごいじゃないか」
「彼女は努力家ですよ、王太子殿下」
『全てカーラのおかげです』
互いを褒める二人にリオンは目を細める。
「あのあと、国王から君の願いでバーバラと内務大臣を交代させたと聞いた。バーバラを外したのは正解だったよ。彼女はここ一番の古株だが、エリーナに心酔しているから君に強く当たっていただろうね。内務大臣とは会う機会はほとんどないだろうけど、彼は差別主義者だから。カーラを教育係にしたのは君ではないだろうけど、正解だね。彼女は真面目で責任感ある信頼のできる女性だから」
「光栄です、王太子殿下」
ちゃんと色々見ているのだと意外そうな顔をするエリスローズにハッとして唇に人差し指を当てて内緒だとジェスチャーする。
間違いではないことでも王太子がそうした批判めいたことを口にするのは良くない。
その様子に笑いながら頷くエリスローズにリオンも笑顔を見せる。
「読み書きを優先したのでマナーについてはまだ何も。カトラリーの使い方は最低限教えたつもりですが、問題はそれよりも前に……」
「両陛下は彼女を食事の場に呼ぶつもりはない、だろう?」
「おそらくは」
カーラがチラッとエリスローズを見たのは言っていいことか迷ったから。その迷いを王太子が察し、ハッキリと告げた。
『エリーナ様はそういう場に出席していたのですか?』
「いや、エリーナは堅苦しい場が嫌いだったから食事会には出席しなかったんだ。喋ることが好きだからパーティーには出席するけど移動できない食事会は嫌だと出席することはほとんどなかったよ」
そういうものなのだろうかとエリスローズは首を傾げる。
貴族の世界など見たこともなければ、どういうものか聞いたことさえない。
十九年間生きてきて貴族を見たことのだってここに来て初めてなのだからどういう反応を見せていいかわからず表情を変えずにいるとリオンが苦笑する。
「王太子妃としては褒められたことじゃないんだよ。本当はちゃんと食事会に出席して王女や王太子妃たちと話をするべきなんだ。でもエリーナは退屈は嫌いの一点張りでね……」
大きなため息を吐くリオンが持つ感情は困っているというより呆れのように見えた。
『私は出席しても話せないので』
「そうだね。でも逆にいいのかもしれない。王族は誰よりも責任感を持たなければならないのに自分勝手な振る舞いをするエリーナを嫌悪する人もいたから、今度のパレードでエリーナが声を出せなくなったと公表すれば話せないことは何もおかしなことではないからね」
『でも相手方が気を遣うのでは?』
「それはあるだろうけど、でも欠席するよりずっといいよ。そういう付き合いも大事なんだけど、残念なことにエリーナは理解しない」
『両陛下がなんと言うか……』
「僕が説得するから大丈夫だよ。君は何も心配しなくていい」
国王は納得しても王妃は納得しないだろう。自分の可愛い息子がスラム街の女にたぶらかされたのではないかと心配するかもしれない。
心配したところで実際エリスローズはたぶらかしてなどいない。
リオンは王太子としての責務を全うしようとしているだけ。それが理解できないのであれば王妃は今すぐ王妃の座から降りたほうがいいとさえ思った。
全てエリスローズの想像に過ぎないが、当たらずも遠からずではないだろうかと予想している。
『王妃様はエリーナ様を気に入っておられるのですか?』
「まるで親子のようだったよ。エリーナは誰とでも仲良くなれる才能があった。人に利用するのが上手い。だから王妃にも積極的に媚びを売って取り入った」
その言い方に愛は感じなかった。
『リオン様は?』
「僕は……どうかな。王族の結婚なんて政略結婚が当たり前だし、そこに特別な感情はないよ」
政略結婚は聞いたことがある。だが、結婚というものに縁がないスラム街の人間にとって結婚できるだけ恵まれている。
両親は夫婦ではあるが、それは本人たちがそう思っているだけで書類上では他人。
買えるはずもないため結婚指輪もしていない。
だが、愛だけはある。
何もかも手にしている王太子が唯一持っていない愛を何も手にできない両親は溢れんばかり持っている。
それは本人たちにとっても娘にとっても誇りだった。
「たぶん、彼女もそういう僕の感情に気付いてるから遊びまわってるのかもしれない」
エリスローズは耳を疑った。
『行方不明ではなく、遊びまわっているのですか?』
行方不明だと聞いていた。
「謎の失踪、というわけではないんだ。ただ連絡がつかないだけ。いつもそうなんだ。ある日突然朝に置き手紙を残していなくなって一ヶ月後に帰ってくる」
『今回もそうだと?』
「たぶんね。ただ、連絡が取れなくなって三ヶ月が経つのは初めてだ」
『心配じゃないんですか?』
彼が見せる苦笑が何を意味しているのか理解するのは難しいことではない。
エリスローズを妻だと勘違いして駆け寄ってきたリオンがぶつけてきたのは安堵ではなく怒り。
痛みを感じるほど強く掴まれた肩は暫く痛かった。
あれは心配からくる感情ではなく、怒りからくるものだった。
彼はエリーナを愛していない。
彼の苦笑からはそれが明確に伝わってきた。
「王太子殿下、あまり内情はお話されませんようお願いします」
「ああ、そうだったね。無用な心配だ。では、最終確認を始めようか」
遊びまわっている人間の代わりをしにここにいるのかと思うと少し複雑だったが、こんなことでもなければスラム街から出ることはできなかった。
弟には寂しい思いをさせることとなってしまったが、それでも厳しい環境に置かれることがないことは良いことだと自分に言い聞かせながらリオンが置いた予定表に一緒に目を通した。
バーバラの代わりに配置された教育係のカーラはスラム街だからと差別的発言をする人ではなかったが、とても厳しい人だった。
「ちゃんと覚えましたか? 言いたいことが全く伝わってきません」
「ペンはこう持つ。字は力を入れて書くのではなく滑らせるようになめらかに」
「綴りが違う」
「それでは蝋を無駄にします。もっと適量で」
まず字を読むことから始め、紙に書かれた言葉を指して会話をする練習からだったのだが、何百回も注意を受けた。
それに合格したら次は表を見ながら字を書く練習。
ペンなど握ったことがないエリスローズにとってまずその握り方から練習しなければならなかった。
握れるようになったら次は紙の上に書いていくのだが、それがまた大変だった。
ちゃんと握れるようになったペンで紙に字を書こうとすると力が入ってしまい紙が破れることが何度もあった。
その度に注意を受けて持ち直しになる。
逃げ出したくなるほど何度も何度も注意を受けたが、嫌にならなかったのは教育係が「どうしてこんなこともできないのか」「これだからスラム街の人間は」「役目が終わったらどうせ役に立たなくなるんだから」というような言葉を一度も吐かなかったから。
呆れた顔も溜め息も吐かずに教え続けてくれた。
「いいですね。今日で字の練習は終わりにしましょう」
一ヶ月ほど経つ頃にはちゃんとした文章で手紙を書けるようになった。
マナーも覚えなければならないが、それよりも字が書けるようになることが優先だと言われて毎日何時間も続けた猛特訓のおかげで一ヶ月でマスターすることができた。
封蝋まで完璧にできるようになったエリスローズは満足げに笑う。
「よく頑張りましたね」
カーラの裏の顔は知らないが、この人は良い人だと思った。
褒めるときは褒める、叱るときは叱るがちゃんとできる人。
スラム街出身だという話をしても聞いているの一言で終わった。そこには嘲笑も差別発言もなく、だからどうしたとでも言うような態度だった。
だからエリスローズもこの人の教えを守ろうと決めた。
この一ヶ月、辛くなかったと言えば嘘になる。もう嫌だと声を上げようとしても声は出ない。か細い悲鳴すら出せないもどかしさに何度机を叩いたかわからない。
その度にカーラは『物に当たっても字が書けるようになるわけではありませんよ』と言った。声を荒げることなく冷静に。それが時折ひどくエリスローズの神経を逆撫ですることになったが、カーラが冷静なままなのを見るとすぐに落ち着きを取り戻した。
自分だけが怒っているのは情けないと。
こうしてちゃんとした手紙が完成すると達成感に満たされる。
『カーラのおかげです』
「あなたの努力の結果というだけです」
『私に教えるのは大変だったでしょう? スラム街じゃ字を書く必要も読む必要もないから──』
「生まれた場所のせいで学修環境に恵まれないという不運はあれど、あなたたちは貴族たちよりもずっと根性があると思っています。負けず嫌いは悪いことではありませんし、何かを学ぶのには最も重要なことでもあります。読めない書けないという赤ん坊のような状態から一ヶ月でここまで習得できたのは他でもないあなたの努力ですから、胸を張ってください」
厳しい人の言葉だからこそ嬉しくなる。
努力したのはカーラも同じ。呆れることなく何度も同じことを繰り返し続けてくれた結果が今なのだ。
こうして紙に書いて会話が成り立つことがこんなにも嬉しいことだとは思わなかった。
なんの道具も必要とせずに口を動かすだけで会話が成立することは当たり前のようで当たり前ではなく、耳が聞こえない人間はペンと紙が必要になる。
その道具も金がなければ用意できない。
「エリーナ、少しいいだろうか?」
ノックのあとに聞こえたリオンの声に反応したのはカーラ。
ドアを開けるとカーラがいることに驚いた顔をするリオンだが、すぐに『いたのか』と笑って中へと入ってくる。
リオンは時々こうしてエリスローズを訪ねていた。
「明日のパレードの確認をしようと思って」
『パレードでは手を振っていればいいんですよね?』
エリスローズが書いた字を見てリオンがまた驚いた顔を見せる。
「すっかり字が書けるようになったんだね。すごいじゃないか」
「彼女は努力家ですよ、王太子殿下」
『全てカーラのおかげです』
互いを褒める二人にリオンは目を細める。
「あのあと、国王から君の願いでバーバラと内務大臣を交代させたと聞いた。バーバラを外したのは正解だったよ。彼女はここ一番の古株だが、エリーナに心酔しているから君に強く当たっていただろうね。内務大臣とは会う機会はほとんどないだろうけど、彼は差別主義者だから。カーラを教育係にしたのは君ではないだろうけど、正解だね。彼女は真面目で責任感ある信頼のできる女性だから」
「光栄です、王太子殿下」
ちゃんと色々見ているのだと意外そうな顔をするエリスローズにハッとして唇に人差し指を当てて内緒だとジェスチャーする。
間違いではないことでも王太子がそうした批判めいたことを口にするのは良くない。
その様子に笑いながら頷くエリスローズにリオンも笑顔を見せる。
「読み書きを優先したのでマナーについてはまだ何も。カトラリーの使い方は最低限教えたつもりですが、問題はそれよりも前に……」
「両陛下は彼女を食事の場に呼ぶつもりはない、だろう?」
「おそらくは」
カーラがチラッとエリスローズを見たのは言っていいことか迷ったから。その迷いを王太子が察し、ハッキリと告げた。
『エリーナ様はそういう場に出席していたのですか?』
「いや、エリーナは堅苦しい場が嫌いだったから食事会には出席しなかったんだ。喋ることが好きだからパーティーには出席するけど移動できない食事会は嫌だと出席することはほとんどなかったよ」
そういうものなのだろうかとエリスローズは首を傾げる。
貴族の世界など見たこともなければ、どういうものか聞いたことさえない。
十九年間生きてきて貴族を見たことのだってここに来て初めてなのだからどういう反応を見せていいかわからず表情を変えずにいるとリオンが苦笑する。
「王太子妃としては褒められたことじゃないんだよ。本当はちゃんと食事会に出席して王女や王太子妃たちと話をするべきなんだ。でもエリーナは退屈は嫌いの一点張りでね……」
大きなため息を吐くリオンが持つ感情は困っているというより呆れのように見えた。
『私は出席しても話せないので』
「そうだね。でも逆にいいのかもしれない。王族は誰よりも責任感を持たなければならないのに自分勝手な振る舞いをするエリーナを嫌悪する人もいたから、今度のパレードでエリーナが声を出せなくなったと公表すれば話せないことは何もおかしなことではないからね」
『でも相手方が気を遣うのでは?』
「それはあるだろうけど、でも欠席するよりずっといいよ。そういう付き合いも大事なんだけど、残念なことにエリーナは理解しない」
『両陛下がなんと言うか……』
「僕が説得するから大丈夫だよ。君は何も心配しなくていい」
国王は納得しても王妃は納得しないだろう。自分の可愛い息子がスラム街の女にたぶらかされたのではないかと心配するかもしれない。
心配したところで実際エリスローズはたぶらかしてなどいない。
リオンは王太子としての責務を全うしようとしているだけ。それが理解できないのであれば王妃は今すぐ王妃の座から降りたほうがいいとさえ思った。
全てエリスローズの想像に過ぎないが、当たらずも遠からずではないだろうかと予想している。
『王妃様はエリーナ様を気に入っておられるのですか?』
「まるで親子のようだったよ。エリーナは誰とでも仲良くなれる才能があった。人に利用するのが上手い。だから王妃にも積極的に媚びを売って取り入った」
その言い方に愛は感じなかった。
『リオン様は?』
「僕は……どうかな。王族の結婚なんて政略結婚が当たり前だし、そこに特別な感情はないよ」
政略結婚は聞いたことがある。だが、結婚というものに縁がないスラム街の人間にとって結婚できるだけ恵まれている。
両親は夫婦ではあるが、それは本人たちがそう思っているだけで書類上では他人。
買えるはずもないため結婚指輪もしていない。
だが、愛だけはある。
何もかも手にしている王太子が唯一持っていない愛を何も手にできない両親は溢れんばかり持っている。
それは本人たちにとっても娘にとっても誇りだった。
「たぶん、彼女もそういう僕の感情に気付いてるから遊びまわってるのかもしれない」
エリスローズは耳を疑った。
『行方不明ではなく、遊びまわっているのですか?』
行方不明だと聞いていた。
「謎の失踪、というわけではないんだ。ただ連絡がつかないだけ。いつもそうなんだ。ある日突然朝に置き手紙を残していなくなって一ヶ月後に帰ってくる」
『今回もそうだと?』
「たぶんね。ただ、連絡が取れなくなって三ヶ月が経つのは初めてだ」
『心配じゃないんですか?』
彼が見せる苦笑が何を意味しているのか理解するのは難しいことではない。
エリスローズを妻だと勘違いして駆け寄ってきたリオンがぶつけてきたのは安堵ではなく怒り。
痛みを感じるほど強く掴まれた肩は暫く痛かった。
あれは心配からくる感情ではなく、怒りからくるものだった。
彼はエリーナを愛していない。
彼の苦笑からはそれが明確に伝わってきた。
「王太子殿下、あまり内情はお話されませんようお願いします」
「ああ、そうだったね。無用な心配だ。では、最終確認を始めようか」
遊びまわっている人間の代わりをしにここにいるのかと思うと少し複雑だったが、こんなことでもなければスラム街から出ることはできなかった。
弟には寂しい思いをさせることとなってしまったが、それでも厳しい環境に置かれることがないことは良いことだと自分に言い聞かせながらリオンが置いた予定表に一緒に目を通した。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる