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エリスローズは閉口する
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中に入ると既に机に向かって授業を受けている生徒が大勢いた。
彼らの中から貴族の子供になる者がいるのだと思うよりも、彼が全員に親がいないのだと思うほうが強かった。
エリスローズは貧しさもひもじさも理不尽さも味わってきたが、親がいない寂しさだけが味わったことがない。
親に捨てられた子もいれば病気や事故で失った子もいるだろう。
施設があるということはそういう子がいるということ。
甘えることもできずに机に向かわされる彼らの切なさにリオンの腕に添えた手に力が入る。
「彼らは何時間ぐらい勉強しているんだい?」
「大体十時間ぐらいですね」
エリスローズはノートを持つ手が落ちそうになった。
ボール遊びも絵本もなく、なんの自由も与えられない日々の中で十時間を勉強に費やすことが本当に彼らの幸せになるのだろうかと唇が震える。
だが、授業を受けている者たちの表情は真剣そのもので誰も嫌々受けている様子は見られない。
「彼らは皆、貴族が迎えに来る日を夢見て日々努力しているのです。貴族になれば勝ち組の世の中で、彼らが勝ち組になるためには努力しかない。親を失ったことは辛い経験かもしれませんが、平民の親に育てられていては貴族になるチャンスは一生巡ってはきません。ですから彼らは自分たちの境遇を神から与えられたチャンスとし、運命を切り開くためにここにやってきたのだと教えています」
「なるほど──ッ!」
納得するリオンの足をエリスローズは思わず踏みつけた。
疑問符を浮かべながらエリスローズを見るも目は合わないため何が気に入らなかったのかがわからず困惑するリオンから手を離してノートを持った。
『十六歳までに貴族に貰われていく子はどのぐらいいるのですか?』
「ここには今、百三五人の子供たちがいますが、七割ぐらいは養子に出ます」
『残った三割の子供は?』
「さっきも言いましたが、どこかで職を見つけて生きていることでしょう」
それが普通のことなのかエリスローズには判断がつかない。
施設には大勢の子供がいて、きっと今日も明日も新しい孤児がやってくる。
そんな中で施設を出た子一人一人に気を回していては人手が足りなくなってしまうのもわからないではないが、施設長の突き放すような言い方がどうにも引っ掛かってしまう。
「間違いだ。手を出せ」
教師の冷たい言い方に少年が震えながら両手を前に出すと教師は鞭でその手を叩いた。
鋭い鞭が鳴らす聞いているだけで痛い音。痛みに震える少年は声を上げるのを我慢している。
信じられないと目を見開いて駆け寄ろうとするエリスローズの前にリオンが腕を出して止めた。
驚いたまま見上げるエリスローズに首を振るリオンの意図がわからなかった。
「プリンセスエリーナはお優しいご両親のもとでお育ちになられたのですね。では次はこちらへどうぞ」
またバカにしたような言い方に感じるもエリスローズはこいつはこういう人間なのだと心の中で唾を吐き捨てて黙ってあとをついていく。
『ッ!?』
裏庭に出るとまた見たこともない光景が広がっていた。
「これは……すごいな……」
感心するのはリオンだけでエリスローズには何がなんだかわからない。
ロイよりも小さな子供が剣や槍を握って走っている。馬に乗っている者もいれば今にも倒れそうな様子で走っている子供もいた。
それをすごいと感心するリオンがわからなかった。
「エリー、ここは騎士の訓練場だよ」
騎士と言われてもエリスローズにはわからない。
「貴族の中にはこうした訓練を受けた者を欲しがる方もいらっしゃいますからね」
「手っ取り早いと言えばそうだが」
「でしょう? ここでは馬の手入れ方法や狩りの餌の仕掛け方、弓道、剣術に槍投げなど騎士に必要なことは全て教えられます。使った武器は自分で手入れを行っていますし、騎士としての心得も教えています」
「それはすごい」
エリスローズにはわからない世界だが、王族であるリオンがこの状況に不快になっていないのであれば王族貴族にとっては当たり前の光景なのだろうと納得することにした。
騎士がなんなのかさえわからない自分が聞いたところできっと理解できないとわかっているから。
「プリンセスエリーナにとってはこちらのほうが馴染み深いかもしれませんね」
奥のほうへと進んでいくとその先にあった一室に足を踏み入れた。
「これはすごい」
部屋の中に広がっていたのは真っ白な布に色とりどりの糸で施された美しい刺繍の大作。
その美しさに笑みをこぼすリオンを見ながらエリスローズの胸の中は複雑さでいっぱいだった。
「ここでは糸紡ぎ、刺繍、裁縫、音楽などはもちろんのこと薬草学も教えています」
「薬草学まで?」
「貴族が求めるのは夫に従順な妻ですが、最近は学のない女を好む者は少なくなっているようですから」
「時代は変わってきているんだね」
「そうなんです」
嬉しそうに笑う施設長の笑顔さえ今のエリスローズにはストレスの一つ。
『貴族になれなかった子にとってはこれらは全て辛い思い出となるのでしょうね』
エリスローズの言葉を読んだ施設長の表情が明らかに不愉快そうなものへと変わったが、すぐに笑顔を見せる。
「プリンセスエリーナは何か勘違いしておられるようですね。ここで学んだことは全て彼らの能力となっているんです。貴族になれずともそれなりの相手を見つけることはできます。武を学ぶ男に比べて学を学ぶことが多い女の世界は意外にも広く、文学作品を残している者もいます。ピアノを覚えればピアニストにだってなれるかもしれません。生まれながらにして多くを持っていることに慢心している貴族よりも彼らはずっと選べる選択肢が多いということ」
「貴族に選ばれないことは辛いかもしれないけど、自由恋愛ができるのもいいね」
「おや、リオン殿下は自由恋愛に憧れが?」
「我々はよほどのことがない限り自由恋愛は許されないからね。彼女と恋愛結婚をしたかったよ」
「熱々ですねぇ」
スラム街で生まれたエリスローズには理解できないことばかりだった。
ノートやペンを持ったのも字の読み書きができるようになったのも入城してから。
糸に触ったのは織物工場に勤めてからで、酒やタバコの味を知ったのも貧困街で働くようになってから。
一つ上の場所は近いようで遠く、未知の世界だった。
ここもそうだ。階段を上がって貧困街に立ち、そこから上へと続く階段を上がりきれば平民が暮らす街に出るのに貧困街に立つことさえも難しいスラム街の人間が平民たちの常識を理解できるはずがない。ましてや手の届かない存在である貴族や王族の話には入っていけるはずがないのだ。
「プリンセスエリーナ?」
いつから話を聞いていなかったのか、名を呼ばれて顔を上げたときには既に門の前に立っていた。
来たとき同様にズラリと並ぶ子供たちの姿に苦笑さえ出てこない。
「我が自慢の施設はいかがでしたか?」
痛みや疲れから漏れる泣き声。大人の男の怒鳴り声。鞭を振る音が響くこの場所になんと言うのか正解なのかエリスローズにはわからない。
だが、ノートにはこう書いた。
『素晴らしい場所ですね』と。
それを読んだ施設長の満足げな表情の醜悪さに吐きそうになったが、リオンが感心していたのだからすごいのだろうと思ってそう書いた。
「教育は子供たちの義務です。親がいずとも教育を受け、自ら未来を切り開く力を与えるためにここが存在しているのです。ご理解いただけましたか?」
頷くエリスローズに向ける笑顔をエリスローズは視線をズラして視界に入れようとはしない。
「貴重な時間を割いてもらってすまないね。興味深いものになったよ」
「いえいえ、とんでもない! いつでもお越しください。お前たち、挨拶!」
「プリンセスエリーナ、リオン殿下、本日はお忙しい中お越しくださりありがとうございました!」
ザッと音を立てて足を揃えた子供たちの大きな挨拶にエリスローズは笑顔を見せた。はりつけることに慣れた笑顔は彼らにはどう見えているのだろうと思う一方で、彼らが見せる笑顔も訓練された笑顔に見えて仕方なかった。
リオンと共に馬車に乗り込むと施設を後にする。
「次は教会だね」
まだ行く場所があるのかと顔を上げるエリスローズに向けるリオンの笑顔は輝いている。
「教会は君にも馴染みがあるんじゃないかい?」
輝く笑顔の理由はきっとエリスローズが懐かしいと思える場所に連れていってやれると思っているからで、それが間違いであることをリオンは知らない。
『思い出のある場所です』
「そうか。炊き出しがあるらしくてね、それの手伝いをしようと思ってるんだ」
『神父様と話をすることはできますか?』
「もちろんだよ。聞きたいことを聞くといいよ」
リオンは優しい人間だ。自分のことを考えて動いてくれることはとても嬉しいが、何も知らないからこそ墓穴を掘ることもある。
『そうします』
ノートに書いた字には声色がない分、エリスローズがどういう感情を持っているのかがわからない。
同じ馬車に乗り、並んで座る二人が抱えている感情は全く正反対のものだった。
彼らの中から貴族の子供になる者がいるのだと思うよりも、彼が全員に親がいないのだと思うほうが強かった。
エリスローズは貧しさもひもじさも理不尽さも味わってきたが、親がいない寂しさだけが味わったことがない。
親に捨てられた子もいれば病気や事故で失った子もいるだろう。
施設があるということはそういう子がいるということ。
甘えることもできずに机に向かわされる彼らの切なさにリオンの腕に添えた手に力が入る。
「彼らは何時間ぐらい勉強しているんだい?」
「大体十時間ぐらいですね」
エリスローズはノートを持つ手が落ちそうになった。
ボール遊びも絵本もなく、なんの自由も与えられない日々の中で十時間を勉強に費やすことが本当に彼らの幸せになるのだろうかと唇が震える。
だが、授業を受けている者たちの表情は真剣そのもので誰も嫌々受けている様子は見られない。
「彼らは皆、貴族が迎えに来る日を夢見て日々努力しているのです。貴族になれば勝ち組の世の中で、彼らが勝ち組になるためには努力しかない。親を失ったことは辛い経験かもしれませんが、平民の親に育てられていては貴族になるチャンスは一生巡ってはきません。ですから彼らは自分たちの境遇を神から与えられたチャンスとし、運命を切り開くためにここにやってきたのだと教えています」
「なるほど──ッ!」
納得するリオンの足をエリスローズは思わず踏みつけた。
疑問符を浮かべながらエリスローズを見るも目は合わないため何が気に入らなかったのかがわからず困惑するリオンから手を離してノートを持った。
『十六歳までに貴族に貰われていく子はどのぐらいいるのですか?』
「ここには今、百三五人の子供たちがいますが、七割ぐらいは養子に出ます」
『残った三割の子供は?』
「さっきも言いましたが、どこかで職を見つけて生きていることでしょう」
それが普通のことなのかエリスローズには判断がつかない。
施設には大勢の子供がいて、きっと今日も明日も新しい孤児がやってくる。
そんな中で施設を出た子一人一人に気を回していては人手が足りなくなってしまうのもわからないではないが、施設長の突き放すような言い方がどうにも引っ掛かってしまう。
「間違いだ。手を出せ」
教師の冷たい言い方に少年が震えながら両手を前に出すと教師は鞭でその手を叩いた。
鋭い鞭が鳴らす聞いているだけで痛い音。痛みに震える少年は声を上げるのを我慢している。
信じられないと目を見開いて駆け寄ろうとするエリスローズの前にリオンが腕を出して止めた。
驚いたまま見上げるエリスローズに首を振るリオンの意図がわからなかった。
「プリンセスエリーナはお優しいご両親のもとでお育ちになられたのですね。では次はこちらへどうぞ」
またバカにしたような言い方に感じるもエリスローズはこいつはこういう人間なのだと心の中で唾を吐き捨てて黙ってあとをついていく。
『ッ!?』
裏庭に出るとまた見たこともない光景が広がっていた。
「これは……すごいな……」
感心するのはリオンだけでエリスローズには何がなんだかわからない。
ロイよりも小さな子供が剣や槍を握って走っている。馬に乗っている者もいれば今にも倒れそうな様子で走っている子供もいた。
それをすごいと感心するリオンがわからなかった。
「エリー、ここは騎士の訓練場だよ」
騎士と言われてもエリスローズにはわからない。
「貴族の中にはこうした訓練を受けた者を欲しがる方もいらっしゃいますからね」
「手っ取り早いと言えばそうだが」
「でしょう? ここでは馬の手入れ方法や狩りの餌の仕掛け方、弓道、剣術に槍投げなど騎士に必要なことは全て教えられます。使った武器は自分で手入れを行っていますし、騎士としての心得も教えています」
「それはすごい」
エリスローズにはわからない世界だが、王族であるリオンがこの状況に不快になっていないのであれば王族貴族にとっては当たり前の光景なのだろうと納得することにした。
騎士がなんなのかさえわからない自分が聞いたところできっと理解できないとわかっているから。
「プリンセスエリーナにとってはこちらのほうが馴染み深いかもしれませんね」
奥のほうへと進んでいくとその先にあった一室に足を踏み入れた。
「これはすごい」
部屋の中に広がっていたのは真っ白な布に色とりどりの糸で施された美しい刺繍の大作。
その美しさに笑みをこぼすリオンを見ながらエリスローズの胸の中は複雑さでいっぱいだった。
「ここでは糸紡ぎ、刺繍、裁縫、音楽などはもちろんのこと薬草学も教えています」
「薬草学まで?」
「貴族が求めるのは夫に従順な妻ですが、最近は学のない女を好む者は少なくなっているようですから」
「時代は変わってきているんだね」
「そうなんです」
嬉しそうに笑う施設長の笑顔さえ今のエリスローズにはストレスの一つ。
『貴族になれなかった子にとってはこれらは全て辛い思い出となるのでしょうね』
エリスローズの言葉を読んだ施設長の表情が明らかに不愉快そうなものへと変わったが、すぐに笑顔を見せる。
「プリンセスエリーナは何か勘違いしておられるようですね。ここで学んだことは全て彼らの能力となっているんです。貴族になれずともそれなりの相手を見つけることはできます。武を学ぶ男に比べて学を学ぶことが多い女の世界は意外にも広く、文学作品を残している者もいます。ピアノを覚えればピアニストにだってなれるかもしれません。生まれながらにして多くを持っていることに慢心している貴族よりも彼らはずっと選べる選択肢が多いということ」
「貴族に選ばれないことは辛いかもしれないけど、自由恋愛ができるのもいいね」
「おや、リオン殿下は自由恋愛に憧れが?」
「我々はよほどのことがない限り自由恋愛は許されないからね。彼女と恋愛結婚をしたかったよ」
「熱々ですねぇ」
スラム街で生まれたエリスローズには理解できないことばかりだった。
ノートやペンを持ったのも字の読み書きができるようになったのも入城してから。
糸に触ったのは織物工場に勤めてからで、酒やタバコの味を知ったのも貧困街で働くようになってから。
一つ上の場所は近いようで遠く、未知の世界だった。
ここもそうだ。階段を上がって貧困街に立ち、そこから上へと続く階段を上がりきれば平民が暮らす街に出るのに貧困街に立つことさえも難しいスラム街の人間が平民たちの常識を理解できるはずがない。ましてや手の届かない存在である貴族や王族の話には入っていけるはずがないのだ。
「プリンセスエリーナ?」
いつから話を聞いていなかったのか、名を呼ばれて顔を上げたときには既に門の前に立っていた。
来たとき同様にズラリと並ぶ子供たちの姿に苦笑さえ出てこない。
「我が自慢の施設はいかがでしたか?」
痛みや疲れから漏れる泣き声。大人の男の怒鳴り声。鞭を振る音が響くこの場所になんと言うのか正解なのかエリスローズにはわからない。
だが、ノートにはこう書いた。
『素晴らしい場所ですね』と。
それを読んだ施設長の満足げな表情の醜悪さに吐きそうになったが、リオンが感心していたのだからすごいのだろうと思ってそう書いた。
「教育は子供たちの義務です。親がいずとも教育を受け、自ら未来を切り開く力を与えるためにここが存在しているのです。ご理解いただけましたか?」
頷くエリスローズに向ける笑顔をエリスローズは視線をズラして視界に入れようとはしない。
「貴重な時間を割いてもらってすまないね。興味深いものになったよ」
「いえいえ、とんでもない! いつでもお越しください。お前たち、挨拶!」
「プリンセスエリーナ、リオン殿下、本日はお忙しい中お越しくださりありがとうございました!」
ザッと音を立てて足を揃えた子供たちの大きな挨拶にエリスローズは笑顔を見せた。はりつけることに慣れた笑顔は彼らにはどう見えているのだろうと思う一方で、彼らが見せる笑顔も訓練された笑顔に見えて仕方なかった。
リオンと共に馬車に乗り込むと施設を後にする。
「次は教会だね」
まだ行く場所があるのかと顔を上げるエリスローズに向けるリオンの笑顔は輝いている。
「教会は君にも馴染みがあるんじゃないかい?」
輝く笑顔の理由はきっとエリスローズが懐かしいと思える場所に連れていってやれると思っているからで、それが間違いであることをリオンは知らない。
『思い出のある場所です』
「そうか。炊き出しがあるらしくてね、それの手伝いをしようと思ってるんだ」
『神父様と話をすることはできますか?』
「もちろんだよ。聞きたいことを聞くといいよ」
リオンは優しい人間だ。自分のことを考えて動いてくれることはとても嬉しいが、何も知らないからこそ墓穴を掘ることもある。
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