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アレン・レッドローズは脅迫する
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「兄さん、どうかどうか、私の願いを聞き入れてくれ」
「だから交換条件だって言ってんだろ。相変わらず物分かり悪い奴だな。国王になって、ちっとは賢くなったかと思ってたが、期待外れだ」
アレンが帰国して半月が経った頃、弟のランドルがまた頼みに部屋まで足を運んでいた。
部屋にはロイがいて、字の勉強をしている。
それを横目で見ながら内容こそ口にしないものの、視線には敵意が込められていた。
「あんな条件のめるわけがないだろう! 兄さんは国政には関わらないと言ったじゃないか! どうして今更になってそんな条件を出してくるんだ! 無関係なんだぞ!」
「俺がどういう条件を出そうが、嫌なら蹴飛ばしゃいいだけのこと。拒否せず情に訴えようってか?」
「だ、だって兄さんは旅人のようなものじゃないか。フラッと出ていったかと思えば、突然帰ってくる。そんな人がどうして条件を出すんだ!?」
「出したかったから。これでいいか?」
「そんな子供みたいなことが通用するわけないだろ!」
「するんだな、これが。わかるだろ?」
隣に座って字を書くロイの頭を撫でると無言で払われる。
弟が条件をのまない理由がわかっているアレンは勝ち気な笑みを向ける。
それが気に入らないランドルは唇を噛み締めながらロイを指差した。
「大体ソイツが来てから全てが──」
「おい」
アレンの低い声に肩を跳ねさせるランドル。
「名前があんだよ。名前で呼べ」
「ロ、ロイが来てから──」
「お前に名前で呼ばれたくなんざねーよ」
「コイツッ!」
名前で呼びたくないのはランドルも同じ。
でもアレンが言うからそうしたのにと舌打ちするのを堪えながらロイを睨みつける。
「王家の人間がロイ一人に混沌とさせられたんだとしたらお前らが脆弱なだけだ。コイツのせいじゃねぇよ」
「で、でもロイが来てなかったら兄さんは私に条件を突きつけるなんてしなかっただろう?」
「たらればに意味なんかねぇだろ。今が現実だ。目ぇ開いてんのか?」
「くっ……!」
悔しげに表情を歪めるランドルはまだ何か言いたいことがあるようで帰ろうとしない。
長い足を組んでランドルの言い分を聞こうと待っているアレンの表情はどこか挑発めいていてランドルは舌打ちしないことに必死だった。
「兄さんの子だという確かな証拠はあるのか?」
アレンの大きなため息にまたランドルの肩が跳ねる。
「お前とお前の妻子が俺に似てるって感じてんのが既に証拠だろ。俺の遺伝子は間違いなく入ってんだよ」
「似てねーけどな」
他人が見ても親子だと勘違いするぐらいには似ている。
エリスローズも言葉にこそしなかったが二人が並んでいるのを見て親子だと確信したぐらいだ。
ロイだけが反論し続けている。
「俺の遺伝子が入ってるだけで俺は父親じゃねぇのよ。育ててねぇから」
「だ、だったら──」
「だとしても、だ。俺の遺伝子が入ってる時点で俺がコイツらを庇護下に置く理由にはなる」
眉を寄せるランドルはこっちを見ようとしないロイの愛嬌のなさに可愛げがないと憎たらしく思っている。
妻が毎日騒ぎ続けるのもロイが来たせいだと思っており、勝手に頭痛の種にしているのだ。
「兄さん、その子を手元に置きたいなら自由にすればいい。でもやはりあの子の弟だからと長居させるわけにはいかない」
「理由は?」
「スラム街の人間を理由もなく置き続けるのは使用人が嫌がる」
「入城させる約束したんだろ?」
「あんな口約束を本気にするなどリオンの奴もどうかしているんだ」
ロイもランドルの言葉は想定内だったのか、反応することはしない。
「ほう……だがまあ、理由ならあるだろ。エリーが上手く身代わりを果たすためにはストレスのない生活を送るべきだ。そのためには弟のロイが必要なんだよ」
「どこにストレスがあるというんだ! 贅沢三昧を許しているんだぞ!」
「ならお前は豪華な食事が三食出て、愛人を侍らせ、ダンスに酒にと明け暮れらる場所をスラム街に移してもストレスは溜まらないんだな?」
「なぜそうなる!」
「そういうことじゃねぇのか? どれだけ良い暮らしであっても環境が変わればストレスが溜まる。当然だろ」
「上から下に落ちるのと下から上に行くのでは全く違う!」
「贅沢三昧が嬉しい人間ばかりじゃねぇのさ。贅沢が勝ち組の証だと思ってるお前には理解できんだろうがな」
肩を竦めてバカにしたように鼻で笑うアレンはいつもそうだった。ランドルのやること成すこと全てを嘲笑し、上から目線でモノを言う。
それがランドルが兄を嫌っている理由。
「この国の王は私だ! 私が追い出すと言ったら追い出すんだ!」
「職権濫用とは恐れ入る。だったら使用人たちに挨拶しないとな」
「俺は出て行かな──」
拒否しようとするロイの口を手で塞いだアレンが言葉を続ける。
「王位を継ごうか迷っていた俺にお前が譲ってくれと頭を下げた話から始めようか」
「なっ──!」
「兄さんはなんでも持ってるじゃないか。でも私は何も持っていない。兄さんは旅に出たいって言ってただろう? 王になると旅なんてできなくなるぞ。それでも良いのか?って必死に説得してきたお前の映像が残ってたら見せてやりたいな」
「残ってるわけないだろ! そ、そもそもそんなものはない! それは兄さんの作り話だ!」
「映像記憶の機械を用意しておくべきだった。あんなに必死で情けないお前を皆にも見てもらいたかったよ。ま、この話だけでじゅうぶんに想像できるだろ。ロイ、行くぞ。どこかで家を探そう」
立ち上がったアレンが伸ばした手から顔へと視線を移すとロイは鉛筆から手を離して立ち上がり、手を握った。
「庭付きの家にしろよ」
「お前が大型犬と走り回っても平気なぐらい広い庭のとこ探してやるよ」
素直に手を握ったロイと一緒にアレンがドアへと向かう。
「ああ、そうだ。使用人にも挨拶してから行くわ」
「兄さん、余計なことは──」
「二人の思い出を語るのは余計なことじゃねぇだろ? 権力争いもしてねぇのになんで弟のお前が国王になれたのか知ってもらう良い機会じゃねぇか。おーい、使用人全員を集め──っと……危ねぇだろ、何すんだよ」
ドアを開けて外にいる使用人に声をかけたアレンにランドルが慌ててドアを閉めた。
バンッと勢いよく閉まったドアに肩を竦めて弟を見下ろす。
「兄さん、このことは他言しないという約束だったはずだ」
「あんな口約束を本気にするなんてお前もどうかしてんな」
「ッ!」
ブーメランのように帰ってきた言葉にギリッと歯を食いしばったランドルが拳を震わせながらアレンを睨みつける。
「ま、お前が言うようにこの国の王はお前だ。追い出すなり拘束するなり好きにすりゃいいさ。だがな、俺はお前と違って無能じゃねんだわ。そこだけは忘れるなよ」
それがどういう意味を持っているのかランドルにはわかっている。
だから言い返さないし、これ以上の無駄な懇願はしない。
「お前にできることは本物のエリーナがさっさと帰ってきてくれることを祈り、自由奔放にわがまま三昧して暮らすのを眺めることだけだ」
「兄さんに私の気持ちはわからないだろう!」
自分で閉めたドアを自分で開けて、また乱暴に閉めて戻っていった弟に肩を竦めた。
「お前の弟、クソ頭悪いな」
「同感だ」
ランドルがいなくなるとすぐに手を離してもう一度ソファーに腰掛けたロイの隣にアレンも腰を下ろす。
「旅ができなくなるから王位は継ぎたくないと言ったわがままな兄の代わりに王位を継いだと嘘を吹聴するから弱味になるんだよ」
「ダセーな」
「だろ? 俺もそう思う。ま、アイツが継いでくれたおかげで俺も自由に生きられてるってのはあるけど、頼んできたのがあっちからだから弱味になったわな」
使用人に言ったところで彼らがストライキを起こすとは思っていないが、心象が変わってしまうのを恐れているのだろうランドルには効果的な脅しだ。
「よかったじゃん。子供がいたら旅なんかできなかったわけだし」
呟くように言うロイにアレンが頭を撫でる。
「バーカ、息子がいたら旅に出たいなんて思いもしなかったっての。毎日家にいて息子にもう嫌だって泣かれるぐらい遊んで、妻に怒られて、一緒に風呂に入って、三人で一緒に眠って、また朝を迎えるを繰り返す。旅よりずっと良い生活だったはずだ」
「残念だったな、アンタの子を産んだ女がバカで」
「本当にな」
嫌味を真正面から受け止めて同意するアレンにとってロイを息子として扱えないことは何よりも辛いことだ。
だが、この国に貧困街やスラム街があって、スラム街がゴミ捨て場と呼ばれていることも知っていたのに思い込みで探そうとしなかった自分の罪であり、罰でもあるのだと受け入れている。
こうして再会してエゴだろうと自分が父親だと名乗れたことだけでもじゅうぶん嬉しかった。
「嫁さん、探さねぇの?」
「探したさ」
「見つかったのか?」
ペンを置いて顔を上げたロイとアレンの目が合う。
「墓石がな」
「……ふーん」
すぐに顔を下ろしたロイはそれ以上何も聞かなかった。
自分をスラム街に捨てた生みの親などどうだっていい。愛情たっぷりに育ててくれたコリンたちが親だと、その気持ちは変わらない。
だが、さっきのアレンの言葉のせいで嫌でも想像してしまう。この男が父親だったらどんな生活だったのだろうと。
「ロイ、犬は好きか?」
「嫌い」
「嫌いなのか?」
「人間よりヤベェじゃん、犬なんか」
スラム街で一番危ないのは飢えた人間ではなく飢えた犬だった。
弱りきっている犬ならまだいい。だが、空腹で苛立っている犬は人間をも食い殺そうとするため最も恐れられていた。
越えようと思えば簡単に越えられるような家に住んでいたロイたちにとって空腹の野良犬が近くを歩くことは恐怖でしかなかった。
だから犬に良い思い出はほとんどない。
「そうか。それもそうだな。アイツらは強いからな」
納得したように頷くアレンには自分が犬を嫌いな理由などわからないと思っているロイは一度握ったペンを離して背もたれに身体を預ける。
「また旅でもすんのか?」
「どうするかなぁ。もともとお前を探すために旅してたようなもんだからな」
「俺が産まれたとき、まだ前の国王生きてたのか?」
「はははははははっ! 隠居しただけで今も生きてるぞ」
「無駄に長生きだな」
「そうだな」
七十歳を超えている両親のことを思い出したアレンはスラム街の人間に長生きという言葉への反論は好ましくないと判断して同意しながら頷いた。
「両親は今何歳だ?」
「知らね。永遠の十七歳とか言ってる」
「それいいな! 俺もこれからそう言おうかな」
「アンタどう見てもおっさんだろ」
「まあな。でもイケてるだろ? こう見えてかなりモテるんだぜ」
「知らねー。どうでもいーし」
健康的でしっかりとした身体は父親のコリンよりずっと逞しく、顔もランドルより遥かに整っている。
顎に生やした無精髭も汚いというよりはワイルド感に一役買っているようでよく似合っていた。
ロイもアレンを見る度に思うのは自分はコリンよりもこっちに似ているということ。
「エリーナが戻ってきたらどうするんだ?」
「スラム街に……関係ねーだろ」
スラム街には戻れない。今更メイとシオンをあんな場所には戻せない。
エリスローズは貧困街にでも家を買う予定だと言っていた。
もうすぐ九ヶ月目の給料がもらえる。結構な額が溜まっているはずだと笑うエリスローズを思い出して膝を抱えた。
「エリーがいるならどこだっていいし」
「家族で住める場所が必要なら俺の家をお前たちにやってもいい」
「施しは受けねーよ」
「エリーが楽になるとしてもか?」
家族六人で暮らす家を買うとなると今持っている金が全てなくなるかもしれない。
生活していけるかどうかわからなくなるのであればスラム街に戻ったほうがと考えても結局はシオンとメイのことが頭をよぎる。
きっと生きていけなくなるだろう二人のためにもスラム街に戻るわけにはいかない。
だがそうなるとまた両親とエリスローズは過酷な環境で働かなければならなくなる。
貧困街に家を買えばエリスローズは必然的にダンの酒場に戻って金を稼ぐだろう。それだけは絶対に嫌だと膝を抱える手に力が入る。
エリスローズに楽をさせるためにはアレンの好意を受けたほうが良いのだろうが、そうするとコリンたちが傷つくのではないかと思ってしまう。
「この国を出るってことは考えねぇのか?」
「三歳と五歳のガキ連れてどうやって他国に移動すんだよ」
「必要なら馬車を出してやる。頭を使え、利用しろ、それが賢く生きる方法だ」
「……テメーに世話になるつもりはねーよ」
借りを作れば返さなければならない。それを返すことになるのは自分ではなく大人である三人の誰か。
きっとエリスローズがその荷を負うことになるだろう。今回のように。
アレンはリオンと同じで悪い人間ではないが、それでも信用するに値しないと判断しているロイにとって夢のような話を受け入れることはできない。
「ロイ、人は変わってはくれねぇぞ。環境もな。いつか変わると願って膝を抱えて待ってるのはバカのすることだ」
膝を抱えている自分への侮辱かと手を離してアレンを睨みつけるもアレンは真剣な表情を変えない。
「お前が変われば世界は変わる。この世界じゃない、お前の世界だ」
「俺みてーなガキにできることなんざ限られてんだよ。働けるなら働いてる! エリーにこんなことさせなかった! でもできねんだよ! ビラ配りも靴磨きも平民か貧困街のガキの仕事で、スラム街の俺らには回ってさえこねーのにどうやって変わるんだよ! 王族に生まれたテメーが知ったように言うな!」
「確かに王族として生まれはしたが、スラム街の実情を知らねぇわけじゃねぇよ。お前らは街の一部だが、国全体がスラム街のようなとこもあった。栄養不足で弱っていく子を、餓死していく我が子を黙って看取ることしかできない親を大勢見てきた」
「ならわかんだろ」
「わからん」
「バカはどっちだよ」
鼻で笑うロイの両肩を掴んで自分のほうを向かせるアレンにロイが眉を寄せる。
「自分たちをゴミとして扱うような国は自ら見放せ。国が貧しいわけじゃないなら抜け出せんだよ。お前のその賢さがあれば上手く生きていけるはずだ」
「無責任なこと言うな! 今日食う物も手に入らねーのにどうやって国外に行くってんだよ! 道中の飯は? 水は? 他国が受け入れてくれる保証もねーのに行けるわけねーだろ! 拒絶されたら道中で死ぬことになんだぞ! 食うに困ったこともねー奴が偉そうに言ってんじゃねーぞ!」
「俺は今の話をしてんだよ、ロイ」
「あ!? 同じだろ!」
肩を掴む手を払うと立ち上がって距離を取る。
「お前に手を貸したいと思ってる人間が少なくとも二人はいる。そいつらには地位も名誉も金もある。貧困に喘ぐ全ての者を救うことはできなくても、目の前で苦しむ少年にその力を使ってやることぐらいはできんだよ。利用しろ」
アレンが何が言いたいのか、ロイもわかっている。
抜け出せなかった九ヶ月前と今は違う。
エリーナの身代わりとなって今の生活があり、そこで出会えた二人はこの国の王族。
友好的に接してくれる二人を利用すればそれなりの生活の保証は得られるだろう。
わかっている。だが、わかっていても警戒心がそれに手を伸ばすことを許さない。
「俺は父親ぶるつもりはねぇよ。ただ、お前のためにできることがあるならしてやりてぇと思ってるだけだ」
コリンとはまた違った優しい笑顔にロイは視線を下げる。
「エリーナがいつ帰ってくるかはわからねぇが、その間に少し考えてみるのもありなんじゃねぇか?」
「……親切ぶってんじゃねーよ……」
弱い声で呟くロイのそれをアレンは拒絶とは受け取らなかった。
誰もが自分のことを優先して生きる中でロイはエリスローズや家族のことを優先して考えている。
自分が決めたことで誰かが苦しむことになるのではないかと。
自分が育てていたらこんなに賢い子には育たなかっただろうと寂しくもありながら嬉しくもあった。
「だから交換条件だって言ってんだろ。相変わらず物分かり悪い奴だな。国王になって、ちっとは賢くなったかと思ってたが、期待外れだ」
アレンが帰国して半月が経った頃、弟のランドルがまた頼みに部屋まで足を運んでいた。
部屋にはロイがいて、字の勉強をしている。
それを横目で見ながら内容こそ口にしないものの、視線には敵意が込められていた。
「あんな条件のめるわけがないだろう! 兄さんは国政には関わらないと言ったじゃないか! どうして今更になってそんな条件を出してくるんだ! 無関係なんだぞ!」
「俺がどういう条件を出そうが、嫌なら蹴飛ばしゃいいだけのこと。拒否せず情に訴えようってか?」
「だ、だって兄さんは旅人のようなものじゃないか。フラッと出ていったかと思えば、突然帰ってくる。そんな人がどうして条件を出すんだ!?」
「出したかったから。これでいいか?」
「そんな子供みたいなことが通用するわけないだろ!」
「するんだな、これが。わかるだろ?」
隣に座って字を書くロイの頭を撫でると無言で払われる。
弟が条件をのまない理由がわかっているアレンは勝ち気な笑みを向ける。
それが気に入らないランドルは唇を噛み締めながらロイを指差した。
「大体ソイツが来てから全てが──」
「おい」
アレンの低い声に肩を跳ねさせるランドル。
「名前があんだよ。名前で呼べ」
「ロ、ロイが来てから──」
「お前に名前で呼ばれたくなんざねーよ」
「コイツッ!」
名前で呼びたくないのはランドルも同じ。
でもアレンが言うからそうしたのにと舌打ちするのを堪えながらロイを睨みつける。
「王家の人間がロイ一人に混沌とさせられたんだとしたらお前らが脆弱なだけだ。コイツのせいじゃねぇよ」
「で、でもロイが来てなかったら兄さんは私に条件を突きつけるなんてしなかっただろう?」
「たらればに意味なんかねぇだろ。今が現実だ。目ぇ開いてんのか?」
「くっ……!」
悔しげに表情を歪めるランドルはまだ何か言いたいことがあるようで帰ろうとしない。
長い足を組んでランドルの言い分を聞こうと待っているアレンの表情はどこか挑発めいていてランドルは舌打ちしないことに必死だった。
「兄さんの子だという確かな証拠はあるのか?」
アレンの大きなため息にまたランドルの肩が跳ねる。
「お前とお前の妻子が俺に似てるって感じてんのが既に証拠だろ。俺の遺伝子は間違いなく入ってんだよ」
「似てねーけどな」
他人が見ても親子だと勘違いするぐらいには似ている。
エリスローズも言葉にこそしなかったが二人が並んでいるのを見て親子だと確信したぐらいだ。
ロイだけが反論し続けている。
「俺の遺伝子が入ってるだけで俺は父親じゃねぇのよ。育ててねぇから」
「だ、だったら──」
「だとしても、だ。俺の遺伝子が入ってる時点で俺がコイツらを庇護下に置く理由にはなる」
眉を寄せるランドルはこっちを見ようとしないロイの愛嬌のなさに可愛げがないと憎たらしく思っている。
妻が毎日騒ぎ続けるのもロイが来たせいだと思っており、勝手に頭痛の種にしているのだ。
「兄さん、その子を手元に置きたいなら自由にすればいい。でもやはりあの子の弟だからと長居させるわけにはいかない」
「理由は?」
「スラム街の人間を理由もなく置き続けるのは使用人が嫌がる」
「入城させる約束したんだろ?」
「あんな口約束を本気にするなどリオンの奴もどうかしているんだ」
ロイもランドルの言葉は想定内だったのか、反応することはしない。
「ほう……だがまあ、理由ならあるだろ。エリーが上手く身代わりを果たすためにはストレスのない生活を送るべきだ。そのためには弟のロイが必要なんだよ」
「どこにストレスがあるというんだ! 贅沢三昧を許しているんだぞ!」
「ならお前は豪華な食事が三食出て、愛人を侍らせ、ダンスに酒にと明け暮れらる場所をスラム街に移してもストレスは溜まらないんだな?」
「なぜそうなる!」
「そういうことじゃねぇのか? どれだけ良い暮らしであっても環境が変わればストレスが溜まる。当然だろ」
「上から下に落ちるのと下から上に行くのでは全く違う!」
「贅沢三昧が嬉しい人間ばかりじゃねぇのさ。贅沢が勝ち組の証だと思ってるお前には理解できんだろうがな」
肩を竦めてバカにしたように鼻で笑うアレンはいつもそうだった。ランドルのやること成すこと全てを嘲笑し、上から目線でモノを言う。
それがランドルが兄を嫌っている理由。
「この国の王は私だ! 私が追い出すと言ったら追い出すんだ!」
「職権濫用とは恐れ入る。だったら使用人たちに挨拶しないとな」
「俺は出て行かな──」
拒否しようとするロイの口を手で塞いだアレンが言葉を続ける。
「王位を継ごうか迷っていた俺にお前が譲ってくれと頭を下げた話から始めようか」
「なっ──!」
「兄さんはなんでも持ってるじゃないか。でも私は何も持っていない。兄さんは旅に出たいって言ってただろう? 王になると旅なんてできなくなるぞ。それでも良いのか?って必死に説得してきたお前の映像が残ってたら見せてやりたいな」
「残ってるわけないだろ! そ、そもそもそんなものはない! それは兄さんの作り話だ!」
「映像記憶の機械を用意しておくべきだった。あんなに必死で情けないお前を皆にも見てもらいたかったよ。ま、この話だけでじゅうぶんに想像できるだろ。ロイ、行くぞ。どこかで家を探そう」
立ち上がったアレンが伸ばした手から顔へと視線を移すとロイは鉛筆から手を離して立ち上がり、手を握った。
「庭付きの家にしろよ」
「お前が大型犬と走り回っても平気なぐらい広い庭のとこ探してやるよ」
素直に手を握ったロイと一緒にアレンがドアへと向かう。
「ああ、そうだ。使用人にも挨拶してから行くわ」
「兄さん、余計なことは──」
「二人の思い出を語るのは余計なことじゃねぇだろ? 権力争いもしてねぇのになんで弟のお前が国王になれたのか知ってもらう良い機会じゃねぇか。おーい、使用人全員を集め──っと……危ねぇだろ、何すんだよ」
ドアを開けて外にいる使用人に声をかけたアレンにランドルが慌ててドアを閉めた。
バンッと勢いよく閉まったドアに肩を竦めて弟を見下ろす。
「兄さん、このことは他言しないという約束だったはずだ」
「あんな口約束を本気にするなんてお前もどうかしてんな」
「ッ!」
ブーメランのように帰ってきた言葉にギリッと歯を食いしばったランドルが拳を震わせながらアレンを睨みつける。
「ま、お前が言うようにこの国の王はお前だ。追い出すなり拘束するなり好きにすりゃいいさ。だがな、俺はお前と違って無能じゃねんだわ。そこだけは忘れるなよ」
それがどういう意味を持っているのかランドルにはわかっている。
だから言い返さないし、これ以上の無駄な懇願はしない。
「お前にできることは本物のエリーナがさっさと帰ってきてくれることを祈り、自由奔放にわがまま三昧して暮らすのを眺めることだけだ」
「兄さんに私の気持ちはわからないだろう!」
自分で閉めたドアを自分で開けて、また乱暴に閉めて戻っていった弟に肩を竦めた。
「お前の弟、クソ頭悪いな」
「同感だ」
ランドルがいなくなるとすぐに手を離してもう一度ソファーに腰掛けたロイの隣にアレンも腰を下ろす。
「旅ができなくなるから王位は継ぎたくないと言ったわがままな兄の代わりに王位を継いだと嘘を吹聴するから弱味になるんだよ」
「ダセーな」
「だろ? 俺もそう思う。ま、アイツが継いでくれたおかげで俺も自由に生きられてるってのはあるけど、頼んできたのがあっちからだから弱味になったわな」
使用人に言ったところで彼らがストライキを起こすとは思っていないが、心象が変わってしまうのを恐れているのだろうランドルには効果的な脅しだ。
「よかったじゃん。子供がいたら旅なんかできなかったわけだし」
呟くように言うロイにアレンが頭を撫でる。
「バーカ、息子がいたら旅に出たいなんて思いもしなかったっての。毎日家にいて息子にもう嫌だって泣かれるぐらい遊んで、妻に怒られて、一緒に風呂に入って、三人で一緒に眠って、また朝を迎えるを繰り返す。旅よりずっと良い生活だったはずだ」
「残念だったな、アンタの子を産んだ女がバカで」
「本当にな」
嫌味を真正面から受け止めて同意するアレンにとってロイを息子として扱えないことは何よりも辛いことだ。
だが、この国に貧困街やスラム街があって、スラム街がゴミ捨て場と呼ばれていることも知っていたのに思い込みで探そうとしなかった自分の罪であり、罰でもあるのだと受け入れている。
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「嫁さん、探さねぇの?」
「探したさ」
「見つかったのか?」
ペンを置いて顔を上げたロイとアレンの目が合う。
「墓石がな」
「……ふーん」
すぐに顔を下ろしたロイはそれ以上何も聞かなかった。
自分をスラム街に捨てた生みの親などどうだっていい。愛情たっぷりに育ててくれたコリンたちが親だと、その気持ちは変わらない。
だが、さっきのアレンの言葉のせいで嫌でも想像してしまう。この男が父親だったらどんな生活だったのだろうと。
「ロイ、犬は好きか?」
「嫌い」
「嫌いなのか?」
「人間よりヤベェじゃん、犬なんか」
スラム街で一番危ないのは飢えた人間ではなく飢えた犬だった。
弱りきっている犬ならまだいい。だが、空腹で苛立っている犬は人間をも食い殺そうとするため最も恐れられていた。
越えようと思えば簡単に越えられるような家に住んでいたロイたちにとって空腹の野良犬が近くを歩くことは恐怖でしかなかった。
だから犬に良い思い出はほとんどない。
「そうか。それもそうだな。アイツらは強いからな」
納得したように頷くアレンには自分が犬を嫌いな理由などわからないと思っているロイは一度握ったペンを離して背もたれに身体を預ける。
「また旅でもすんのか?」
「どうするかなぁ。もともとお前を探すために旅してたようなもんだからな」
「俺が産まれたとき、まだ前の国王生きてたのか?」
「はははははははっ! 隠居しただけで今も生きてるぞ」
「無駄に長生きだな」
「そうだな」
七十歳を超えている両親のことを思い出したアレンはスラム街の人間に長生きという言葉への反論は好ましくないと判断して同意しながら頷いた。
「両親は今何歳だ?」
「知らね。永遠の十七歳とか言ってる」
「それいいな! 俺もこれからそう言おうかな」
「アンタどう見てもおっさんだろ」
「まあな。でもイケてるだろ? こう見えてかなりモテるんだぜ」
「知らねー。どうでもいーし」
健康的でしっかりとした身体は父親のコリンよりずっと逞しく、顔もランドルより遥かに整っている。
顎に生やした無精髭も汚いというよりはワイルド感に一役買っているようでよく似合っていた。
ロイもアレンを見る度に思うのは自分はコリンよりもこっちに似ているということ。
「エリーナが戻ってきたらどうするんだ?」
「スラム街に……関係ねーだろ」
スラム街には戻れない。今更メイとシオンをあんな場所には戻せない。
エリスローズは貧困街にでも家を買う予定だと言っていた。
もうすぐ九ヶ月目の給料がもらえる。結構な額が溜まっているはずだと笑うエリスローズを思い出して膝を抱えた。
「エリーがいるならどこだっていいし」
「家族で住める場所が必要なら俺の家をお前たちにやってもいい」
「施しは受けねーよ」
「エリーが楽になるとしてもか?」
家族六人で暮らす家を買うとなると今持っている金が全てなくなるかもしれない。
生活していけるかどうかわからなくなるのであればスラム街に戻ったほうがと考えても結局はシオンとメイのことが頭をよぎる。
きっと生きていけなくなるだろう二人のためにもスラム街に戻るわけにはいかない。
だがそうなるとまた両親とエリスローズは過酷な環境で働かなければならなくなる。
貧困街に家を買えばエリスローズは必然的にダンの酒場に戻って金を稼ぐだろう。それだけは絶対に嫌だと膝を抱える手に力が入る。
エリスローズに楽をさせるためにはアレンの好意を受けたほうが良いのだろうが、そうするとコリンたちが傷つくのではないかと思ってしまう。
「この国を出るってことは考えねぇのか?」
「三歳と五歳のガキ連れてどうやって他国に移動すんだよ」
「必要なら馬車を出してやる。頭を使え、利用しろ、それが賢く生きる方法だ」
「……テメーに世話になるつもりはねーよ」
借りを作れば返さなければならない。それを返すことになるのは自分ではなく大人である三人の誰か。
きっとエリスローズがその荷を負うことになるだろう。今回のように。
アレンはリオンと同じで悪い人間ではないが、それでも信用するに値しないと判断しているロイにとって夢のような話を受け入れることはできない。
「ロイ、人は変わってはくれねぇぞ。環境もな。いつか変わると願って膝を抱えて待ってるのはバカのすることだ」
膝を抱えている自分への侮辱かと手を離してアレンを睨みつけるもアレンは真剣な表情を変えない。
「お前が変われば世界は変わる。この世界じゃない、お前の世界だ」
「俺みてーなガキにできることなんざ限られてんだよ。働けるなら働いてる! エリーにこんなことさせなかった! でもできねんだよ! ビラ配りも靴磨きも平民か貧困街のガキの仕事で、スラム街の俺らには回ってさえこねーのにどうやって変わるんだよ! 王族に生まれたテメーが知ったように言うな!」
「確かに王族として生まれはしたが、スラム街の実情を知らねぇわけじゃねぇよ。お前らは街の一部だが、国全体がスラム街のようなとこもあった。栄養不足で弱っていく子を、餓死していく我が子を黙って看取ることしかできない親を大勢見てきた」
「ならわかんだろ」
「わからん」
「バカはどっちだよ」
鼻で笑うロイの両肩を掴んで自分のほうを向かせるアレンにロイが眉を寄せる。
「自分たちをゴミとして扱うような国は自ら見放せ。国が貧しいわけじゃないなら抜け出せんだよ。お前のその賢さがあれば上手く生きていけるはずだ」
「無責任なこと言うな! 今日食う物も手に入らねーのにどうやって国外に行くってんだよ! 道中の飯は? 水は? 他国が受け入れてくれる保証もねーのに行けるわけねーだろ! 拒絶されたら道中で死ぬことになんだぞ! 食うに困ったこともねー奴が偉そうに言ってんじゃねーぞ!」
「俺は今の話をしてんだよ、ロイ」
「あ!? 同じだろ!」
肩を掴む手を払うと立ち上がって距離を取る。
「お前に手を貸したいと思ってる人間が少なくとも二人はいる。そいつらには地位も名誉も金もある。貧困に喘ぐ全ての者を救うことはできなくても、目の前で苦しむ少年にその力を使ってやることぐらいはできんだよ。利用しろ」
アレンが何が言いたいのか、ロイもわかっている。
抜け出せなかった九ヶ月前と今は違う。
エリーナの身代わりとなって今の生活があり、そこで出会えた二人はこの国の王族。
友好的に接してくれる二人を利用すればそれなりの生活の保証は得られるだろう。
わかっている。だが、わかっていても警戒心がそれに手を伸ばすことを許さない。
「俺は父親ぶるつもりはねぇよ。ただ、お前のためにできることがあるならしてやりてぇと思ってるだけだ」
コリンとはまた違った優しい笑顔にロイは視線を下げる。
「エリーナがいつ帰ってくるかはわからねぇが、その間に少し考えてみるのもありなんじゃねぇか?」
「……親切ぶってんじゃねーよ……」
弱い声で呟くロイのそれをアレンは拒絶とは受け取らなかった。
誰もが自分のことを優先して生きる中でロイはエリスローズや家族のことを優先して考えている。
自分が決めたことで誰かが苦しむことになるのではないかと。
自分が育てていたらこんなに賢い子には育たなかっただろうと寂しくもありながら嬉しくもあった。
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