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母からの手紙
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「起きたか?」
「私……」
「疲れたのだろう、当然だ」
アルフローレンスの言葉に小さく頷くミュゲットは床に置いてある母の手紙を見て手を伸ばしたが、それをアルフローレンスが掴んで止める。
「大丈夫、全部読むわ。母が最後に書き残したものだもの。読まないと」
そっと手を離し、椅子に徹することを決めたアルフローレンスはすぐ側にある机に寄りかかり、ミュゲットに胸にもたれかかるよう促す。
素直に従うミュゲットの腹部に腕を回して一緒に手紙に目を通すも、一度読んでいるだけにこれからミュゲットにかかるだろう精神的不安を考えると気が重い。
大きく深呼吸してから一枚目の手紙を置いて二枚目に目を通した。
【エレノア・フォン・ランベリーローズ……それがあなたの母の名前です】
「エレノア……」
いつも『お祖母様』とだけ呼んでいたため名前を聞くのは初めて。
【ミュゲットという素晴らしい名前はエレノア様が名付けたのです。グラキエスに咲く春を告げる花の名前です。白くて丸い、とても愛らしい花の名前があなたにピッタリだと、成長していく姿を見ながらいつも思っていました】
フローラリアはどこよりも植物の数が多い国だが、ミュゲットは自分の名前の花を知らない。
グラキエスで咲くというぐらいだから寒地でしか咲かないのだろうかと顔をアルフローレンスに向けた。
「ミュゲットの花を知ってる?」
「ああ」
「見たことある?」
「ああ」
「いつか、私も見てみたい」
「ああ、見せてやる」
母はきっとこの手紙を書いているとき、娘は純粋で純潔を守り続けていると思っていたことだろう。
実際、ミュゲットは捕虜になるまで純潔を守り続けていた。フィルと一緒に過ごすことはあってもフローラリアの民たちのように気軽に触れ合うどころかキスもしなかった。
それは母親の言う【結婚するまで純潔を守ることがフローラリアの決まり】というものにロマンを感じていたから。
いつか訪れるであろう運命の相手との結婚後、初夜に自分の全てを渡すことをロマンチックだと思っていた。
だがそんなものは捕虜となった日に砕け散ってしまった。
今はそれも最悪だが一つの思い出として語れるぐらいの心情へと変わってはいるのだが。
「エレノアって人、知ってる?」
「残念ながら民の名を覚えているほど余は心優しき皇帝ではないのでな」
「よかった」
グラキエスの街に降りない相手がエレノアの名前を知っているということは繋がりがあるということ。それがないとわかっただけでもじゅうぶんだと安堵したミュゲットはまた手紙に視線を戻す。
【フローラリアでは生まれた子供の未来を占う習わしがあって、あなたもフランも占い師に未来を見てもらいました。この話はしようと思っていたのですが、どこまで話すべきかわからず、話そう話そうと思うばかりで時間だけが過ぎてしまいました。話してもきっと信じないと思っていたのもあったと思います。私が信じたくなかったからなのか……】
母から聞いたことのなかった話にミュゲットは首を傾げながら読み進める。
【アルフローレンスという男が現れ、その男があなたの運命を変えると占い師は言いました。アルフローレンスといえば当時、戦鬼と呼ばれていたグラキエスの皇子の名。どうして、と思わず聞き返してしまうほど驚いたのを今でも鮮明に覚えています。エレノア様、私、そしてあなた……どうしてこうもグラキエスの男性に惹かれてしまうのだろうと】
続きには十代前半のときにグラキエスの先代皇帝と恋に落ち、エルドレッドという子供をもうけたという話が書いてあった。でも先代皇帝には既に妻がいて、愛人として連れて帰りたいと言われ拒んだこと。すると子が男であれば後継ぎにすると連れて行かれてしまったことも。彼を本当に愛していたことまで。
【不謹慎だとわかっています。でも私が愛した男の息子があなたの運命を変えるという結果にそれこそ運命に似たものを感じました。一度でいいから会ってみたい。その願いが叶ったのはあなたが五歳のとき】
ミュゲットが思い出した日のことだ。
【彼とは挨拶しか交わせなかったけれど、あなたが彼と会って話をしたと聞いてとても嬉しかったのを覚えています。また来年も来てくれるかなと嬉しそうに笑うあなたの笑顔が印象的でした。同じ季節になると大きなシーポティリを集めるようになり、馬車で来る人を見るようになりましたね。まだ恋愛感情はなかったでしょうけど、あなたなりに彼に感じるものがあったのかなと思っていました】
でもそれも数年後にはなくなった。来ないとわかって諦めたのだ。
【先代皇帝が亡くなられて彼が皇帝になったと聞いたとき、私も一通だけ手紙を出しました】
差出人が母になっていた手紙は他になかった。振り返ってアルフローレンスを見ると首を振るだけ。
【でも返事はありませんでした。きっと、アイザックの手紙で信用を失ってしまったのでしょう】
違う、そうじゃないと伝えることはできない。母親にとってそれは一つの心残りだったのかもしれないと思うと申し訳なかった。
ずっと心に抱えていたものを娘は忘れていたのだ。
名前を聞いていなかったというのもあるかもしれない。そういう男と短い時間だったが思い出を作ったという思い出を記憶の底に閉じ込めてしまっていた。
【あなたはいつかフローラリアの本当の姿を知ることになるかもしれません。そのときあなたは私を嘘つきだと思うでしょう。フランには何も言わず、あなたにばかり恋愛について口うるさく言ってきたことを差別だと思っているかもしれません】
思っていた。フローラリアの女は結婚するまで純潔を守らなければならないと言っていたことは嘘で、本当は性に奔放な国だった。自分だけがそれを知らなかった、知らされなかった。
どうして自分だけとショックを受けたこともあった。
【あなたがフィルに恋をしていたことを知りながら背中を押さず、純潔を守り続けなさいと言い続けたこと、本当に申し訳ないと思っています。フィルはとてもいい子だったからきっとあなたを幸せにしてくれたことでしょう。でも私はあの占い師が言ったことを信じたかったのです。だからこれは母の言い訳だと思って聞いてください】
フィルのことは好きだった。フィルもきっと好きでいてくれた。その確信は互いにあった。だが、踏み切れなかったのは勇気がなかったからではなく、ミュゲットは母親の言いつけを守り、ミュゲットには極力そういうのを見せないようにしてくれと言われていたのをフィルも知っていたから踏み切れなかったのだろう。
いつになればよかったのか──フィルがそれをノーラとアイザックに聞いていたとしても二人は占いの結果を優先していただろうから結局のところ結果は変わらなかった。
【エレノア様の想いが込められている名前に恥じない育て方をしたかったのです。純粋で清らかな子にと。エレノア様が育てられなかった分、私がちゃんと育てようと……いいえ、違う。そうじゃない。その思いも嘘ではないけど、私はきっと彼との子を想像していたのかもしれません。彼との間に生まれたのが女の子だったら、と。勝手にそんなことを想像するとフローラリアに馴染ませたくないと思ったんです。全て私のエゴでした。ごめんなさい】
愛を感じなかった日はない。両親はいつだって全力で愛してくれていた。自分が勝手に疑問を抱いたことがあっただけで彼らの愛に嘘はなかったことをミュゲットはわかっている。
どうして自分だけ肌の色が違うのと思ったことはあっても、どうして自分だけ愛してもらえないのと思ったことは一度もない。
だから母親の手紙に怒りは微塵も感じなかった。
【ミュゲットの花言葉は、再び幸せが訪れる。純粋な愛。純潔。あなたにそんな風に育ってほしかった私のエゴがあなたを苦しめていたかもしれません。この手紙を読んでショックを受けているあなたに再び幸せが訪れることを願っています。真っ白で純粋なあなたが手に入れる愛がどれほど素晴らしいものか、この目で見たかった……。あなたを愛する母として見てみたかったです】
滲んだ涙が雫となって頬を伝う。
その涙を指で拭うアルフローレンスがミュゲットの顔を覗き込んだ。
「お前が余と結婚する姿を見たかったのだろうな」
「だと思う」
素直に答えるミュゲットにアルフローレンスはむず痒くなった。
ずっと願っていたものが自分の手の中にあって、叶わないと思っていた感情を手に入れられている現実がまだ上手く受け入れられていない。
苦しかった五年間、独りぼっちだった十年間──人生の半分以上が辛い日々だったアルフローレンスにとって今こうして腕の中にミュゲットがいることがたまらなく嬉しいことなのに、それをどう表現していいのかわからない。
「これはいつ書かれたものなんだろう? まるで死ぬことがわかってたような始まりだったけど……」
母親の愛が詰まった真実の手紙に感動もあったが、この手紙が書かれた理由を考えると不安が込み上げる。
始まりに書かれていた『私たち』という言葉は二人一緒に死ぬことがわかっていたということ。
アルフローレンスが到着したことに気付き、殺される恐怖に自死を選んだのだとすれば突発的なことであるため手紙を書き残すのは不可能。
殴り書きではなく、落ち着いて書いた丁寧な文字。計画的でなければ書けない字と内容。事前にわかっていたから全てを告白することに決めただろう。
振り返るミュゲットが解答を求めているのを感じたアルフローレンスは一度目を逸らした。
「何か隠してる?」
「……それを知るためにはこっちを読まねばならぬ」
「父の手紙……?」
束になるほどの量。フローラリアの王がグラキエスの皇帝に一体どんな用があったというのか。
母親の手紙を読むよりずっと怖い。だが、母親がここまで書いたのはなぜなのかを知るためにミュゲットは父親の手紙に手を伸ばした。
「私……」
「疲れたのだろう、当然だ」
アルフローレンスの言葉に小さく頷くミュゲットは床に置いてある母の手紙を見て手を伸ばしたが、それをアルフローレンスが掴んで止める。
「大丈夫、全部読むわ。母が最後に書き残したものだもの。読まないと」
そっと手を離し、椅子に徹することを決めたアルフローレンスはすぐ側にある机に寄りかかり、ミュゲットに胸にもたれかかるよう促す。
素直に従うミュゲットの腹部に腕を回して一緒に手紙に目を通すも、一度読んでいるだけにこれからミュゲットにかかるだろう精神的不安を考えると気が重い。
大きく深呼吸してから一枚目の手紙を置いて二枚目に目を通した。
【エレノア・フォン・ランベリーローズ……それがあなたの母の名前です】
「エレノア……」
いつも『お祖母様』とだけ呼んでいたため名前を聞くのは初めて。
【ミュゲットという素晴らしい名前はエレノア様が名付けたのです。グラキエスに咲く春を告げる花の名前です。白くて丸い、とても愛らしい花の名前があなたにピッタリだと、成長していく姿を見ながらいつも思っていました】
フローラリアはどこよりも植物の数が多い国だが、ミュゲットは自分の名前の花を知らない。
グラキエスで咲くというぐらいだから寒地でしか咲かないのだろうかと顔をアルフローレンスに向けた。
「ミュゲットの花を知ってる?」
「ああ」
「見たことある?」
「ああ」
「いつか、私も見てみたい」
「ああ、見せてやる」
母はきっとこの手紙を書いているとき、娘は純粋で純潔を守り続けていると思っていたことだろう。
実際、ミュゲットは捕虜になるまで純潔を守り続けていた。フィルと一緒に過ごすことはあってもフローラリアの民たちのように気軽に触れ合うどころかキスもしなかった。
それは母親の言う【結婚するまで純潔を守ることがフローラリアの決まり】というものにロマンを感じていたから。
いつか訪れるであろう運命の相手との結婚後、初夜に自分の全てを渡すことをロマンチックだと思っていた。
だがそんなものは捕虜となった日に砕け散ってしまった。
今はそれも最悪だが一つの思い出として語れるぐらいの心情へと変わってはいるのだが。
「エレノアって人、知ってる?」
「残念ながら民の名を覚えているほど余は心優しき皇帝ではないのでな」
「よかった」
グラキエスの街に降りない相手がエレノアの名前を知っているということは繋がりがあるということ。それがないとわかっただけでもじゅうぶんだと安堵したミュゲットはまた手紙に視線を戻す。
【フローラリアでは生まれた子供の未来を占う習わしがあって、あなたもフランも占い師に未来を見てもらいました。この話はしようと思っていたのですが、どこまで話すべきかわからず、話そう話そうと思うばかりで時間だけが過ぎてしまいました。話してもきっと信じないと思っていたのもあったと思います。私が信じたくなかったからなのか……】
母から聞いたことのなかった話にミュゲットは首を傾げながら読み進める。
【アルフローレンスという男が現れ、その男があなたの運命を変えると占い師は言いました。アルフローレンスといえば当時、戦鬼と呼ばれていたグラキエスの皇子の名。どうして、と思わず聞き返してしまうほど驚いたのを今でも鮮明に覚えています。エレノア様、私、そしてあなた……どうしてこうもグラキエスの男性に惹かれてしまうのだろうと】
続きには十代前半のときにグラキエスの先代皇帝と恋に落ち、エルドレッドという子供をもうけたという話が書いてあった。でも先代皇帝には既に妻がいて、愛人として連れて帰りたいと言われ拒んだこと。すると子が男であれば後継ぎにすると連れて行かれてしまったことも。彼を本当に愛していたことまで。
【不謹慎だとわかっています。でも私が愛した男の息子があなたの運命を変えるという結果にそれこそ運命に似たものを感じました。一度でいいから会ってみたい。その願いが叶ったのはあなたが五歳のとき】
ミュゲットが思い出した日のことだ。
【彼とは挨拶しか交わせなかったけれど、あなたが彼と会って話をしたと聞いてとても嬉しかったのを覚えています。また来年も来てくれるかなと嬉しそうに笑うあなたの笑顔が印象的でした。同じ季節になると大きなシーポティリを集めるようになり、馬車で来る人を見るようになりましたね。まだ恋愛感情はなかったでしょうけど、あなたなりに彼に感じるものがあったのかなと思っていました】
でもそれも数年後にはなくなった。来ないとわかって諦めたのだ。
【先代皇帝が亡くなられて彼が皇帝になったと聞いたとき、私も一通だけ手紙を出しました】
差出人が母になっていた手紙は他になかった。振り返ってアルフローレンスを見ると首を振るだけ。
【でも返事はありませんでした。きっと、アイザックの手紙で信用を失ってしまったのでしょう】
違う、そうじゃないと伝えることはできない。母親にとってそれは一つの心残りだったのかもしれないと思うと申し訳なかった。
ずっと心に抱えていたものを娘は忘れていたのだ。
名前を聞いていなかったというのもあるかもしれない。そういう男と短い時間だったが思い出を作ったという思い出を記憶の底に閉じ込めてしまっていた。
【あなたはいつかフローラリアの本当の姿を知ることになるかもしれません。そのときあなたは私を嘘つきだと思うでしょう。フランには何も言わず、あなたにばかり恋愛について口うるさく言ってきたことを差別だと思っているかもしれません】
思っていた。フローラリアの女は結婚するまで純潔を守らなければならないと言っていたことは嘘で、本当は性に奔放な国だった。自分だけがそれを知らなかった、知らされなかった。
どうして自分だけとショックを受けたこともあった。
【あなたがフィルに恋をしていたことを知りながら背中を押さず、純潔を守り続けなさいと言い続けたこと、本当に申し訳ないと思っています。フィルはとてもいい子だったからきっとあなたを幸せにしてくれたことでしょう。でも私はあの占い師が言ったことを信じたかったのです。だからこれは母の言い訳だと思って聞いてください】
フィルのことは好きだった。フィルもきっと好きでいてくれた。その確信は互いにあった。だが、踏み切れなかったのは勇気がなかったからではなく、ミュゲットは母親の言いつけを守り、ミュゲットには極力そういうのを見せないようにしてくれと言われていたのをフィルも知っていたから踏み切れなかったのだろう。
いつになればよかったのか──フィルがそれをノーラとアイザックに聞いていたとしても二人は占いの結果を優先していただろうから結局のところ結果は変わらなかった。
【エレノア様の想いが込められている名前に恥じない育て方をしたかったのです。純粋で清らかな子にと。エレノア様が育てられなかった分、私がちゃんと育てようと……いいえ、違う。そうじゃない。その思いも嘘ではないけど、私はきっと彼との子を想像していたのかもしれません。彼との間に生まれたのが女の子だったら、と。勝手にそんなことを想像するとフローラリアに馴染ませたくないと思ったんです。全て私のエゴでした。ごめんなさい】
愛を感じなかった日はない。両親はいつだって全力で愛してくれていた。自分が勝手に疑問を抱いたことがあっただけで彼らの愛に嘘はなかったことをミュゲットはわかっている。
どうして自分だけ肌の色が違うのと思ったことはあっても、どうして自分だけ愛してもらえないのと思ったことは一度もない。
だから母親の手紙に怒りは微塵も感じなかった。
【ミュゲットの花言葉は、再び幸せが訪れる。純粋な愛。純潔。あなたにそんな風に育ってほしかった私のエゴがあなたを苦しめていたかもしれません。この手紙を読んでショックを受けているあなたに再び幸せが訪れることを願っています。真っ白で純粋なあなたが手に入れる愛がどれほど素晴らしいものか、この目で見たかった……。あなたを愛する母として見てみたかったです】
滲んだ涙が雫となって頬を伝う。
その涙を指で拭うアルフローレンスがミュゲットの顔を覗き込んだ。
「お前が余と結婚する姿を見たかったのだろうな」
「だと思う」
素直に答えるミュゲットにアルフローレンスはむず痒くなった。
ずっと願っていたものが自分の手の中にあって、叶わないと思っていた感情を手に入れられている現実がまだ上手く受け入れられていない。
苦しかった五年間、独りぼっちだった十年間──人生の半分以上が辛い日々だったアルフローレンスにとって今こうして腕の中にミュゲットがいることがたまらなく嬉しいことなのに、それをどう表現していいのかわからない。
「これはいつ書かれたものなんだろう? まるで死ぬことがわかってたような始まりだったけど……」
母親の愛が詰まった真実の手紙に感動もあったが、この手紙が書かれた理由を考えると不安が込み上げる。
始まりに書かれていた『私たち』という言葉は二人一緒に死ぬことがわかっていたということ。
アルフローレンスが到着したことに気付き、殺される恐怖に自死を選んだのだとすれば突発的なことであるため手紙を書き残すのは不可能。
殴り書きではなく、落ち着いて書いた丁寧な文字。計画的でなければ書けない字と内容。事前にわかっていたから全てを告白することに決めただろう。
振り返るミュゲットが解答を求めているのを感じたアルフローレンスは一度目を逸らした。
「何か隠してる?」
「……それを知るためにはこっちを読まねばならぬ」
「父の手紙……?」
束になるほどの量。フローラリアの王がグラキエスの皇帝に一体どんな用があったというのか。
母親の手紙を読むよりずっと怖い。だが、母親がここまで書いたのはなぜなのかを知るためにミュゲットは父親の手紙に手を伸ばした。
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