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権力者
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「セシルとアリスが揃って休みとはな。何かあったのか?」
「誘拐に巻き込まれただけだ」
「……は?」
放課後の生徒会室で二人きりになったヴィンセルの問いに答えたカイルの素っ気ない答え方に怒っているのかという疑問が先に浮かび、そのあとに理解した言葉に固まった。
「な、ど、え、ゆ、誘拐、だと?」
「そうだ」
「だ、大丈夫なのか?」
「もう解決した。問題ない」
今も見つかっていなければカイルが学校に来ているはずがない。自分と家が持つ権力全て駆使して探していることだろう。
だが、誘拐事件が起きたというのになぜ騒ぎにはなっていないのかが不思議だったヴィンセルはカイルをジッと見つめる。
自分の耳にも誘拐事件の話は入ってきていない。ということは警察は動いていないということ。
「どこで見つかった──」
「犯人は先日釈放された男だろう」
「誰だ?」
「十二年前にセシルを誘拐した一味のボス」
「ッ!?」
「セシルと一緒にいたところをアリスも巻き込みで誘拐されたんだ」
信じられない言葉に目を見開くが、それよりもカイルがやけに冷静なことが不気味だった。
「彼女は無事なのか?」
「ああ、傷一つない」
「そうか」
安堵した。
だが、傷一つないのなら余計にカイルの反応が不可解。
警察が出動していないのになぜ犯人を知っているのか。
目に入れても痛くないほど溺愛している妹が誘拐されたというのに感情一つ乱さずに報告するカイルが何かを隠しているような気がして仕方なかった。
「どこで見つかったんだ?」
ヴィンセルの問いに書類に走らせていたカイルのペンが止まる。
「山小屋だ」
「どこのだ?」
「どこだったかな」
「カイル、はぐらかすな」
再びペンを走らせるカイルの表情こそ変わらないものの何かを隠しているのは間違いないと確信した。
「どこでもいいじゃないか。もう解決したんだ。アリスもセシルも無事。問題はない」
「解決したって……犯人はどこだ?」
再びペンを止め、それを書類の上に置いて机の上で手を組んだカイルがにっこりと笑う。
この笑顔をヴィンセルはよく知っている。追求するなと脅しをかけるときによく見せる笑顔だ。
「どこの山小屋で見つけたんだ? 犯人はどこだ? 何人いた? なぜお前が犯人の顔を知っているんだ?」
「頭の悪い質問の仕方はやめろ。不愉快だ」
いくつも質問を投げかけられることを嫌うカイルにヴィンセルが眉を寄せる。
「お前は何を知っているんだ?」
「誘拐事件の犯人がどこでどうなっているか、だ」
「答えを」
「それは騎士団に所属する王子としての命令か? それとも友人としての興味か?」
カイルの言い方に思わず身構えるように身体に力を入れたヴィンセルは一瞬迷って「友人としてだ」と答えた。
それに満足げな笑みへと種類が変わったカイルに少し安堵する。
答えは間違っていなかったらしい。
「政府が管轄しているが手入れが入っていない山があるだろう」
「ギュブスター通りから奥へと進んだ先にある山か?」
「そうだ」
「まさかそこに?」
「ああ、そうだ」
「捕らえてくれたんだな──……?」
感謝の言葉を口にしようとしたヴィンセルの前にカイルが手のひらを向ける。
「だが、あの場所は野生動物が多い。今頃、熊にでも食われている可能性が高いだろうな」
「あの山に熊はいない」
「なぜそう言いきれる? お前は一度でもあの山に足を踏み入れたことがあるのか?」
「それは……ないが……」
「なら熊はいないと断言するのはおかしいんじゃないか?」
「熊を見たのか?」
「ああ、見たさ。この目で確かにな」
カイルはどんな嘘をつく際も必ず目を見つめる。だからそれが嘘なのかどうかを見抜くのは至難の業。
だが、今回のことは嘘だと言いきれるほどハッキリわかるのに指摘できないのはヴィンセルも大きな嘘をカイルについているから。
騎士団に所属する人間として見逃すべきではない重大な事件をヴィンセルは隠すことを決めた。だからカイルが言っていることが嘘だとわかっても言えなかった。
もし指摘してセシルのことを掘り返されてしまえばヴィンセルはもう庇えなくなってしまうから。
「犯人は既に死んでいると?」
「熊に食われていればそうだろうな」
「そうか」
ヴィンセルはそれ以上追求しなかった。
王族が最も強大な力を持っているように見えて、実際は貴族のほうが持っていることもある。
ブラックバーン家は虚弱ではない。むしろ力は持っていると言える。
だが、カイルだけは油断できない。彼が持っている情報は貴族どころか王族の立場さえも揺るがすレベルだと言われているのだから。
ヴィンセルにやましいことがなかろうと血筋の者はわからないのだ。
「しかし、アリスとセシルは本当に仲が良いんだな。休日まで一緒に出かけるとは──ッ!?」
セシルがアリスを妻に迎えようとしていることは知っている。遊びではなく本気で好きなのだということも。これはただの一般的な話題として振ったつもりがカイルには羽根ペンを折るほどの出来事だったらしく、地雷を踏んだと顔を歪ませるヴィンセルをカイルは忌々しい物でも見るような目を向ける。
「デート、だとさ」
「ああ……セシルがそう言ったのか」
「セシルだけじゃない。両親さえもそれを認めているような言い方をしたんだ。俺は認めないと言ったのに。その結果がアレだ」
カイルはいつも自分が正しいと思っている。それは自分が言ってきたことに間違いはなかったからで、嫌な予感さえも的中させてしまうから。
「だが、行かせたんだろ?」
「そうだ。行かせないとアリスとセシルを明日にでも結婚させるとワケのわからんことを言い出したからな」
「夫人がか?」
「そうだ! あのクソババア! 何かあるとすぐにアリスを盾にしやがって!」
カイルが母親をクソババアと呼ぶのは初めてではない。父親はカイルが面倒だからと相手にしない時が多いのだが、母親は違う。真っ向からカイルと言い合う。そして最も有効であるアリスを盾にして言いたい放題。
強いのはいつも母親なのだ。
「だが、アリスもいつかは結婚するし、お前はお前で婚約者がいるじゃないか」
「そんなものはとっくに解消している」
「向こうは納得してないんだろ?」
「知ったことか。俺はちゃんと書面にして送りつけた」
「理由のない一方的な解消では誰も納得せんだろう」
「理由ならある」
「妹を守るのが兄の役目だから結婚はしないと?」
「そうだ」
頭を抱えたくなるほどの兄馬鹿さにヴィンセルは額に手を当て呆れたようにため息混じりに首を振る。
ここまでくるともはや病気。
両親が揃っているのになぜそこまで妹に過保護になっているのかヴィンセルには理解できない。十ほど歳の離れた妹であればわかるが、アリスとカイルは一歳しか違わない。
「ずっと疑問だったんだが、アリスは幼い頃に何か事件に巻き込まれでもしたのか?」
「誘拐されそうになったことはある」
「ッ!? そうだったのか……」
されそうになっただけでされてはいない。だからニュースにはなっていないためヴィンセルは知らなかった。
アッシュバートン伯爵の息子が誘拐された事件は連日大々的に取り上げられた。ベンフィールド公爵の長女が誘拐されたとなればそれ以上の大騒ぎになっていただろう。
「俺の隣に立っていたアリスは男に抱えられて連れて行かれそうになった」
そう語るカイルの表情は苦痛を感じているわけでもなければ怒りを感じているわけでもなく、何を考えているのかわからない無表情。
「俺と距離が出来るとアリスの瞳に宿った恐怖の色が忘れられない。父親でもない男に抱えられ連れて行かれる恐怖に涙する顔も俺を呼ぶ叫び声もいつだって鮮明に思い出せるんだ。あの日のあの瞬間の光景だけはきっと一生忘れられない」
一点を見つめて呟くカイルにヴィンセルはなんと声をかけていいかわからなかった。
「妹を失うと思うと怖かった。だがそれ以上に怒りが沸いた。身代金か悪戯目的かは知らんが俺の妹に恐怖を与えたことは絶対に許さんとな」
「誰が捕まえたんだ?」
「俺だ」
「何歳の時の話だ?」
「十歳だ」
カイルの十歳の頃の写真は見たことはないが、大人に敵うほどの体格はしていなかったはず。よく捕まえられたなと意外そうに見つめるヴィンセルをカイルは見ない。
「毎年あの日になると思い出すんだ」
「そうだろうな。目の前で妹が誘拐されそうになったんじゃ忘れられるはずがない」
「今でもあの感覚はよく覚えている」
「逮捕の瞬間か? わかるぞ。俺も騎士団で盗賊を捕縛した時は達成感があった──」
「そうじゃない」
口元を軽く緩めて否定するカイルにヴィンセルが首を傾げる。
「初めて人を殺したときの感覚だ」
顔を上げたカイルの告白にヴィンセルは一瞬息が止まったような気がした。
「誘拐に巻き込まれただけだ」
「……は?」
放課後の生徒会室で二人きりになったヴィンセルの問いに答えたカイルの素っ気ない答え方に怒っているのかという疑問が先に浮かび、そのあとに理解した言葉に固まった。
「な、ど、え、ゆ、誘拐、だと?」
「そうだ」
「だ、大丈夫なのか?」
「もう解決した。問題ない」
今も見つかっていなければカイルが学校に来ているはずがない。自分と家が持つ権力全て駆使して探していることだろう。
だが、誘拐事件が起きたというのになぜ騒ぎにはなっていないのかが不思議だったヴィンセルはカイルをジッと見つめる。
自分の耳にも誘拐事件の話は入ってきていない。ということは警察は動いていないということ。
「どこで見つかった──」
「犯人は先日釈放された男だろう」
「誰だ?」
「十二年前にセシルを誘拐した一味のボス」
「ッ!?」
「セシルと一緒にいたところをアリスも巻き込みで誘拐されたんだ」
信じられない言葉に目を見開くが、それよりもカイルがやけに冷静なことが不気味だった。
「彼女は無事なのか?」
「ああ、傷一つない」
「そうか」
安堵した。
だが、傷一つないのなら余計にカイルの反応が不可解。
警察が出動していないのになぜ犯人を知っているのか。
目に入れても痛くないほど溺愛している妹が誘拐されたというのに感情一つ乱さずに報告するカイルが何かを隠しているような気がして仕方なかった。
「どこで見つかったんだ?」
ヴィンセルの問いに書類に走らせていたカイルのペンが止まる。
「山小屋だ」
「どこのだ?」
「どこだったかな」
「カイル、はぐらかすな」
再びペンを走らせるカイルの表情こそ変わらないものの何かを隠しているのは間違いないと確信した。
「どこでもいいじゃないか。もう解決したんだ。アリスもセシルも無事。問題はない」
「解決したって……犯人はどこだ?」
再びペンを止め、それを書類の上に置いて机の上で手を組んだカイルがにっこりと笑う。
この笑顔をヴィンセルはよく知っている。追求するなと脅しをかけるときによく見せる笑顔だ。
「どこの山小屋で見つけたんだ? 犯人はどこだ? 何人いた? なぜお前が犯人の顔を知っているんだ?」
「頭の悪い質問の仕方はやめろ。不愉快だ」
いくつも質問を投げかけられることを嫌うカイルにヴィンセルが眉を寄せる。
「お前は何を知っているんだ?」
「誘拐事件の犯人がどこでどうなっているか、だ」
「答えを」
「それは騎士団に所属する王子としての命令か? それとも友人としての興味か?」
カイルの言い方に思わず身構えるように身体に力を入れたヴィンセルは一瞬迷って「友人としてだ」と答えた。
それに満足げな笑みへと種類が変わったカイルに少し安堵する。
答えは間違っていなかったらしい。
「政府が管轄しているが手入れが入っていない山があるだろう」
「ギュブスター通りから奥へと進んだ先にある山か?」
「そうだ」
「まさかそこに?」
「ああ、そうだ」
「捕らえてくれたんだな──……?」
感謝の言葉を口にしようとしたヴィンセルの前にカイルが手のひらを向ける。
「だが、あの場所は野生動物が多い。今頃、熊にでも食われている可能性が高いだろうな」
「あの山に熊はいない」
「なぜそう言いきれる? お前は一度でもあの山に足を踏み入れたことがあるのか?」
「それは……ないが……」
「なら熊はいないと断言するのはおかしいんじゃないか?」
「熊を見たのか?」
「ああ、見たさ。この目で確かにな」
カイルはどんな嘘をつく際も必ず目を見つめる。だからそれが嘘なのかどうかを見抜くのは至難の業。
だが、今回のことは嘘だと言いきれるほどハッキリわかるのに指摘できないのはヴィンセルも大きな嘘をカイルについているから。
騎士団に所属する人間として見逃すべきではない重大な事件をヴィンセルは隠すことを決めた。だからカイルが言っていることが嘘だとわかっても言えなかった。
もし指摘してセシルのことを掘り返されてしまえばヴィンセルはもう庇えなくなってしまうから。
「犯人は既に死んでいると?」
「熊に食われていればそうだろうな」
「そうか」
ヴィンセルはそれ以上追求しなかった。
王族が最も強大な力を持っているように見えて、実際は貴族のほうが持っていることもある。
ブラックバーン家は虚弱ではない。むしろ力は持っていると言える。
だが、カイルだけは油断できない。彼が持っている情報は貴族どころか王族の立場さえも揺るがすレベルだと言われているのだから。
ヴィンセルにやましいことがなかろうと血筋の者はわからないのだ。
「しかし、アリスとセシルは本当に仲が良いんだな。休日まで一緒に出かけるとは──ッ!?」
セシルがアリスを妻に迎えようとしていることは知っている。遊びではなく本気で好きなのだということも。これはただの一般的な話題として振ったつもりがカイルには羽根ペンを折るほどの出来事だったらしく、地雷を踏んだと顔を歪ませるヴィンセルをカイルは忌々しい物でも見るような目を向ける。
「デート、だとさ」
「ああ……セシルがそう言ったのか」
「セシルだけじゃない。両親さえもそれを認めているような言い方をしたんだ。俺は認めないと言ったのに。その結果がアレだ」
カイルはいつも自分が正しいと思っている。それは自分が言ってきたことに間違いはなかったからで、嫌な予感さえも的中させてしまうから。
「だが、行かせたんだろ?」
「そうだ。行かせないとアリスとセシルを明日にでも結婚させるとワケのわからんことを言い出したからな」
「夫人がか?」
「そうだ! あのクソババア! 何かあるとすぐにアリスを盾にしやがって!」
カイルが母親をクソババアと呼ぶのは初めてではない。父親はカイルが面倒だからと相手にしない時が多いのだが、母親は違う。真っ向からカイルと言い合う。そして最も有効であるアリスを盾にして言いたい放題。
強いのはいつも母親なのだ。
「だが、アリスもいつかは結婚するし、お前はお前で婚約者がいるじゃないか」
「そんなものはとっくに解消している」
「向こうは納得してないんだろ?」
「知ったことか。俺はちゃんと書面にして送りつけた」
「理由のない一方的な解消では誰も納得せんだろう」
「理由ならある」
「妹を守るのが兄の役目だから結婚はしないと?」
「そうだ」
頭を抱えたくなるほどの兄馬鹿さにヴィンセルは額に手を当て呆れたようにため息混じりに首を振る。
ここまでくるともはや病気。
両親が揃っているのになぜそこまで妹に過保護になっているのかヴィンセルには理解できない。十ほど歳の離れた妹であればわかるが、アリスとカイルは一歳しか違わない。
「ずっと疑問だったんだが、アリスは幼い頃に何か事件に巻き込まれでもしたのか?」
「誘拐されそうになったことはある」
「ッ!? そうだったのか……」
されそうになっただけでされてはいない。だからニュースにはなっていないためヴィンセルは知らなかった。
アッシュバートン伯爵の息子が誘拐された事件は連日大々的に取り上げられた。ベンフィールド公爵の長女が誘拐されたとなればそれ以上の大騒ぎになっていただろう。
「俺の隣に立っていたアリスは男に抱えられて連れて行かれそうになった」
そう語るカイルの表情は苦痛を感じているわけでもなければ怒りを感じているわけでもなく、何を考えているのかわからない無表情。
「俺と距離が出来るとアリスの瞳に宿った恐怖の色が忘れられない。父親でもない男に抱えられ連れて行かれる恐怖に涙する顔も俺を呼ぶ叫び声もいつだって鮮明に思い出せるんだ。あの日のあの瞬間の光景だけはきっと一生忘れられない」
一点を見つめて呟くカイルにヴィンセルはなんと声をかけていいかわからなかった。
「妹を失うと思うと怖かった。だがそれ以上に怒りが沸いた。身代金か悪戯目的かは知らんが俺の妹に恐怖を与えたことは絶対に許さんとな」
「誰が捕まえたんだ?」
「俺だ」
「何歳の時の話だ?」
「十歳だ」
カイルの十歳の頃の写真は見たことはないが、大人に敵うほどの体格はしていなかったはず。よく捕まえられたなと意外そうに見つめるヴィンセルをカイルは見ない。
「毎年あの日になると思い出すんだ」
「そうだろうな。目の前で妹が誘拐されそうになったんじゃ忘れられるはずがない」
「今でもあの感覚はよく覚えている」
「逮捕の瞬間か? わかるぞ。俺も騎士団で盗賊を捕縛した時は達成感があった──」
「そうじゃない」
口元を軽く緩めて否定するカイルにヴィンセルが首を傾げる。
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