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番外編
力を欲する理由
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『カイル、権力が欲しいか?』
卒業を控えたある日、唐突すぎる問いかけにもカイルは『当然だ』と即答した。
カイルにとって権力とは生きる上で絶対に必要なものだと思っている。公爵家の長男として生まれ、権力が何かというのは嫌というほど学び、そして実感し、使用してきた。
この世界の仕組みはカイルにとって退屈なほど単純で、そして生きやすいものだった。
権力は金を生み、金は権力さえも手に入れられる。とてもシンプルな話。しかし、カイルが欲している権力は大金を積んだところで触れることさえできない場所にあるもので、それを所有しているのは学友であるヴィンセル・ブラックバーンだ。
ヴィンセルは賢い男で、カイルがこの世で最も嫌う無駄な質問をしてこない。だからカイルはヴィンセルが意味のない問いかけはしてこないとわかっていた。それも卒業が近いこの時期に、意味もなく権力という言葉など出さないだろうと。
金を積んでも、脅しても手に入れられないものを手に入れられる可能性が少しでもあるのなら、カイルは迷わず手を伸ばす。差し出された手を掴んで、その先にある絶対を手に入れるのだとカイルは進むはずだった父親の後継を捨てて次期国王であるヴィンセル・ブラックバーンの右腕になることを決めた。
ヴィンセル曰く『信用できる人間は多いほうがいいとはわかっているが、俺はあまり人を信用しないタイプだから賢い男を側に置きたい』ということだったらしく、カイルを選んだ。
あの聖フォンスで四年も生徒会長を務めた正式な仕事をこなす裏で何をしていたのか知っているのはヴィンセルだけ。学生でありながら教師が相手であろうと保護者が相手であろうと引かずに己が要求を通すには口が上手いだけでは通用しない。カイルはどうすれば黙って人を操れるか、その術を知っていた。そういう人間こそ右腕に相応しいとヴィンセルは考えたのだ。権力を得たい明確な理由が存在し、そのためなら自己犠牲も厭わず、そして賢さを悪にさえ使用できる悪魔のような男が必要。国を動かすということは綺麗事ではないのだとヴィンセルは知っているから。
「そろそろ父親と交代したらどうだ?」
「まだ早い。国王になるまでにしておかなければならないことは山のようにある」
「笑顔で手を振るだけの人形に成り下がるお前がするべきことが山のようにあるとは意外だな」
「一応は王として立つべき場所は多いからな。お前を頼りにしすぎてはいつかボロが出る。王子の間にしておくことは少なくないだろう?」
「ほう……お前の父親のように愚王になるつもりはないということか」
「その発言は侮辱罪で死刑に値する」
貴族による貴族のための国と化しているノビリスでは王族よりも貴族に権限があることが多く、国王はお飾りなときも少なくはない。現国王であるアレクシス・ブラックバーンは国民からの支持も高く、慕われているが、貴族たちからは陰で『無能』と呼ばれている。貴族からの税があるから国は豊かでいられる。ノビリスは世界でも指折りの富裕国だ。貴族のためであるノビリスは貴族にとっては楽園のような場所。だから誰もが惜しまず高い税を払う。
ヴィンセルは国を誇るために必要なのは貴族ではないと進言したが、聞き入れてはもらえなかった。『貴族なくしてノビリスはない』と。
今はまだ父親の時代であるためそのままにしておくつもりだが、ヴィンセルは自分の代になれば一新するつもりで、そのためには色々と準備が必要だった。これはカイルが得意とする分野。カイルが持っている情報だけでもヴィンセルの計画は三割が予想以上に早く進むこととなったが、それでもまだ足りない。追い出すのではなく、説き伏せる……いや、黙らせる──それがヴィンセルの目的。
王政には当然、貴族も関わる。それは絶対で避けられないこと。だからこそ貴族を追い出すことはしない。何事にも金は必要で、強がりや見栄を張るつもりはないため貴族は今より減らさずにいたい。だが、今までのように貴族主体とはいかない。王が誰なのか、そこを教えるつもりだ。
「その前に婚約者を見つけないとな」
「……………………そうだな」
本来なら既に婚約者がいてもおかしくはない年齢。王族であれば幼少期、または生まれる前から婚約者を決めているところもあるが、ヴィンセルは類まれなる嗅覚の持ち主であるため不可能に近い。女性を隣に置くとすぐに吐き気がすると言う。だからハンカチを手放すことができない。アリス・ベンフィールドだけは彼にとって特別な女性だったが、失敗した。何より、このカイルがそれを許さなかっただろう。しかし、幸いだったのはカイルの匂いはヴィンセルにとって平気であり、安堵さえ覚えさせるということ。側近としてこれほど条件に合った男はいない。それはヴィンセルにとってとてもラッキーなことだった。
それでも問題はある。世継ぎを残さなければならないということ。世継ぎを残せない王族は他国の王族より養子を取ると言うが、そもそも他人の匂いがダメな人間が他者の子を愛せるのかもわからないと不安しかない状況の中で婚約者問題の浮上はヴィンセルにとって頭痛の種。
父親でさえ焦らせない問題をカイルはこうして定期的に浮上させる。それはもはや嫌がらせにも近い。
「アリスがいれば……」
そう呟くだけでまるでここに氷塊でもあるかのように冷気が飛んでくる。
「俺の可愛いアリスを腐った王族に嫁がせるわけないだろう」
冷たい声が氷柱となって飛んでくるのを分厚い本で防ぐも何発も何発も飛んでくる。
「で、でも、考えてもみろ。アリスと俺が結婚していればお前はずっとアリスと一緒にいられたんだぞ? アリスはこの城に住んで、お前は毎日アリスの顔を見られた」
カイルとてそのことを一度も考えなかったわけではない。ヴィンセルの側近として城に入った際、アリスが嫁いでいれば毎日アリスの顔を見て朝も夜も挨拶ができた。伝言だと言って会いに行くこともできたのだと。それでも良しとしないのは王族という問題ばかりの中にこの世で最も愛しい妹を放り込むことには抵抗しかなかったから。
「お前がアリスに触れる姿を見なければならないと思うと反吐が出る。セシルに預けたほうがまだマシだったんだ」
「やったんだろ」
「預けた、だけだ。セシルが問題を起こせば帰ってこいと言ってある」
「問題が起きても夫婦で解決するさ」
「月に一度、手紙が来る。そこには全て書いてあるんだ」
「良い事だけ、だろ?」
「今のところは良い事しかないが、来月は会いに行くことが決まっているんだ。そして再来月は俺の誕生日を祝いに帰ってくる。イベントが目白押しだ」
カイルにとってアリスという存在がどこまでの存在なのか、ヴィンセルにはわからない。ヴィンセルが思っているとおりなのか、そう見えているだけなのか。異常なまでのシスコン具合に飽きるほど引いてきたが、アリスがいなければカイルはここまでずる賢い人間にはならなかっただろうからヴィンセルにとってはありがたい話でもある。
一ヶ月に一度、手紙を書くというのもカイルから言ったのだろう。アリスも離れている兄が心配してはいけないと律儀に書いているのだろうが、一生続けさせられるのだろうと思うと同情しかない。
普段は見せない笑顔もアリスの話題になると眩しいほど輝きを放つ。
「お前こそ婚約者を見つけたほうがいいんじゃないか?」
「俺は無能な女には興味がない。家で夫を待つだけの飾りにも、贅沢三昧しか頭にない空っぽな女にもな」
「貴族の女は全員そうだと思うが……」
「だから必要ないと言ってるんだ。俺がすべきことは愛のない家庭を持つことでも、誰に似るかわからん子を持つことでもない。王の側近として働き、この国を変えることだ。それを成し遂げずして婚約者を探すなど冗談じゃない」
国を変える。そのために権力が欲しい。聖フォンス時代からずっとそう言い続けてきたカイルは学園にある泉にもそう願っていた。
信頼できる絶対の側近が欲しいヴィンセルは他者が得たいと望んでも得られない権力を持っており、それを分け与えることができる立場にある。
カイルは権力こそないものの、人の弱点を探るのが上手く、口は誰よりも早く大きく回り、カイルを会議に出せば場は反論さえ許さない独壇場と化す。王子という立場のヴィンセルではできない芸当だ。
利害が一致した二人は互いの弱点を補い合いながら国王就任時にぶち当たる壁への対処を日々練り続けている。
国を変えるための権力を持っているヴィンセルのためにカイルが動く。カイルが変えたい未来への手助けをヴィンセルがする。やらなければならないことがある今、二人の頭には婚約者問題など存在しないも同然。カイルなど、その話をする度に馬鹿馬鹿しい話だと鼻で笑う。
「……カイル、いくつか聞いてもいいか?」
「くだらないことでなければな」
自分がしようとしている質問がくだらないことだとわかっているヴィンセルは先に釘を刺されてしまったことで固まる。聖フォンスでも一切の女の気配を見せなかったカイルはきっと今までもずっとそうだったのだろうと容易に予想ができるだけに気になっていることがあった。
「まず一つ目、初恋はいつだ?」
「くだらん」
吐き捨てるように言い放たれた言葉に答えてもらえるとは思っていなかったヴィンセルも頷く。
「俺は物心ついたときにはアリスを守るナイトになっていたからな、初恋などない」
悪鬼の間違いではないかと思ったが、それは心の中の言葉だけにしておくことにした。
「わかった。なら二つ目、性欲はあるのか?」
「今までされた質問の中で最もくだらん質問だ。帝王学で何を学んだ? 教育を受け直せ」
今まで会ったどの教育係よりも強い言い方だが、気軽にする質問ではないため受け入れることにした。逆に自分が質問されても不愉快になるものだからこそカイルの言葉は尤もで、だが気になっているためまだ引くつもりはない。
「家も学校にもアリスがいたから兄としてそういう気配を見せたくなかったのはわかる。だが、もうアリスはノビリスにもいない。女性を呼ぶぐらいはできるぞ?」
「低脳」
ただ一言なのに、今までのどんな言葉よりも冷たく聞こえた。
「教育を受け直すよりも種からやり直したほうがノビリスのためかもしれないな」
「カイル、俺が馬鹿げたことを聞いているのはわかっているが、これでも一応心配しているんだ」
「なんの心配だ? 性欲がなければ死ぬのか? 女を抱いたことがなければ死ぬのか?」
「そうは言ってない。俺はただ、お前が目的を果たした後の心配をしてるんだ。銃規制を緩和して許可証があれば所持可能となったあと、目標を失ったお前は何を目的として生きるんだ?」
「性欲との関連性が見当たらんな」
「お前の遺伝子は残すべきだ」
呆れたようなため息を吐いて軽蔑するような冷めた視線を送られる。それを受け止めてでもヴィンセルは心配していることを伝えたかった。顔も良く、頭も良いカイルの息子ならば将来有望であることは間違いない。今は情熱を持って取り組む大きな問題があるため他のことにかまけている時間はないと思っているのだろうが、そのあとを心配しているだけに言わずにはいられなかった。
「まずは自分が残してから言え」
ぐうの音も出ない反論にヴィンセルが一度は口を閉じるも、言ってはいけない言葉が頭をよぎり、それも口を閉じておけばいいものを愚かにも口を開いた。
「もし、仮に、こことは違う世界線があったとして、アリスがお前に恋をして、お前に迫ってきたら──……ッ!?」
一瞬、ほんの一瞬だった。テーブルの上に置いていたペーパーナイフが一瞬でヴィンセルの喉元に突きつけられる。軽く押し付けられているだけなため切れてはいないが、カイルがあとほんの少しでも力を入れればヴィンセルの喉からは鮮血が伝うだろう。
身動きは取らず、視線だけをカイルに向けると心臓が止まったような気がしたほど恐ろしい形相を向けるカイルと目が合った。
「カ、カイル……」
見たことがないほどの怒りに選択を間違えば致命傷を負わされるのではないかと本気で危惧していた。
「お前を殺したくはない。お前がいなければ俺の目的は達成できん。お前個人のことはどうでもいいが、俺には次期国王が必要なんだ。だからな、ヴィンセル……アリスを汚すようなことは二度と口にするな。たとえそれが別の世界線があるというくだらない話だとしても、だ。いいな?」
吐き出される一言一言に冷気が纏っているように感じるのは気のせいか、カイルが人を殺すことに抵抗がないように思えるのは気のせいか……感じ取れることはいくつかあったが、今回は全面的に自分が悪いと両手を上げて降参ポーズを取って見せた。
そうすることでようやくナイフが離され、首の皮が繋がっていることはわかっているのに確認のために手を当てると手のひらをぐっしょりと濡らすほどの尋常ではない汗をかいていた。
「……俺は……お前がアリスに恋をしているのだと、思っていた」
学生時代から感じていたことを呟くように口にするもカイルはそれを否定も肯定もしなかった。
「……俺はアリスの兄であり、ナイトだ」
それだけ言って書類を手に取り、目を通し始めたカイルに更に追求することはしなかった。
守るべき存在がいないヴィンセルにはわからない感情だ。物心ついたときには既に自分の命よりも大切に思い、そしてどんなに小さな脅威からも過保護なまでに守り続けてきたカイルの心情を察することはできない。だが、そこにある思いは全てが純粋さからできていないことはわかる。今の地でセシルと暮らし続けることはアリスにとってなんの問題もない話だ。それなのにカイルは二人がこの国を出て行った理由である銃規制が厳しすぎるからという理由を変えようとしている。
アリスが出ていく前、カイルはアリスに言った。『兄様がこの国を変えてやる。お前が、お前たちが心配することなく暮らせるよう、兄様が全て変えてやるから、変わったら戻ってこい』と。それに対してアリスは反論すると面倒だと思ったからなのか、本当にそれもいいと思ったからなのか『はい』と笑顔で返事をした。だからカイルはそのために生きているのだ。
たった一人のために、国が誇ってきたことさえ変えようとしている男。異常性を持っていると思っていたが、今はその異常性がいなければ達成できないことがある。
「頑張ろうな、アリスのために」
「当然だ」
国民のためではなくアリスのため。それでもいい。国民のために生きるのはカイルではなく自分の役目。カイルに負わせることではない。
だからヴィンセルも気合が入る。目的があるからやれるだけのことをやる。カイルと同じだった。
「王子殿下!」
カイルが差し出してきた書類を受け取ろうとした瞬間、ドアが開く大きな音と共に兵士の一人が駆け込んできた。
「何事だ!!」
慌ただしい入室に反射的に声を大きくすると兵士は城の入り口を指差しながら叫ぶように声を張り上げた。
「オリヴィア・クインリーを捕まえました!!」
その言葉に反応したのはヴィンセルよりもカイル。
「地下牢か?」
「そ、その予定です」
カイルが抱える怒りが具現化しているように見えるのは気のせいかと瞬きを繰り返すほど、カイルの怒りが部屋の空気を張り詰めさせる。
「ヴィンセル、約束は覚えているな?」
アリスを事故に見せかけ殺そうとした犯人を雇った人物がオリヴィア・クインリーだとわかったとき、ヴィンセルは怒り狂うカイルを落ち着かせるために交わした約束があった。
裁く権利をカイルに譲渡すること。本来であれば公開絞首刑が基本だが、カイルがそうするかはわからない。
「カイル」
地下牢へと向かおうとするカイルに声をかけるもカイルは足を止めるだけで振り返らない。ひどい顔をしているのがわかっているのだろう。
「感情的になるなよ。アリスは無事なんだ」
「傷は残った。その償いはさせる」
「殺すなよ」
何をするかわからないのがカイルの恐ろしさだと認識しているだけに、ヴィンセルは自分もついていくべきか迷っていた。だが、オリヴィアはカイルの元婚約者。親が勝手に決めた一瞬だけの婚約で、カイルからの申し出で破談になった。一目惚れだったオリヴィアにとっては耐え難いほどに辛い出来事だったはず。他に意中の相手がいるのなら話は別だが、カイルが溺愛しているのは妹。それがいなくなればと考えてやったのだとしたらあまりの愚行さに庇うこともできない。
それに、カイル一人のほうがオリヴィアも真実を話すのではないかと思い、追いかけなかった。
地下牢へと続く階段を降りる音がする。まるで死刑へのカウントダウンのように一歩、また一歩と靴の音が冷たく響いていた。
卒業を控えたある日、唐突すぎる問いかけにもカイルは『当然だ』と即答した。
カイルにとって権力とは生きる上で絶対に必要なものだと思っている。公爵家の長男として生まれ、権力が何かというのは嫌というほど学び、そして実感し、使用してきた。
この世界の仕組みはカイルにとって退屈なほど単純で、そして生きやすいものだった。
権力は金を生み、金は権力さえも手に入れられる。とてもシンプルな話。しかし、カイルが欲している権力は大金を積んだところで触れることさえできない場所にあるもので、それを所有しているのは学友であるヴィンセル・ブラックバーンだ。
ヴィンセルは賢い男で、カイルがこの世で最も嫌う無駄な質問をしてこない。だからカイルはヴィンセルが意味のない問いかけはしてこないとわかっていた。それも卒業が近いこの時期に、意味もなく権力という言葉など出さないだろうと。
金を積んでも、脅しても手に入れられないものを手に入れられる可能性が少しでもあるのなら、カイルは迷わず手を伸ばす。差し出された手を掴んで、その先にある絶対を手に入れるのだとカイルは進むはずだった父親の後継を捨てて次期国王であるヴィンセル・ブラックバーンの右腕になることを決めた。
ヴィンセル曰く『信用できる人間は多いほうがいいとはわかっているが、俺はあまり人を信用しないタイプだから賢い男を側に置きたい』ということだったらしく、カイルを選んだ。
あの聖フォンスで四年も生徒会長を務めた正式な仕事をこなす裏で何をしていたのか知っているのはヴィンセルだけ。学生でありながら教師が相手であろうと保護者が相手であろうと引かずに己が要求を通すには口が上手いだけでは通用しない。カイルはどうすれば黙って人を操れるか、その術を知っていた。そういう人間こそ右腕に相応しいとヴィンセルは考えたのだ。権力を得たい明確な理由が存在し、そのためなら自己犠牲も厭わず、そして賢さを悪にさえ使用できる悪魔のような男が必要。国を動かすということは綺麗事ではないのだとヴィンセルは知っているから。
「そろそろ父親と交代したらどうだ?」
「まだ早い。国王になるまでにしておかなければならないことは山のようにある」
「笑顔で手を振るだけの人形に成り下がるお前がするべきことが山のようにあるとは意外だな」
「一応は王として立つべき場所は多いからな。お前を頼りにしすぎてはいつかボロが出る。王子の間にしておくことは少なくないだろう?」
「ほう……お前の父親のように愚王になるつもりはないということか」
「その発言は侮辱罪で死刑に値する」
貴族による貴族のための国と化しているノビリスでは王族よりも貴族に権限があることが多く、国王はお飾りなときも少なくはない。現国王であるアレクシス・ブラックバーンは国民からの支持も高く、慕われているが、貴族たちからは陰で『無能』と呼ばれている。貴族からの税があるから国は豊かでいられる。ノビリスは世界でも指折りの富裕国だ。貴族のためであるノビリスは貴族にとっては楽園のような場所。だから誰もが惜しまず高い税を払う。
ヴィンセルは国を誇るために必要なのは貴族ではないと進言したが、聞き入れてはもらえなかった。『貴族なくしてノビリスはない』と。
今はまだ父親の時代であるためそのままにしておくつもりだが、ヴィンセルは自分の代になれば一新するつもりで、そのためには色々と準備が必要だった。これはカイルが得意とする分野。カイルが持っている情報だけでもヴィンセルの計画は三割が予想以上に早く進むこととなったが、それでもまだ足りない。追い出すのではなく、説き伏せる……いや、黙らせる──それがヴィンセルの目的。
王政には当然、貴族も関わる。それは絶対で避けられないこと。だからこそ貴族を追い出すことはしない。何事にも金は必要で、強がりや見栄を張るつもりはないため貴族は今より減らさずにいたい。だが、今までのように貴族主体とはいかない。王が誰なのか、そこを教えるつもりだ。
「その前に婚約者を見つけないとな」
「……………………そうだな」
本来なら既に婚約者がいてもおかしくはない年齢。王族であれば幼少期、または生まれる前から婚約者を決めているところもあるが、ヴィンセルは類まれなる嗅覚の持ち主であるため不可能に近い。女性を隣に置くとすぐに吐き気がすると言う。だからハンカチを手放すことができない。アリス・ベンフィールドだけは彼にとって特別な女性だったが、失敗した。何より、このカイルがそれを許さなかっただろう。しかし、幸いだったのはカイルの匂いはヴィンセルにとって平気であり、安堵さえ覚えさせるということ。側近としてこれほど条件に合った男はいない。それはヴィンセルにとってとてもラッキーなことだった。
それでも問題はある。世継ぎを残さなければならないということ。世継ぎを残せない王族は他国の王族より養子を取ると言うが、そもそも他人の匂いがダメな人間が他者の子を愛せるのかもわからないと不安しかない状況の中で婚約者問題の浮上はヴィンセルにとって頭痛の種。
父親でさえ焦らせない問題をカイルはこうして定期的に浮上させる。それはもはや嫌がらせにも近い。
「アリスがいれば……」
そう呟くだけでまるでここに氷塊でもあるかのように冷気が飛んでくる。
「俺の可愛いアリスを腐った王族に嫁がせるわけないだろう」
冷たい声が氷柱となって飛んでくるのを分厚い本で防ぐも何発も何発も飛んでくる。
「で、でも、考えてもみろ。アリスと俺が結婚していればお前はずっとアリスと一緒にいられたんだぞ? アリスはこの城に住んで、お前は毎日アリスの顔を見られた」
カイルとてそのことを一度も考えなかったわけではない。ヴィンセルの側近として城に入った際、アリスが嫁いでいれば毎日アリスの顔を見て朝も夜も挨拶ができた。伝言だと言って会いに行くこともできたのだと。それでも良しとしないのは王族という問題ばかりの中にこの世で最も愛しい妹を放り込むことには抵抗しかなかったから。
「お前がアリスに触れる姿を見なければならないと思うと反吐が出る。セシルに預けたほうがまだマシだったんだ」
「やったんだろ」
「預けた、だけだ。セシルが問題を起こせば帰ってこいと言ってある」
「問題が起きても夫婦で解決するさ」
「月に一度、手紙が来る。そこには全て書いてあるんだ」
「良い事だけ、だろ?」
「今のところは良い事しかないが、来月は会いに行くことが決まっているんだ。そして再来月は俺の誕生日を祝いに帰ってくる。イベントが目白押しだ」
カイルにとってアリスという存在がどこまでの存在なのか、ヴィンセルにはわからない。ヴィンセルが思っているとおりなのか、そう見えているだけなのか。異常なまでのシスコン具合に飽きるほど引いてきたが、アリスがいなければカイルはここまでずる賢い人間にはならなかっただろうからヴィンセルにとってはありがたい話でもある。
一ヶ月に一度、手紙を書くというのもカイルから言ったのだろう。アリスも離れている兄が心配してはいけないと律儀に書いているのだろうが、一生続けさせられるのだろうと思うと同情しかない。
普段は見せない笑顔もアリスの話題になると眩しいほど輝きを放つ。
「お前こそ婚約者を見つけたほうがいいんじゃないか?」
「俺は無能な女には興味がない。家で夫を待つだけの飾りにも、贅沢三昧しか頭にない空っぽな女にもな」
「貴族の女は全員そうだと思うが……」
「だから必要ないと言ってるんだ。俺がすべきことは愛のない家庭を持つことでも、誰に似るかわからん子を持つことでもない。王の側近として働き、この国を変えることだ。それを成し遂げずして婚約者を探すなど冗談じゃない」
国を変える。そのために権力が欲しい。聖フォンス時代からずっとそう言い続けてきたカイルは学園にある泉にもそう願っていた。
信頼できる絶対の側近が欲しいヴィンセルは他者が得たいと望んでも得られない権力を持っており、それを分け与えることができる立場にある。
カイルは権力こそないものの、人の弱点を探るのが上手く、口は誰よりも早く大きく回り、カイルを会議に出せば場は反論さえ許さない独壇場と化す。王子という立場のヴィンセルではできない芸当だ。
利害が一致した二人は互いの弱点を補い合いながら国王就任時にぶち当たる壁への対処を日々練り続けている。
国を変えるための権力を持っているヴィンセルのためにカイルが動く。カイルが変えたい未来への手助けをヴィンセルがする。やらなければならないことがある今、二人の頭には婚約者問題など存在しないも同然。カイルなど、その話をする度に馬鹿馬鹿しい話だと鼻で笑う。
「……カイル、いくつか聞いてもいいか?」
「くだらないことでなければな」
自分がしようとしている質問がくだらないことだとわかっているヴィンセルは先に釘を刺されてしまったことで固まる。聖フォンスでも一切の女の気配を見せなかったカイルはきっと今までもずっとそうだったのだろうと容易に予想ができるだけに気になっていることがあった。
「まず一つ目、初恋はいつだ?」
「くだらん」
吐き捨てるように言い放たれた言葉に答えてもらえるとは思っていなかったヴィンセルも頷く。
「俺は物心ついたときにはアリスを守るナイトになっていたからな、初恋などない」
悪鬼の間違いではないかと思ったが、それは心の中の言葉だけにしておくことにした。
「わかった。なら二つ目、性欲はあるのか?」
「今までされた質問の中で最もくだらん質問だ。帝王学で何を学んだ? 教育を受け直せ」
今まで会ったどの教育係よりも強い言い方だが、気軽にする質問ではないため受け入れることにした。逆に自分が質問されても不愉快になるものだからこそカイルの言葉は尤もで、だが気になっているためまだ引くつもりはない。
「家も学校にもアリスがいたから兄としてそういう気配を見せたくなかったのはわかる。だが、もうアリスはノビリスにもいない。女性を呼ぶぐらいはできるぞ?」
「低脳」
ただ一言なのに、今までのどんな言葉よりも冷たく聞こえた。
「教育を受け直すよりも種からやり直したほうがノビリスのためかもしれないな」
「カイル、俺が馬鹿げたことを聞いているのはわかっているが、これでも一応心配しているんだ」
「なんの心配だ? 性欲がなければ死ぬのか? 女を抱いたことがなければ死ぬのか?」
「そうは言ってない。俺はただ、お前が目的を果たした後の心配をしてるんだ。銃規制を緩和して許可証があれば所持可能となったあと、目標を失ったお前は何を目的として生きるんだ?」
「性欲との関連性が見当たらんな」
「お前の遺伝子は残すべきだ」
呆れたようなため息を吐いて軽蔑するような冷めた視線を送られる。それを受け止めてでもヴィンセルは心配していることを伝えたかった。顔も良く、頭も良いカイルの息子ならば将来有望であることは間違いない。今は情熱を持って取り組む大きな問題があるため他のことにかまけている時間はないと思っているのだろうが、そのあとを心配しているだけに言わずにはいられなかった。
「まずは自分が残してから言え」
ぐうの音も出ない反論にヴィンセルが一度は口を閉じるも、言ってはいけない言葉が頭をよぎり、それも口を閉じておけばいいものを愚かにも口を開いた。
「もし、仮に、こことは違う世界線があったとして、アリスがお前に恋をして、お前に迫ってきたら──……ッ!?」
一瞬、ほんの一瞬だった。テーブルの上に置いていたペーパーナイフが一瞬でヴィンセルの喉元に突きつけられる。軽く押し付けられているだけなため切れてはいないが、カイルがあとほんの少しでも力を入れればヴィンセルの喉からは鮮血が伝うだろう。
身動きは取らず、視線だけをカイルに向けると心臓が止まったような気がしたほど恐ろしい形相を向けるカイルと目が合った。
「カ、カイル……」
見たことがないほどの怒りに選択を間違えば致命傷を負わされるのではないかと本気で危惧していた。
「お前を殺したくはない。お前がいなければ俺の目的は達成できん。お前個人のことはどうでもいいが、俺には次期国王が必要なんだ。だからな、ヴィンセル……アリスを汚すようなことは二度と口にするな。たとえそれが別の世界線があるというくだらない話だとしても、だ。いいな?」
吐き出される一言一言に冷気が纏っているように感じるのは気のせいか、カイルが人を殺すことに抵抗がないように思えるのは気のせいか……感じ取れることはいくつかあったが、今回は全面的に自分が悪いと両手を上げて降参ポーズを取って見せた。
そうすることでようやくナイフが離され、首の皮が繋がっていることはわかっているのに確認のために手を当てると手のひらをぐっしょりと濡らすほどの尋常ではない汗をかいていた。
「……俺は……お前がアリスに恋をしているのだと、思っていた」
学生時代から感じていたことを呟くように口にするもカイルはそれを否定も肯定もしなかった。
「……俺はアリスの兄であり、ナイトだ」
それだけ言って書類を手に取り、目を通し始めたカイルに更に追求することはしなかった。
守るべき存在がいないヴィンセルにはわからない感情だ。物心ついたときには既に自分の命よりも大切に思い、そしてどんなに小さな脅威からも過保護なまでに守り続けてきたカイルの心情を察することはできない。だが、そこにある思いは全てが純粋さからできていないことはわかる。今の地でセシルと暮らし続けることはアリスにとってなんの問題もない話だ。それなのにカイルは二人がこの国を出て行った理由である銃規制が厳しすぎるからという理由を変えようとしている。
アリスが出ていく前、カイルはアリスに言った。『兄様がこの国を変えてやる。お前が、お前たちが心配することなく暮らせるよう、兄様が全て変えてやるから、変わったら戻ってこい』と。それに対してアリスは反論すると面倒だと思ったからなのか、本当にそれもいいと思ったからなのか『はい』と笑顔で返事をした。だからカイルはそのために生きているのだ。
たった一人のために、国が誇ってきたことさえ変えようとしている男。異常性を持っていると思っていたが、今はその異常性がいなければ達成できないことがある。
「頑張ろうな、アリスのために」
「当然だ」
国民のためではなくアリスのため。それでもいい。国民のために生きるのはカイルではなく自分の役目。カイルに負わせることではない。
だからヴィンセルも気合が入る。目的があるからやれるだけのことをやる。カイルと同じだった。
「王子殿下!」
カイルが差し出してきた書類を受け取ろうとした瞬間、ドアが開く大きな音と共に兵士の一人が駆け込んできた。
「何事だ!!」
慌ただしい入室に反射的に声を大きくすると兵士は城の入り口を指差しながら叫ぶように声を張り上げた。
「オリヴィア・クインリーを捕まえました!!」
その言葉に反応したのはヴィンセルよりもカイル。
「地下牢か?」
「そ、その予定です」
カイルが抱える怒りが具現化しているように見えるのは気のせいかと瞬きを繰り返すほど、カイルの怒りが部屋の空気を張り詰めさせる。
「ヴィンセル、約束は覚えているな?」
アリスを事故に見せかけ殺そうとした犯人を雇った人物がオリヴィア・クインリーだとわかったとき、ヴィンセルは怒り狂うカイルを落ち着かせるために交わした約束があった。
裁く権利をカイルに譲渡すること。本来であれば公開絞首刑が基本だが、カイルがそうするかはわからない。
「カイル」
地下牢へと向かおうとするカイルに声をかけるもカイルは足を止めるだけで振り返らない。ひどい顔をしているのがわかっているのだろう。
「感情的になるなよ。アリスは無事なんだ」
「傷は残った。その償いはさせる」
「殺すなよ」
何をするかわからないのがカイルの恐ろしさだと認識しているだけに、ヴィンセルは自分もついていくべきか迷っていた。だが、オリヴィアはカイルの元婚約者。親が勝手に決めた一瞬だけの婚約で、カイルからの申し出で破談になった。一目惚れだったオリヴィアにとっては耐え難いほどに辛い出来事だったはず。他に意中の相手がいるのなら話は別だが、カイルが溺愛しているのは妹。それがいなくなればと考えてやったのだとしたらあまりの愚行さに庇うこともできない。
それに、カイル一人のほうがオリヴィアも真実を話すのではないかと思い、追いかけなかった。
地下牢へと続く階段を降りる音がする。まるで死刑へのカウントダウンのように一歩、また一歩と靴の音が冷たく響いていた。
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