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外国人居留地2
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「お腹いっぱいになった?」
「なった! 栄養補給完了!」
久しぶりに満腹まで食べた雪儿が店の外に出て大きく息を吐き出す。ポンポンと腹を叩く姿に淑女感はなく、それがまたどうしてか雪儿らしいと思ってしまう自分に瑞成は苦笑した。
「エネルギーチャージって言うんだよ」
「鳳西区やから?」
「というか、いつかそういう言葉が主流になるんじゃないかなって思う」
「瑞成の理想として?」
「まあね」
居留地で暮らす外国人たちの言葉を完璧に理解できるわけではない。わからない言葉も多い。必要最低限の言葉をなんとか覚えて買い物できる程度。
「雪儿にかっこいいとこ見せられるといいんだけどね」
「もう充分かっこええよ」
「……俺の心、弄ぶつもりでしょ?」
「おお、今日の瑞成は冴えとる」
「そのうち身体も弄ばれるんだ。グスッ」
「弄ばれるほどの身体になってから言い」
「えー!! どこでそんな言葉覚えたわけ!? ダメだよそんな言葉使っちゃ!! メッ!」
「娼館育ちやで? ええとこのお嬢様やないねんから」
ワッと泣いたかと思えば急に声を上げて迫ってくる瑞成の感情の忙しさに楽しげに笑う。手を離すことはせず、中心部に近付くほどその力が強くなっていることが彼の警戒心だと雪儿は感じている。
ここが黒龍白虎の縄張りですらないのなら、龍瑞成という肩書きに効力はない。持っているのは銃の力。それもここでどれほど対応できるかわからない。
一人での買い物なら気は楽だが、雪儿が一緒となると瑞成の警戒心は強くなるばかり。誘拐されたばかりだからこそ余計に。
「雪儿に似合う服、見に行かない?」
「ええよ」
「もし、雪儿がそれを欲しいなって思ったらさ、俺が買ってもいい?」
「ええよ」
よほど行きたいのだろうことは伝わってくる。お洒落をしたところで着て行く場所がない。ここで似合う物は香月街では似合わない。瑞成がそうだ。今現在、瑞成はこの鳳西区に馴染んでいる。だが、瑞成を初めて見たとき、雪儿は変な格好だと思った。
着る場所がないのに買っても仕方がないと思うが、瑞成が楽しみにしていることを自分の感情ひとつで壊したくはなかった。
手を繋ぎながらゆっくりと歩く。一つずつ丁寧に説明してくれる。あれが好きで、これも良くて、と話す瑞成の楽しそうな様子に雪儿は目を細める。
「花ってなんで贈り物の定番なんやろ?」
カフェのテラスで向かい合って座っているカップルの男が小さな花束を女に渡した。嬉しそうに笑って香りを嗅ぐ女を遠目に見ながら雪儿が不思議そうに首を傾げる。
「荷物になるやん?」
「現実的だなぁ」
「邪魔になると思わん?」
「非常に冷めた意見だね。参考になるよ」
「ずっと持っとかなあかんねんで? まさか恋人にデートの帰りまで持っといてって言うわけにもいかんしなぁ」
「言えばいいんじゃない?」
「手ぇ繋いどったら全部塞がるで?」
これまで恋もしたことがない、恋人もいなかった雪儿にロマンを求めるほうが間違っているとわかっているのだが、あまりにも冷めた意見に贈りづらくなってしまう。苦笑する瑞成だが、近くの花屋を見てピンと来た。
「花いらんで?」
「まあまあ、そう言わないで。俺の気持ち、受け取ってよ」
「モテへんのやろなぁ、こん人」
「俺はすごくモテてたし、今はこんなに可愛い恋人がいるからいいんですー」
「恋人がいらん言うとるのを贈るん?」
「そうだよ? だって俺が持つから」
花を選ぶのに時間はかからなかった。まるではじめから何を贈るか決めていたかのように即決だった。
花束ではなく一輪。細いリボンだけかけてもらったそれを雪儿に差し出す。
「かわええなぁ」
「ほら、喜んでくれた」
「これは恋人から花を贈られて喜ぶかわええ女の子を演じとるんやで」
「すごい。雪儿の名は伊達じゃないな。ここだけ冬だ」
「ふふっ、冗談や」
花を贈られるとわかっていても嬉しさが込み上げる。それは雪儿にとって、とても不思議なこと。いらないと思っていたのに、こうして受け取ると嬉しくなるのだから。
「花束だったらもっと喜んでくれた?」
「そういう人もおるやろうけど、雪儿はこれでええ。数やない。大事な人がくれたってことに意味があるように思うから。一輪でも嬉しい」
だから好きなんだと瑞成は実感する。雪儿は嘘が得意でもあり下手でもある。人を傷つけないための嘘をつくことは多い。それを貫き通す覚悟もある。雪儿が抱える最大の嘘を知っているからこそ、今の喜びが嘘ではないとわかる。
「どんな匂い?」
「あんまないけど、なんやほのかに金柑……みたいな匂いがする。甘いというか苦いというか……」
「真逆ですけど?」
「花の蜜とか? うっすらとした感じ」
「蜂蜜ってこと?」
「ちゃう。花の蜜」
「蜂蜜でしょ?」
眉を寄せる雪儿が頑固にかぶりを振る。
「花の蜜吸うたことないん?」
「俺のこと、もしかして花の妖精だって思ってる?」
「……どっちか言うたら花の蜜の味知っとる雪儿のが妖精って考えへん?」
二人で真顔で見つめ合うこと数秒間。同じタイミングで吹き出して声を上げて笑う。
「よし、服買いに行こ」
雪儿の手から花を受け取って胸ポケットに入れる。それを天才だと褒められた瑞成は得意げな笑みを返した。
雪儿はわざわざ花の名前を聞くことはしない。それが瑞成は心地よく感じるのだ。わざわざ花の名前を告げて、その花言葉の意味まで喋らされるのは好きじゃない。面倒なのだ。自分で調べて勝手に喜んでくれと思ってしまう性格をしているから。
雪儿にはそれがない。自分の性格がロマンチストからかけ離れていることを自覚しているからわざわざ聞いてそれに反応したくないのかもしれない。
喜ぶ姿が見れたからそれでいいと思う瑞成には雪儿の性格がよく合っている。
「着いた」
「ここ? なんか古めかしい建物やな」
「歴史あるって言ってよ」
「歴史ある建物で何見るん?」
「雪儿の服と俺の服」
「同じ服めっちゃ持っとるって雷真に言われてなかった?」
「ちょっと変えるつもり~」
雷真が呆れるのが目に見えていると笑いながら首を振り、手を引かれるままに一緒に建物の中へと入っていく。
初めて見る洋館の中はやはり洋風で、紫雫楼とは似ても似つかない内装に落ち着きなく何度も見回してしまう。
「やあ、瑞成。今日は可愛いレディとデートかい?」
店員が気さくに話しかける。これは彼の国の言葉ではなく、瑞成たちの言葉。流暢に話す店員を雪儿が見上げると目が合い、笑顔を向けられる。
「俺の大事な恋人だよ、キース」
「この子が雪儿か! ようやく会えた! 嬉しいよ。ようこそ、レディ」
「……こんにちは……」
「あれ、いつもの雪儿じゃないね?」
誰にでも気さくに話しかける雪儿が珍しく後ろに隠れたことに瑞成が目を瞬かせる。
「フォンシークは初めて?」
「そっ。今日初めて連れてきたんだ。緊張してるのかも」
「それならムリもないね。ふてぶてしい態度を崩さなかった君よりずっと可愛く思えるよ」
「金払いの良い客ゲットできて良かったじゃん?」
「違いない」
楽しげに会話する瑞成の手を握る力が強くなる。初めて見る外国人に緊張しているのだろうかといつもより弱々しく見えるその姿が愛おしく感じた。目を細めて繋いだ手を軽く揺らしながら大丈夫と何度も声をかける。
「前に言ってた白のワンピース、見せてもらえる? 雪儿に着せたいんだ」
「オーケー。その瞬間を待ってたんだよ。今持ってくる」
キースが奥へと下がると雪儿はすぐ、瑞成を見上げた。
「似合うから大丈夫だよ」
「……せやったらええけど……」
呟く雪儿の表情はどうにも浮かない。目を合わせて笑顔を見せる瑞成はずっと前からこの日を楽しみにしていたのだろう。いつになるかはわからなくとも、いつかはと思っていたはず。
「お待たせ。胸に花なんて飾って、今日は気合い入ってるね」
「一応ね」
「君の可憐さがよく現れてるよ」
「そりゃどーも」
運ばれてきた箱を開けると中には真っ白なワンピースが入っていた。裾には淡い金糸で波のような線の刺繍が入っており、瑞成はこれを見た瞬間、雪儿を思い出した。そしていつか雪儿に着てほしいと思った。
今日がその日。
「雪儿、どう? 好きな感じ?」
「……たぶん」
「試着だけしない?」
「……せやね」
「奥へドーゾー」
強制はせず、お伺いを立ててくれる瑞成の喜びを奪いたくなかった。できるだけ表情に出さないように努めながらも若干の色が声に滲んでしまいながらも瑞成と一緒に奥へと向かい、試着室へと入った。
「なった! 栄養補給完了!」
久しぶりに満腹まで食べた雪儿が店の外に出て大きく息を吐き出す。ポンポンと腹を叩く姿に淑女感はなく、それがまたどうしてか雪儿らしいと思ってしまう自分に瑞成は苦笑した。
「エネルギーチャージって言うんだよ」
「鳳西区やから?」
「というか、いつかそういう言葉が主流になるんじゃないかなって思う」
「瑞成の理想として?」
「まあね」
居留地で暮らす外国人たちの言葉を完璧に理解できるわけではない。わからない言葉も多い。必要最低限の言葉をなんとか覚えて買い物できる程度。
「雪儿にかっこいいとこ見せられるといいんだけどね」
「もう充分かっこええよ」
「……俺の心、弄ぶつもりでしょ?」
「おお、今日の瑞成は冴えとる」
「そのうち身体も弄ばれるんだ。グスッ」
「弄ばれるほどの身体になってから言い」
「えー!! どこでそんな言葉覚えたわけ!? ダメだよそんな言葉使っちゃ!! メッ!」
「娼館育ちやで? ええとこのお嬢様やないねんから」
ワッと泣いたかと思えば急に声を上げて迫ってくる瑞成の感情の忙しさに楽しげに笑う。手を離すことはせず、中心部に近付くほどその力が強くなっていることが彼の警戒心だと雪儿は感じている。
ここが黒龍白虎の縄張りですらないのなら、龍瑞成という肩書きに効力はない。持っているのは銃の力。それもここでどれほど対応できるかわからない。
一人での買い物なら気は楽だが、雪儿が一緒となると瑞成の警戒心は強くなるばかり。誘拐されたばかりだからこそ余計に。
「雪儿に似合う服、見に行かない?」
「ええよ」
「もし、雪儿がそれを欲しいなって思ったらさ、俺が買ってもいい?」
「ええよ」
よほど行きたいのだろうことは伝わってくる。お洒落をしたところで着て行く場所がない。ここで似合う物は香月街では似合わない。瑞成がそうだ。今現在、瑞成はこの鳳西区に馴染んでいる。だが、瑞成を初めて見たとき、雪儿は変な格好だと思った。
着る場所がないのに買っても仕方がないと思うが、瑞成が楽しみにしていることを自分の感情ひとつで壊したくはなかった。
手を繋ぎながらゆっくりと歩く。一つずつ丁寧に説明してくれる。あれが好きで、これも良くて、と話す瑞成の楽しそうな様子に雪儿は目を細める。
「花ってなんで贈り物の定番なんやろ?」
カフェのテラスで向かい合って座っているカップルの男が小さな花束を女に渡した。嬉しそうに笑って香りを嗅ぐ女を遠目に見ながら雪儿が不思議そうに首を傾げる。
「荷物になるやん?」
「現実的だなぁ」
「邪魔になると思わん?」
「非常に冷めた意見だね。参考になるよ」
「ずっと持っとかなあかんねんで? まさか恋人にデートの帰りまで持っといてって言うわけにもいかんしなぁ」
「言えばいいんじゃない?」
「手ぇ繋いどったら全部塞がるで?」
これまで恋もしたことがない、恋人もいなかった雪儿にロマンを求めるほうが間違っているとわかっているのだが、あまりにも冷めた意見に贈りづらくなってしまう。苦笑する瑞成だが、近くの花屋を見てピンと来た。
「花いらんで?」
「まあまあ、そう言わないで。俺の気持ち、受け取ってよ」
「モテへんのやろなぁ、こん人」
「俺はすごくモテてたし、今はこんなに可愛い恋人がいるからいいんですー」
「恋人がいらん言うとるのを贈るん?」
「そうだよ? だって俺が持つから」
花を選ぶのに時間はかからなかった。まるではじめから何を贈るか決めていたかのように即決だった。
花束ではなく一輪。細いリボンだけかけてもらったそれを雪儿に差し出す。
「かわええなぁ」
「ほら、喜んでくれた」
「これは恋人から花を贈られて喜ぶかわええ女の子を演じとるんやで」
「すごい。雪儿の名は伊達じゃないな。ここだけ冬だ」
「ふふっ、冗談や」
花を贈られるとわかっていても嬉しさが込み上げる。それは雪儿にとって、とても不思議なこと。いらないと思っていたのに、こうして受け取ると嬉しくなるのだから。
「花束だったらもっと喜んでくれた?」
「そういう人もおるやろうけど、雪儿はこれでええ。数やない。大事な人がくれたってことに意味があるように思うから。一輪でも嬉しい」
だから好きなんだと瑞成は実感する。雪儿は嘘が得意でもあり下手でもある。人を傷つけないための嘘をつくことは多い。それを貫き通す覚悟もある。雪儿が抱える最大の嘘を知っているからこそ、今の喜びが嘘ではないとわかる。
「どんな匂い?」
「あんまないけど、なんやほのかに金柑……みたいな匂いがする。甘いというか苦いというか……」
「真逆ですけど?」
「花の蜜とか? うっすらとした感じ」
「蜂蜜ってこと?」
「ちゃう。花の蜜」
「蜂蜜でしょ?」
眉を寄せる雪儿が頑固にかぶりを振る。
「花の蜜吸うたことないん?」
「俺のこと、もしかして花の妖精だって思ってる?」
「……どっちか言うたら花の蜜の味知っとる雪儿のが妖精って考えへん?」
二人で真顔で見つめ合うこと数秒間。同じタイミングで吹き出して声を上げて笑う。
「よし、服買いに行こ」
雪儿の手から花を受け取って胸ポケットに入れる。それを天才だと褒められた瑞成は得意げな笑みを返した。
雪儿はわざわざ花の名前を聞くことはしない。それが瑞成は心地よく感じるのだ。わざわざ花の名前を告げて、その花言葉の意味まで喋らされるのは好きじゃない。面倒なのだ。自分で調べて勝手に喜んでくれと思ってしまう性格をしているから。
雪儿にはそれがない。自分の性格がロマンチストからかけ離れていることを自覚しているからわざわざ聞いてそれに反応したくないのかもしれない。
喜ぶ姿が見れたからそれでいいと思う瑞成には雪儿の性格がよく合っている。
「着いた」
「ここ? なんか古めかしい建物やな」
「歴史あるって言ってよ」
「歴史ある建物で何見るん?」
「雪儿の服と俺の服」
「同じ服めっちゃ持っとるって雷真に言われてなかった?」
「ちょっと変えるつもり~」
雷真が呆れるのが目に見えていると笑いながら首を振り、手を引かれるままに一緒に建物の中へと入っていく。
初めて見る洋館の中はやはり洋風で、紫雫楼とは似ても似つかない内装に落ち着きなく何度も見回してしまう。
「やあ、瑞成。今日は可愛いレディとデートかい?」
店員が気さくに話しかける。これは彼の国の言葉ではなく、瑞成たちの言葉。流暢に話す店員を雪儿が見上げると目が合い、笑顔を向けられる。
「俺の大事な恋人だよ、キース」
「この子が雪儿か! ようやく会えた! 嬉しいよ。ようこそ、レディ」
「……こんにちは……」
「あれ、いつもの雪儿じゃないね?」
誰にでも気さくに話しかける雪儿が珍しく後ろに隠れたことに瑞成が目を瞬かせる。
「フォンシークは初めて?」
「そっ。今日初めて連れてきたんだ。緊張してるのかも」
「それならムリもないね。ふてぶてしい態度を崩さなかった君よりずっと可愛く思えるよ」
「金払いの良い客ゲットできて良かったじゃん?」
「違いない」
楽しげに会話する瑞成の手を握る力が強くなる。初めて見る外国人に緊張しているのだろうかといつもより弱々しく見えるその姿が愛おしく感じた。目を細めて繋いだ手を軽く揺らしながら大丈夫と何度も声をかける。
「前に言ってた白のワンピース、見せてもらえる? 雪儿に着せたいんだ」
「オーケー。その瞬間を待ってたんだよ。今持ってくる」
キースが奥へと下がると雪儿はすぐ、瑞成を見上げた。
「似合うから大丈夫だよ」
「……せやったらええけど……」
呟く雪儿の表情はどうにも浮かない。目を合わせて笑顔を見せる瑞成はずっと前からこの日を楽しみにしていたのだろう。いつになるかはわからなくとも、いつかはと思っていたはず。
「お待たせ。胸に花なんて飾って、今日は気合い入ってるね」
「一応ね」
「君の可憐さがよく現れてるよ」
「そりゃどーも」
運ばれてきた箱を開けると中には真っ白なワンピースが入っていた。裾には淡い金糸で波のような線の刺繍が入っており、瑞成はこれを見た瞬間、雪儿を思い出した。そしていつか雪儿に着てほしいと思った。
今日がその日。
「雪儿、どう? 好きな感じ?」
「……たぶん」
「試着だけしない?」
「……せやね」
「奥へドーゾー」
強制はせず、お伺いを立ててくれる瑞成の喜びを奪いたくなかった。できるだけ表情に出さないように努めながらも若干の色が声に滲んでしまいながらも瑞成と一緒に奥へと向かい、試着室へと入った。
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