【完結】捨てられた令嬢は、国一の美女で精霊の姫でした。

丸顔ちゃん。

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第14話

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アルベルトの部屋は、
先ほどまでの重苦しい空気が嘘のように澄んでいた。

黒い霧は完全に消え、
代わりに淡い光が漂っている。

精霊たちが、
まるで春の風に乗る花びらのように
ふわり、ふわりと舞っていた。

エリシアは、
その光景を信じられない思いで見つめていた。

(……わたしが……
 本当に……殿下を……?)

アルベルトは、
寝台に腰掛けたまま深く息を吸い込んだ。

アルベルトは、
寝台に腰掛けたまま深く息を吸い込んだ。

その呼吸は、
先ほどまでの苦しげなものとは違う。

「……こんなに楽に息ができるのは……
 久しぶりだ」

エリシアは胸が熱くなった。

(……よかった……
 本当に……よかった……)

精霊たちが、
エリシアの肩にそっと触れるように光を落とす。

――エリシア。

――あなたの力だよ。

――あなたが、この人を救った。

エリシアは、
自分の手を見つめた。

細くて、白くて、
何の力もないと思っていた手。

(……この手が……
 殿下の魔力を……?)

アルベルトは、
エリシアの表情を見て微笑んだ。

「エリシア。
 君は……自分の力を知らないんだね」

エリシアは驚いて顔を上げた。

「……わたしの……力……?」

アルベルトは頷いた。

「君の魔力は……
 “調律”の力だ」

「調律……?」

アルベルトは、
エリシアの手をそっと取った。

その手は温かく、
優しく包み込むように。

「魔力は本来、
 流れが乱れると暴走する。
 僕のように魔力量が多すぎると、
 その乱れが致命的になる」

エリシアは息を呑んだ。

(……殿下は……
 ずっとそんな苦しみの中に……)

アルベルトは続けた。

「でも……
 君が触れた瞬間……
 僕の魔力の流れが整った。
 まるで……
 君の魔力が僕の魔力を“調律”したみたいに」

精霊たちが、
その言葉に反応して光を揺らした。

――そう。

――あなたの魔力は“調律”。

――乱れた魔力を整える。

――あなたは、精霊の姫。

――この人を救うために生まれた。

エリシアの胸が震えた。

(……わたし……
 本当に……無能力じゃなかった……)

アルベルトは、
エリシアの手を両手で包み込んだ。

「エリシア。
 君は……僕の命を救ったんだ」

エリシアの目から、
ぽたりと涙がこぼれた。

「……わたし……
 本当に……殿下のお役に……?」

アルベルトは、
優しく微笑んだ。

「役に立つなんて言葉じゃ足りない。
 君は……僕の光だ」

エリシアの胸が熱くなる。

(……光……
 わたしが……?)

精霊たちが、
祝福するように光を降らせた。

その光景は、
まるで“運命の契約”の前兆のようだった。



アルベルトの体調は安定し、
魔力の暴走は完全に止まった。

エリシアの力が、
確かに彼を救ったのだ。

その一方で――
王城の別の場所では、
レオンとミリアの崩壊が静かに進んでいる。

二つの運命が、
ゆっくりと、しかし確実に
交差し始めていた。


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